金色のガッシュベル!!SECONDLAP   作:アンドロイドQ14

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LEVEL5 ガッシュの決断

高嶺家

 家に帰った後、清麿とガッシュは今後の事を話し合っていた。

 

清麿「ガッシュ、前言ってた仲間になってくれるガッシュの友達ってどれぐらいいるんだ?」

 

ガッシュ「えっと…、ティオ、コルル、キャンチョメ…、とにかく、結構いるのだ」

 

清麿「コルルも含まれていたのか。だったら、早くパートナーが見つかるといいな。今までの戦いを経験したなら、ガッシュはコルルのパートナーが誰かわかるのか?」

 

ガッシュ「コルルのパートナーはしおりというモチノキ町に住んでいる女子高生なのだ」

 

清麿「女子高生か…。どこに住んでるのかわかるのか?」

 

ガッシュ「それが…、コルルから頼まれる形でコルルを魔界に帰した後、会っておらぬからどこに住んでおるのかわからぬのだ…」

 

清麿「どこに住んでるのかわからないのか…。まいったなぁ…」

 

 パートナーがわかってても、どこに住んでいるのかわからないため、2人にはどうしようもなかった。更にガッシュはある事を考えていた。

 

ガッシュ「(また、あの時のような事が起こるのか…)」

 

 ガッシュは自分が優しい王様にならねばならないと決心した『あの時』の事を思い出していた。

 

ガッシュ「(しおりが見つかって術が発動して大暴れすれば、コルルは絶対に本を燃やしてと言うかも知れぬ。だが、ゾフィスやゼオン、クリアを倒すには仲間の協力が必要なのだ…。それに、あの戦いの経験した以上、コルルを仲間にした上でもっとしおりと一緒にいさせてあげたいし、コルルを術の呪縛から解放せねば…!)」

 

 

回想

 王になった後、ガッシュは父親にコルルが言っていた事の真偽を確かめていた。

 

ガッシュ「父上、王を決める戦いでは戦う意志が弱い子には別の人格が植えつけられるのは本当であるのか?」

 

前魔界王「いや、そんな措置をとるという事自体、聞いた事がない。私自身もゾフィスがやったような精神操作自体嫌いだ」

 

ガッシュ「では、初めは戦う意志が弱かったウマゴンやモモンと違ってコルルは術を使うとなぜあのようになるのだ?」

 

前魔界王「あれは植え付けたものではない。多分、コルルの能力は戦闘向けに心と身体を変化させるものだろう。私の推測では、ガッシュが言っていた状態は戦う決意ができていないが故に術によって闘争心が暴走してああなったと思う」

 

ガッシュ「コルルに戦う決意ができていればゼルクを使っても自分の意思で行動できるようになるのであろうか?」

 

前魔界王「恐らく可能だ。ガッシュが危険な術、バオウ・ザケルガを制御して皆を守る力にできたように、コルルが術を制御できるようになるのも不可能ではない。どんな力でも使い方を間違えれば誰かを傷つける力になるし、正しく使えば誰かを守れる力になれる。力とは、諸刃の剣なのかも知れないな」

 

 

ガッシュ「(コルル、何として私が…)」

 

コルル「ガッシュ、ボーッとしてるけどどうしたの?」

 

ガッシュ「なぬっ!いつに間に!?」

 

コルル「華さんがご飯ができたから伝えてって言われたの。ご飯を食べよう」

 

ガッシュ「ウヌ…」

 

 食事と入浴が終わった後、ガッシュとコルルは寝た。

 

コルル「ねえ、ガッシュ」

 

ガッシュ「何なのだ?」

 

コルル「私、今日はパートナーを探しに行ったけど、戦うのが怖くて見つからなくてよかったって思ってたの。魔界に優しい王様がいたら、こんな辛い戦いはしなくてよかったのかなって思うのに…」

 

ガッシュ「そうであるな…(またそんな事を言われると悲しいのだ…)」

 

コルル「じゃあ、私は寝るね。おやすみ」

 

 

モチノキ町

 それから、しばらくの時が経った。これまでの戦いで清麿は術の内容の把握と十分な実戦経験を積んだが、未だにコルルはしおりと会えておらず、フェインはガッシュとの戦闘を行わない事を決めてモチノキ町から去っていった。その間、ガッシュは自由な時間があったら体を鍛えていた。そんなある日、ガッシュはナオミちゃんに追いかけられていた。

 

ガッシュ「ヌオオオッ!誰か助けてほしいのだ~~~!!」

 

ナオミ「ガッシュ、私が遊んであげるわよ!」

 

???「こらこら、イタズラも度が過ぎちゃいけないよ」

 

 誰かが諭すようにナオミちゃんに注意したが、その人物は大男だった。

 

ガッシュ「おお、進一殿ではないか!」

 

ナオミ「あああっ!!モンスター!!」

 

 進一を見たナオミは慌てて逃げていった。

 

ガッシュ「進一殿、相変わらず優しいのう!」

 

進一「君は僕を怖がったりしないのかい?」

 

ガッシュ「何を言う、私を救ってくれた恩人ではないか。何を怖がるのだ?」

 

進一「君はいい子だなぁ。それじゃあ、気を付けてお帰り。僕はもう行くね」

 

ガッシュ「(進一殿が来てるという事は…エシュロスも来ておるな…)」

 

 進一に言われてガッシュは家に帰ろうとした。進一も人間の姿に化けているエシュロス

と共に去っていった。帰ろうとしたガッシュは清麿が見てる事に気付いた。

 

清麿「ガッシュ、進一とか言っていた大男を知ってるのか?」

 

ガッシュ「進一殿は一緒にいた魔物、エシュロスのパートナーなのだ」

 

清麿「何っ!?ほんとに人間なのか!?てっきり、魔物だと思ってたぞ」

 

ガッシュ「進一殿は見た目と違って優しいのだ。だが、エシュロスは進一殿がかつて虐められていた頃の事を利用して騙し、進一殿が以前、通っていた学校を壊させようとしているのだ」

 

清麿「ほんと、エシュロスとかいう魔物は許せねえ野郎だ!」

 

ガッシュ「奴等は明日、学校を壊しに来る。待ち伏せしてエシュロスをやっつけるぞ」

 

清麿「ああ。って、何で明日…、そうか、明日は土曜日!学校が休みだから進一は関係のない人達を巻き込まないように休日を選んだのか?」

 

ガッシュ「その通りなのだ」

 

 

高嶺家

 明日、エシュロスを倒すという決意をしてガッシュと清麿は家に帰ってきた。

 

ガッシュ「ただいまなのだ!」

 

清麿「ただいま。まだ、おふくろも帰ってきてないか」

 

ガッシュ「コルルも帰ってきてないのだ」

 

清麿「パートナー探しに行ったんだろ。俺達はコルルのパートナーが誰なのかわかってても、どうしようもないな…」

 

 

モチノキ町

 夕方になり、ある女子高生は帰っていた。その際、女子高生は仲のいい兄弟や親子を見て、悲しそうに、そして羨ましそうに見ていた。

 

女子高生「…羨ましいなぁ…、私の家族もあんな感じだったらいいのに……」

 

 そう思いながらある学校を通り過ぎようとしていると、パートナー探しをしているコルルを見つけた。

 

コルル「すみません、この本…」

 

 誰もコルルの本を読もうとしなかった。そんなコルルの姿が可哀そうだと思った女子高生は近づいてきた。

 

女子高生「…ねぇあなた、その本を見せてくれる?」

 

コルル「はい…」

 

 女子高生はコルルの本を見た。暫く見ていると、ある部分だけが読めた。

 

女子高生「(あれっ?この部分だけが読める…)ゼル…ク…?」

 

 ある部分を読んでみると、コルルに変化が起き始めた。

 一方の進一とエシュロスは学校の近くに来ていた。

 

エシュロス「ここが、お前がいじめられられた学校か?」

 

進一「うん…。この小学校が一番辛かった…」

 

 進一は小学生の頃の虐められていた頃の事を思い出していた。

 

進一「ここが、弱虫の僕が始まった場所なんだ」

 

エシュロス「ならば決まりだ。ここを最初に壊そう」

 

進一「でも、大きいよ」

 

エシュロス「なぁに、今の俺の力なら簡単さ。臆する事など何もない。何度も言うが俺様は…、魔物の中でもエリートだ」

 

進一「…そうだね。この学校を壊そう。辛い思いでと共に全部…」

 

 その頃、鋭い爪が伸び、凶暴で筋肉質の体になったコルルの変貌ぶりに本を読んだ女子高生の心は恐怖で支配されていた。

 

女子高生「あ…あ…」

 

コルル「ねえ、もっと…もっと呪文を唱えて!暴れたいの…」

 

 突然の出来事に女子高生は恐怖で声も出なかった。

 

コルル「なぜ唱えない?本の持ち主…」

 

女子高生「本…?持ち主…?何の事…?」

 

コルル「…フフ、そうか…私は何も言わなかったのか…。これはね…戦いなのよ…」

 

女子高生「え…?戦い…?」

 

コルル「ちょうど獲物も来たみたい…」

 

 その言葉通り、学校を壊すのを次の日に決めた進一とエシュロスが通りかかった。

 

エシュロス「こんな所で魔物に遭遇するとはな」

 

進一「魔物?あの子、とっても怖いよ…」

 

エシュロス「安心しろ、俺はエリートだ。あんな魔物に負けはしない。見た感じじゃ、パートナーも魔物と会ったばかりみたいだ。行くぞ進一!呪文だ!」

 

進一「…うん」

 

 敵を見つけた途端、コルルは真っ先にエシュロスに近づいた。

 

進一「グランダム!」

 

 土の壁がコルルを襲ったが、コルルは鋭利な爪で壁を破壊して一気に接近し、エシュロスを切り裂こうとした。身体能力がコルルに劣っているエシュロスはコルルの猛攻にどうしようもなかった。

 

エシュロス「何て奴だ!パートナーはともかく、魔物の方はかなり厄介だぞ!進一、吹っ飛ばして距離をとれ!」

 

進一「ぐ、グランバオ!」

 

 地面の爆発でコルルは吹っ飛んだ。

 

コルル「ちいっ!本の持ち主、もっと呪文を唱えろ!」

 

女子高生「(た、助けて…!)ゼルク!」

 

 またコルルは近づいた。

 

 

高嶺家

 清麿とガッシュは次の日の事を考えていた。すると、家に帰ってきて夕飯の支度をしていた華が慌てて清麿の部屋に入ってきた。

 

華「清麿!小学校の近くでなんかすごい事になってるわよ」

 

清麿「急に部屋に入ってきた何だよ、お袋。その凄い事って何だ?」

 

華「いいからテレビのニュースを見るのよ」

 

 華の言った通り、TVでは速報のニュースが流れていた。

 

TV「速報です。小学校の近くに突如現れた化け物たちの戦いによってここモチノキ町は…」

 

ガッシュ「あの魔物は…コルル!」

 

清麿「何!?あの凶暴な姿の魔物がコルルだって!?」

 

ガッシュ「パートナーのしおりが見つかったのだ!清麿、急いでエシュロスが壊そうとした学校へ向かうぞ!」

 

 

モチノキ町

 急いでガッシュペアはコルルとエシュロスの戦いの現場へ向かった。

 

清麿「今でも信じられないぞ、あんな姿の魔物がコルルなんて…」

 

ガッシュ「信じられぬのも無理はないが、とにかく、今は戦いを止めるのが先なのだ!」

 

 数十分にもわたる死闘の末、コルルの爪によってエシュロスの本は引き裂かれて出火し、燃え尽きようとしていた。

 

エシュロス「ち、ちくしょう…!」

 

進一「エシュロス、ごめん…」

 

 ちょうど同じ頃、ようやくガッシュペアが到着した。

 

ガッシュ「あの女子高生がしおりなのだ!」

 

清麿「だ、大丈夫ですか!?」

 

 恐怖により、しおりは何も答える事ができなかった。

 

清麿「(無理もないよな…。俺だってすぐに戦う決心はつかなかったし、ましてや、急に

戦いを目の当たりにしたらこうなるよな…)」

 

 そうしている間にエシュロスの本は燃え尽き、エシュロスは魔界へ帰った。

 

ガッシュ「エシュロスは倒されたが、コルルはまだ呪文を制御できていおらぬから暴れておる!今度はコルルを止めねばならん!」

 

清麿「(だが、ガッシュだってコルルを攻撃したくないだろうし、俺もコルルを攻撃したくない…!何か…、何かコルルを傷つけずに止める方法はないのか…?)」

 

 考えている間にコルルはガッシュペアに気付き、近づいてきた。コルルを攻撃したくないガッシュはコルルの攻撃をよけたり、マントで防ぐ事しかできなかった。その間に清麿はある呪文に目を通した途端、いい考えが思い浮かんだ。

 

清麿「(いや、あるぞ…!ジケルドがある!だが、金属は…)」

 

 周りを見てみると、学校の滑り台などがあった。

 

清麿「ガッシュ、ジケルドでコルルの動きを止めるぞ」

 

ガッシュ「ウヌ(ジケルド…、コルルと別れてから使えるようになった術がコルルを止めるために使われるとは…)」

 

清麿「行くぞ、ジケ」

 

 ジケルドを撃とうとした途端、コルルが迫って呪文の発動を邪魔してきた。

 

清麿「くそっ、これじゃあジケルドを撃つ暇もないじゃねえか!」

 

 再び始まったコルルの猛攻にただでさえコルルに攻撃できないガッシュはかわすか、防ぐしか術はなかった。

 

清麿「(どうすればいいんだ…。あの状態のコルルは身体能力が高いからガッシュが張り付くのは難しいし、ジケルドを撃とうとしても邪魔してくる。誰かに取り押さえてもらった方が確実だ…。ん?)」

 

 誰にコルルを取り押さえてもらおうか悩んでいると、呆然としている進一の姿があった。

 

清麿「進一、頼む、あの魔物を取り押さえてくれ!」

 

進一「で、でも…あの魔物はエシュロスを倒したし、怖いよ…」

 

清麿「このままあの魔物を放っておいたら周りへの被害が大きくなるんだ!」

 

ガッシュ「私からも頼むのだ、進一殿!これは進一殿にしかできぬ事だ!強い自分の意志を、勇気を持って立ち向かうのだ!」

 

進一「強い自分の意志…、勇気…」

 

 ガッシュの言った言葉を聞いた進一は母親からの言葉を思い出していた。

 

進一の母親『進一、いじめの原因はあなたにもあるのよ。嫌だったら、やめてほしいってちゃんと言いなさい。それができないから、いじめられるのよ。意志を強く持って、自分で物事を決めなさい。勇気を出して。それさえできれば、いじめも減るはずよ。それさえしっかりできるようになってくれれば、もうママは何も思い残す事はないわ。あなたは心の優しい子…立派な大人になるのよ』

 

進一「ママ…!」

 

ガッシュ「ぐあああっ!」

 

 ガッシュのピンチに進一の中に眠っていた何かが沸き上がってきた。

 

進一「やめろ……やめろ………やめろ~~~っ!!」

 

 誰かを助けたいという自分の強い意志と勇気が進一を動かし、ガッシュに止めを刺そうとしたコルルを取り押さえた。

 

ガッシュ「進一殿!」

 

進一「ありがとう、君達のお陰で僕は変われた気がするよ」

 

清麿「ああ。進一の作ったチャンス、無駄にはしない!SET、ジケルド!」

 

 ジケルドはコルルに命中し、コルルは小学校の遊具にくっつけられた。

 

ガッシュ「これで、後は術の効果が切れるのを待つだけなのだ」

 

清麿「そうか…後、救急車を呼ぼう」

 

 しばらくすると、術が解けてコルルは元に戻った。その間に清麿は119番をかけた。

 

ガッシュ「進一殿、これでお主は母上殿に安心してもらえる立派な大人になれたのだ」

 

進一「そうか…。でも、エシュロスは…」

 

清麿「あいつはお前を騙していた悪い奴だ。もう気にする事はない」

 

ガッシュ「これからも強い意志と勇気を持ち続けてほしいのだ」

 

進一「わかったよ」

 

 

モチノキ町立総合病院

 病院にコルルとしおりが入院して一日経過し、ようやく落ち着いて話ができるようになった。

 

しおり「そう言えば、あの時はあなたの名前を聞いてなかったわね。名前は?」

 

コルル「コルル…」

 

しおり「コルルちゃんか…私はしおり。あなた達は確か…、清麿さんとガッシュ君ね」

 

清麿「あぁ」

 

ガッシュ「ウヌ」

 

しおり「昨日のあれは一体何なの?あの暴れていたのもコルルなの?この本は何?」

 

コルル「それは…」

 

 何も知らないしおりに魔界の王を決める戦いの説明をするコルルだったが、途中で言葉に詰まってしまった。

 

コルル「…私、私が…暴れたんだよね…私が…周りの人や…パートナーのしおりさんまで…」

 

しおり「(やっぱり、あれはこの子自身の意思でやったのではないのね…)」

 

 『あの時』と同じ状況にガッシュは沈痛な気持ちだった。

 

コルル「ガッシュ、この本を燃やして…」

 

ガッシュ「何を言う。本が燃えたら、魔界へ帰ってしまうのだぞ」

 

コルル「わかってるけど…」

 

清麿「…ガッシュ、どうする…?これは俺ではなく、コルルの友達であるお前が決める事だ」

 

 しばらくの沈黙の後、ガッシュは決断した。

 

ガッシュ「…本は燃やさぬ」

 

コルル「何で!?早く魔界に」

 

ガッシュ「気持ちはわかるが、魔界へ帰ってはならぬ」

 

コルル「でも、でも…」

 

ガッシュ「この戦いを勝ち抜き、王様になった者は魔物を消す事ができるのだ」

 

 ガッシュの口から話された『王の特権』にその場にいた者は凍り付くように静まり返った。

 

清麿「(そう言えば、王を決める戦いの時にそんな事を言ってたな。そうか…、もし、悪い奴が王様になったらコルルもガッシュも…)」

 

コルル「嘘だよね…?」

 

ガッシュ「嘘ではない」

 

コルル「そんな事、聞かされていないよ…きっと嘘…」

 

清麿「ガッシュはそんな嘘はつかない。それは、お前もよく知ってるだろう?」

 

コルル「そんな…でも、私が消されない可能性もあるんだよね…?」

 

ガッシュ「…このままでは、確実に消されてしまうのだ」

 

しおり「それって、どういう事?」

 

清麿「ガッシュの話によれば、ガッシュでは全く適わないぐらいとんでもなく強い上に王の特権を使ってすべての魔物を消す野望を持っている魔物がいるらしい。ガッシュはその魔物を倒すために協力してくれる仲間を集めているんだ」

 

ガッシュ「頼む、コルル、本当は戦いたくないのであろうが、一緒に戦ってほしいのだ!頼む!」

 

 志のあるまっすぐな目で頭を下げながらガッシュはコルルに一緒に戦ってほしいと頼んだ。

 

コルル「でも、私は術を使うともう1人の私が出るの。私、聞いた事があるの。この戦いで私みたいな戦う意志の弱い子には、別の人格が与えられる事があるって戦う事から逃げられないようにって」

 

ガッシュ「それは違う!魔界の王である私の父上は絶対にそんな措置はとらない!昨日の事は別の人格によるものではないのだ!」

 

コルル「えっ!?ガッシュが、魔界の王様の子供…?どうして家族と暮らしていないの?」

 

ガッシュ「ヌオオオッ!!ついつい私の家族の事を喋ってしまったのだ~~!!」

 

清麿「ガッシュはある事情があって家族とは暮らす事ができないそうだ」

 

コルル「そうだったの…。ところでガッシュ、別の人格が原因じゃないのなら、何が原因なの?」

 

ガッシュ「呪文は本来魔物自身の力…、コルルは術を制御できていないだけなのだ!私は術に存在そのものを食われかけた事がある!でも、強き心を持ち、訴えかける事で術を制御し、真の力を使えたのだ!」

 

清麿「(存在そのもの…バオウの事か…!)」

 

コルル「(そんな危ない術に食べられそうになった事あったっけ…?)」

 

 信じられないコルルだったが、ガッシュの目に偽りはなかった。

 

コルル「(ガッシュの事だから嘘はついてないと…思う…)」

 

ガッシュ「術を使いこなせるようになるまで私が特訓に付き合おう。だから…」

 

コルル「だけど、しおりさんに迷惑が…」

 

しおり「…手伝うよ。魔界の王を決める戦い」

 

コルル「えっ!?」

 

清麿「さっきの言葉、本当…なんですか…?」

 

しおり「本当よ。私だって、目の前で子供が『消えるかもしれない』なんて話してたら、何もせずにはいられないもの」

 

コルル「しおりさん…」

 

しおり「それに、妹ができると思えば、コルルちゃんと一緒にいるのも悪くないと思うし」

 

コルル「でも、私と一緒にいたら敵が襲ってくるよ!危ないよ!」

 

しおり「危なくないように、私とコルルちゃんも強くならなきゃいけないんでしょ?」

 

コルル「……」

 

 

モチノキ町

 やや強引ではあったものの、コルルの魔界への強制送還を阻止できたガッシュペアはホッとした後、帰る事にした。後日、人気のない場所で術の制御の特訓をすると決めて。

 

清麿「何とか、コルルを魔界に帰さずに済んだな」

 

ガッシュ「ウヌ。もっとしおりとの思い出を作ってほしいのだ」

 

清麿「ああ。俺としても同じ考えだ。魔物を皆殺しにしようとしてる奴って、ガッシュが前に話していたクリアの事だろ?」

 

ガッシュ「その通りなのだ。だが、クリア以外にもゾフィスやリオウ、私の兄ゼオンも倒さねばならぬ」

 

清麿「これから大変になるな…。仲間を集めて、特訓を重ねて強くならなきゃな」

 

 悪い魔物との戦いがこれから厳しくなると思い、強くならなければならないと二人は思った。既にクリアはゼオンに記憶を奪われ、雷への恐怖を植え付けられた上で魔界に帰されたとも知らずに。

 

 

高嶺家

 退院した後、しおりはコルルを引き取るために清麿の家に来ていた。

 

華「あなたの家がコルルちゃんの引き取り先になるのね」

 

しおり「はい」

 

コルル「華さん、今まで楽しかったよ」

 

華「どうも。ガッシュちゃんと遊びたくなったら、また遊びに来ていいわよ。元気でね、コルルちゃん」

 

 

しおりの家

 家に帰ってきたしおりはコルルと一緒に風呂に入っていた。

 

しおり「いきなり戦いに巻き込まれちゃったりしたけど、よろしくね」

 

コルル「うん…。しおりさん…」

 

しおり「ねーちゃんって呼びな」

 

コルル「…しおりねーちゃん」

 

しおり「何?」

 

コルル「どうして迷惑がかかるのを承知で私と一緒にいる事にしたの?」

 

しおり「迷惑がかかるなんて思ってないわ。むしろ…、コルルちゃんみたいな子を見てるとほっとけなくてね」

 

コルル「…私もまさかあんな時に呪文が発動するなんて思わなかった…」

 

しおり「実を言うと、私もああなるなんて思ってなかったの。私、感情移入しやすいタイプだからそれで心の力を使って呪文が発動しちゃったんだろうね。コルルちゃんって魔界ではガッシュ君以外に友達はいるの?」

 

コルル「同じクラスのティオがいるけど…」

 

しおり「そのティオって子ともまた会えるといいね。きっと、ガッシュ君のように一緒に戦ってくれると思うよ」

 

コルル「そうだね。しおりねーちゃんも私の事、コルルでいいよ」

 

しおり「これからもよろしくね、コルル」

 

 ガッシュがこれまで経験した戦いの時のようにしおりとコルルは巡り会い、姉妹のような絆で結ばれたのであった。




今回は原作ではガッシュが優しい王様を目指すきっかけとなったコルルの話ですが、それだけでは物足りないため、エシュロスの話と一纏めにしました。そのせいでエリートことエシュロスはガッシュと戦う事なくコルルに倒される損な役回りになっています。
原作にない展開として、今回のような展開や仲間入りの遅い魔物が早期に仲間入りしたりする展開も出てきます。
次はキャンチョメとフォルゴレの出番を飛ばして原作のヒロイン、恵とティオが出てきます。
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