金色のガッシュベル!!SECONDLAP   作:アンドロイドQ14

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LEVEL72 神童vs雷帝

ファウード 通路

 まだバリー、レイン、テッドはデゴスの群れと戦っていた。

テッド「くそっ、こんなに多かったら大変だぜ!」

 

レイン「だが、数もだいぶ減ってきた」

 

バリー「テッド、もう後は俺達で片付くから、お前は先に行ってチェリッシュに会いに行け!」

 

テッド「だけどよ…」

 

バリー「キャンチョメ達が向かった先からとてつもなくでかい力を感じる!その力を持つ魔物にチェリッシュが魔界送りにされる前に行け!」

 

テッド「…わかった。行ってくるぜ。ジード!」

 

ジード「ああ、任せろ!」

 

 テッドはジードと共にバイクに乗り、ジードはバイクを走らせた。

 

 

 

ファウード コントロールルーム

 ゼオンとアシュロンは睨み合っていた。その光景を清麿とティオペア、ゼオンの攻撃を受けて倒れていたパティとコルル、ウォンレイは意識が戻って見ていた。

 

パティ「あのドラゴンは何なの…?」

 

ウルル「どうやら、味方のようです」

 

 先に動いたのはゼオンの方だった。

 

デュフォー「テオザケル」

 

リーン「テオブロア!」

 

 テオザケルとテオブロアがぶつかり、相殺された。

 

サンビーム「ゼオンの攻撃が相殺された?」

 

サウザー「よくわからねえが、あいつはかなり強いみたいだぞ!」

 

デュフォー「テオザケル」

 

 テオザケルが放たれたが、アシュロンはそのまま突っ込んでいったのにも関わらず、無傷だった。

 

アシュロン「ゼオン、この程度の術を使うとは何様のつもりだ?」

 

ゼオン「やはり、お前を叩き潰すのは手間がかかるな。その頑丈な鱗のせいで」

 

 拳を叩き込もうとするアシュロンに対応する形でゼオンも拳を向け、2人の拳はぶつかり合った。

 

アシュロン「うおおおおっ!!」

 

ゼオン「はあああっ!!」

 

 アシュロンは格闘戦でもゼオン相手に一歩も退かなかった。それどころか、パワーではゼオンより上のようだった。

 

ゼオン「とんでもないパワーも相変わらずだな」

 

ブラゴ「竜族の神童アシュロン…、伝説の朱色の鱗を持って生まれた竜」

 

シェリー「あいつを知ってるの?ブラゴ」

 

ブラゴ「目を離すなよ、シェリー。こいつらの戦いを…しっかりと見ておけ…」

 

リーン「ディオガ・ブロア!」

 

デュフォー「ジャウロ・ザケルガ!」

 

 ディオガ・ブロアとジャウロ・ザケルガがぶつかって相殺された。

 

リーン「テイル・ディスグルグ!」

 

アシュロン「バラけろ!」

 

 尻尾を強化した上、分離させてゼオン目掛けて伸ばした。

 

デュフォー「バック、右斜め上、左、ジャンプ!」

 

 アシュロンの尻尾が向かってくる順番や方向などの答えを出し、デュフォーはゼオンのマントに乗ったままで避ける指示を出した。

 

リーン「ディガル・クロウ!」

 

 尻尾を戻した後、今度はアシュロンの腕力を向上させたが、難なくデュフォーの指示でゼオンはかわした。

 

リーン「ディオガ・アムギルク!」

 

デュフォー「ソルド・ザケルガ!」

 

 ゼオンの剣とアシュロンの腕に装備された刃物がぶつかり合った。激しいぶつかり合いの後、互いに距離をとった。

 

ゼオン「アシュロン、お前のパートナーはアンサー・トーカーでない癖によく俺とデュフォーのコンビネーションに食いつけるな」

 

リーン「ダンナ、あのデュフォーの予知能力染みた力が厄介ですね」

 

アシュロン「だが、あいつの力は本当に予知能力なのか?あの時もそうだったが、予知能力にしては不自然な部分も多いぞ」

 

ゼオン「その通り、デュフォーは予知能力を持っていない。だが、それにも勝る力を持っているぞ」

 

デュフォー「ガンレイズ・ザケル」

 

 ガンレイズ・ザケルの中をアシュロンは突っ込んでいった。

 

アシュロン「こんな術では通じんぞ!」

 

 そのままゼオンにパンチを打ち込もうとしたが、既にゼオンは狙いを定めていた。

 

デュフォー「ザケルガ」

 

 ゼオンはアシュロンの脇腹の部分にザケルガを当てた。さっきまではゼオンの攻撃をものともしなかったアシュロンが少し痛そうな顔をしたのを離れた所で見ていた清麿は見逃さなかった。

 

アシュロン「だから、そんな術は効かんと言っているだろ!」

 

 再びアシュロンはゼオンにパンチを打ち込もうとしたが、またしてもかわされた。

 

デュフォー「ザケルガ、ザケルガ、ザケルガ」

 

 またゼオンはさっき攻撃した箇所に連続でザケルガを撃ち込んだ。この攻撃の意図は清麿にはわかったが、恵とティオにはわからなかった。

 

恵「凄いわ!アシュロンにはゼオンの攻撃が全く効いてない!」

 

ティオ「テオブロアもゼオンのテオザケルと互角だったし、ゼオンの攻撃は効いてないし、アシュロンが有利よ!」

 

清麿「……いや、逆だ。アシュロンの方が不利だ」

 

ティオ「どういう事?どう見たってアシュロンが優勢じゃない!」

 

清麿「アシュロンの鱗はとても頑丈だ。だからこそ、ゼオンは力技でいきなり破らずにデュフォーの指示でアシュロンの鱗の弱い部分を集中的に攻撃してダメージを少しずつ与え、動きが鈍くなった所で一気にザグルゼムや大技を決めるつもりだ!」

 

恵「じゃあ、アシュロンはやせ我慢して…」

 

 その通り、アシュロンは鱗の弱い部分を攻撃されてダメージが少しずつだが、蓄積されていた。

 

リーン「(やはりそうだ。デュフォーは予知能力者ではない。きっと、どうすれば攻撃をかわせるのか、ダンナの体のどこを攻撃すれば効率的にダメージを与えられるのかがわかるんだ!)」

 

 ダメージの蓄積が現れ始めたのか、アシュロンの動きのキレが少し悪くなった。

 

ゼオン「やはり、頑丈な鱗に覆われているお前でも鱗の弱い部分を攻撃され続けたらダメージを受けるよな」

 

アシュロン「それがどうした!」

 

リーン「ディガル・クロウ!」

 

 腕力を強化し、ゼオンにパンチを打ち込もうとした。

 

デュフォー「ラウザルク!」

 

 ゼオンもラウザルクで身体能力を強化し、ディガル・クロウでの強化込みのアシュロンのパンチを片手で止めた。

 

ゼオン「アシュロン、俺はその場に本がなかったから仕留められなかった魔物を除けば、これまで2体魔物を仕留めそこなった。1体目がチェリッシュ、そして2体目がお前だ。俺はクリアのような下らんセンチメンタリズムは持っていない。あの時は逃げられたが、今度こそお前を消す!」

 

 そのままゼオンはアシュロンを投げ飛ばした。

 

コルル「あのドラゴンを振り回せるなんて!」

 

しおり「小さいのに何て馬鹿力の持ち主なの!?」

 

ゼオン「この俺の動きを見切れるか?アシュロン!」

 

 ラウザルクでゼオンの動きは更に速くなったため、アシュロンでも捉えきれずに次々とゼオンの攻撃を受けた。

 

リーン「(あの時と同じ状況になってしまった…。ダンナ、1分持ち堪えてくれ…!)」

 

 何とかゼオンの猛攻をアシュロンは1分持ち堪えて、ゼオンのラウザルクの持続時間が切れた。

 

デュフォー「ジャウロ・ザケルガ!」

 

リーン「(前の戦いの時にもした回避不能の攻撃だ!)ダンナ、一点集中を避けてください!」

 

 アシュロンは自らジャウロ・ザケルガに突っ込んでいき、一点に集中しないように受けて全弾防御した。

 

ゼオン「ほう、一点集中しないように全弾防ぐとはな」

 

デュフォー「ディオガ・アーロ・ザケルガ!」

 

リーン「(ダンナにザグルゼム込みであの傷をつけたのと同じ術!)ディシルド・ドラゴルク!」

 

 電撃の矢をディシルド・ドラゴルクで防御した。

 

ゼオン「俺のディオガを防いだ?」

 

アシュロン「はっ、あの時とは違う!だからこそ戦いを挑んだのだ!」

 

ゼオン「だからと言って、俺に勝てると思ったら大間違いだ!」

 

 すぐにゼオンはアシュロンに接近した。

 

リーン「(この手の動きから逃げられない!)」

 

デュフォー「ザグルゼム」

 

 ゼオンはザグルゼムをアシュロンに当てた。

 

リーン「(まずい!あれを受けてから強烈な一撃を受けたら…)ガンズ・ブロア!」

 

 アシュロンは連続でエネルギー弾を放ったため、ゼオンはバックした。

 

ゼオン「その術で俺達から距離をとるつもりだろうが、その程度の術は起点にしてやる!」

 

デュフォー「ザグルゼム」

 

 バックしつつ、ゼオンはザグルゼムを自分に向けて飛んでくる1発に向けて放った。ガッシュのザグルゼムは赤かったが、ゼオンのザグルゼムは青だった。

 

デュフォー「ディオガ・アーロ・ザケルガ!」

 

 ゼオンはザグルゼムが当たった1発目掛けてディオガ・アーロ・ザケルガを放った。

 

アシュロン「どこを狙っている」

 

デュフォー「(あいつ、頭が悪いな。ザグルゼムのもう一つの力を知らんとは…)」

 

 ザグルゼムがぶつかったガンズ・ブロアの1発に電撃の矢が命中すると、進む向きが変わってアシュロンの方へと進んでいった。

 

アシュロン「向きが変わった!?」

 

ゼオン「バカめ、お前は以前、ザグルゼムを受けたから後で放つ電撃の威力を上げる術だと思っているようだが、電撃誘導の力もある事は全く知らなかったようだな」

 

清麿「(ゼオンはガッシュと違って術を放っても気絶しない上、手から出す事ができる。動きながらザグルゼムを撃ち込む事ができるとは…。ガッシュ以上にザグルゼムを使いこなしている!)」

 

リーン「ディシルド・ドラゴルク!」

 

 ディオガ・アーロ・ザケルガの向きが変わってからすぐにリーンはディシルド・ドラゴルクを発動させたが、ザグルゼムで威力が上がっているディオガ・アーロ・ザケルガは盾を破壊し、そのままアシュロンに直撃した。

 

リーン「お、おい…」

 

アシュロン「ぐっ!!」

 

 アシュロンはディオガ・アーロ・ザケルガをまともに受けてしまった他、ザグルゼムの連鎖反応も組み合わさって電撃の矢を受けた箇所の鱗が焼け焦げた上、ヒビが入った。

 

ゼオン「(あの盾のせいで威力が落ちたか…)どうだ?俺のディオガをまた受けた感想は。だが、まだ終わらんぞ!」

 

デュフォー「レード・ディラス・ザケルガ!」

 

 休む間もなく、今度は雷のヨーヨーが現れた。

 

リーン「ダンナ、あの術は俺も初めて見ますぜ!」

 

アシュロン「あれは歯車か!?ノコギリか!?」

 

デュフォー「(ヨーヨーだ)」

 

リーン「ディオガ・アムギルク!」

 

 ディオガ・アムギルクでレード・ディラス・ザケルガを弾いた。

 

ゼオン「そんな術で粘れると思っているのか!?」

 

 アシュロンはディオガ・アムギルクでレード・ディラス・ザケルガを弾き続けたものの、やがてデュフォーの指示でゼオンが操作しているヨーヨーの動きに追いつけなくなっていき、ディオガ・アムギルクが破壊された後、鱗にヒビが入り、焼け焦げている所へ容赦なく雷のヨーヨーが直撃した、鱗にヒビが入った箇所に雷のヨーヨーが直撃した事で、それまでゼオンの術が効かなかったアシュロンの鱗はバラバラになり、アシュロンは大きな切り傷を負って出血した。

 

アシュロン「おお…うおぉおおっ!!」

 

ティオ「アシュロン!」

 

恵「何て強さなの…。今までゼオンの攻撃を防いでいたアシュロンの鱗を破るなんて…」

 

清麿「(ゼオンがあんなにアシュロンを追い詰める事ができるのはゼオンの強さだけじゃない。デュフォーの指示があってこそだ…)」

 

ウォンレイ「まさか、あのドラゴンでさえゼオンに及ばないとは…」

 

 鱗の弱い所を攻撃され続け、ディオガ・アーロ・ザケルガ、レード・ディラス・ザケルガを受けてアシュロンはボロボロになったため、戦いの流れは完全にゼオンのペースとなった。

 

ゼオン「どうした?これでもお前は大人でさえ手におえない竜族の神童なのか!?」

 

 そのままアシュロンはゼオンに蹴り飛ばされ続けた。

 

ゼオン「これでアシュロンはまともに戦う事さえできんな。今度こそガッシュを仕留めてやる…!」

 

 ゼオンは倒れているガッシュの始末を優先する事にした。

 

アシュロン「ここで終わるわけにはいかない…!」

 

リーン「ガンズ・ブロア!」

 

 アシュロンは立ち上がり、ゼオンに向けてガンズ・ブロアを放った。

 

ゼオン「しぶとい野郎だ…!」

 

アシュロン「言ったはずだ…。お前は俺が倒すと…!」

 

 ゼオンはガンズ・ブロアをマントで防いだ。

 

リーン「ダンナ、もう奴に勝つ手段は…」

 

アシュロン「ああ、シン・フェイウルクを使う」

 

ゼオン「おい、お前はシンが使えるようになったのか?それなのに、使ってこないとはな」

 

アシュロン「今からお前を倒すために使うぞ!」

 

リーン「テオブロア!」

 

 アシュロンはテオブロアを放ったが、ゼオンはデュフォーをマントに乗せたままジャンプした。

 

アシュロン「今から俺のシンを味あわせてやる!」

 

リーン「(宙に浮いていれば奴はろくな動きができない、今だ!)シン・フェイウルク!」

 

 

 

回想

 アシュロンは今までの事を思い出していた。

 

アシュロン「どうだ?これが俺の本当の姿だ。信じたか?魔物の存在とその王を決める戦いを」

 

リーン「へぇ…へへへ…、こいつは驚きですな…」

 

 リーンはアシュロンに立ち向かったが、結局、ボコボコにされた。

 

リーン「あっしはほら、『何もない』奴でね…、こういうスリルさえあればこう…ドキドキと生きてる感じがもらえるんで…」

 

アシュロン「そうか…それでも一緒に戦ってくれて嬉しい。俺には魔界の王となり、みんなを幸せにするという夢がある」

 

 その後、クリアと会ったアシュロンはクリアの行方を追っていたが、その最中に出会ったのはゼオンとデュフォーだった。

 

ゼオン「アシュロン、お探しのクリアなら、俺が始末した」

 

アシュロン「お前は…、雷帝ゼオン!」

 

 ゼオンとの戦いの最中、アシュロンはゼオンと目指す理想の魔界についてお互いの信念をぶつけ合っていた。

 

ゼオン「差別のないみんなが仲良く暮らせる魔界だと?そんな夢が実現できるわけねえだろ!種族や価値観が違うからこそ、差別が生まれる。才能の差があるからこそ、天才は落ちこぼれを見下し、落ちこぼれは天才を恨み、妬む。そしてそれらが肥大化した先にあるのが争いだ。争いやクリアみたいなバカがもたらす悲劇を避けるためには、そういった奴等を徹底的に弾圧しなければならん!」

 

アシュロン「そんな事を続けてもいずれは反乱で滅びるだけだ!違う種族が手を取り合い、困難に立ち向かわなければ争いはなくならないぞ!」

 

 結局、ゼオンに勝てず、アシュロンは退かなければならなかった。

 

リーン「ダンナはゼオンを倒すつもりですかい?」

 

アシュロン「そうだ。ゼオンがこのまま王になれば、奴は苛烈な圧政を敷くだろう。そうすれば、魔界はあちこちで反乱が勃発して大混乱に陥る。そのような事態を回避するためにも、何としてもゼオンを倒さなければならん!」

 

 

 

 音速を超えた速度でアシュロンは突撃をかけたが、アシュロンが突撃をかける前にデュフォーは呪文を口にした。

 

デュフォー「シン・ジガディラス・ウル・ザケルガ!」

 

 音速以上の速度で飛ぶアシュロンは角を突き出し、その角は何かを貫いた。

 

アシュロン「やったか!?」

 

リーン「!?ダンナ、ダンナが貫いたのはゼオンじゃない!」

 

 リーンの言葉に嫌な予感がしたアシュロンがその貫いたものを見ると、それはゼオンではなく、何かの手だった。もう片方の手にゼオンとデュフォーは乗っていた。

 

ティオ「あれが…ゼオンのシン…?」

 

清麿「(あれはジガディラス?だが、さっきのジガディラスと比べたら、二回り以上もでかい上に手まである!)」

 

ゼオン「これが進化した新たなる破壊の雷神の姿だ」

 

 そのまま雷神の手はアシュロンを掴んだ。

 

アシュロン「何だ!?振りほどけない!」

 

デュフォー「当然だ。この手はお前のパワーで振りほどく事はできん」

 

サウザー「あの手は飾りじゃないのかよ!」

 

サンビーム「さっき、ドラゴンの高速体当たりを防いだんだ。恐らく、シン・ジガディラス・ウル・ザケルガはあの手による防御なども可能な攻防一体のかなり強力な術だろう…!」

 

恵「清麿君、あのままだとアシュロンは…」

 

清麿「ああ、確実にシン・ジガディラスの餌食となる…!」

 

 話している間にもチャージは終わった。

 

ゼオン「いけええっ!!」

 

 雷神からジガディラスを遥かに超える電撃が発射され、腕に掴まれてて逃げられないアシュロンはまともに受けてしまった上、電撃が着弾した地点の近くにいたリーンは衝撃で吹っ飛ばされ、その際に電撃がかすり、本に火が付いてしまった。

 

アシュロン「ぐあああっ!!」

 

 前の戦いではアシュロンは魔界に帰る前にシン・フェイウルクでクリアの体を貫く事に成功したが、今回の戦いはゼオンはクリアのような慢心がないため、アシュロンはゼオンに一矢報いる事もできずに全身黒焦げになって倒されてしまった。

 

ゼオン「これであいつも終わりだな」

 

 黒焦げになったアシュロンにティオと恵と清麿は駆け寄った。

 

ティオ「アシュロン…まさか…、死んじゃったの…?」

 

 アシュロンが死んだと思い込んで涙を流すティオの言葉に反応するかの如く、アシュロンは少し動いた。

 

アシュロン「俺はまだ死んでねえぞ…。それに…、俺は頭さえあれば生きていられる上、本に火が付いた以上、魔界に帰るんだ。今の魔界に帰れば体を失うから、傷を治さなくていい…。ゼオンを倒してお前達の誰かが王様になって再び体を与えてくれ…」

 

ティオ「だけど…、王の特権の事を知っててもそんな痛々しい姿は見てて辛いわよ…!」

 

アシュロン「王の特権…どうして知ってるんだ?」

 

恵「ガッシュ君から聞いたの」

 

アシュロン「そうか…。やはり、ガッシュは俺の夢を託せるのに相応しい奴だ。清麿…、ガッシュが起きたら、こう伝えてくれ…。俺が作ろうと思っていた差別のない誰もが仲良く暮らせる魔界を作ってくれって…」

 

清麿「わかった。お前の伝えたい事は必ず伝える!」

 

アシュロン「ありがとう…。リーン、最後の一げ。ごふっ!」

 

 立ち上がろうとしたアシュロンだったが、シン・ジガディラス・ウル・ザケルガをまともに受けたダメージは大きく、立てなかった。

 

リーン「ダンナ!」

 

ゼオン「アシュロンめ…、まだ生きている上にあんな姿でまだ立ち向かおうとするのには腹が立ってくる…!」

 

デュフォー「どうする?ゼオン」

 

ゼオン「…決まってるだろ?今度こそアシュロンの息の根を止める」

 

デュフォー「シン・ジガディラス・ウル・ザケルガ!」

 

 再び進化した雷神が姿を現した。

 

清麿「またゼオンのシンか…!」

 

アシュロン「お前達…、俺を置いて早く逃げろ…!」

 

ティオ「(今、逃げたらガッシュは助かってもアシュロンが…アシュロンが死んじゃう…!)嫌だ…、アシュロンを置いて逃げない!」

 

リーン「何を言ってるんですか!?今のままだと確実に」

 

ティオ「アシュロンはあんなになってまで私達を守るために戦ってくれたのよ!それに、魔界に帰る前に死んじゃったら元も子もないじゃない!だから、今度は私がアシュロンを守る!」

 

 ティオは恵と共にアシュロンを守るために前に出た。

 

ゼオン「何のつもりだ?まさか、俺のシンを受け止めようとでもいうのか?」

 

ティオ「そうよ!私達は誰一人死なせずにファウードを止めるの!だから、アシュロンを死なせない!」

 

恵「私達は愛する人を、大切な仲間を守るためなら、例えこの命を失う事になってでも守り通してみせる!」

 

 デボロ遺跡の時以上の『命をかけてでも大切な人達を守る』という強い思いに反応し、ティオの本が光った。

 

清麿「新しい呪文?」

 

ゼオン「お前の盾では俺のシン・ジガディラスを防ぐ事はできんぞ!これで終わりだ!」

 

 チャージが終わり、雷神から凄まじい電撃が放たれた。

 

恵「シン・チャージル・セシルドン!」

 

 チャージル・セシルドンよりも一回り大きく、装飾も増えた女神の盾が姿を現した。

 

リーン「でかい…!」

 

清麿「(確か、ガッシュから聞いた話では、前の戦いでティオが習得したシン級の術はシン・サイフォジオだった。まさか、チャージル・セシルドンのシンを習得するとは…)」

 

ゼオン「シン・ジガディラスは盾封じも使えるぞ!」

 

 シン・ジガディラスの電撃と同時に手もロケットパンチのように飛ばして盾の後ろから攻撃しようとしたが、ティオの意思に反応して女神の盾の後ろから光のバリアが発生し、近くにいるアシュロン達を覆い、シン・ジガディラスの手から守った。そして、女神の盾と破壊の雷神の電撃がぶつかり合った。

 

ゼオン「俺のシンと競り合い続けられるほどの強力な盾だと!?」

 

 新たなる女神の盾は進化した雷神の電撃と競り合い続けた。競り合いが続いてヒビが入っていったが、チャージル・セシルドンと同様にティオの守りたい心に反応してヒビが直っていった。

 

ティオ「ガッシュを、アシュロンを、みんなを…、守る!!」

 

ゼオン「舐めるな!そんな盾など、デュフォーが本気を出せば」

 

 しかし、デュフォーの心の力が尽きてしまい、雷神は電撃を出し終わってしまった。女神の盾の方は電撃を防ぎながら吸収しており、これまで防いだ電撃が溜められていた。

 

ティオ「いっけ~~っ!!」

 

デュフォー「ゼオン、すぐによけろ!」

 

 女神の盾から吸収した電撃が放たれ、デュフォーの指示に従ってゼオンはよけた。

 

サウザー「あの盾、ゼオンのシンを防ぎやがったぞ…!」

 

サンビーム「それどころか、吸収してから再び発射するとは…!」

 

清麿「(ティオのシン・チャージル・セシルドンはかなり強力な防御術だ…。セウシルの全方位防御、マ・セシルドのような元から高い強度、ギガ・ラ・セウシルの攻撃を跳ね返す力、そしてチャージル・セシルドンのティオの守りたい思いに反応して防御力が高くなる特徴、まさにティオの防御術の集大成ともいえる特徴を備えている…!)」

 

恵「(まさに、防御は最大の攻撃を極めた術よ…!)」

 

 ゼオンのシンを防ぎ終わった後、ティオはふらついた。

 

恵「ティオ、大丈夫?」

 

ティオ「ちょっと疲れたわ…。少し休んだら、すぐにガッシュを回復させないと…」

 

アシュロン「悪いな…、俺を守ってくれて…。ゼオン、魔界に帰る前に一つ言っておく。次の魔界の王になるのは…お前ではなく、ガッシュだ!お前は絶対に王にはなれん!」

 

ゼオン「何?」

 

アシュロン「希望の光は守られた。後はお前はガッシュという希望の光に負けるだけだ!」

 

 そう言ってアシュロンは魔界に帰った。

 

ティオ「アシュロン、あなたが命をかけて守ったガッシュを絶対に私達が目覚めさせるわ」

 

恵「だから、魔界で休んでてね…」

 

清麿「恵さん、俺が持ってるファウードの回復液を飲んでくれ」

 

恵「ありがとう、清麿君。それと、シン・チャージル・セシルドンが出た際にディオガ・サイフォジオも出たわ。ティオ、ディオガ・サイフォジオを使ってガッシュ君を回復させるわよ!」

 

ティオ「ええ!」

 

恵「清麿君は私と手を繋いで。そうしたら、普通に心の力を回復させるよりも早く回復できるんじゃないかしら?」

 

清麿「やってみるよ」

 

 アシュロンの頑張りを無駄にしないためにも、ティオと恵はガッシュを回復させる事に専念し、清麿は恵と手を繋いで恵との愛によって早く心の力を回復させる事にした。

 

ゼオン「デュフォー、また心の力が切れたのか?」

 

デュフォー「ああ。アシュロンを倒した際に上級呪文も連発した上、シン・ジガディラスを2回も使ったからな。シン級の呪文は思ったよりも心の力を使う。また少し時間をくれ。心の力を回復させる」

 

 心の力を回復させる前にデュフォーは清麿の様子を見た。

 

デュフォー「(清麿の奴、なぜ女と手を繋いでいるんだ?)」

 

 デュフォーが憎しみで心の力を回復させるのとは逆に、清麿は恵への愛で心の力を回復させるというのがデュフォーには理解できなかった。

 

ゼオン「これで俺が今まで仕留め損ねた魔物の1体、アシュロンを始末する事に成功した。次は…、チェリッシュを始末する」

 

 ちょうどゼオンがいる所の真下には気を失っているチェリッシュペアがいた。ちょうどチェリッシュもニコルと一緒に意識が戻った。

 

チェリッシュ「何が…起こってるの…?」

 

ゼオン「チェリッシュ、次はお前から始末する」

 

 ゼオンが降りてきて近づく姿にチェリッシュは克服したはずのトラウマが蘇った。

 

チェリッシュ「(何で…、何で今になってあの時の恐怖が蘇るのよ…!お願い、私の体…、動いて…!)」

 

 チェリッシュの危機にティオ達の所に来ていたコルル達はゼオンから受けたダメージが大きく、駆け付けられなかった。

 

パティ「まずいわ!ゼオンはチェリッシュを始末する気よ!」

 

コルル「それに、チェリッシュはトラウマが蘇っているみたいだよ!」

 

ウォンレイ「この状況はどうすれば…」

 

 その間にもゼオンはチェリッシュを蹴り飛ばしてからマントでチェリッシュの本を切り刻もうとした。しかし、ある乱入者が現れた。

 

???「チェリッシュ!!」

 

チェリッシュ「この声…!」

 

 その声はチェリッシュには聞き覚えのある懐かしい声だった。その声の主はバイクを走らせるパートナーと一緒に来た。

 

しおり「ねえ、あの子って…」

 

ウルル「リーゼントヘアで間違いないですよ!」

 

清麿「テッド、テッドじゃないか!」

 

 その主こそ、テッドであった。




これで今回の話は終わりです。
今回はゼオンとアシュロンの戦いとティオのシン習得を描きました。
ゼオンとアシュロンの戦いは原作の初期クリアとアシュロンの戦いを参考にし、さらにゼオンペアにしかできないような戦い方も加えて描きました。
シン・ジガディラス・ウル・ザケルガがジガディラスと違って手が追加されているのは、ただジガディラスを強化するだけでは物足りないと判断し、ジガディラスに攻撃にも防御にも使える手を追加しました。手は本体と離れて宙に浮いている感じです。
今回、ティオが習得したシンが原作のシン・サイフォジオではなく、シン・チャージル・セシルドンなのは、ブラゴがシンを二つ習得できたように、ティオでもシン・サイフォジオのほかにシン・チャージル・セシルドンも習得できるのではと思ったのと、ゼオンのシンを防ぐには、チャージル・セシルドンのシン強化版じゃないとダメだろうと判断したためです。
ちなみに、シン・チャージル・セシルドンはゴジラvsメカゴジラのメカゴジラのプラズマグレネイドが元ネタで、形としては、原作版とアニメ版を合体させたような感じです。シン・ポルクがキャンチョメの今までの術の集大成ともいうべき術だったので、シン・チャージル・セシルドンもティオの防御術の集大成ともいうべき術にすれば、キャンチョメやウマゴンのシンに引けをとらなくなるのではと思ったので、そうしました。
次はテッドがゼオンと戦う話です。
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