戦いしか知らないあの子へ   作:たぴぃ

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 ゴリゴリの戦闘はSAOで書いてるのでアズレンは恋愛方面になります。書き方の幅を広げていきたいのでね。不慣れなジャンル故、解りにくい表現や『ん?』となる表現もあると思います。そんな際は『あ〜、頑張って明るい話を書こうとしてるな〜』と生暖かくスルーか、優しく指摘して下さい。


鬼神

 【鬼神】とはある艦を指す異名、だと習った。かの大戦で敵国の艦を単騎で6隻沈めた熾烈な戦果から、そう呼ばれる事になったらしい。それは今でもでも同じく、艦船の中でも五指に入る程の威力を誇る雷撃の威力で何度も艦隊を勝利へと導いてくれな。

 

 「…指揮官、書類の確認、お願いです」

 「あぁ、分かった。そこに置いといてくれ」

 

 今、執務室の無駄に柔らかいソファに座って書類仕事をしている彼女が、【鬼神】と呼ばれる少女。名前は綾波、改造を終わらせてるから今は綾波・改と呼ぶべきだろうか?

 今は壁に立て掛けられている剣が目に入る。大の男である俺が持ってもふらつく様な代物を彼女は軽々と振るい、敵艦を屠っている。何度見ても信じられない、外見だけで言えばか弱い少女なのに。

 

 「指揮官、どうしました?」

 「いや、特に何でも無いが。どうかしたか?」

 「いえ、綾波の顔をずっと見ていたので、何か付いているのかなと」

 「そんなに見てたか?」

 「はい、じーっと見てました」

 「そうか…なぁ、綾波」

 「はい?」

 「もし、もしだぞ?戦いが終わったら、どうしたい?」

 「戦いが終わったら、ですか…」

 

 綾波はいつもは無表情な顔を曇らせて、数秒考えた後に答えた。

 

 「――やっぱり、解らないのです」

 「別に、具体的な事じゃなくても良いんだぞ?遊んでみたい〜、とかな。ほら、綾波、動画見るのにハマってるだろ?」

 「ん…それはそれですけど、戦いが終わってからもやりたいかって訊かれると、ちょっと違う…です」

 

 それもそうか。別に、綾波に限った話じゃない。彼女達――【対セイレーン人型決戦兵器】はメンタルキューブを核にして形作られた人格。ぶっちゃければ意思を持ったロボットみたいなものだ。やろうと思えばだけど、替えも利く。敵――今はセイレーンだけじゃないけど、彼女達は敵と戦う事しか知らない。むしろ、動画視聴やゲームといった趣味を持っている綾波やロングアイランドは稀有な存在だ。

 でも、本質的には戦いが全てと思っているんだと思う。じゃなきゃ、片腕が吹っ飛んでも戦い続けるなんて出来やしない。以前、綾波は左手の肘から先が相手の攻撃で消失しても剣を右手で持って動き回り、魚雷をバラ撒いて敵を屠り続けた。正に【鬼神】の様な戦いぶりだったらしい。

 

 「なぁ、綾波。戦うのは怖くないのか?」

 「…?どうして怖がる必要が?綾波達は、戦う為に居るんですよ?」

 

 綾波を含めた駆逐艦の殆どの外見は幼い少女だ。綾波は比較的大きい方だけど、外見どころか服までもが幼稚園児にしか見えない子も居る。でも、この艦隊どころか軍に所属する全ての艦隊に共通するのが()()()()()()()()()()という所だ。

 例えば、空母イラストリアス。彼女は戦いは好まない。皆が仲良くやっていける世界を夢見ている。でも、戦いになれば強力な【スキル】を使って前衛を援護しつつ、空撃で多数の敵を屠る。その中に、敵を倒した(殺した)という罪悪感は無い。本人に訊いたから解るけど、敵は倒す(殺す)のが当然らしい。

 それが本当に善い事で、正しい事なのか。そんなのはどうでも良いって話だな。

 

 「でも、怪我したら痛いんだろ?」

 「勿論です。痛覚は有りますから」

 「じゃあ――」

 「どうしたんですか、指揮官?今日の指揮官は何かおかしいです。いつもはそんな事、言わないのに」

 

 確かに、何でだろう?少し前に身体をボロボロにして帰ってきた綾波を見たから?痛そうで、見ていられなかったから?…いや、違う。そんな理由、解ってる。後は、自分の勇気が足りないだけだ。俺は綾波からは死角になってる筈のズボンを固く握り締め、言った。

 

 「綾波が、好きだからだ」

 「――え?」

 

 時折見せてくれる、優しい微笑み。気遣いも出来て、可愛い。でもどこか放っておけない感じが、俺は好きだった。そして死んで欲しくないと願った。ただそれだけだ。あくまで『指揮官』の俺は皆に平等でなければならない。でも、俺は特別綾波に死んで欲しくないと思ってる。指揮官、失格だ。

 

 「死んで欲しくない。いや、死なないと言われたらそれまでだ。でもな、そんな恐怖も痛みも、俺は味わって欲しくないんだ」

 「綾波が好きって…綾波は兵器で、人間じゃ――」

 「だからどうした!?俺は【綾波】が好きなんだ!兵器とか人間とか、そんな煩わしいものは要らない!…応えてくれ、綾波。他でもない、綾波の言葉で」

 

 綾波は俯き、言葉を紡ぐ。

 

 「綾波は…家事なんて出来ません…」

 「構わない。俺がやるさ」

 

 一応学生時代は一人暮らしだったし、士官学校に行ってからも給仕は当番制だったから一通りの家事は出来る。

 

 「それに…楽しいお話も、皆と違って出来ません…」

 「なら、俺が楽しい話をする」

 「そんな綾波でも良いなら…お願い、します…」

 「勿論、綾波だから良いんだ。こちらこそ、よろしく頼むぞ」

 

 俺は綾波の左手の薬指に指輪を通し、ゆっくりと唇を密着させた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おー、指揮官じゃないか」

 「クリーブランド、珍しいな。盆栽は良いのか?」

 「ま、一段落ってヤツさ。いや〜、凄いね最近の綾波は」

 「引き際を覚えた、とかか?損傷も無いし」

 「引き際…?ハッハッハ!!綾波が引き際をぉ!?違う違う、最近の綾波はね――」

 

 クリーブランドはニヤッと広角を上げ、言った。

 

 「敵が反撃する前に、敵を沈めるのさ」




 綾波の口調分からぬ…何で自分がケッコンしてない艦をトップバッターに持ってきたんや…(後悔)
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