学ランの少年(高校生くらい)に囲まれる少年(小学生くらい)を見かけた門田京平は足を止めた。
ここは来神高校、不良校として有名な高校である。
しかし、そんな高校に小さな訪問者が現れていた。小さな、まだ小学五年生くらいだろうか…それほどの少年(一人)がいかにも柄の悪い少年(大人数)と話している。
「小学生相手に何やってんだ?」
門田は"もしかすると"と思いながら近づいて行く。
そしてその"もしかすると"はビンゴだったらしい、門田の見た物は高校生が小学生を脅して金を要求しているそんな滑稽なものであった。
「えーと…。おれ、とりあえず会いたい人がいるんですけど?」
「っんな事より早く金だせって。」
「お前のせいで腕が大変な事になってんだよ。」
「…おかね無いです。」
「嘘だろ?オラ、出せよ。」
「無いです。」
「無いなら親呼べよ。」
「あの人達がおれのためにきてくれるわけないじゃないですか。」
「お?庇っちゃう?親に申し訳ないってか?」
ギャハハと笑う高校生、自分達が今この小学生の恐怖の対象だと勘違いしているようだ。
お気付きだろうが、この小学生は冬樹である。
「おい、お前らなにやってやがる。」
「っ!?」
「か、門田!?」
「やべぇ、逃げるぞ!!」
門田を見た途端逃げ出す高校生、それを驚いた風に見つめる冬樹…。
「………………ありがとうございます。」
「いいって。あと、そのナイフしまっとけよ。」
冬樹はあと少しで先程の高校生に切りかかっていただろう。
ナイフをしまいながら冬樹は門田に問う。
「よくわかりましたね。」
「手を後ろにしてたからな…。それにそういうナイフを使ってる同級生がいてよ…。」
「あー…そうなんですか。」
「で?ここに何のようだ?」
門田は一番気になっていた事を口に出す。
「あの、人をさがしてて。」
「人?」
こんな小さな小学生がこんな不良校の誰に会いに来たというのだろうか。兄か?
すると、大きな何かが割れる音がする。
「あ…。」
「…なんか、いろいろとありがとうございます。でも、見つけたんで。これで失礼します。」
「あ、おい!」
冬樹は音のする方向へ走って行ってしまった…。
「あいつ、無事だといいな…。」
人が倒れている。
一人ではなく何人もの人。
その中で唯一立っている男…。名前は平和島静雄、自動喧嘩人形として世間に知られている。
「あのー…?」
そんな静雄に冬樹が話しかける
「あ"ぁ"?」
相当機嫌が悪いらしい。静雄は冬樹を見ると一瞬ポカンとした顔になった。
「お前、昨日の。」
「昨日は送っていただきありがとうございました。」
「あぁ、いいって怪我させたのは俺だし。」
「その後、喧嘩中とかいろいろ気にかけてくれましたし…。」
「いや、あれは…。」
「ありがとうございました。平和島さんって優しんですね。」
そう言われた瞬間静雄の顔が赤くなる。"優しい"など、言われる事は皆無に近かったからだ。
「あ、これ…。お礼のプリンです。あ、甘い物大丈夫ですか?」
「いや、むしろ甘い物は好きだ。」
「スミマセン。こんな物しか買えなくて。」
「いいって。それにしてもそれだけでわざわざここまで来たのか?」
冬樹は静雄にコンビニで買っただろうプリンを差し出す。子供のこずかいならこの辺りが妥当であるが、冬樹は「もっといい物を買いたかった」と言っている。
「…………なぁ、お前俺が恐くねぇのか?」
静雄は冬樹に一番の疑問をぶつけてみた。
すると、冬樹はポカンとした顔をして首を傾げる。
「えーと…平和島さんをこわがる理由がないんですけど?」
今度は静雄がポカンとした顔をした。「目の前にいるこいつは何を言っているのだろう」
しかし、冬樹の言葉で静雄は心が少し満たされた様で、自然と笑みが零れる。
「そうか…。ありがとよ…。」
「いえ、礼を言うのはこちらです。」
静雄は家族以外の人間とまともに話したのは久しぶりだった。
冬樹は誰かと目を見て話し合うのが初めてだった。
「これから、何かようじとかあります?」
「いや、特に何も…。」
「一緒に帰りましょうよ。帰り道はだれかと一緒の方が楽しいってきいたんで。」
「そうだな、帰るか…。」
「あ。」
「どうした?」
「折原さん。」
その後何があったかは言うまでもない。
ただ一つ言うとしたらさらに怪我が増えた冬樹とそれを挟む様にして臨也と静雄が(口喧嘩は相変わらず続いている)露西亜寿司で寿司を食べていた、という事だけだ。
ドタチン少ないなぁ…
今度は新羅もダス予定です!