Language of love   作:千α

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白が爛れる音がした。


第十三話 新宿

「なーんでシズちゃんと冬樹くんが俺のマンションの前にいるのかな?」

 

「……お前を殴りに来たからに決まってんだろう。」

 

「あー…俺はコレを臨也さんの郵便受けという名のゴミ箱にお届けしようと思って。俺がちょっと食べてますけど。」

 

「まって!ならその食べかけの部分を私にちょうだい!」

 

 

深夜の高級マンション前。コンビニから帰って来たのであろう臨也が苛立たしげに呟いた。

きっと帰って来て一番始めに見たのがマンションの扉を蹴り破ろうとしている静雄であった。

 

「なんで、殴られなくちゃいけないのかな?あと、そのハンバーガーよく買う気になったよ。評判悪いの知らない?」

 

「ムシャクシャしたからだ。」

 

「興味本位です。」

 

臨也の質問に二人がそれぞれ回答する。「まぁ…冬樹くんがここに来るのは別にいいんだけど…。」と呟き静雄を見る。

 

「……シズちゃんさぁ、いい年してそういうジャイアニズム100%なセリフは良くないよ。」

 

「うるせえな。あえて言うなら……手前が怪しいからだ。」

 

「怪しいって何が。」

 

「今、俺の街で騒いでる辻斬りの件……手前は、どこまで絡んでる?」

 

「なんで俺が絡むのさ。」

 

「わけわかんねーで物騒な事件は99%手前が絡んでるからだ。」

 

「残り1%を信じてくれないかな……。」

 

「1%でも手前信じられる要素がある奴だったら、多分俺と手前はもっと上手くいってただろうよ。なあ……イザヤ君よぉ?」

 

 

まぁ、静雄が臨也を信じるのは難しいだろう。過去の事を思い出しているであろう静雄の顔にみるみる血管が浮き出る。

 

 

「……先輩、コレの消化お願いします。」

 

「解ったわ。冬樹くんが私を必要とするなら何だってするわ!」

 

「臨也がコレの存在を知っているという事はも受け取ってはもらえないだろう」と考えた冬樹は春媛にハンバーガーを押し付ける。

すると不思議な音がする。その方向を見るとガードレールを引っこ抜こうとする静雄の姿があった。

 

いつもと同じように喧嘩という名の殺し合いが始まるんだろう。

冬樹はケータイを取り出して再度これからある事を確認した。

 

「そろそろか?」

 

冬樹が呟くと同時にエンジン音の無い黒バイクが現れた。

 

セルティだ。

 

「セルティ……なんだよ?」

 

セルティは静雄にPDAの画面を見せる。先刻のチャットのログをコピーしPDAにデータを写したものだ。冬樹と春媛は静雄の隣へ行きそのログを見る。

その画面には静雄を"愛する"と"待ってる"という文字が並んでいた。

 

『どうやら、静雄を刺してから冬樹くんを狙うそうなんだ。』

 

「……なんだこりゃ。」

 

「あいつまだ諦めていなかったの!?」

 

「先輩、口の中無くしてから言って下さい。汚いんで。」

 

そう言うと春媛は急いで口の中をカラにした。

静雄は臨也の方を向き直って口を開く。

 

「……これも、手前の計算か?」

 

「なんの事か知らないけど、セルティが偶然ここに来てくれる事まで計算できるなら、俺はとっくに君の家に隕石でも落としてるよ。」

 

静雄は暫く臨也を見ていたがやがて諦めるように舌打ちをして冬樹の方を向く。

 

「冬樹、お前はこのまま帰れ。」

 

「え、静雄さん?」

 

「そんで、俺から連絡があるまで絶対玄関開けんなよ。それからそこの女。」

 

「なによ。」

 

「冬樹の事頼んだぞ。」

 

「言われなくても!」

 

そう言い残すと静雄はセルティのバイクに跨った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく……単細胞の癖に、どうしてあんなに鋭いんだろうねえ?これだから、俺はシズちゃんのこと、大嫌いなんだよ。」

 

「……折原さん。」

 

「なんだい?冬樹くん。」

 

冬樹はマンションの玄関の中に臨也を入れる。

春媛はマンションの外で誰も来ないかをみはっている。

 

「どうして、運び屋さんの首を持っているんですか?」

 

「!?」

 

臨也は一瞬驚いた顔になるが直ぐにいつもの冬樹に向ける笑顔になる。

 

「なんで、それを知ってるの?」

 

「ある人からの情報ですよ。」

 

「ある人?」

 

「俺は"ミンナ"って呼んでますけど。九十九屋さんとかではないですよ、安心して下さい。」

 

すると臨也の眉がピクリと動く。

 

「ミンナ?いったい何者…?」

 

"ミンナ"とは皆の情報で出来ているデュラララ!!の情報サイトの事である。

 

「秘密です。ミンナは…何でも知ってるんで。」

 

「……首ねぇ…何の事だか。」

 

「運び屋さんには言いませんよ。ミンナの情報が覆されちゃうんで。」

 

「まるで、ミンナが未来予知でもしているかのような口調だね。」

 

「してるんですよ。だってミンナは世界で一番物知りなんですから。」

 

「…………そう、そのミンナがいったい何者なのかは置いておくけど。今日のところは帰りなよ。もう遅いから。」

 

「……また来ます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冬樹くん、ごめんなさいね。私が護るはずなのにおんぶなんてしてもらって。」

 

「………………。」

 

「冬樹くん?」

 

「先輩、喉乾いたんでここで待ってて下さい。」

 

「え!?冬樹くん?」

 

冬樹は春媛を近くのベンチに乗せ少し離れた自動販売機へ向かう。

 

「はぁ…。」

 

意味の無い溜息をこぼす冬樹。

と、後ろから視線を感じた。

 

───罪歌か?

 

そう思って後ろを振り返ると、白髪の女性が立っていた。白髪…だが年齢は20代後半の様だ、目は赤く無いので罪歌ではない。自分の飲み物は買った後なので冬樹はさっさとその場を離れようとする。

 

「ねぇ、貴方。」

 

「……何ですか?」

 

おもむろに女性が話しかけてくる。

 

「これの使い方、教えてくれないかしら?」

 

これ、自動販売機ことのようだ。冬樹には特に断る理由が無いので女性に自動販売機の使い方を教えた。

 

「ありがとう、実はこれを産まれて一度も使った事がなくて。」

 

「どっかの箱入り娘かなんかですか?」

 

「箱入り娘とは違うわ。けど、そうね…この世の中はまだ知らない事で沢山なの。」

 

クスクスと笑う女性を見て改めてその姿を確認する。白い長い髪にグレーの目、暗くてよく見えなかったが彼女は美女に含まれる部類だろう。

 

 

「それじゃ、俺はこれで…。」

 

「えぇ、また会える事を期待してるわ。」

 

「?」

 

彼女は暗闇に消えるようにして何処かへ去っていった。

 

「なんだ?今の人。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと会えたわね。冬樹くん。」




新キャラが出て来ました!彼女はこれからの冬樹に大きく関わっていく人物です。本格的に出るのは当分先になりそうですが…。
次回で罪歌編終了です
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