「あれ、冬樹くん?」
「……折原さん。」
「今日はシズちゃんといないの?」
「あー……平和島さんはなんか先生に説教くらってました。」
「ああ、今日のあの爆発音はシズちゃんだったか。」
臨也は学校の帰り道、冬樹と出逢っていた。
冬樹の足元を見てみると冬樹は靴を履いていなかった。
「なんで靴なんか抜いでんの?」
「あー……なんか血が出てたんで。」
「靴連れ?」
臨也は冬樹の靴を見る。どう見ても冬樹の足にはすこし小さい靴だった。
「みたいですね。」
「なら、親に新しいのを…………。」
「?」
「なんでもない。」
臨也はそこまで言ったところで口を塞ぐ。
普通の子供であればすぐに親に新しい物を買ってもらえるであろう。臨也もそうだった、自分の身体にあった物を選ばせてくれたり、勝手に買って来てくれたりしてくれる親がいた。
しかし、冬樹は普通の子供ではない。
冬樹は虐待を受けている。何かを買ってもらえたことは皆無と言っても良いだろう。
よく見ると服も昨日着ていた物だろう、見覚えがある。
「ほら、おんぶしてあげるから。」
臨也は冬樹の前へ行きしゃがむ。
「え?」
「あと、靴と服俺のおさがりになるけど幾つかあげるよ。」
「折原さんにそんな事を言われるなんて……。
えーと、なんと言いますか、むず痒いと言うか、ノミ蟲が這いずり回るというか…そもそもノミ蟲が着ていた物なんて…。」
「喧嘩売ってんの?」
「いえ、本当に折原さんか確認していただけです。」
「やっぱり喧嘩売ってるでしょ。」
「ふぉんなふぁへふぁひふぁへんふぉ(そんな事ありませんよ)。」
臨也は冬樹のほっぺを伸ばす。
──────────…
「ただいまー。」
「あ、イザ兄!おかえりなさーい!」
「……帰……。」
「あれ?誰、その子。」
臨也の家へ行くと出迎えたのは冬樹よりも年下であろう二人の少女だった。
「クルリとマイルと冬樹くん、おやつできた……ってなにやってんの?」
「お馬さんごっこだよ〜!」
「………馬…遊……。」
「冬樹くん、嫌なら嫌って言いなよ。」
折原家に来た冬樹は臨也の双子の妹である九瑠璃と舞流にオモチャにされていた。
「嫌じゃないですよ。妹ができたらこんな感じかなって無理な考えをしているところです。」
「汗凄いよ。」
冬樹の顔には少し疲れたのか汗がベットリとついており息も苦しそうだ。
───ん?息が苦しそう?
「締まってる!クルリ、冬樹くんの首が締まってるから!」
「………違………。」
冬樹は臨也に助けられ一命を取り留めた。
「冬樹さん!マイルのホットケーキ一枚あげる!」
「………渡……。」
「いりません、お二人が食べてください。」
「お前ら俺に一度もそんな事しないよな……。」
「イザ兄は遊んでくれないんだもん!」
「……遊…無…。」
「はいはい、悪かったね。」
臨也が作ったホットケーキを食べながら冬樹と臨也は服と靴の仕分けをしていた。
しかし、双子は冬樹を気に入ったらしく…。
「冬樹さん遊ぼうよー!いいでしょ!一緒にゲームしよ!」
「遊……楽。」
「えー…と、これはどうしたら?」
「ほら、冬樹くんが迷惑がってるだろ。」
「そんな事ないもんね〜!ね、冬樹さん!むしろ美女に囲まれてると嬉しいよね!」
「嬉……?」
冬樹の服の裾を両方から引っ張り合う二人を見て臨也は注意するが一向に辞める気配がない。
「遊ぶのはいいですけど、少し待ってください。」
「なんで冬樹くんはクルリとマイルに敬語なの?」
ふと疑問に思ったことを口にする臨也。
「あー……じゃんけんで負けまして…。」
「なんでそんなじゃんけんしたの!?」
「今日はありがとうございました。」
「また来なよ。」
「……はい、クルリさんとマイルさんもまた会いましょう。」
「明日来てね!」
「…来……。」
「いや、それは無理だろ。」
「近いうちにまた来ます。」
臨也は少し見間違えたかと思った…
一瞬冬樹が笑ったのだ。
うん、双子は難しいね!
ここ違う!ってのがあったら言ってください。