「ん、園原…?どうしたんだ?」
「いや、あの……。」
三人の説得によりトイレから冬樹は無事に出てきた。
すると、杏里のケータイを触っていた。
「メールか?」
「宇野原くん、紀田くんが危なくて、その…。」
「あー…静雄さんがあんな事には言ったからか………行くのか?」
「はい。」
杏里はオドオドした様子ながらはっきりと答えた。
「………俺も行く。」
「けど、宇野原くんは普通の……。」
普通の、つまりこういう事には参加しない方がいいと言いたいのだろう。
「白爛ってカラーギャング知ってるか?」
「え?チャットで一回聞いた覚えが……。」
「あー……そう言えば最近チャットしてないな……。」
杏里は首をかしげながら不思議そうな顔をしている。そのカラーギャングと冬樹との関係が未だにわかっていなかった。
「俺、白爛のリーダーなんだよ。」
「───え?」
「けど、紀田は友達だ。だから行く、白爛のリーダーのか関係なく、紀田の……正臣の友達でありたいから。」
「仲が良いんですね。」
「園原も友達だろ?」
「そう、なんですか?」
杏里は少し戸惑いながら返事を返す。目の前にいるのがいつもの冬樹ではない事がわかっていたからこそ戸惑っていた。
「………これが終わったらさ…一緒に帰るメンバーに加えてくれないか?先輩も一緒になるけど……。」
冬樹は少し顔を赤らめながら杏里に言う。
「はい、もちろんです。」
園原は即答した。
冬樹とはこの前会ったばかりなのに前から会っていたような、そんな気分になっていた。
───【あら?この子よく見るとあの女と同じね】───
杏里の右腕から声が聞こえた、罪歌だ。
いつもであれば聞き流す声だが今回は違った。
はっきりと杏里の頭に残るような、そんなどろどろした声を罪歌が出したのだ。
「よし、園原行こう。」
「はい。」
「あ、それから…俺が白爛のリーダーって事秘密な。」
「わかりました。」
しかし、「今は気にしないようにしよう」と杏里は罪歌の言葉をいつも通り額縁の中へと追いやった。
二人は新羅を振り切り罪歌の『子』の情報を頼りに廃工場へ向かう。
──────────…
正臣がいるという廃工場へとついた。
「っ!鍵がかかってる。」
工場の扉を開けようとしたが鍵がかかっていたようで開ける事ができない。
「宇野原くん、ちょっとどいてください。」
冬樹が扉の前からどくと杏里は右腕から罪歌を取り出す。
次の瞬間────工場の錠前が綺麗に吹き飛んだ。
「紀田君!」
袋叩きに遭っている正臣の姿を見るなり杏里と冬樹は正臣の元へと駆け寄る。
「え……?」
二人が正臣の前に立つとほぼ同時に、工場の敷地内に激しい嗎きが響き渡る。
「運び屋さんか?」
すると、セルティが工場内に現れる、その後ろに乗った少年、紀田正臣の幼馴染である
竜ヶ峰帝人をつれて。
「正……臣……?」
「みか……ど……?」
「久しぶりの再会だろうな」正臣の友達宣言があったからといって冬樹にはこの三人の輪の中にはやはり入れないと冬樹は確信した。
冬樹はそんな三人から離れる。
「おい、真紀方。」
「は、はい?えっと……真白さん、ですか?」
黄巾族や三人、セルティの見えない場所で冬樹は真紀方と呼ばれた男に話しかける。
しかし、この場にいるのはもちろん黄巾族ばかりのはず。
「お前、今までご苦労だったな黄巾族の見張りはもういい、白爛へ戻ってくれ。」
「い、いえ…礼を言うのはこっちですよ!真白さんのおかげで自分の居場所ができたんですから!」
真白とは冬樹の事だ。冬樹は白爛のメンバーには自分の事を真白と呼ぶように指示している。
「それから…その、表をやったのはどいつだ?」
「あ、あそこにいる……っていない!?」
表とは春媛の事だ、冬樹は正臣を助けるとのもう一つ必ずやらなければいけない事があった。
粛清
「………そうか、逃げたな…そいつ。まあいい、俺が殺って来る。」
そう言うと冬樹は外へと出た。
「ぶっ殺す。」
これが冬樹の人生を大きく変える。
逃げろ!黄巾族A!