私ってばよく熱中症になるから本番とかほとんど介護テントの下にいるんですよね。
そういえば、真面目に運動会に参加したのいつだっけ?
まぁ、そんなわけで今回は運動会のお話しです。
「いーざーやー!!」
「シズちゃんしつこいって!」
「おーい!二人とも、冬樹くんが来たよー。」
冬樹の出会ってから初めての秋が来た。
静雄と臨也は冬樹がくると喧嘩はできるだけ我慢することにした。
理由は冬樹が怪我をしないようにということだ。
「あれ?冬樹くん何持ってるの?」
冬樹の手には茶色い再生紙が握られていた。
「あ、これですか?知り合いを招待するようにって先生が言ってましたから。」
「招待?」
静雄が頭をかしげると新羅が冬樹から再生紙をもらう。
「えーと……"来神小学校運動会のお知らせ"?」
「あー…もうそんな時期か。」
「あれ?冬樹くんも来神小学校なんだ、クルリとマイルと同じだったんだね。」
再生紙に書かれていた文字は来神小学校の運動会についてだった。
「あの……もしよかったら来てください。」
「ああ!冬樹は何に出るんだ?」
「なにって………?」
「種目だよ。それが解らないと……ってなにしてるの?」
三人が冬樹の種目について聞いて来る。
すると冬樹は臨也からもらったフード付きの服のフードをかぶりそっぽを向いてしまった。
「…………………そう。」
冬樹がそのままでボソリと話す。
「ごめん、もう一回いってくれる?」
「家族二人三脚。」
「あ……。」
"家族"
冬樹にとってこれだけ残酷な言葉は無いだろう。冬樹はその家族に虐待を受けて居る、目の前の少年達にはどうする事のできない事だがやはり悔しいものは悔しい。
新羅は一度本気で冬樹を引き取ろうと考えた事もあった。静雄は冬樹が新しい傷を作るたびに怒って冬樹の両親を殺そうとした。臨也は冬樹がまともにご飯を食べていないと解った時は自分の家に連れて帰った。
三人にとって冬樹はそこまで根付いた存在だった。
理由は解らないが、冬樹はある特定の種類の人間を引き寄せるような子供だった。
「…………大丈夫ですよ。」
「大丈夫じゃねえだろ。来てくれんのか?」
「今、頼んでますけど、難しいです。」
「なんで断わらなかったの?」
臨也は冬樹に問いかける。
それもそうだ、冬樹の親は来るはずがないのにどうしてそんな種目に参加する事となったのか。
「……怪我して休んでたら勝手に決まってました。」
「「……………あ。」」
「"あ"じゃないから、これほとんど二人のせいだよね。」
冬樹は静雄のように怪物並の怪力は持っていないし頑丈でもない。また、臨也のようなピエロ並の身のこなしを持っているわけでもない。
生い立ちを除けば普通の、ごくごく普通の少年なのだ。
そんな少年はついこの前
運動会の種目はこの時に決められており、もちろん冬樹には拒否権というものがなかった。
「その……あれだ。俺が一緒に出てやるよ。」
「シズちゃんが出たら冬樹くんが引きずられるのがオチだね。」
「くっ………じゃあどうすんだよ。」
「俺が出るよ。」
「手前が?何の冗談だ?あ"ぁ"?それは冬樹が認めても俺が認めねえぞ。」
気付けば静雄と臨也は自分達だけの世界(口喧嘩)を初めだした。
まあ、いつも通りに仲良く殺し合いをされても困るのだか。
「そうだ、岸谷先生が出れば良いんだ。」
「え!?」
──────────…
運動会当日
新羅が出れば良いという冬樹の案は即二人に却下された。
もともと静雄や臨也よりも運動量の少ない新羅に頼むのは無理であろう。
そして冬樹と家族二人三脚に参加する事になったのが。
「だからって、なんで俺なんだ?」
「多分それはあの三人の知り合いが少なすぎるからですよ。」
「冬樹、喧嘩売ってんのか?」
「まあさ、頼むよドタチン。」
ドタチン
そう、いつの間にか冬樹には「お母さん」と呼ばれてしまっている。
門田京平のことだ。
「アレだよ。門田くんが一番親って感じだしね。」
「あー……そんな気します。」
「どんな気だ。お前ら本当にいい加減にしろよ。」
「これでもしてる方だ。何せこの隣のノミ蟲を殺るのを我慢してるんだからよお…。」
「それはこっちのセリフだよ、シズちゃん。」
「もういっそ、常に冬樹はこいつらの間に入れておいた方がいいんじゃ?」と門田は思って仕方なかった。
「アレ?イザ兄だ!」
「…兄…。」
「来ないって言ってたのになんでー?」
「…
「うわ、面倒なのが来たよ。」
「あ、クルリさんにマイルさん。」
「だからそろそろ敬語をやめようか。」
校門近くにいると臨也の妹である九瑠璃と舞流がやって来た。
冬樹はこの二人よりも年上なのだがジャンケンにより、冬樹はこの二人と敬語で話している。クルリとマイルはそんな冬樹を満足気に見ているが臨也は何とも言えない感情を抱いていた。
「冬樹さん!おんぶ!」
クルリとマイルが冬樹の背中にしがみつく。
「あ、そろそろ開会式なんで、逝きますね。」
「漢字が違う!」
「ああ!首しまってる!」
「二人とも降りて!頼むから!」
開会式を終えた冬樹は次々に運動会の種目をこなしていく。
個人種目の50M走はもちろん冬樹が一位であった。
お昼の時間、冬樹は静雄達の元へとやって来た。
「冬樹!よくやった!」
「静雄さん。」
静雄は冬樹の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「意外と足が速いんだね。」
四人に次々と貰える賞賛が嬉しいのか、冬樹は帽子で顔を隠す。
「おい、宇野原。お前照れてんのか?」
「よし、場所もいい所とれたし、ご飯にしようか。」
「………これ、食べても大丈夫何ですか?」
「なんだ、シズちゃんも持ってきてたんだ。」
「お袋に冬樹の運動会があるって言ったら作ってくれてよ。」
目の前に広がるのは四人が持ってきたお弁当やお菓子だった。
「ご飯がこんなに並んでるの初めてみました。」
「そうか、よし冬樹じゃんじゃん食えよ!」
「はい。」
冬樹は四人が持ってきた物を食べて次の種目へと向かう。
「さて、ドタチン。次は君の番だよ。」
「マジでやるのか?」
「頼む、冬樹が恥かく所は見たくない。」
「残念な事に僕らは適役じゃなくてね。」
冬樹と門田の二人のコンビネーションは絶妙で、一位を取るのは簡単だった。
「冬樹は今日張り切ってたな…。」
「はい、皆が来てくれたんで。」
四人は帰り道、コンビニによる事にした。アイスを食べる冬樹を四人(多分臨也以外)は父親のような、兄のような気持ちで見ていた。
すると、親子と思われる人物がコンビニへから出て来た。父親と母親…そして冬樹よりも少し年が下であろう男の子。どこにでもある普通の家族。
男の子は父親に肩車をされたのしそうに笑っている。
冬樹はそれを羨ましそうに見つめていた。
「ほら。」
それに気が付いた静雄が冬樹を肩車する。
「……へ?」
一瞬何が起きたか解らないという表情をして下を向く冬樹。
「あ、夕焼けが綺麗だね。」
冬樹が顔をあげるとそこには真っ赤な夕焼けがあった。
この景色をまた、みんなで見れますように。
ナンダコレ\(^o^)/