Language of love   作:千α

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うーん…。シリアスって難しい。


第三十四話 Ночью вы не спите

川越街道沿い 某マンション 地下駐車場

 

冬樹達は無事にマンションまで帰ってくる事ができた。

セルティが降ろした粟楠茜がふらつくと冬樹はそれを支える。

 

「大丈夫?」

 

「うん、ありがとう。」

 

「………う、羨ましい……。」

 

『春媛ちゃん、口から血が出てるよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だいじょうぶ、わたしは、あかねちゃんのみかただから、あんしんして。』

 

セルティに警戒している茜に全ての文字がひらがなのPDAを見せる。

 

「お兄さん、いい人なの……?」

 

茜はセルティを見たあと冬樹に問いかける。

 

「うん、良い人だよ。俺の友達だし。あと、この人はお姉さんだよ。」

 

冬樹がそう答えると茜はハッとしてペコペコと頭を下げる。

 

「ご、ごめんなさい!お姉ちゃん!」

 

『いいよ。きにしてないから。』

 

セルティの返答に緊張が和らいだのだが、首無しの馬を見て息を呑み冬樹の後ろへと隠れてしまった。

するとシューターはおずおずと馬車の陰に移動し、茜の視界から首先を隠すように身を縮こまらせ始める。

 

『だいじょうぶだよ、あかねちゃん。ほら、バイキンマンとたたかうアンパンマンのひとといっしょで、いまはあのお馬さんは、あたらしいかおをとりかえているとちゅうなの、だから、こわがらなくてもだいじょうぶだよ』

 

そしてセルティはシューターの頭に影でできた馬の頭部に模した鎧のような物を被せた。

サイボーグ馬のようになったシューターを連れてゆっくり茜の前に戻るセルティ。

茜は一瞬ビクリとしたが、鎧とはいえ頭部のある馬に安心し、ゆっくりと冬樹の陰から体を覗かせる。

 

「ほら、恐くないよ。」

 

「大丈夫ですよ、そのお馬さんは、とっても優しいですから。」

 

冬樹と杏里は茜を安心させる。

そして、茜はゆっくりとシューターの足をぺたぺたと触ってみる。すると、シューターは膝を折ってその場にしゃがみ込んだ。

 

「………こんな子供欲しいな……。」

 

「わかったわ、冬樹!一緒に頑張りましょう!!」

 

「何をだよ。」

 

そんな茜を見て冬樹はポツリと呟いた。その呟きを聞いていた春媛はすぐさま反応する。

 

「えっと、その子は……。」

 

すると、今まで蚊帳の外だった帝人が茜については質問しようとした。

 

「ええと、この子はアカネちゃんです。平和島さんの知り合いらしいんですけど……。」

 

「え?あ、ああ。」

 

「?……竜ヶ峰、どうした?」

 

「い、いや…何でもないよ。」

 

『えーと、この子は何て言ったらいいんだろう。仕事で、護ってあげてくれって頼まれてる子でね。詳しくは新羅の部屋に行ってから話すよ。』

 

冬樹は忘れていた、この後何が起こるのか…。

 

帝人は携帯を取り出しメール欄を開いた。

 

「……嘘だ。」

 

「……帝人君?」

 

『どうした?』

 

「駄目だ……そんなの駄目だ……!」

 

忘れている冬樹は自分が嫌な汗をかいていることに気が付いた。

 

(なんだ?コレ……この後に何か起こるのか?思い出せない……。)

 

「すいません、セルティさん!ぼ、僕、ちょっと行かなくちゃいけないところがあるんで、これで失礼します!園原さんも御免!今日は一緒に行けないとおもうから、家に帰った方がいいよ!あと、青葉君から何か連絡が来ても、絶対出ちゃ駄目だからね!」

 

「え……?み、帝人君?」

 

『おい?』

 

思い出せない……しかし今、ここで帝人を止めなければいけない、そんな気がした。

 

すると帝人は走り出す。

 

「おい、待てよ!竜ヶ峰!」

 

冬樹は帝人の腕に手を伸ばす。すぐに掴める距離だ。

 

《邪魔してやるなよ……今から良いところなんだから…勝手に物語を変えんじゃねぇよ。》

 

「!?」

 

冬樹の手は帝人の腕を擦り抜けた(・・・・・)

 

「りゅ、竜ヶ峰!」

 

冬樹は帝人の後を追って駐車場を出るが。

 

「あいつ、あんなに足が速かったのか?」

 

時はすでに遅く、帝人の姿はすでに小さくなっていた。

冬樹は残る違和感を抱えて駐車場に戻ろうとすると次は杏里が出てきた。

 

「園原?」

 

「あ、宇野原君。茜ちゃんのことお願いします。」

 

「あ、おい!」

 

杏里は帝人と同じように走って行ってしまった。

 

「……?」

 

「冬樹、どうしたの?いきなり走って……彼と一緒に行っちゃったかと……。」

 

「……なんか…嫌な予感がする。」

 

 

 

──────────…

 

セルティは新羅の部屋の扉を勢いよく開ける。

 

「やあセルティ!お帰り!良かった、無事だったんだね!」

 

新羅はセルティを軽く抱きしめる。続いて茜の頭を撫でる。

 

「茜ちゃんも無事でよかった。大丈夫かい、どこか怪我とかしなかったかい?」

 

「……大丈夫。ありがとう、岸谷先生。」

 

そして、最後に冬樹と春媛の事を見て。

 

「護衛お疲れさま!二人も怪我は無い?」

 

「先輩が逃げる時に手を擦ってるようですけど、大きな怪我はありません。」

 

「え?冬樹、まさか気付いてくれてたの!?嬉しい!」

 

「近よんな。」

 

「そっか、良かったよ、ああ、今、牛乳ココア作ってあげるね。春媛ちゃんはそこに座ってて、治療するから。」

 

そして、新羅と入れ替わるように食堂から四木が姿を現した。

 

「茜お嬢さん、ご無事で何よりです。」

 

「!」

 

茜は体を強張らせ、冬樹と握っていた手に少し力を入れる。冬樹は無表情で茜と四木の会話を聞いていたが心の中では。

 

(殺される……かも。)

 

と呟いていた。

 

四木は携帯を取り出し茜に意地の悪い一言を、そして冬樹には絶望の一言を呟いた。

 

「頬を平手打ちされるぐらいは、覚悟しておいた方がいいですよ。それから、冬樹…お前は平手打ちじゃ済まないからな。」

 

「………運び屋さん、俺の骨は拾って下さいね。」

 

『え?どういう事!?っていうか二人はどんな関係なの!?』

 

四木が連絡している間に冬樹は四木との関係をセルティに打ち明けた。

 

『お、親子!?でも、冬樹くんの両親はあの日に亡くなったんじゃ…?』

 

「違うんですよ。なんであの人達に俺を預けたのかは知りませんが、本当は四木さんの息子なんです。」

 

『そうだったんだ……。もしかして、冬樹くんも四木さんに茜ちゃんの捜索を任されていたのか?』

 

「はい、そうです。……けど、あのまま父さんに報告するより茜ちゃんを気分転換に連れて行きたくて……。」

 

『……報告しなかったのがバレたのか……。』

 

「後悔はしてませんけど。」

 

すると、茜が冬樹の手をキュッと握る。

 

「冬樹お兄ちゃん。」

 

「どうしたんだ?」

 

「あのね、私が冬樹お兄ちゃんにひどいことしないでって言ってあげるね!」

 

「!……ありがとう、茜ちゃん。」

 

冬樹はそう言って茜の頭を撫でる。

 

(冬樹くんってこういう顔できるんだな……。)

 

セルティはそんな二人に胸がポカポカしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「羨ましい……私も撫でて!冬樹!」

 

「先輩、うるさい。」




冬樹は茜ちゃんのことを妹のように思っています。決してロリコンとかそんなんじゃありません、ここ重要です。
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