「おい、あんたが六条千景か?」
「?お前は……?」
冬樹は千景に会っていた。途中で帝人を見かけたが声をかける気には何故かなれなかった。
「あー……おぶられてるけど、これで話し聞いてくれると嬉しい。」
「……別にいいけど。」
「……俺は白爛のリーダーをやってる真白だ。あんたを呼び止めたのは…謝るためと礼を言うためだ。」
「謝るためと礼を言うため?」
「……まず一つ、嘉真幸は、俺らのチームのメンバーで、あんたを探るために近づけさせた。後もう一つ嘉真幸と遊んでくれてありがとう、しかも服まで買ってくれたそうだな…嘉真幸の奴喜んでたよ、本当にありがとう。」
冬樹は大河におぶられながら頭を下げる。
「耀華ちゃんがスパイって事はなんとなくわかってたよ。」
「え?」
「……お前、それ驚いてんのか?」
冬樹は無表情で驚いた。
「驚いてるけど……スパイと解っててなんで。」
「なんで、かな?よくわかんねえけど……それを問う気にはならなかったんだよ。」
「…………あんた、面白いな。」
「真白くんだっけ?」
「真白でいいよ。」
「真白か……俺のどこを見て面白いって……。」
「決めた。同盟組もう。」
「「は?」」
突然の申し出に千景と大河は間抜けな声を出してしまう。
「おい、待てよ真白、こいつは今日会ったばっかりだし……。」
「組む、絶対組む。」
「駄々っ子か!?」
冬樹は足をパタパタと振る。
「ジャンケンで決めよう。」
冬樹はやる気満々の顔で千景を見た。
「悪い、こうなったらこいつは言う事聞かねえから、やってくれ。」
「いや、いいけど……なんで、ジャンケン?」
結果は………
「真白、そう拗ねるな。」
「拗ねてないです。」
次の日、喫茶店「悠々」のカウンターテーブルで冬樹は頭をテーブルに伏せていた。
「それより、そろそろアカネってこの所に行かなきゃなんねんだろ?」
「そう…なんですよね。父さんってば、拒否権とか使わせてくれないっつーか人使い荒いっつーか……。」
「ほら、子供はさっさと出ていけよ。」
「はーい…。」
冬樹はそう言って「悠々」から立ち去った。
「………耀華、お前はどうする?そのまま真白からずっと隠れているのか?」
耀華がキッチンの隅で座っている。
「だって……あんなに怖い真白さん、初めてで…。」
「あいつは仲間が一番大事だからな。それは俺らがよく知ってるし、そこに惚れたのも俺らだ。ちゃんと見てやれよ。」
「…………はい。」
「……先輩、重い。」
「だって、冬樹がどっか行っちゃうんですもの。」
「あのですね……だからと言って首にぶら下がらないで欲しいんですけど。」
冬樹は茜との待ち合わせ場所で春媛に襲われていた。
「そうだ!冬樹、今日帰ったら何にしよっか!ご飯?お風呂?それとも……。」
「ご飯ですかね。」
「あら、即答?でもそんな冬樹も好きよ。」
「冬樹お兄ちゃん!」
「茜ちゃん。」
茜は冬樹に抱きつく。
「君が冬樹くん?」
「えーと、赤林さん?ですよね。父から聞いてます。」
「お、なら話しが早い。」
冬樹の目の前には一番荒れていた時期によく通っていた『楽影ジム』がある。冬樹は今日からここに通う茜の護衛を命じられた。
「…………茜ちゃんはなんで俺を護衛に選んだの?」
「秘密!」
「秘密って……。」
「アカネさん。言っておきますけど、冬樹は私のものですので手は出さないで下さいね。」
「?」
「茜ちゃん、この人の言う事はあんまり聞いちゃいけないよ。」
「まさか四木の旦那に息子がいるとはねえ…。」
「意外ですか?」
赤林がぽつりとつぶやいた。
「いや、だってね……。」
「まあ、そうでしょうね…。」
「道場のほうにはもう挨拶はしてあるから。冬樹くん後よろしくね。」
「了解です。……て、マイルさん。背後に立たないで下さい。」
「あれ?もう気付いちゃった?」
赤林が立ち去ると舞流が冬樹の背後にたっていた。
「はい、俺を誰だと思ってるんですか?」
「今度こそ冬樹さんに勝てると思ったのに!」
「あら、マイルさん。お久しぶりね、あと冬樹に近寄らないで。」
「うわっ、春媛さんもきてたの?」
「連れてくる気はさらさらなかったですよ。」
──────────…
稽古をしていた茜が冬樹の所へやってきた。
「あれ?稽古はどうしたんだ?」
「今終わったの。」
「あ、もうそんな時間か…。」
「冬樹さんはこれから茜ちゃんのお迎えが来るまで護衛だよね。」
「うん、そうだけど……やな予感。」
「ここのクレープって本当に美味しいよね!」
「
「それはよかっです。茜ちゃんは何にする?」
「えっと、イチゴがいい!」
冬樹は絶賛女の子達のサイフとなっていた。
ちなみに春媛はバイトのため帰っていった、泣きながら。
「冬樹さんってなんでも言う事聞いてくれるから好き!茜ちゃんも冬樹さんになんでも頼んじゃってよ!」
「なんでマイルさんがそんな事決めるんですか?」
「冬樹お兄ちゃん、ありがとう。」
「どういたしまして。」
クレープを食べ終えた一行は道場の近くを茜に案内していた。
「あ、静雄さん。」
「本当だ!冬樹さんって静雄さんの事よく見つけるよね!
しーずーおーさーんー !元気してたーっ?」
振り向いた静雄とトムの他にもう一人女の人が立っていた。
冬樹は反射的に女の人、今日から静雄達と働く事になったヴァローナを睨んでしまう。
「マイルにクルリと冬樹じゃねえか……って、アカネ!?」
茜は静雄の姿を確認すると静雄の身体に飛び込んだ。
「静雄お兄ちゃん!」
「あー…冬樹、ヴァローナは別に怪しい奴じゃねえからな。」
「……わかりました。」
そう言って冬樹はヴァローナを睨むのをやめた。
そして、そんな静雄達が話しているのを見てふと臨也の事を思い出す。
(そういえば、昨日あの人の誕生日だったっけ?)
そう思いながら冬樹は少し離れた所で臨也に電話をかける。
『冬樹くん、いったいどうしたんだい?』
「いえ、昨日貴方の誕生日だったなーと思い出して。昨日は忙しくて言えなかったんで…お誕生日おめでとうございます、四捨五入して30の歳になっちゃいましたね。」
『……嬉しいのか嬉しく無いかよくわからないね、それ。』
そして冬樹は今思い出した事を口にだす。
「そういえば、刺されたんでしたっけ?」
『ああ、ニュースでも見たの?』
「はい、そんな所です。………澱切でしたっけ?」
『情報が早いね。さすがってとこかな?』
「褒めるならミンナですよ。今回もミンナのおかげですから。」
『そうだね。でも冬樹くん、今回はあんまり首を突っ込まない方がいい。』
「そのようですね。折原さんもそれで?」
『そこは置いておこう。それより、四木さんとこの前正式に家族になったんだっけ?』
「はい、いきなり話を変えますね。」
『だってね…この前からチャットで言ってた報告ってこの事でしょ?』
「ええ、そうです。なんか、嬉しくてつい。」
『…そっか。じゃ、これから冬樹くんは四木冬樹になるの?なんか名字と名前が似てるけど。』
「はい、なります。名字と名前が似てる件についてはスルーで。」
『解ったよ……でも、安心したよ。』
「え?」
『冬樹くんに本当の家族が出来て、本当に良かった。』
「……ありがとうございます。」
「あ、そっちから帰るときはお土産よろしくお願いします。」
『え?』
「折原さんが帰ってきたら誕生日会兼鍋パーティでもしましょうよ。季節外れですけど。」
『……そうだね。しようか。』
まさか、これだけ上げられるとわ……夜中のテンション恐るべし((((;゚Д゚)))))))