まだ、よくわからない事がある。
どうしてあの人は敵だった自分を受け入れてくれたのか。
どうしてあの人は自分に語りかけてくれたのか。
どうしてあの人はあんなにも輝いているのか。
でも、だからこそ、俺はあの人についていくと決める事ができた。
現在 喫茶店「悠々」
「これで、五人目っすね……。」
「……これがダラーズの現状か〜…悲惨〜。」
「おい、拾ってきたなら早く手当しろ。」
喫茶店「悠々」には耀華と真紀方、大河が怪我をした五人の男の手当をしていた。
「それより、真白さんも物好きだよね〜…怪我したダラーズを拾えって……。」
「………俺は、そう思わないっすよ。むしろ、真白さんらしいっす。」
「そうか……お前もそうだったな……。」
「………。」
「あたし、よくその時の事知らないよ?何があったの?」
「お、教えないっすよ!!」
真紀方はおもわず大声で叫んでしまう。
「ちょっと!何も大声で言わなくても……。」
「あ、すんませんっす……。」
「はあ、おい真紀方。」
「何すか?」
「買い物行ってきてくれ。包帯と絆創膏が足りん。」
「ハイっす!」
──────────…
「いや〜、酷い雨っすね〜……。」
店を出た真紀方はおもわず呟く。
(あいつらってダラーズなんすよね……真白さんの情報によると、ルールが無いとか言いながら、創始者が粗相を犯したダラーズを強制的に退会させてんすよね……確か……だからといってあそこまでボコる必要あるんすか……?)
「………真白さんならしそうっすけど……。」
真紀方はそう呟きながら空を見上げる。
真紀方は元々冬樹の敵だった。
三年前 路地裏
「………お前、大丈夫か?」
相変わらずやつれた顔をしている冬樹は倒れているまだ幼い少年に話しかける。
「お前、誰だよ……。」
「見たところ、小6か?こんなところで、何やってんだよ。」
「中1だし!舐めんなよ!!」
少年は冬樹をキッと睨む。
「……お前、ここでなにしてた?」
「………見て解らないのかよ…。」
「喧嘩だろ?」
「………。」
無言になる少年の腕をを掴み無理矢理立たせる。
「ちょ!痛い!何すんだよ!!」
「いいから、黙ってついてこい。」
──────────…
喫茶店「悠々」
「………はい、納豆パンケーキ。」
「ありがとうございます。」
「ちよ、待って!何でこんな所に喫茶店!?何でパンケーキに納豆!?」
少年は混乱していた。いきなり連れて来られた場所は喫茶店だが、場所がすごい。「路地裏に店があるなんて、ここの店主は店に客を迎える気があるのか!?」と言いたかったが冬樹の頼んだパンケーキの上に納豆というミスマッチな食べ物のせいでその言葉は喉の奥へと閉まわれる。
「じゃ、俺はそろそろ行くんで。そいつ頼みます。」
「ほどほどにな……。」
パンケーキを食べ終えた冬樹は少年を置いて喫茶店の外へと出た。
「………で?何があったんだ?」
「別に、何でも……。」
「あいつも物好きだな……。」
「あいつ?」
「真白……さっきの奴な。真白はすぐに変な拾い物してきて、困った奴だよ全く……。」
「………犬猫じゃあるまいし…。」
少年は頬を膨れさせる。
少年の名前は真紀方一。
最近とあるチームに入ったばかりだった。
そんな真紀方がこの路地裏に入ったのは今、そのチームと抗争をしている白爛に殴り込みに行こうとしたからだ。一人では無理なのは目に見えていたため、数人のチームの仲間と共にこの路地裏へやってきたのだが……。
「裏切られるとかマジねぇよ……。」
「裏切られたのか?」
「うわぉっ!?」
真紀方が一人、こんな事になった理由を模索しているといきなり大河がそんな真紀方を覗き込む。
「な、なななな何なんだよ!!」
「全部声に出てたぞ……。」
「ま、マジ?」
「ああ……で?何で裏切られたんだ?」
「………リーダーの命令とか言ってた……。」
「ちょっと待ちなさいよ!それって白爛を潰そうとしたんでしょ!?なんでそんな風に接してるの!?」
「うわぁ!!?」
「よお、春媛。真白は出てったぞ。」
真紀方が少ししんみりすると隣に少女が現れた。
「小早川さん!貴方可笑しいわよ!」
「残念ながら、こいつをここに連れてきたのは真白だよ。」
「あら、そうなの?」
「はい、そうなんです。
とりあえず……お前はその事を教えてくれないか?」
「お前ら忍者か!?」
春媛がカウンターの向こうに話しかけると奥から先ほど出て行ったはずの冬樹が出てきた。
──────────…
「本当に心当たりは無いのか?」
「無いって!」
「………つまり、何の意味も無いわけか……。気に食わないな。」
「そう言って悩む貴方も素敵よ!!」
「先輩うざい。」
真紀方を取り調べている冬樹は眉間にシワを寄せる。
「…悔しいよ……まさか、リーダーが……。」
真紀方はうつむき悔しそうに唇を噛む。
「……お前、リーダーに仕返しでもしたいのか?」
「………思うけど……けど、あの人強いし……俺じゃ無理…。」
真紀方はさらにうつむく。
「それだけじゃないな。お前、そのリーダーが好きだったんだろ?」
「………っ!」
真紀方の顔は歪む。
「………そのリーダーの居場所は?」
「は?」
「言わなくてもいいけど。そいつを俺が代わりに殴ってやるよ。」
「いや、いやいや!何言ってんだよ!そもそもあんた弱そう……っ!」
「あ、もしもし……折原さん?」
「って、人の話しを聞け!」
冬樹は真紀方の話しを聞こうとせず外に出てしまった。
「な、何だよ……あいつ。」
「真白らしいよ……。」
「あの子ったら……本当に誰にも優しいんだから…そこも魅力よね……。」
「春媛、お前よだれを拭け。」
春媛は大河に差し出されたティッシュで口元を拭く。
「あいつらしって……?つか、あいつ大丈夫なのか!?」
「あー…大丈夫、あいつは強いから。」
「あの子は世界で一番仲間思いなのよ。だから簡単に貴方を裏切ったそのリーダーが気に食わないんでしょうね。」
春媛を見ると待ち針や裁ちばさみ、金属バットを手入れしていた。
そんな春媛に真紀方は一瞬ビビった。
「気に食わないって……何なんだよあいつ、俺なんて今日会ったばかりで……。」
「…それが真白だしな……ま、俺も初めはビビったけどよ……あいつ、気に入った奴は何でもかんでも拾って来るんだよ……。」
「拾う?」
「ジャンケンには気をつけろよ。」
「え!?ちょ、何で!?」
現在 路地裏入り口付近
「そういや、あれがキッカケで真白さんは壊れたんすよね……。」
真紀方は雨の降る道を踏み出した。
傘をさしていたため、真紀方の表情は見えなかったが真紀方の後ろ姿はどこか、さみしそうだった。
今更だけど人物紹介。
●羽ノ浦春媛
17歳
一人称:私
誕生日:8月14日
血液型:A型
身長:158cm
体重:48kg
趣味:冬樹とデートと言う名のストーカー
好きな科目:家庭科
嫌いな科目:無し
好きな食べ物:アイス・冬樹がくれた物
嫌いな食べ物:梅干し
好きな言葉:愛されることは幸福ではなく、愛することこそ幸福だ
-ヘルマン・ヘッセ