三年前
「………真白、そろそろ止めとけ……。」
「………放っておいて下さい。」
「放っておけねぇよ…………こんなに目立つ真似をするな…。」
「なんで?」
「そんな事まで解らなくなったか?お前は白爛のリーダーで……あいつらの居場所だろ?」
「………。」
「………帰るぞ。」
「はい……。」
喫茶店「悠々」
大河が冬樹を迎えに行っている間、真紀方は春媛に冬樹の事を聞く事にした。
「………あの人ってなんで俺の事あんなにも気にするんだ?」
「そうね……あんまり認めたくないけど、あの子が貴方を気に入ったのよ。」
「気に入ったって……今日会ったばかりで……。」
「あの子にそんな事通用しないわ……まあ、そこがあの子の一つの魅力よ!ああ、冬樹!なんて可愛いのかしら!私はあの子と一生を歩むために産まれてきたの!私達、愛し合ってるもの!あの子の素晴らしい所を挙げたらキリがないわ……そうね、あの子は何と言っても、優しいのよ…どんな人にも手を伸ばして救済しようとする……白爛はそんな人達が集まってるわ、あの子が理想とするのは
春媛は真紀方にマシンガントークで冬樹の素晴らしい所を話して行く。
「理想……?」
「そう、理想……実際、何人も救われてるのよ……あの子は何でも受け入れてくれるから。どんなに昔ひどい事をしていても、その人を気に入ればあの子はどんな人でも白爛に入れてしまうの。」
「………俺も、受け入れてもらえるかな……?」
「あの子は貴方を受け入れる気満々よ?」
春媛は「何言ってるの?」と言わんばかり芽を見開く。
「お、俺なんかを?」
「貴方と会ってからあの子、テンションが高かったから。」
「いや、無表情だったけど!?」
「あるのよ、微妙に……あの子は常に無表情なわけじゃないわ。案外、よく表情が顔に出てたりするのよ。」
春媛は冬樹の顔を思い出しうっとりとする。
すると店の扉が開く。
「あら、おかえりなさい!冬樹、ご飯がいい?お風呂がいい?それとも……。」
「すみません先輩、黙ってて下さい。」
店の中に入ってきた冬樹はすぐに奥の部屋へと入ってしまった。
「………何があったの?」
春媛は冬樹の後に入ってきた大河に質問する。
「………さあな…ただ、大分疲れてるな……。」
すると奥の部屋からガラスの割れる音がする。
「!?」
「あいつ!何やってんだ!?」
三人は奥の部屋へと向かう。
部屋の中は窓ガラスが割れ、椅子が壊れ、カーテンはズタズタに引き裂かれていた。
唯一無事だった椅子に座って頭を抱えている冬樹を見て、春媛と大河は驚く。
冬樹がここまで感情を剥き出しにしたのは始めてだった。
"苦悩"
冬樹も始めて味った感情だった。
「こ、これ………っ。」
真紀方は少し怯えながら問う。
「………お前は向こうに行ってろ。怪我するぞ。」
「冬樹……。」
真紀方は大河の言う通り奥の部屋から遠ざかる。
しかし、冬樹がまた暴れ始めたのだろう。激しい音がする。
真紀方はそんな音に聞き覚えがあった。
「俺も………こうやって、母さん困らせてたな……。」
しばらく帰ってない家を思い出す。
「………後悔なんて……もうする事なんてないと思ってたのに……。」
真紀方は瞳に力をいれる。
──────────…
「おい!やめろ真白!」
「そうよ!冬樹そろそろ………。」
「うるさい。何も解らないくせに………もう、
大河と春媛は暴れる冬樹を抑える。
冬樹は臨也に言われた言葉のせいで自分を見失っていた。
自分は何なのか…本当に今やっている事は自分の理想を押し付けているだけなのか……。
始めて白爛に自分から勧誘した仲間が加わった時、居場所のなかった彼は冬樹に礼を言った。それが始まりだったのかもしれない、こんなにも積極的に居場所のない人を集めるようになったのは…。
しかし──…
ー「キミはただ単に、理想を積み上げてるだけじゃないかって……。」ー
ー「他の皆が何を思っているのかも知らずに"皆の気持ちは良く解る"なんて、良く言うよね。」ー
臨也の言葉ですべて崩れ去った。
冬樹はまだ中学生だ、しかも感情なんて物は取り戻している物もまだまだ不完全で少し触ればたちまち崖のように崩れてしまう。
冬樹はそんな崖の先端まで来ていた。
「あの………。」
「、お前……向こうに行ってろって……。」
部屋に真紀方がやって来ていた。
大河はこのままじゃ真紀方も危ないと思いすぐに出て行くように言おうとするが……。
「えっと……真白さん…でしたよね?」
「………何のようだ……。」
普通の人間ならばすぐに気絶してしまいそうな目で真紀方を睨む冬樹。
真紀方は少し後ずさりをしそうになった……。
(怖がってんじゃねぇよ……さっき、決めたじゃねぇか……。)
「お、俺……あんたの事全然わかりません……貴方が目指している物も……。」
「………。」
真紀方はゴクリと喉を鳴らす。
「今、貴方が何で苦しんでるのかも知りません……けど、何と無く解るんです。」
真紀方は自分のして来たことを母親に認められず、受け止められずに育ってきた。そして、それが怒りに変わり家を荒らしてそのまま家出をしていた。
「………貴方は……自分のして来たことを認めて欲しいんだ、受け入れて欲しいんだ……そして、そんな人達と一緒に居たい……。
そんなの人が誰でも思うことじゃないですか?」
真紀方は冬樹の思っている事など解らない。ただ、あの時の自分と似て居たから…つい、こんな言葉が出てしまった。
それが案外、今の冬樹にとって的当たりな言葉だったなんて、今の真紀方は全く知らない。
「実際、白爛に入って……皆、貴方を凄いと思っているハズですよ……だって、誰かの苦悩を孤独を悲しみを、受け入れて癒す事のできる人なんてそうそう居ません……だから、俺……白爛に入りたいっす!」
「っ!?」
「仲間になりたいっす……貴方の目指している物を見てみたいっす……。
きっと、ここにいるお二方も、白爛に入ったメンバーも……皆、そう思ってるっすよ!
だから、リーダーの事をこんな物なんて、呼ばないでください……。
貴方のおかげで……何人もの人が救われてるのは確か何ですよ……。
俺はそんな恩人の理想に付き合いたいっす……。」
冬樹は静かに、涙をこぼした………。
四日後…
「………疲れた……。」
「真白、手ェ動かせ。お前のせいでこうなってんだから……。」
「はあ……。」
「ため息つきたいのはこっちだ。」
「でも、あの半壊してた部屋とは思えないっすね!」
「あと少しで完成か……早くここで昼寝したい。」
「真白、次壊したらここは使わせねえからな…。」
「えー……酷い。」
「冬樹ー!お弁当持ってきたわよー!」
この数日後に冬樹達は嘉真幸と出会うのだが、それはまた別の話し………。
現在
「おい、お前らはどうでもいいから……早く
フードを被った真白は青い目出し帽やスカーフを纏った男達……ブルースクエアと交戦し、少し手間取ったが、それでも圧倒的な強さを見せつけて静かに男の一人の胸倉を掴んでいた。
冬樹にとって、今の帝人は目に余る人物であり…そして、助けたい人物だった。
「何があったの!?」
「………やっと来たんですか?田中太郎さん……。」
「え?貴方は………?」
今更だけど人物紹介
●嘉真幸 耀華
15歳
一人称:あたし
誕生日:12月31日
血液型:B型
身長:150cm
体重:42kg
趣味:スパイ活動、ハッキング
好きな科目:全部
嫌いな科目:なし
好きな食べ物:クレープ
嫌いな食べ物:酢の物
好きな言葉:戦時に最も重要なのは真実、即ち正確な情報である。だからこそ、真実は嘘という護衛でしっかり守らなければならない
-ウィンストン・チャーチル