Language of love   作:千α

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今回は冬樹の母親にスポットを当てていきます。



Past no one knows…episode1.

「四木さんと会ってもう何年ですかね……?」

 

「……確か、四、五年だったな……。」

 

「もうそんなに?」

 

「………。」

 

「どうしたの?四木さん…。」

 

「シャル…お前に話しておきたい事がある。」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴミが散らばる池の中に一人の女性が浮いていた。彼女の名前はシャルロッテ・キルヒナー。

彼女は人間ではない、ウィンディーネと呼ばれる精霊だ。

ウィンディーネとは湖や泉などに住んでおり、性別はないが、ほとんどの場合美しい女性の姿をしているとされる。パラケルススと言う錬金術師によると、ウンディーネには本来魂がないが、人間の男性と結婚すると魂を得る事ができるらしい。しかしこれには大きな禁忌がつきまとう。

 

 

 

シャルロッテはこの池からは出た事がない。

いつからここにいたのかは覚えていないが、自分は300年ほどは生きている事を知っていた。

昔はこの池はとても綺麗だった。

 

シャルロッテがここにいる理由は待っている人が居るからだ。

ずっと昔に軍服を着た少年が「いつか迎えにくる」と言った……シャルロッテと少年は恋をしていたのだ。しかし、とうとう少年はシャルロッテの前に現れる事はなかった。

それもそのはず、当時は戦争中で少年は特攻兵として戦争に行ってしまったのだ。

 

それでも、シャルロッテは待ち続けた。

 

そんな時だった

二度目の恋に落ちたのは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「四木さん……今…のって本気ですか?」

 

「何回言わせれば気が済む?」

 

「ご、ごめんなさい!で、でも……今…け、結婚って……。」

 

「嫌か?」

 

「そ、ソンナワケナイジャナイデスカ!」

 

シャルロッテは緊張のせいでガチガチに固まってしまっていた。

そんなシャルロッテをみて四木は微笑む。

 

「これから、幸せな事が沢山起きるんだ」シャルロッテは新たな生活に胸を踊らせていた。

その後、子供が出来て冬樹と名付けた。

 

「夏産まれなのにか?」

 

「はい!だって…私達が会ったのって冬だったじゃないですか……だから、この子は冬樹で良いんです。」

 

冬樹は粟楠会のアイドル的な存在になっていた。あの青崎でさえ冬樹を可愛がっていた。

もちろん、粟楠会の組長の粟楠道元も冬樹の事を孫のように思っていた。

 

 

 

赤ん坊の声が聞こえる。

 

「お、おい!泣いちまったぞ!」

 

「どうする!?」

 

その赤ん坊の周りで強面の男達がオロオロとしている。

 

「……良い加減に持ち場に戻れ……。」

 

そんな強面の男達の後ろでドスの効いた声が重くのしかかる。

 

「す、すみません!」

 

その声の主は粟楠会の幹部四木だ。

この赤ん坊…冬樹の父親でもある。

 

「ごめんなさい、私がちゃんと見てなかったから……。」

 

「いや、お前のせいじゃない。」

 

四木は強面の男達を追い払いながらシャルロッテ・キルヒナーと話をしている。

 

「冬樹、ごめんなさいね……お母さんもっとしっかりするね〜。」

 

シャルロッテは冬樹を抱く。

さすがと言うべきなのか、冬樹は泣き止んだ。

 

「それにしても、冬樹はスッカリ粟楠会の皆のアイドルですね。」

 

冬樹の頬をフニフニと突つくシャルロッテを見て四木は幸せを感じていた。

 

「あ、そうだ。頼まれていた資料、まとめ終わりましたよ。」

 

「そうか、すまないな。」

 

「いえいえ、これくらい大丈夫ですよ!」

 

シャルロッテは相変わらずニコニコと笑っている。

それにつられるように冬樹が「キャッキャッ」と笑う。

 

「それじゃ、私は冬樹と遊んできますね。」

 

「もうそんな時間か?」

 

「そうですよ。」

 

シャルロッテが冬樹と共に部屋から出ようとした時……。

 

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

 

 

冬樹が四木のスーツをつかむ。

 

「あら?」

 

「………。」

 

冬樹はシャルロッテに似ているのだろう、良く笑う。

今もまるで四木に「遊ぼう」と言っているかのように笑っている。

 

「冬樹〜…お父さんはお仕事なんですよ〜……。」

 

「うぅ〜…。」

 

冬樹はいっこうに四木を離すつもりがないようだ。

それどころかシャルロッテの腕の中から四木の方へ移動しようとしている。

 

「………ど、どうしよう……っ。」

 

流石にシャルロッテは焦って来ていた。

泣き虫なシャルロッテの目には涙が溜まっていた。

 

「仕方ない、離れるまで冬樹は預かる。」

 

「え?でも、お仕事……。」

 

「………問題ない。」

 

「そ、そうですか?なら、冬樹が寝ちゃうまでよろしくお願いします。」

 

シャルロッテはこの時間帯に池に浸かりに行く。

別にその必要はシャルロッテにとって必要は無いのだがあの池に行かないと気が済まないのだ。いつもは冬樹も連れて行って遊んでいるのだが、今回は四木と遊びたいようだ。

 

 

 

 

──────────…

 

 

 

四木が資料に目を通している。

 

いつもと同じ光景だが、何かが違う。もちろん周りはその違う箇所がすぐにわかっていた。

四木の腕の中にいる冬樹、それがいつもと違う箇所だった。

冬樹は四木の肩に登ろうとしていた。

 

その光景は仕事中の四木の部下達を和ませていた。

 

幸い、冬樹は他の同い年の子供とは違いおとなしく、泣き喚く事も少なく、この仕事場の迷惑になる事はなかった。

 

そして、改めて四木は思う「このおとなしさはどちら譲りなんだろう」シャルロッテはおとなしいと言うよりは泣き虫なだけでおとなしいワケではない、むしろうるさい事の方が多い。

その四木の疑問を部下に問いかけるときっと「それは、貴方譲りです」と答える事だろう。実際、冬樹がおとなしくしていると何と無くその雰囲気が四木のようだ。

 

 

 

 

「ただいま戻りました!」

 

するとシャルロッテが帰ってきた。

 

「すみません、遅くなって……!」

 

「いや、大丈夫だ。冬樹はおとなしいからな……。」

 

「そうですね……もうちょっと元気があってもいいと思うんですけどね……。」

 

「………シャル、お前は早く身体を拭いて来い。」

 

四木の言葉でシャルロッテが自分の姿を見るとビショビショになっていた。

 

「あ、あれ!?拭いたつもりだったんですけど……っすみません、今から拭いてきますね!」

 

慌ただしくシャルロッテは部屋を出て行く。

シャルロッテが部屋を出ると同時に何かが壊れる音がする。

 

「ああ!ごめんなさい!!」

 

すると今度は何かが落ちる音がする。

 

「きゃっ!?」

 

そんな音を聞いて四木は冬樹に語りかける。

 

「お前はあいつみたいになるな……。」

 

「う?」

 

 

──────────…

 

 

現在

 

 

 

 

「………冬樹、髪を拭いて来い。」

 

「え?ああ、さっき池に入ったから……。」

 

「たのしかった!」

 

「んじゃ、ちょっとタオル借りてくる。」

 

冬樹が部屋を出ると同時に何かが壊れる音がする。

 

「うわっ、ごめんなさい。」

 

すると今度は何かが落ちる音がする。

 

「あー……やっちゃった……。」

 

そんな音を聞いて四木はソーニャに語りかける。

 

「お前はあいつみたいになるな……。」

 

「?」

 

四木はそんなやり取りをしながら薄く笑った。

 

 

 




男の子はお母さんに似るそうですね。

………四木さんのキャラが未だにつかめ無い……。(つД`)ノ
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