第五十四話 Не оставайтесь одинок
「茜ちゃん、そろそろ迎えが来るよ。」
「くるよー!」
「うん!いつもありがとう、冬樹お兄ちゃん。
楽影ジム前
「………仕事ですか……。」
は茜を送ろうと外に出るとその迎えの車から臨也がおりてきた。
「まぁね。冬樹くんは彼女の護衛…だよね?」
「はい、そうです。」
四木と冬樹は臨也と茜の様子を見る。
粟楠茜はかつて臨也の策略により、平和島静雄を殺そうとした事がある。
その時に彼女に手を貸していたのは『イザヤ』という男性……そんな名前の人物なんてこの世にそうそういるものではない。
(そんな目立つ名前でよく情報屋やろうと思ったんだ?この人。それでも、偽名使ったりとかなんかできただろ?)
「やあ、初めまして!君は、粟楠茜ちゃんかな?」
「え?あ、その……はい!」
茜は臨也を警戒していたが先ほどの冬樹の様子と四木の姿を確認して安堵したように返事をする。
「お嬢は、会うのは初めてでしたっけ?」
「はい。ええと、粟楠茜です。初めまして!」
四木はそんな茜の顔を暫し観察した後、臨也に対して口を開く。
「それじゃ、仕事の方……宜しくお願いしますよ。」
「ええ、それじゃあ、私はこれで。」
臨也はすれ違いざまに、茜の頭を撫でて立ち去る。
茜は臨也の名前に身に覚えがあるため少し疑問に思ったが、すぐに忘れ車の中へと入って行く。
「冬樹お兄ちゃん、ソーニャちゃん、またね!」
「うん、バイバイ。」
「
チャットルーム
真白さんが入室されました。
真白【こんにちは。】
バキュラ【あ、真白さん】
純水100%【初めまして!】
真白【……。】
真白【初めまして。】
純水100%【確か、真白さんもここに初めからいたんですよね?】
真白【ええ。】
真白【四番目くらいに。】
真白【ここのチャットルームを利用させていただいています。】
純水100%【じゃあ。この中にリアルで知り合いの人っているんですか!?】
バキュラ【だから、】
バキュラ【そういうのはやめときましょうって!】
真白【いますよ。】
バキュラ【すんなり答えた!】
真白【けど。】
真白【教える気はないんてま。】
純水100%【てま?】
真白【すみません。】
真白【私。】
真白【ケータイからここにログインしてるんですけど。】
真白【今。】
真白【歩きながらなんで文字間違って打っちゃうんですよ……。】
真白【(꒦ິ⌑꒦ີ)。】
純水100%【いや、それにしては結構顔文字凝ってますよね!?】
真白さんが退室されました。
純水100%【あ、あれ?】
純水100%【私、なんかマズイこと言いました!?】
バキュラ【大丈夫ですよ、】
バキュラ【多分すぐに帰って来ますから】
真白@純水100%覚悟しろさんが入室されました。
純水100%【何を覚悟すれば良いんですか!?】
真白@純水100%覚悟しろ【新たな標的者は純水100%さんです。】
バキュラ【標的者にされちゃいましたねww】
純水100%【笑ってる場合じゃないですよーぅ!】
真白@純水100%覚悟しろ【あ。】
真白@純水100%覚悟しろ【そろそろ落ちますね。】
真白@純水100%覚悟しろさんが退室されました。
純水100%【退室が早い!】
バキュラ【これが安定の真白さんです!】
池袋 写影ジム近辺
「イーザー兄っ!死ねっ!」
朗らかな声で叫ばれる物騒な言葉と同時に臨也の首筋めがけて鋭いハイキックが繰り出される。
冬樹はそんな臨也をいつもと同じ無表情で見るめるが今回はその無表情の目に少しだけ哀れみが感じられる。
臨はそのハイキックを紙一重で避けて、溜息と共に口を開く。
「実の家族に『死ね』と言うなんて……。悲しいな。いつから舞流はそんな人間関係希薄な現代社会の病巣住人になったんだい?」
冬樹と臨はの目線の先には黒い空手着を纏ったおさげが印象に残る少女と、私服の短髪の少女がいた。
「……
「たった今、実の妹の手で頚椎を損傷しかけたけどね。」
「すれば良かったのに。」
「よかったのに。」
「冬樹くん、君さぁ…ますます俺の扱いひどくなってきてない?あと、ソーニャちゃんはなんでも冬樹くんの真似してちゃいけないからね。」
空手着を纏った少女、折原舞流はムウ、と頬を膨らませる。
「静雄さんが、イザ兄がわらいながらダンプに突っ込んだら幽平さんを紹介してくれるっていうんだもん!なんとか偽装工作できないかなって思って!」
そんな臨也と双子の様子を見て冬樹は
その読みはビンゴだったらしく避難先の写影ジムから無精髭を生やした男、写楽影次郎が出てきた。
「殺さない程度で頼みますよ。」
冬樹が話しかけると影次郎は冬樹に気付き振り返る。
「………冬樹、お前…まだあの野郎といるのか?」
「…まあ、はい。一応仕事すればそれなりにくれますし。……あと、いくらでしたっけ?
「それは成人してからの話しだろ?いいって言ってんのになんで払うんだ?」
「………。」
「……払う気があるならちゃんとツケてた分覚えとけよ。」
「はい、すみません。」
冬樹の言葉を聞き影次郎は三人の元へと向かい……背後から臨也の顔面付近へ回し蹴りをした。
その瞬間から冬樹は傍観を決め込む事にする。
「………あ、美影の姐さん。」
「冬樹…あんたこんな所で何してんの?」
しばらくすると今度は写影ジムからザンギリ髪のボーイッシュは女、写楽美影が出てきた。
冬樹はその美影の問いに対して路上に指をさす。そこには臨也と双子、そして彼女の兄、影次郎がいた。
「止めなくていいんですか?」
すると美影は溜息をついて四人の方へと向かい……。
「ゴフっ!?」
美影は影次郎に回し蹴りを叩き込んだ。
そして今度は美影の四肢から影次郎の急所を狙う連撃が繰り出される。
その間に臨也は居なくなってあのだが……それでも、冬樹はいつもの無表情で空を見上げて、他の人物なら思わないだろう事を呟くのだった………。
「………あぁ……今日も平和だなぁ……。」
こんな平和な日が一生続けばいいのに……そうすれば