Language of love   作:千α

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第五十八話 Истории из белого и желтого

「真白、客が来てんぞ。」

 

「俺に?」

 

大河は正臣を病室の前に待たせて真白にこの事を報告書する。

 

「………誰?」

 

「紀田正臣……黄巾族のリーダーだよ。」

 

「紀田……正臣っ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、入って良いってよ。」

 

「………はい。」

 

正臣はまだ一度も白爛のリーダーを見たことが無い。

しかし今、池袋の中でも一二を争うほどの勢力を持ったカラーギャングのリーダーなのだから、それなりの人物なのだろうとしか正臣はイメージができていなかった。

 

 

正臣はゴクリと喉を鳴らし、病室の中へと入った。

 

 

「……久振り、正臣……。」

 

「え、なんで………冬樹が……?」

 

 

正臣の目の前にはあり得ないものが写っていた。

病室のベッドに寝ていたのは正臣の友人でもあった冬樹だった。

 

 

「なんでって聞かれてもな……俺が白爛のリーダーだから……?」

 

「俺に聞くなよ……俺は出てった方が良さそうだな。」

 

「はい、そうですね。そうしてください。」

 

 

大河は冬樹に言われた通りに病室から出て行く。

 

 

「………ダラーズと、抗争するんだっけ?」

 

「情報が早過ぎないか?」

 

「………まぁ……。」

 

「てか、なんでお前が白爛のリーダーなんだよ!」

 

「んー……成り行き。」

 

「な、成り行きって……。」

 

はっきり言って正臣の思考は混乱していた。

一般人だと思っていた友人がカラーギャングの、しかもあの白爛のリーダーだったのだから。

 

 

「それにしても、凄いな……竜ヶ峰と正臣、そんで俺……。池袋三勢力のリーダー全員知り合いだとか……。」

 

「帝人の事も知ってたか…。

……冬樹、お前……臨也さんと知り合いだったんだな。」

 

「………うん。」

 

「お前は、あの人がどんな人か解ってるのか?」

 

正臣は今、一番それが気掛かりだった。

もし、冬樹が臨也の事を知らないと言うならば……正臣は冬樹を守りたいと思っていた。

 

 

「うん、知ってる。正臣よりも。」

 

冬樹は相変わらず無表情で正臣の問いに応える。

 

「じゃぁ、なんで……冬樹はあの人と……。」

 

「………もう、何年も付き合ってるし……今更そんなことは言われても。」

 

「冬樹……。」

 

「それに、もうあの人の本質なんて…割り切り過ぎて怖いくらいなんだよ。」

 

そう言って冬樹は正臣から顔を過こしそらす。

 

「…………正臣の聞きたい事はこれじゃないだろ?」

 

「あ、ああ……。」

 

冬樹はこれ以上臨也の話を広げないために正臣の本題であろう話しを聞くことにした。

 

「俺ら、黄巾族は……ダラーズと抗争するって事は、もう知ってるよな?」

 

「うん。」

 

「………それで、もしかしたら…白爛にはダラーズに入っている奴がいるかもしれない。

だから、もしもそいつがこの抗争に巻き込まれても………。」

 

正臣が言うことはもう解ったと冬樹は無言で正臣に制止の手を翳す。

正臣はそれを見て黙る。

 

「うん、正臣が俺ら白爛の事をよく理解してるのは解った。

えー…と…多分、気にする必要無いから。」

 

「冬樹……?」

 

冬樹は手を下ろして目を伏せる。

 

「俺ら白爛には…ダラーズはいない。」

 

「ダラーズがいない?」

 

「そう、いない……臨也さんは、白爛は俺に信仰心を持った宗教団体だとか言ってる……。

だからかは知らないけど、白爛には恐ろしいほどダラーズがいない。ダラーズに入る奴は俺がスパイとして送り込んでる奴だけだよ。」

 

「………宗教団体って……なんか、納得できるようなできないような……。」

 

「………真白教?」

 

「いや、真面目な顔して何言ってんだよ。」

 

 

どうやら、冬樹は真白教というフレーズが結構気に入っているようだ。

 

 

「……でも、何か良かったっつーか…なんと言うか……。」

 

「正臣?」

 

「ダラーズに白爛が居て、もしそいつを……って事になったら…白爛ともやり合わないといけないと思ってたから……。」

 

「そうだな……俺は白爛が傷付けられたら…多分、正臣でも殺しに行ってると思う。」

 

「怖い事言わないでくれよ……。」

 

冬樹は冗談には思えない事を口にして笑う(そう見えるだけ)、それにつられて正臣も笑いながら返答する。

 

「ダラーズに潜り込ませてるスパイは撤退させておくよ。」

 

「ワリィな冬樹……ここまで、気を使ってもらって…。」

 

「いや、俺はただ単に…そいつが傷付くの嫌だから。」

 

「お前らしいな……いや、冬樹とは友達としてはまだ全然交流とかねえからどうなのか解らねえけど。」

 

そう言って正臣はさみしそうな顔した。

 

「………やっぱり、竜ヶ峰が…一番の友達だもんな……。」

 

「ああ……。」

 

短い返事だったが冬樹は満足だった。

 

「俺には、同い年友達なんて…いなかった。だから、正臣に友達だって言われた時は凄く嬉しくて……。」

 

「冬樹……?」

 

今のうちに話しておこう。そして、この事を正臣に伝えよう。その気持ちで突き動かされた冬樹は珍しく良く喋っていた。

 

「その後、杏里や竜ヶ峰と一緒に帰宅して……これも、初めてしたことだし……。だから、正臣には凄く感謝してる。正臣の一番は竜ヶ峰かもしれないけど、俺の一番は正臣なんだ。」

 

「冬樹?」

 

「それでも、俺は竜ヶ峰の友達でもある。」

 

言ってしまおう、たいして役に立たないかもしれない。

しかし、冬樹も正臣と同じく気持ちなのだ。

 

「俺の分も、竜ヶ峰をぶん殴ってくれ……そのためなら、俺ら白爛は…黄巾族にいくらでも手を貸す。」

 

手を貸す……つまり冬樹は黄巾族と手を組みたいと言っているのだ。

 

「冬樹……本当にいいのか?」

 

「うん、もちろん。怪我が治ったら俺も正臣のためになんかできる事するし。まあ、その代わり…今度は白爛が困った時、手を貸してもらうよ。」

 

「いや、充分だ……ありがとう……けど。」

 

「?」

 

「直接、この抗争には突っ込まないで欲しいんだ。」

 

「………うん、そう言うと思った。」

 

「本当にありがとう、冬樹。お前が白爛のリーダーだって知った時はビビったけど……けど、お前で良かった。」

 

「……あ、安心しろよ。臨也さんには言わないから。」

 

「ああ。」

 

正臣はそう言うと帰るために病室の入り口へと向かう。

 

「正臣、これあげる。」

 

「?」

 

反射的に手を顔の前に持って行くとパシリといい音がする。

正臣は自分の手の中を見てみるとパックジュースが握られていた。

 

「これ……。」

 

「あげる。正臣、なんか……元気無いから。頑張って。」

 

「ああ、頑張る。」

 

正臣は冬樹の優しさに今までの緊張が少しほどけた気がしていた。

それて、今度こそ外へ出るため病室のドアを開ける。

 

 

 

バフッ

 

 

 

正臣の髪は白く染まった。

 

 

──────────…

 

 

「お前らさぁ……本当に止めろよ。」

 

「だってさ〜楽しいじゃないですか〜!」

 

「帰ってきた甲斐があったっすよ!」

 

「はいはい、次正臣が来たとき謝っとけよ。」

 

「「はーい!」」

 

小学生か、と冬樹は突っ込みたくなったが……グッとこらえる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来良総合病院前

 

「………なんだコレ……マズっ。」

 

正臣は冬樹にもらった『カシスオレンジ納豆入りチョコレート風味』という飲み物を飲んで思わず口の中身を吹いてしまっていた。

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