これを聞いたら、お前は俺の事が嫌いになるかもしれないけど……聞いてくれ。
俺は、竜ヶ峰が大嫌いなんだ。
ごめん、いきなりこんな事……でも、嫌いなものは嫌いなんだ。
………そこは否定させるつもりなんてない。
ん?
いつから?
あー……初めて会ったときから?
「ああ、こいつは嫌いだな」って。
その時は何とも思わなかったんだけど……後々考えてみると俺は竜ヶ峰が大嫌いで仕方なかったんだ。
……良くあるんだよ。
『ムシが合わない』
たったこれだけを人を殺す理由にする人。
俺は多分、それだと思う。
竜ヶ峰が俺の事を好きだと言っても。
きっと最後は俺と竜ヶ峰は決別して、お互い潰し合うと思うよ。
理由……さっきも言った通り、『ムシが合わない』からのひと言に尽きると思う。
人間なんてそんなものだよ。
だから、お前の中にいるそいつがあんまり理解できなかったりするんだ。
人の愛なんて、どう受け取ればいいのか解らないし。
多分そいつの愛も理解ができないと思う。
確かに、俺は転生者だから……その時と記憶を使えばいいのかもしれない。
けど、そんなの本気で人を愛している人に失礼だと思うんだ。
え?
今日はよく喋るって?
んー……そうなのか?
まあ、俺はよく喋る方だけど………。
え、違うの?
……まあ、話が逸れたな。
戻そうか。
どこまで話したっけ?
ああ、そう。
『ムシが合わない』って所……。
はっきり言って、よく解らない……。
どうして俺はあいつが大嫌いなのか。
もしかすると、俺は竜ヶ峰になりたかったのかもしれない。
いや、そういう意味じゃなくて。
なんて、言えば良いんだろ……。
あれかな?
竜ヶ峰には自然と人が集まってくるから。
……俺は違うよ。
全部、たまたまに見せかけた模造品の出会い。
うん、お前とも……ただ、あの時一緒に帰れるなんて思ってなかった。
だから、その後……岸谷先生のところで会った時、俺の話しを聞いてくれた時……すごく嬉しくてたまらなかった……と思う。
……うん、思う。
まだ、よく解ってないんだ。
自分の感情が何なのか……。
もしかしたら、この感情さえも…模造品なのかもしれない。
……ありがとう。
そう言ってくれると本当に嬉しい。
いや、感謝の気持ちは元からあるんだ。
これが、俺の初めての感情なんだ。
うん。
実の父親からランドセルを貰ってさ……。
まあ、この話しは後にしよう。
竜ヶ峰はさ、正臣が居て、お前が居て……本当に良い青春を遅れていると、俺は思う。
俺とは全然違う。
だから羨ましいんだ。
だからこそ、俺はあいつが大嫌いだ。
けどさ、それと同時におれは竜ヶ峰が好きなんだと思う。
矛盾してるって?
確かに矛盾かもしれないけど。
それでも、俺は見てみたい。
竜ヶ峰を、正臣を……もちろん杏里も。
俺は三人とも、大好きなんだ。
大事な友達で……大切な人達で。
だから、あの二人が紐でこんがらがっていたとしても。
俺は大丈夫だ。
だから、もしも困った事があったら、なんも相談してくれよ。
俺はお前の力に絶対になるからさ。
だから、絶対に一人で抱え込もうとするなよ……。
杏里。