第六十話 Я дам им в августе
チャットルーム
真白さんが入室されました。
真白【誰もいないようですね。】
真白【……。】
真白【最近。】
真白【最近はおかしいです。】
真白【最近の池袋は騒がしいです。】
真白【最近。】
真白【とっても。】
真白【とっても。】
真白【それがさみしくて。】
真白【不安で。】
真白【怖くて。】
真白【辛くて。】
真白【仕方がないです。】
真白【…………。】
真白【さようなら。】
真白さんが退室されました。
四木の個人事務所
「さっき誰か来てたの?」
「お前の気にすることじゃない。」
「ならいいんだけど……。
あ、そうだ。夏休みの登校日なんだけどさ。なんか、来れる人だけでいいから三者面談とかするらしいけど……どうする?」
いつもよりもよく冬樹は喋っていた。
冬樹の目の前にいるのは、彼の父親である粟楠会幹部・四木だ。
ちなみに、冬樹は最近轢き逃げにあい、最近まで入院していた。
しかし、人間の身体というものは恐ろしい。
冬樹は打ち所が良く、普通ならばもう少し回復に時間がかかるような骨折はほぼ完治しており、現在は松葉杖をついて生活をしている。
「あー…でも。あれか、父さんが来たら俺、変な噂建てられるかも。」
「お前は自分の父親をなんだと思ってる。」
「イテッ。」
四木は冬樹の頭をペシッと叩く。
「あー、それにしても暑いな……エアコン効いてんの?」
冬樹の口数が多いのはきっと、それだけ四木を信用しているからだろう。それは冬樹自身が実感していた。
(ここまで話せんのは……やっぱり、親だからかな……?)
「あ、そろそろ先輩の所に行かないと。」
冬樹はエアコンのリモコンに表示されている時間を見て呟く。
「……そうか、なら早く行ってこい。」
「うん、今度はソーニャも連れてくるわ。」
「冬樹。」
「何?」
四木は松葉杖を器用に使って部屋から出ようとする冬樹に声をかける。
「お前は結局なんのために来たんだ?」
「え?」
冬樹はここに来てから何をするわけでもなく、ただあまり続かない会話をやり取りするだけで。とくに用があったわけではないようだった。
先程の三者面談も、あの時に思い出したことのようで、冬樹はもう覚えていないだろう。それほどどうでもいい事だった。
「んー……父さんに会いたかったから……かな?
理由とかないけど、会いたかった。
それじゃ、行ってきます。」
そう言って冬樹はバタンと部屋のドアを閉める。
「………。」
四木は誰もいない部屋で静かに笑っていた。
まさか、あんな事を言われるとは思っていなかった。
やはり、冬樹は大切な息子だという事を実感していた。
喫茶店「悠々」
「真白さん!退院おめでとうございます!!」
「……おう。」
喫茶店「悠々」の中は白で溢れていた。
それは冬樹がリーダーを勤めているカラーギャング「白爛」が腕に巻いている白い布、正確には「白い腕守り」の色だ。
真白こと冬樹が入院してからは毎日のように真白を心酔する信者……ではなくメンバーが見舞いに来ていた。
そして、今日は退院した冬樹のためにお祝い会をしようという嘉真幸耀華と真紀方一の要望でお祝い会がここ、喫茶店「悠々」で行われることになった。
(まあ、俺のためにしてくれるのは、嬉しいかな。)
「冬樹!」
部屋の奥から料理の準備をしていたと思われる格好、つまりエプロンをして三角巾を付けた羽ノ浦春媛とソーニャがやって来た。
「Отец!げんき?」
「ああ、元気だ。」
「嗚呼!冬樹!こんなにすぐに元気になるなんて!惜しいけどとても嬉しいわ!さすが私の冬樹ね、いつもいつも驚かされるわ。さぁて、今日はどうする?お風呂にする?ご飯にする?それともわt……!」
「真白さーん!俺、待ちくたびれたっスよ!」
今日も長々と春媛のマシンガントークを聞かなければならないのかと斜め上を見ていた冬樹に真紀方が話しかける。
「真紀方くん……?貴方、いい度胸してるのね?」
「え!?俺、なんかしたっスか!?」
「いや、何もしてない。けど、とりあえず俺の代わりに犠牲になってくれ。」
「え?ま、真白さぁん!?」
真紀方の叫び声を聞き流しながら冬樹はソーニャと共にいつものカウンター席に座ろうとする。
「おい、今日はやめとけ。」
「あ、小早川さん。」
料理を運びながら小早川大河は冬樹に声をかける。
「一応、怪我人だしそんな所に座って転けてみろ、周りが大変な事になる。」
「あー…そうかもしれませんね。」
『周りが大変な事になる』
確かに信j……真白が大好きな白爛ならば冬樹が転けた瞬間パニックになるに決まっている。その事はよく知っているし、入室中もその事を再度確認できた。
点滴の時なんか「真白さんに穴が空く!」とか言って嘆いているメンバーが多かった、さすが真白教。
「真白はこっちですよ〜!」
そう言って耀華が冬樹を手招く。
「ああ、ありがとう。」
招かれた席はクッションが何個もひかれていた。
怪我をしていた冬樹に対しての気遣いなのだろう。そう思って冬樹はその席に座る。
「よーし、皆集まったな。」
大河は白爛に問いかけると「おお!」や「はい!」と言う答えが返ってきた。見渡すと男はもちろん、女までしる。
「よし、じゃぁこれから真白の復活祭を始めるぞ。
真白、なんか一言。」
「え?俺ですか?」
「お前、ここのリーダーだろ?さんざん迷惑かけたんだ。なんか、あいつらが安心できるような事を言ってやれよ。」
大河がそう言うと周りから拍手をされる。
「あー…はい。
えっと……なんか、ありがとう。
まあ、轢かれた時はビビったけど。やっぱり、お前らが予想以上に見舞いに来てくれたのが一番ビビったし、嬉しかった……。
だから、もう一度聞くけど……こんな俺について来てくれるか?」
それはいつかの誓いだった。
もちろん、その言葉に答える叫び声、歓声が喫茶店「悠々」にこだました。
「ありがとう。皆。」
冬樹はその変わらない光景に微笑んだ。
いつもの無表情のような顔とは違う。
誰からでもわかるような笑顔。その顔を見た白爛はさらに歓声を大きくし、そして春媛は言うまでも無く倒れた。倒れた原因は鼻から出ている物が原因だった。つまり貧血。
「はあ、せっかくいい雰囲気だったのに。先輩のせいで全部水に流された感じ。」
「そう言うなよ真白。」
そして、冬樹はお決まりの言葉を口に出す。
「今日も池袋は平和だな。」
すみません。すみません。すみません。
久しぶりの投稿だったのにもかかわらずこんな低クオリティですみません。
私は今、自信を喪失しております。そよため、これからは一ヶ月に数回の投稿になるかもしれません。本当に身勝手ですみません。