いよいよ最終回が近いですね。
「なぁ、俺は本当にここに居てもいいのか?」
白い青年は一人、座り込んで居た。
周りには鉄骨が幾つもおちている……その青年の腕には一人の少女が抱きかかえられている。
《………さぁな。俺はお前の思っていた世界に連れてきただけだ。》
青年は少女を力の限り抱きしめている。
少女はすでに冷たくなっていた……それでも、また自分のことを「父」と呼んでくれるのではないかと、少女を抱きしめる。
「どうして、どうして……こんな事に……。」
──────────……
時は遡り……青年、冬樹が白い髪の女と別れた後、大きな物音を聞いた冬樹は急いでその場所に向かった……そこには落ちた鉄骨、平和島静雄、ヴァローナ……そして、ソーニャがいた。
「こ、これは?遅かった……?遅かったのか?」
冬樹はその場所にへたり込む。先を知っていたのに……最悪の最後を回避したかったのに……。
静雄は冬樹に気が付かなかったようで鉄骨が落ちたであろう建設中のビルへと入っていった。
「静雄さん!まって……!静雄さん!!」
いつもなら気付いてくれるはずなのに、静雄は冬樹の方を見ない。それどころか、その近くにいるヴァローナも冬樹に気が付いていないようだ。
まるで、冬樹が……そこにいないかのように。
そして、誰もいなくなったあの場所で冬樹はソーニャを抱きかかえていたのだ。
「どうして……なんで?」
《…ぃ、ぉぃ、ぉい!おい!》
「!?
……ごめん、でも……ソーニャが……。」
《……なんで、謝るんだよ。》
「なんで、だろうな……俺、本当に不甲斐ないよ。
誰も何も助けられなかった……何とかするって……先輩とも、約束したのに……。」
《………おい、冬樹。》
心の中で響く声が、冬樹の思考を落ち着かせる。
「なに?」
《そいつを、助けたいか?折原臨也を、平和島静雄を……この世界のみんなを、助けたいか?》
「当たり前だろ?
もう、原作なんて気にしたくない……みんなが幸せになって欲しい。悪い奴もいい奴も関係なく……。
この世界の終結は、全然、悲しくなんかない……でも、俺には……俺にとって悲しい物でしかない……!」
《………そうか。》
心の中で響く声が近づいて来る。
《………やっぱり、こうなるのか……。》
冬樹が目を開けると、そこは真っ白な廊下だった。真っ正面には扉がある。
「ここは?」
「やっと会えたね。」
「!?」
「始めまして……じゃないけど、始めまして!」
後ろから声が聞こえた。冬樹が後ろを振り向くとそこには美しい姿をした女性が立っていた。
「……あなたは?」
「私?
私はシャルロッテ・キルヒナー。」
「シャルロッテ?」
「うーん……どっちかって言うと……私似?なのかな、やっぱり。」
「あ、あの?」
「お父さん……優しい人でしょ?」
「え?ま、まぁ……。」
「そうよね!」
シャルロッテと名乗った女性は冬樹の手を握って来た。
「……それにしても……大きくなったね。」
「あの、あなたはいったい……どうして、俺の事を?」
「……そうよね、それをまず言わないと……あのね、落ち着いて聞いて。」
シャルロッテは申し訳なさそうに冬樹を見詰める。
「私は、あなたの……お母さんなの。」
「え?」
目の前の女性が自分の母親……そう言われても冬樹はイマイチ実感ができなかった。
「ごめんなさい……あなたの中にいる……鬼さんを、どうにかしたかったの……。」
「鬼?」
「……その人がいる限り、あなたは不幸になっちゃうから……だから、ごめんなさい……あなたがあの家に行くことになったのも、全部……私がしたことなの。」
冬樹の思考は追いつかなくなってしまった。
わけがわからない……いったいこの人はなにを言っているんだ?そんな感情が冬樹頭をグルグルと渦を巻く。
「冬樹、お母さんは……あなたを愛してる。」
「や、やめてろよ!今更、愛してるとか、そんなの……わからない!!愛なんて知らない!知らない!知らない!」
「冬樹……っ!」
冬樹はその場にしゃがみ込む。
「なんで……こんなの……そんな綺麗なもの見せないでくれよ……。
愛してるなら、俺の事を愛してくれてるなら、なんで俺を捨てたんだよ!!」
「あれしか、方法が無かったの……あなたがあるべき場所へ行くためには、あれしか……。」
「あるべき、場所?」
シャルロッテは冬樹と同じようにしゃがみ込み、冬樹な目をジッと見詰める……。
「冬樹には、本当は一番幸せになれる世界があったの……でも、冬樹はその場所から無理矢理連れて来られたの……その原因が……あなたの中にいる、その鬼さん。」
「あいつの事?」
「うん、初めは冬樹の事が大嫌いだったみたいだけど……でも、その子がいると……見たでしょ?あの白髪の人達。」
「うん。あれは、いったい……。」
「あなたを食べて、あなたと同じになろうとしている者たち……私にも、よくわからない……それは、彼に聞いてみないと。」
「彼?」
「冬樹、あなたが何度拒絶しても、私は言うわ……愛してる、あなたと会えて……本当に良かった!」
すると後ろから鍵が空くような音が聞こえた。
「?」
「冬樹、最後に……お母さんって呼んで。」
「でも……。」
「嫌だろうけど、お願い。」
「……お母さん?」
「ありがとう……。」
するとシャルロッテは水になってしまった。
「え?」
ー早く、早く行きなさい……あなたの大切な者を救うために……ー
冬樹は扉に向かって廊下を走った……。
その廊下のにはこの世界に来た冬樹の思い出が飾られている……。
苦しかった時、悲しかった時、辛かった時、嬉しかった時、驚いた時……様々な感情が今になって鮮明になっている。それでも冬樹は足を止めない……そして、その勢いのまま扉を開けた!
「!?
ここは……?」
「こうやって会うのは始めてだな。」
「お前は……俺?」
扉の向こうは廊下と同じ、真っ白な部屋だった。その中央には真っ白な椅子に腰を掛ける真っ白な服を着た自分がいる。
「おいおい、俺の声を忘れたか?」
「……えっと?」
「まぁ、いいか……。
そこ、座れよ。」
青年の前には真っ白な机と、それを挟んで青年の腰掛けている椅子とは少し型ちの違う椅子がある。
冬樹はその椅子に腰を掛けると青年は青年の後ろにあった冷蔵庫(これも真っ白だった)からサンドウィッチを取り出す。
「そら、食えよ。」
「あ、ああ……。」
「お前には、全部話しておかないとな……どこから話そうか……。」
「話すって……お前は、俺を追いかけてくるあいつらのことを知っているのか?」
「まぁな、同類だし。」
冬樹は中身が出ないように慎重にサンドウィッチを食べ始める。
「
「とりあえず飲み込め。」
青年は「うーん…」と唸る。
「言ってしまえば、あいつらは人になりたいのさ。」
「人?」
「そう、同類を食っても何にもならないのにあいつらは同類を食い続ければいつか人になれると信じてんのさ。」
「だから……。」
冬樹は始めて白髪の人達に襲われた時のことを思い出す。
「でも、そんな事しても人になんてなれない。だから俺達の長は……それぞれの同類が同じ世界へ行かないようにしてたんだ。」
「いや、それだったら……なんで……!」
この世界に白髪が現れたのかを問おうとすると青年はそれを遮るように答える。
「長が死んだからさ……それで、次の長はこの俺。」
「……じゃ、あいつらどうにかしてくれよ。」
「無理。」
「……それで、これからどうする気?」
即答する青年を見て冬樹は目を細める。
「もう一度、やり直す。」
「やり直す?」
「誰も同類達に乗り移られないように、その世界でもう一度この世界をやり直す。」
青年はジッと冬樹を見る……。
「なぁ、その世界には……俺もいるのか?」
「いる……けど、そもそものお前はこの世界には不必要な存在だ……物語に干渉はまず出来ない。やり直したら原作知識も、転成の事も取り除く気でいるし……。」
「先輩達とも、会えなくなるかもってこと?」
「そうだ。」
「……そっか……。」
冬樹は俯いた、何かを考えるようにゆっくりと。
「……まだ、いろいろと理解出来ないことが多いけど……ソーニャは、それで……死ぬ運命を帰ることができるんだよな?」
「……そうなるな。あいつは元々規格外だし…別の世界からお前を追いかけて来た所を鯨木かさねに捕まえられたってだけだからな……運が良ければ、また会えるだろうな。」
真っ白な部屋は夕焼け色に染まっていた。
そして、冬樹はゆっくりと顔を上げる。
「ありがとう、教えてくれて。」
「……本当は、全部教えるつもりだったけど……何も知らない方がお前には幸せなのかもな。」
「…?」
すると、冬樹が入って来た扉とは違う扉が開いた。
「そろそろ行け、その頃には何にも覚えてないだろうけどな。」
「……なぁ?」
「何だ?」
「白爛の皆はどうなる?」
青年はその問いに少し戸惑ったが口を開いた。
「────。」
「……そうか……ありがとう、これで満足だ……。
最後にいいか?お前……どっかで会ったことないか?」
誰もいない夕焼け色の部屋で青年は一人呟いた。
「そうだな、ずっと前に……会ったな。」
青年は白紙の本を開き筆を手に取る。
「もう、お前を苦しめるのはやめにしよう。」
多分クオリティ低い感じに仕上がってる筈です。
オチに近づくにつれてクオリティ低くなってしまうのは何故だ。ノープランだったからか?まぁいいや。とりあえず最後まで見捨てないでくださいお願いしますぅぅぅう!!