「───ん?」
黒い髪の少年は目を覚ます。
「冬樹ー!朝ごはんできてるわよ!」
「今行くよ、母さん!」
冬樹は二階の階段を降りてリビングへと向かった。そこには朝食を用意する母親と椅子に座って新聞を読んでいる父親がいた。
「冬樹、今日起きるの遅かったわね。」
「うん……なんか、久しぶりに夢見た気がする……。」
「夢?」
冬樹はすでに身支度を整えている。
「母さん、今日帰るの遅くなるから。」
「どうして?」
「春媛先輩の家で勉強教えてもらうから。」
冬樹はテーブルに用意されていた朝食を食べながら今日の予定を母親に伝える。
父親は新聞を読むのを止め、冬樹と同じように朝食を食べ始めた。
「あ、もうこんな時間!?」
冬樹が時計を見るといつも家を出ている時間をとうに過ぎていた。大急ぎで朝食を食べる冬樹を二人は「珍しい」とそんな冬樹を見ていた。
「ごちそうさま!」
そう言うと冬樹は立ち上がり洗面台へ向かい歯を磨き始める。それが終わると冬樹はそのまま玄関へ向かった。
「冬樹、気を付けてね。」
「うん、ありがとう母さん。」
「冬樹。」
名前を呼ばれて後ろを振り返ると父親が珍しく冬樹を見送りに玄関へやって来ていた。
「行ってらっしゃい。」
「……え?」
「……早く行かないと、遅刻するぞ。」
「あ、うん……。」
冬樹は一瞬ポカンとなったが父親の一言で気を取り直す。
「行ってきます。」
─────────…
「つまり、俺は思うわけだ。杏里はなんでそんなにエロ可愛いのかって。」
「え……ええ?」
「エロはない……エロはないよ正臣。」
「冬樹はどう思う!?」
「オマワリサーン、ここに変な人がいるよー。」
冬樹はいつものメンバーと下校していた。
竜ヶ峰帝人、紀田正臣、園原杏里……冬樹と同じ来良学園に通う同級生だ。
何の因果か、四人は気が付けばいつも一緒にいた。
「冬樹ー!」
「あ、春媛先輩だ。」
「こんちゃっス、春媛先輩!」
「今日は、よろしくお願いします。」
今日はそんないつものメンバーと冬樹の中学時代の先輩達と一緒に後一週間後に控えたテストのための勉強会を開くことになった。
「でも、本当にいいんですか?」
「ええ、家には誰もいないし……他の誰でもない冬樹の頼みだし……ねぇ、紀田くん…冬樹は誰にもイジメとか合ってないわよね、誰にも告白とか、されてないわよね。」
「も、勿論ですよ!」
「そう、なら良かったわ〜。」
五人が春媛の家に向かおうとした時、馬のような、それでいて何処か違うような音が聞こえた。
「「黒バイクだ!!」」
冬樹と帝人は嬉しそうに顔を見合わせると、
「冬樹!?帝人くん!?」
「さきに行っててください!」
「僕達後でそっちに向かいます!」
─────────…
二人は黒バイクを見るために走った。
「帝人、こっち!」
「え、冬樹くん!?」
冬樹は近道をするために路地裏を進む。
すると、そこでエプロンを着た男と冬樹がぶつかった。
「あ、すみません!」
「…っと、気を付けろよ。」
冬樹は男の人に頭を下げてまた走り出す。
「こんな所に喫茶店なんてあったんだ……。」
帝人は喫茶店「悠々」の文字を見て呟いた。しかし、その呟きは前を走っている冬樹には聞こえなかった。
「小早川さん!これ、持って来ましたよー!」
「真紀方、煩い!」
「喧嘩すんな。」
「「はーい。」」
「?小早川さん、なんか嬉しそうですね。」
「いや、そんな事はねぇよ。よし、真紀方、嘉真幸…今日はすき焼きだ。」
「「やったぁ!!」」
エプロンを着た男は走り去る冬樹を見て優しく微笑んだ。
すると路地裏の出口、冬樹達が向かった方から爆音が聞こえてきた。
「イーザーヤーくーん!そろそろ死んでくれないかぁあ!」
「おっと危ない!シズちゃん、そろそろ諦めてよ。ほら、学生さんもいるしさ。」
「なら手前がさっさと死ねぇぇえ!!」
そんな24時間戦争コンビを見て冬樹は「相変わらず凄いな……。」と呟く。
ズドンっっ!という音がすると同時に冬樹と帝人が振り返ると寿司屋「露西亜寿司」の店員である黒人男性、サイモンが「ケンカ、ダメよー」と止めに入っていた。
「ふ、冬樹くん!ちょっと待って!」
そんな帝人の声も聞こえていないようで、冬樹はそのまま走る。
そして、大きな道に出るとその瞬間…黒い影と白い影が冬樹の目の前を通り過ぎた。
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!)
「おい、コラ停まれ!!」
その正体は
「頑張れー!黒バイクさん!」
冬樹は後ろから黒バイクに声援を送る。
それが届いたのか、黒バイクに乗った
(が、がんばるよ……冬樹くん……あれ?なんで、あの子の名前わかったんだろう……?)
冬樹はそんな黒バイクを見送り、姿が見えなくなった頃に帝人がようやく追いついて来た。
「は、速いよ…冬樹くん……!」
「ごめん帝人、大丈夫?」
「ちょっと休憩……。」
「なんか、飲み物買って来るよ。」
「うん…あ、冬樹くん……あんまり変なの買わないでね。」
「…………うん。」
「あれは買うつもりだったな……」と帝人は冬樹を見ながら思う……。
冬樹は何を買おうか迷っていると一人の少女が冬樹をジッと見つめていることに気が付いた。
「………?」
少女は冬樹に抱きつく。
「
「え?」
やり直しのきく人生。
そんな物はどこにもない。それでも、彼はやり直したいと願った……。
これは別の世界。けれど、そんな世界でも人とは違う存在はその世界を知らず知らずの内に共有している……。
何百、何千を繰り返して……少女は父親に辿り着く。
何百、何千を繰り返して……男性は微笑む。
しかし、それはきっと最後だろう。
それでも彼らは喜んだ。
大好きな彼を見つけたから。
彼らの世界はもう二度と狂わない。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
これにてLanguage of loveは終わりです。
何かモヤモヤする終わり方ですが、それは味ということにして欲しいです。どうしても知りたい事があれば質問をしてください!ごめんなさい、こんな投げやりなやり方で……!