だが原因があるのは、彗星自身の方にあるようで…
艦隊これくしょん〜君を護りたい〜後編
どうでもいい事だけど、眠りながら俺は、こんなことを考えていた。このストーリーにゃ、関係の無いことだがな。
艦娘って、『物』なのか、それとも『人間』の、どちらに入るんだ。なんでこんなこと考えちまうんだろ。兵器である俺がだ。こんなことを考えてるなんてな。けど実際の所、気になる。
俺たちは、『兵器』。艦娘に扱われる、物だ。そして、物は使う者がいないと物の持つ能力が最大限に引き出されない。
が、俺達(艦載機)を扱い、主砲や魚雷を使う艦娘は、提督から補給や、修復などを行う……さっきも言ったように、俺達『兵器』は、最大限に発揮するためには、使う人。つまり、所有者が必要だ。だが艦娘は、提督の何なんだ…ひょっとしたら、『人と物の中間』って感じなのか。
……ま、物である俺がそんなこと考えたって、無意味だ。何かが変わるわけじゃない。毎回、これの繰り返しだ。
「はい、修理完了しましたよ!これで大丈夫です!」
おっ、修理終わったのか。ふぁ〜…どれだけ寝たんだろうな。多分それほど時間は経ってないだろう。けど、寝たりない…眠い……まだ寝ていたい。重巡洋艦の、加古って奴の気持ちが良くわかる…。
「えっ?深海棲艦が?」
「あぁ、俺達が使う輸送ルートに現れたという報告をさっき、哨戒任務を行っていた千代田の艦隊から報告を聞いてな。」
大鳳は明石から彗星を受け取り改修工廠を出、自室へ戻ろうとしていたところを提督に呼び止められ、執務室に来ていた。先程も彼が言ったように、遠征を行う輸送ルートが深海棲艦の中規模艦隊が出現し、これにより進路が絶たれ、輸送することが出来なくなった。という事だ。
「敵の編成は空母機動部隊。正規空母2隻に軽空母1隻。駆逐艦が3隻だ。既に摩耶、秋月、比叡、蒼龍、飛龍が出撃準備に取り掛かっている。さらに言うと、遠征に行かせた艦隊が帰ってくる前に敵艦隊をを撃破し、輸送ルートの確保及び遠征艦隊の護衛に向かってくれ」
「はい!」
大鳳はそう言い、執務室を出た。
自分の部屋に戻ると、すぐに彼女は出撃の準備をした。すぐに自分の艤装の点検を行う。いつでも出撃はできるようにメンテナンスもしてある。
「よし…頑張ろう…皆」
皆と、呼んだのは、艦載機。流星、艦戦52型、彩雲そして、その中にはあの彗星の姿もあった。
(使えるか分からないけど、やるしかない…やるしか)
艦載機が弾丸に変わり、それをマガジンに挿入しながらそう思う。彼女はまだ、ここに着任してから間もない。出撃数も、敵を撃破した数も、この鎮守府の中では下の方。
不安を感じながらも大鳳は出撃をする準備を終え、鎮守府を出航した。
「間もなく深海棲艦の出現した海域よ。皆、油断しないように」
旗艦の飛龍が念を押すように言う。それもそのはず。敵はいつどこから現れるかわからない。飛龍がいつも言う、『慢心ダメ、絶対に』だ。
「蒼龍さん、偵察機からの報告は…?」
秋月型一番艦『秋月』が、一時間前に索敵機を発艦させた蒼龍に問いかける。だが、蒼龍は未だに索敵機からの入電を待ち続けてる。
「…!…索敵機より入電!敵艦隊を発見!」
入電を受け取った蒼龍に、艦隊一同の顔が引き締まる。
「先手必勝!直ちに攻撃隊の発艦を行います!」
「「了解!」」
飛龍の言葉に、蒼龍、大鳳がすぐに艦載機発艦の準備を行う。
飛龍「第一次攻撃隊!まずは、戦闘機隊…発艦!」
蒼龍「続いて…攻撃隊、発艦!」
大鳳「艦攻隊…お願いします!」
空母3隻から、弓矢と弾丸が放たれる。放たれたそれは空を裂くように飛び、次第にその姿を艦載機へと変える。飛び立っていく姿を、蒼龍達は、心配そうに見る。
蒼龍「頼んだわよ…」
再び蒼龍が空を見上げた時は、既に見えなくなっていた。
飛龍「摩耶と秋月は、そのまま周囲の警戒にあたって!」
摩耶「おう!任しときな!」
秋月「はい!」
今の蒼龍達に出来ることは、蒼龍達はただ、艦載機の帰還を待つのみだった。
さぁて………こっから先は、俺らの仕事かぁ…腕が鳴るぜ…!
空母戦は、どちらが先に空母を潰すかで勝敗が決まる。ほら、一昔前にゃ、「航空母艦主義」って言葉も流行ったぐらいだしな!
だが、道中とはいえ、油断はならねぇ。なぜなら、敵空母も既に艦載機を出してる場合があるからだ。その時は、俺は逃げることはまず不可能だ。何せ、俺は爆弾を装備している。つまり、何が言いたいかと言うと……身軽な戦闘機なら、捻り込みをして、相手の後ろをとって機銃で撃てば、はいおわりだ。が、俺達のような爆撃、艦攻の艦載機は魚雷、爆弾を装備している。その分の重量が加えられてるから、俺たちのような艦載機は振り切ることは出来ないんだ。え?もし敵に追われたら?その時は…俺たちは何もすることは出来ねぇ。恥ずかしいが、戦闘機隊の皆さんに助けて貰うんだ。
……おっと、飛龍の艦載機さんから入電だ。もうすぐ敵艦隊上空か…よし、気合入れていくか!
と思ってたときだった。俺の隣の艦爆機が突然の銃声と共に、翼から火を吹き、堕ちていった。
……なっ…?!上空から敵の艦載機!?
まさか、ずっと俺たちを着けてたのか?!てか、俺たちよりも高い数千メートルの高度で!迂闊だった…!
…ちっ!こうなったらもはや誰が誰だか分からねぇ!俺は既に、列機からはぐれちまった…!くっそ!
そのとき、俺は一瞬だけ、雲の隙間から、下を見下ろすことが出来た。敵の艦隊、空母ヲ級他3隻の空母を含めた艦隊が輪形陣を組んで待ち構えてる。
ん、空母機動部隊には今艦載機の護衛が無い……行けるか…!
よぉし、俺の後ろには敵機はいない。今がチャンスだ!
そう思った俺はすぐに、攻撃態勢に入る。他のみんなも、戦闘機隊が敵機の相手をしている隙に、何機か攻撃態勢に入ってるのが伺えた。
……よぉし、俺のお得意技!急降下爆撃をお見舞してやる…!
あっ言い忘れてたが、俺は急降下爆撃機だ。
爆撃機には、二つのタイプがあって、水平爆撃と、急降下爆撃がある
最初に言った水平爆撃は、その名の通り、海面に対し、艦載機が水平に移動しながら爆撃を行うこと。比較的安全なやり方だが、こいつにはデメリットがある。それは、爆弾を投下した際にできる誤差が大きいことだ。水平に動いていると、下が見えないからな。だから外す場合が多い。
次に、急降下爆撃。こっちもまたその名の通り、急降下しながら機体の爆弾を切り離し、投下する方法。で、水平爆撃と何が違うかっていうと……
こっちの方が命中率が結構高いし、水平爆撃と違って、直接目標に向かって突撃していく感じな訳だから、誤差も少ない。だが、これにもデメリットがあって、この爆撃、命中率は高いけど……沈めるまでには至らないんだ。さらに言うと、真っ逆さまに向かっていくわけだから、体にかかる負担もでかい。いつの日にか、俺の体がバラバラになるんじゃねぇかってぐらいに、だ。まぁ、壊れないよう設計されてるから壊れねぇけどよ!
さて、説明はこのくらいにして……と…艦攻隊が7機、艦爆隊が俺含め8機が、敵艦隊に向かっていく。敵の艦載機の何機かが俺達を行かせまいと、戦闘機隊の目を盗み、こちらへやって来る。敵の機銃が俺達を襲う。
それに加えて、周りにいる敵の随伴艦が、俺たちを撃ち墜とそうと高角砲やら高射砲を花火を撃つように黒煙を上げて砲弾を撃ってくる。が、まだ俺たちにゃ届かねぇ距離だ。けど、安心してられねぇ…後ろには敵の戦闘機。下には、敵艦隊。まさに前門の虎、後門の狼だな。
敵の機銃の網を掻い潜って、俺を含めた15機のうち、8機が爆撃、雷撃を行った。
8機のうち爆撃機5機は、空母ヲ級1隻撃沈に成功。艦攻機3機も、駆逐艦2隻を撃沈することに成功した。すげぇ…。
残った俺たちは、敵の砲撃が飛び交う中を突っ込んだ。蜂の巣ってのはまさにこのことだな。
残ったメンバーの中には、敵の戦闘機に撃たれ堕ちていったり、翼に当たって敵に届かぬまま海で爆発した。でも、たった7機で残りの随伴艦を落とせた。残ってるのは…旗艦の空母ヲ級……大破している…!よぉし…これで最後だァ!俺は、出来るだけ高く上へ向かう。そう、急降下爆撃だ。これを行うには、それなりの高度が必要になる。
よし、これで、終わりだァ!
そう思ったその時だった。
…!またあの頭痛だ。またか…!その一瞬が、俺の命取りだった…
しまっ…!後ろから俺を狙った敵の機銃が、左の翼に当たり、火を噴く。くっそ…なんてこった…!だが……これで終わりだなんて思うなよ!見てろよ!
俺はスピードを落とさぬまま、空母ヲ級へ真っ逆さまに堕ちていく。だがそれでいい。どの道、長くは持たないし、大鳳達の元には帰れねぇ。昔もあったっけか、確か……体当たり戦法?だっけなぁ…それって、こういうことを言うんだなぁ。
空母ヲ級が、空を見上げた。だが遅せぇよ。あばよ!俺は、ヲ級に激突した。そのとき、俺の体がヲ級に当たり、若干の痛みを伴ったが、それで意識は途絶えた。
――――ん…どこだココ……?白い…何だ、雲、霧か…?ともかく、前が見えないくらい濃い白いもので覆われている…。
……そうか、俺はヲ級に体当したんだった。てことは…つまり…死んだ?そういう事か。ん、プロペラの音……風が進行方向とは逆に向かって俺に当たってる…これって、俺、飛んでいる?!どういうこった!まさか、まだ夢でも見てるのか?!
その答えは、すぐに見つかった。霧のようなものが晴れていく。その下に、俺はある物が見えた。
―――あれは…船か…しかも空母だ…何だ…
ん、俺の体の中に、異物がある……誰だ?妖精さん…じゃあ無いな…降りろ!俺の体の中から出ていけ!
俺は体を右に左に動かそうとしたが出来ねぇ…何故だ…?体が言うことを聞かない…。
そんなことを考えていたら、俺の体の中の異物は口を開いた。
「大鳳……ご苦労だった…」
異物の正体は…人間。操縦士だった。つまり俺は昔の彗星になってるのか。いや、昔の記憶を見てるって言った方がいいんだな。だから体が動かないんだ。
あの燃える船…大鳳なのか……。俺がそう考えていると、パイロットは、左手で敬礼を大鳳に向けて送った姿を、俺はしっかりと見た。
「みんなの敵、討ってきます…!」
そう言い、パイロットは俺の操縦桿をしっかりと握る。握ったその手から憎しみと哀しみ、そして怒りが、ひしひしと伝わった。
暫くその船。大鳳の周りを旋回していたがその後、去っていた。去り際に俺は、燃える甲板の上で、一人の少女が俺の方を心配そうな目で見つめていたような気がした。だが俺は振り返らない。護れなかったんだ、大鳳のこと……。そうか、もしかして、俺がいつも抱いていたあの気持ち、ここから来てたのか。なんで忘れてたんだ……。
場面は飛び、俺は夥しい敵の艦隊の機銃が飛び交う中を掻い潜るように飛んでいた。機銃の撃つ音、耳を劈くような轟音が、現のように伝わる。
……パイロットが狙ってるのは、おそらく空母だろう。空母さえ潰せば、艦載機が減る。航空母艦主義の時代には、空母は格好の的だ。
「…うぉぉおおおおおお!!」
操縦士は咆哮を上げながら、空母に突っ込んでいく。既に俺の体には、いくつもの弾痕があり、左の翼が火を噴いていた。操縦士の方も戦闘機の機銃を受けて、体は血まみれ、右腕は弾が当たって、もう動かない。それでも、意識が飛びそうになるような激痛に抗おうと、声を枯らすほどの咆哮を上げる。
俺の機体は高度を保ち、そのまま真っ逆さまに堕ちていく。
この時俺は気づいた。これは、俺が爆撃する際に見た光景じゃないか。なんで気が付かなった。
そうこうしてるうちに、もう少し…あと少しで当たりそうなその距離だった…
俺の体は空中で分解、錐揉みし、敵の空母に当たることなく海に堕ちた。
そして、俺の目の前が……だんだん白くなっていく……あぁ、サヨナラだ…
永い、眠りにつきそうだな……
色々悩んだ結果。こんな形で終わりになりました。お粗末な作品です…
こうした方がいい、こういうシナリオだったら等、意見がございましたらコメントの方と、評価の方、よろしくお願いします。