マリオブラザーズの旅 〜the Wonderful World~ 作:ガリュウ432
1話 「力を持つ者」
整備された道を一台のモトラド(二輪車。空を飛ばないものを指す)が走っている。
だが今日ばかりはすこし様子が変。
「エルメス。今日、調子悪くないかい?」
「・・・うーん。せっかくいい道を走ってるんだけどあまりいいとは言えないねキノ。昨日にショートカットとか言って無闇に坂を下ったのが裏目ったみたいだ。だから言ったじゃないか。モトラドにあんな無茶なことをさせるなって。」
キノとモトラドに呼ばれた旅人はごめんよと、
一言だけ詫びを入れる。
だが、心を持ったモトラドとはいえ、機械は機械だし故障は故障。
みるみるうちにスピードは落ちていき次第に止まってしまった。
「キノ、こりゃダメだ。エンジンがやられちゃったよ。押していくか、モトラド職人が通ることを祈るしかないね。」
判断を委ねられ、キノは、
「無闇矢鱈に動いても無駄に腹が減るだけ。ここで待っておこう。幸い、とても今日は涼しいしね。」
「呑気なんだか危機感がないんだか。」
整備された道をある1台のワゴン車(四輪車の中でも多数の人数が座れ、空を飛ばないものを指す。)が走っている。
異常な様子は微塵も見せず軽快に走る。
「ねえマリオ。今から行く国って、どんな国なの?」
マリオと呼ばれた運転席の旅人はワゴン車に話す。
「・・・どんな国だったかな。悪ぃスサタ。忘れちまった。ルイージ、覚えてるか?」
スサタと呼ばれたワゴン車は「えー」とため息混じりに落胆。
ルイージと呼ばれた助手席の旅人はマリオに話す。
「兄さんがそこに行こうって言ったんじゃないか・・・。キノコ料理が名物の、大きめの国らしいよ。」
「ああ、そうだったな。」
するとマリオが何かを発見する。
「あれ・・・?なんだ?バイク・・・。いや、『この世界』ではモトラドだったな。モトラドが止まってる。」
「こんな道のど真ん中で珍しい。エンストかなぁ?」
ルイージが予想する。
「恐らくそうだろね。近くに運転手もいるね。」
「ちょっと行ってみますか。」
マリオはアクセルを踏み込んだ。
「・・・キノ。ワゴンが来たよ。」
「ワゴン?珍しいね。」
銀色のワゴン車がキノ達の前に止まる。
「こんにちは旅人さん。」
「こんにちは。」
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「どうしたんだいこんな所で。」
ルイージがキノに問う。
「うちのモトラドがエンストしてしまって。」
「キノの荒い運転が原因じゃないかー。」
「ははは。その様子だと粗方高いとこからか、斜度の急な坂を下ったろ?このモトラド、サスペンションがイカレかけてるぜ。」
キノが頷きつつ、目を丸くする。
目の前に瓜二つ、いやほぼ同じ顔のふたりがいたからだ。
「全員同じ顔の国はあったけど・・・。」
「ああ、紹介が遅れたな。俺はマリオだ。こっちが弟のルイージ。んで、ワゴンのスサタだ。」
「宜しく。」
「よろしくねー。」
「なんと。兄弟だったんだね。そっくりな訳だ。」
エルメスが納得する。
「僕はキノです。こっちがエルメス。」
「よろしくー。」
「・・・おう。よろしく頼む。」
キノはマリオが一瞬返事に突っかかったことを気にするがすぐに忘れる。
「ところで、キノ。エルメス乗っけて、次の国まで乗せてってあげようか?」
ルイージからのお誘い。
キノは少し考える。
するとマリオが、
「安心しろ。何も取らんし何もしない。あんたが強いのは目に見えてわかる。ま、問題は目的地が一緒かどうかだけどな。」
「ああ、そこはお気になさらず。僕も、何か取ろうという気はありませんから。マリオさんたちが強いのはわかります。」
「『ギャグもまた確かに』だね。」
「・・・?」
ルイージが首を傾げる。
「もしかして逆もまた然り?」
スサタが言う。
「そうそれ!」
キノがタンクを蹴飛ばす。
「痛いなぁ。一応けが人みたいなもんだよ?」
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「じゃ、シートも畳んだし、エルメス君を載せていくよー。」
「ひゃー、こりゃまた広いワゴンだ。僕が乗ってもまだキノが後ろに座れるスペースがあるじゃないか。」
キノが後部座席の扉を開け、運転席の後ろのシートに座る。
「失礼します。・・・ホントだ。とっても広い。」
すると兄弟二人が弟は助手席、兄は運転席に乗り込んだ。
マリオが自慢げに話す。
「まあなー。モトラドの旅も爽快でいいと思うが、車も楽だぜ。テントもはらなくていいしな。」
「荷物が減るし、万が一増えても載せたって全然余裕だしねー。」
ルイージも補足する。
「ふむ・・・、いいですね。」
「え、キノ。ひょっとして僕クビかい?」
エルメスが焦り口調で話しかける。
するとキノは少し微笑んだ様子で、
「冗談だよ。僕みたいな一人旅には、エルメス位のモトラドが一番合ってる。」
と言った。
「確かにな。キノみたいな一人旅にはモトラドがいい。ワゴンはまあ燃費悪ぃぜ。スサタはいい方だけど。」
マリオが苦笑いで話す。
「ところでキノさん達はあの国になんの目当てで行くんだい?」
ルイージが聞く。
「あの国はきのこ料理がとても美味しいと聞いて・・・。」
「結局飯の話ー。」
「・・・うるさいなぁ。エルメスだってガソリンとかのことばかり気にするじゃないか。」
「ガソリンはモトラドの命だからね。」
マリオが少し微笑む。
「はははっ。分かるぜ。旅は行く国々で資金を稼いだりすんのも大事だがやはり名物の食べ物が大事だよな。」
「それには同意します。」
車内で談笑をしている間、キノはどうも前の兄弟が腰に下ろしているパースエイダーが気になっていた。
するとエルメスが小声で、
「キノ。ありゃ相当反動も威力も半端じゃないパースエイダーだ。オートの中ではトップクラスだ。」
「驚いた。話には聞いたことあるけど、まさかここで見れるなんて。」
小声でふたりが会話していると、
運転席のマリオから
「腰のパースエイダーが気になるか?」
と、声をかけられた。
「ええ、少し。僕の予想ですが、そのパースエイダーはとんでもない威力のパースエイダーではないでしょうか?」
「ご名答。人はこのパースエイダーを『デザートイーグル』と呼んだりもするな。これ、片手で撃っちゃダメらしいぜ。肩が吹っ飛んじまうらしい。」
それを聞きエルメスが
「おお・・・、そりゃ恐ろしい。」
と本音を漏らした。
「でもあなた方はこれも勝手な予想ですが、パースエイダーは必要ないほど強いように見受けられます。なぜパースエイダーを?」
「そうだな・・・。ま、昔話になっちまうが、国までの道のりのラジオだと思ってくれ。」
昔話が始まりつつ、1台のワゴン車は人3人と、モトラド1台を載せ国を目指し、走っていった。
次回はマリオの過去編。
パースエイダーを持つ理由に迫る。