マリオブラザーズの旅 〜the Wonderful World~ 作:ガリュウ432
ある1台のバイクが山道を下るように走っていました。
ですがバイク、というのはこの世界で通じる言葉ではありません。モトラド(二輪車。空を飛ばないものを指す。)と言って初めて通じます。
旅人であるマリオは山道を勢いよく下っていますが、これは意図的なものではなく、モトラドの不調によるもの。
「くっそが!こんな時にハンドルが折れやがった!エンジンも止まんねぇ・・・!」
マリオはひとまず、命だけは助かろうと頭を守りました。
その後、巨大な岩にぶつかり、マリオの身体は宙に投げ出され、モトラドはバラバラになって吹き飛びます。
あるひとりの老婆がいました。
しかし老婆と言っても背筋はピンとしており、背も高い女性でした。
「・・・今日は何か胸騒ぎがしますね。」
今は自分を師匠としたう少女が森できのみを拾いに行くよう指示を出しており、今ちょうど帰ってきました。
「師匠!今戻りました!」
「お帰りなさい。キノ。」
すると家の前の庭にどすんと何かが落ちる音がしました。
「・・・おや。人間が落ちてきました。おかしい事もあるものです。上から雨やヤリや銃弾が降ってきたことはあるんですが・・・。」
「あるんですかそんなこと・・・。」
それも基本ないことですがこの人だからあることでしょう。
「しかし、人の家の庭で倒れている人間を見過ごせるほどの勇気はないので、保護するだけしときましょうか。キノ、手伝ってください。」
「はい!師匠!」
老婆とキノと呼ばれた少女は家のなかへとヒゲの男を運びます。
マリオが目覚めた時、そこはベッドの上でした。
「ん・・・?あれ?助かった・・・ぽい?」
すると、タタタタンッぱーん。ずどーん。
と窓の外から銃声が聞こえてきました。
「・・・俺は蛮族かなんかに捕えられたのか?」
そう呟き、窓の外を見ます。すると、白髪の老婆が少女に銃の扱い方を伝授しています。
「銃・・・か。あ、ここじゃパースエイダーっつうんだっけ。ひとまず、外出て感謝だけでもしとかねぇと。」
マリオはベッドから起き上がろうとします。
しかし、モトラドから転げ落ちたせいで全身が鞭打ち状態。
一日ちょっとで治るもんじゃありません。
体に激痛が走ります。
「ぐっ・・・!あってて・・・。駄目だ。動けねぇ・・・。」
「無理してはダメですよ。」
いつの間にか、外にいた老婆が扉の前にいました。
少女も一緒です。
「ん・・・。ああ、ここの人か。済まない。助かった。」
「いえ、お気になさらず。ですが、モトラドに乗る者としてはヘルメットをしなかったのは感心できませんね。」
痛いところを突かれ、マリオは肩を竦めます。
「うっ・・・。何も言えん・・・。」
「ですが、ひとつ伝えるならば、あなたのモトラドはバラバラです。」
「あ、やっぱりか。」
「命が助かっただけ良かったと思いなさい。一応名前を聞いておきましょうか。」
「俺はマリオだ。旅をしている。」
マリオと名乗ったヒゲの男は、老婆にも名前を聞きます。
「この子がキノです。そうですね。私はシショーとでも名乗っておきましょうか。」
本名でないことは確実ですが、マリオは流します。
するとシショーはマリオを凝視します。
「・・・ふむ。やめておきましょう。」
「・・・その様子だと、あんた、俺の手荷物からなにか取って治り次第ほっぽり出すつもりだったな?」
「おや、鋭いですね。」
まあな。とマリオは答え、ベッドの下にあったマリオの鞄を漁ります。そして、カバンの中から取り出したパースエイダーを渡します。
「これ、受け取りな。」
「・・・どういうつもりで?」
「保護してくれた感謝の気持ちみたいなもんだ。さっき見てたらアンタらパースエイダーを多用してるみたいだからな。ここに来る途中に国で貰ったもんだが、生憎俺はパースエイダーは使わないんだ。あんたらは銃はあったほうがいいだろ?」
キノは物珍しそうに、シショーの持つ銃を見ます。
「師匠。これどんな銃ですか?」
するとシショーは首を振り、
「これは私たちには扱えない代物ですね。それに、このパースエイダーはその国の人から受け取った本人であるあなたが使った方が良さそうです。ですが、あなたにはパースエイダーは必要のない物のようですね。」
シショーはマリオの実力を見抜いていきます。
この男は、戦わずとも危険なオーラを出せる。そんな人間なのです。
「あなたは力を持つ者ですが、さらに強大な力を持つことで、この先、人との接し方で安全になるでしょう。体は動かせますか?」
「さっき無理すんなって言ったのに・・・。・・・まあ、このスーパーキノコさえ食えばいけるけどよ。」
キノコだけで重傷の体を完治させるので尚恐ろしいです。
「キノも付いてきなさい。彼はあなたにとっていい影響を及ぼします。」
「はい!」
マリオはシショー達に連れられ、パースエイダーの練習場のようなところに来ます。
「おや、師匠。新入りかい?」
「まあ、そのようなものです。エルメス、一応留守番頼みましたよ。怪しい者が来たら撃退するように。」
「無理言わないでよ師匠・・・。」
(喋るのかこのモトラド・・・。)
不思議に感じるのも無理はないです。
「さて、今このあなたのパースエイダーには実弾を入れてます。慎重に扱うように。あと、撃つまでは絶対にトリガーに指をかけない。いいですね?」
「ああ。」
一応、使わないとは言いましたが、マリオもパースエイダーの扱いがわからない訳では無いので、半分復習みたいなものです。
一通り手順を済ませ、狙いをつけます。
目の前に立ててある丸太のバツ印を狙い、パースエイダーを構えます。
「さ、撃ってみなさい。いつでも構いません。あとキノ。耳を塞いでおくように。」
「・・・?はい、分かりました。」
マリオは深呼吸し、心を整えます。
そして、片手で持ち、構え、トリガーに指をかけ、引きます。
ズドンッ!!!!!!!!!!
と撃ったあと肩にとんでもない衝撃が伝わってきました。
「っ!?なんだこれ!?」
「あぁ、伝えるの忘れてました。それは世では『デザートイーグル』と呼ばれるパースエイダーです。オート式では最強のものです。その分反動も大きいので、片手で撃つと肩にが最悪吹っ飛びますよ。・・・吹っ飛ばず、痺れるだけなのは恐らく貴方だからでしょうね。」
「なんだそのわけわからん理由・・・。」
困惑するのも無理ありません。
「まあ、初めて撃って初っ端から木に当たるなら上出来でしょう。というより、体術なんかは私があなたに教えることはありません。キノ。あれを。」
「はい!」
キノは奥から、少し古ぼけた小さめのモトラドを出してきました。
「・・・これは?」
「まさかあなた歩いて旅するなんて出来ないでしょう。幸い、ここから近い国は機械の技術が優れています。そこで車を買ってはいかがでしょうか。」
「そうか。世話んなったな。キノ、お前が旅に出た時、若しかしたら旅先で俺に会うかもしんねぇ。」
「はい。」
「そん時はまた、よろしく頼むぜ。」
「分かりました!」
マリオは2人の女に出会い、また古ぼけたモトラドに跨り、最寄りの教えられた国を目指しました。
「このパースエイダーは常に携帯しておこうか。確かに、シショーの言う通り、力ある奴が、さらに力を持っても良さそうだ。」
しかし、マリオは出発する前にシショーに言われたことを思い出します。
『パースエイダーの力を自分の力と思わないこと。これを忘れると、パースエイダーで死ぬことになりますよ。』
「・・・確かにな。力を持つの最もだが、持ちすぎってのも考えもんだな。」