オーバーロード~不滅の心臓~ 作:ノック
「こんばんわ、皆さん」
「うーっす」
「こんこん」
「こんばんわ」
モモンガがログインすると、既に全員が揃っていた。
今日はユグドラシル最終日。
モモンガが手に入れた二十をきっかけに、メンバーは少しずつだが戻ってき始めた。
そして、ついには全員が戻ってきたのだ。
隠し鉱山から超超超希少金属を掘り尽くしたり、新たにNPCを大量に作ったり、大規模な模様替えをしたり。
ヘルヘイムの隅から隅まで冒険し尽くし、最終日を迎えた。
「いやー、今日で終わっちゃうなんて・・・一度引退した身ですけど、なんとなく寂しいもんですね」
「そうですね。はぁ、もっと遊びたかったな」
「だったら、また別のゲームで集まって遊ばない?」
「あ、それいいですね。三日後くらいに仮想集会所に集まりましょう」
「集まれなくても、メールでやり取りすればいいしね」
「おいおい。まだ終わってないだろ。ほら、ギルド長も呆れてモノも言えないって感じだぞ?」
急に話を振られ、モモンガは「え?」と声を漏らし、ギルメン全員の視線がモモンガに集まる。
「あれ、モモンガさん怒ってる?だったらごめん!まだユグドラシル終わってないもんね!」
終わった後の事を話していたギルメンが謝ってくる。
それにモモンガは両手を振って「いやいや」と言う。
「怒ってませんよ。ただ・・・」
「ただ?」
「最終日だっていうのに、こうして皆さんと話せるのが嬉しくて・・・少し前まで、俺一人・・・たまに一人ログインしてくれるだけでしたので・・・最終日もこうして一人で迎えるのかなって・・・あ、いや、責めてる訳じゃないんです。引退したのだって、皆さんなりの事情があるって知ってますし」
そう言うと、ギルメンたちは震え出し、鼻を啜る音が聞こえ出す。
「ご、ごめんねぇ。ごめんねぇ」
「モ、モモンガざん!ごめんなさい!寂しい思いさせてごめんなさい!」
「誰だ!モモンガさんにここまで寂しい思いをさせた奴!俺らだ!」
「抱きしめたいけど、ハラスメントでBANされる!くっそぉ!」
「おぉおおおお!」
「え、あの、皆さん?落ち着いて。落ち着いてください」
乱舞するギルメンたちを落ち着かせるモモンガ。
そして、それから今までの思い出を話し始める。
気づけば、終了30分前だった。
「皆さん、最後は玉座の間で終わるってのはどうでしょう」
「いいですね。行きましょう」
「じゃあ、行こう行こう」
壊れることのないギルド武器を持ち、モモンガたちはナザリック地下大墳墓の最奥部。
玉座の間へと向かった。
途中で執事のセバスと戦闘メイド「プレアデス」たちを引き連れ、玉座の間にたどり着いたギルメンたちはわいわいと話し始める。
「やっぱり此処は手が込んでるね」
「でしょでしょ。デザイナーたちが頑張ってくれたんだよな」
「マジで死ぬかと思ったよ。あの時は」
豪華絢爛の玉座の間を作った時の事を思い出して話し始めるギルメンたち。
「ん?」
「あれ?」
「どうしました?」
「いや、アルベド・・・」
「
全員が最高位NPCである守護者統括アルベドが握る黒い短杖へ視線を注ぎ、そして製作者であるタブラ・スマラグディナへと向けられた。
「・・・・・・テヘッ★」
「何がテヘッ★だ!るし★ふぁーか、この野郎!」
「世界級が六十個あるにしても、無断はいけませんよ!」
「PVPを申し込んだろか!」
「ちょい待ち。俺って、罵倒言葉なの?」
「今までの所業を省みろ!この問題児!」
「・・・・・・テヘッ★」
「ほら見ろ!るし★ふぁーじゃねぇか!」
ぎゃいぎゃいわいのわいのと騒ぎ出すギルメンに、冷静なメンバーたちはため息を付く。
モモンガは無言で巨大な水晶から切り出したような玉座に座り、ギルド武器で床を叩いた。
甲高い音と共に、騒いでいたギルメンたちが静まり返る。
「騒々しい。静かにせよ」
(((非公式ラスボス!魔王モードキター!)))
ギルメンたちはすぐにモモンガのロールに付き合うために跪く。
「申し訳ございません、我らが王よ」
「偉大なる御方の前で騒いだ者は、後で私どもが仕置しておきます故・・・どうぞ、お許しを」
冷静だったギルメン───ぷにっと萌えと死獣天朱雀がそう言うと、モモンガは頷く。
「我が友、ぷにっと萌えよ。かの報告を頼む」
「はっ・・・様々な対策をして参りましたが、もうまもなくユグドラシルは消滅します」
「そうか。もはや避けられぬか」
モモンガは残念そうにそう呟くと、立ち上がった。
「かつて1500人の大軍勢を退けた我々でさえも、世界の滅びの運命を覆すことはできなかった。だが、これだけは言っておこう」
ギルド武器スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掲げ、モモンガは宣言した。
「世界が滅びようとも!我らアインズ・ウール・ゴウンは永久に不滅だ!歌え!我らが友たちよ!叫べ!我らが友たちよ!願え!我が友たちよ!我らを称えるあの言葉を!」
「「「「アインズ・ウール・ゴウン万歳!アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」」」」
ギルメンたちがそう叫び、その直後、ユグドラシルはサービスを終了した。
「「「アインズ・ウール・ゴウン万歳!」」」
「「「「・・・・・はい?」」」」
そして、世界が始まった。