強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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終焉の強欲

「離して、イッセー!レンが!レンが!」

 

「ダメです、部長!今行けば部長までマモンに喰われてしまいます!」

 

マモンに喰われていった煉とカテレア。マモンは空を優雅に飛んでいるなかリアスは涙を流しながらマモンのところに行こうとするが、一誠が止めていた。

 

「お願い、イッセー!離して!今ならまだ助けられるかもしれないの!」

 

「助けるって言うがどうやって助けるんだ?マモンの餌になるのがオチだぞ」

 

アザゼルが淡々とリアスに言うとリアスはアザゼルに激高する。

 

「黙りなさい、アザゼル!何も知らないくせにそんなこと言わないでちょうだい!」

 

「部長!」

 

一誠はリアスの肩を掴む。

 

「落ち着いてください、部長!レンがこんなことで死ぬわけないじゃないですか!それに言っていたじゃないですか。部長を抱くまで死ぬつもりはないって・・・だから、レンを愛している部長が信じなくてどうするんですか・・・」

 

一誠の言葉にリアスは目を見開き驚く。

 

「俺は、バカだから、どうすればいいのかわかりません。でも、レンを・・・親友を信じます。あいつはこんなところで死ぬ奴じゃありません!」

 

一誠はリアスに大きく言い放つとリアスは涙をぬぐう。

 

「・・・・そうね、ごめんなさい、イッセー。冷静じゃなかったわ。そうよね、レンがこんなことで死ぬわけないわよね」

 

リアスが一誠の言葉で落ち着きを取り戻した。

 

「なんだ、カテレアはやられたのか。やはり予定どおりにいかないもんだな」

 

空から全身白い鎧に包まれた男、ヴァーリが降ってきた。

 

「・・・・ヴァーリ、予定どおりにいかないとは、どういうことだ?」

 

アザゼルは表情を険しくさせ、ヴァーリに訊くと

 

「簡単だよ、アザゼル。俺は禍の団(カオス・ブリゲード)に入っているからだ。と、言ってもオーフィスに協力するだけだがな」

 

「いつからだ?いつから、そういうことになった?」

 

「コカビエルを回収に行って帰る途中でオファーを受けたんだ。悪いな、アザゼル。こちらのほうがおもしろそうなんだ」

 

「俺はおまえに『強くなれ』と言ったが、『世界を滅ばす要因だけは作るな』とも言ったはずだ」

 

「関係ない。俺は永遠に戦えればいいだけだ」

 

「・・・・そうかよ。いや、俺は心のどこかでおまえが手元から離れていくのを予想していたのかもしれない。で、どうする?俺と戦うか?」

 

アザゼルは十二の翼を展開するが、ヴァーリは視線を一誠に向ける。

 

「・・・・なあ、アザゼル。運命とは残酷だと思わないか?」

 

ヴァーリはそう言うと背中から光の翼と悪魔の翼が幾重にも生えだした。

 

「俺の本名はヴァーリ・ルシファーだ。死んだ先代の魔王ルシファーの血を引く者なんだ。けど、俺は旧魔王の孫である父と人間の母との間に生まれた混血児。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の神器は半分人間だから手に入れたものだ。偶然だけどな。でも、ルシファーの真の血縁者でもあり、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』でもある俺が誕生した。運命、奇跡というものがあるのなら、俺のことかもしれない。なんてな。だが」

 

ヴァーリは一誠を指し言う。

 

「キミのことは少し調べた。父は普通のサラリーマン。母は普通の専業主婦で、たまにパートに出ている。両親の血縁はまったくもって普通。先祖に力を持った能力者、術者がいたわけではない。もちろん、先祖が悪魔や天使に関わったこともない。本当に何の変哲もない。キミの友人関係も煉 ヴィクトル以外特別な存在ではない。キミ自身悪魔に転生するまで極普通の男子高校生だった。ブーステッド・ギア以外、何もない」

 

ヴァーリは哀れむような表情で、嘲笑う。

 

「つまらないな。あまりにもつまらない。煉 ヴィクトルが赤龍帝なら楽しめたのに、キミが赤龍帝だと知ったとき落胆よりも笑いが出た。『ああ、これが俺のライバルなんだ。まいったな』って。せめて、親が魔術師ならば、話は少しでも変わったかもしれないが・・・。そうだ!こういう設定はどうだろうか?キミは復讐者になるんだ!」

 

ヴァーリの言葉に一誠は首を傾げる。だが、次の言葉でその意味はわかった。

 

「俺がキミの両親を殺そう。そうすれば、キミの身の上に少しはおもしろいものになる。親を俺のような貴重な存在に殺されれば晴れて重厚な運命に身を委ねられるとおもわないか?うん、そうしよう。どうせ、キミの両親は今後も普通に暮らし普通に老いて、普通に死んでいく。そんなつまらない人生よりも俺の話した設定のほうが華やかだ!な?」

 

「殺すぞ、この野郎」

 

一誠はぼそりと口に出した。

 

「・・・殺す?俺の父さんと母さんを?なんで、てめえなんかの都合に合わせて殺されなくちゃいけないんだよ。貴重だとか、運命だとか、そんなの知るかよッ!てめえなんぞに俺の親を殺されてたまるかよォォォォォォォォォォッッ!」

 

『Welsh Dragon Over Booster!!!』

 

一誠の怒りに呼応したのか、神器が真っ赤で強大なオーラを解き放ち始めた。そして、一誠は全身に赤い鎧を見に包む。

 

「見ろ、アルビオン。兵藤一誠の力が桁違いに上がったぞ。怒りという単純明快な理由が引き金だが、これは・・・・ハハハハ、心地良い龍の波動だな」

 

『神器は単純で強い想いほど、力の糧とする。兵藤一誠の怒りは純粋なほど、おまえに向けられているのさ。真っ直ぐな奴ほど、それこそ・・・気をつけろ、ヴァーリ!』

 

「どうしたんだ?アルビオン」

 

突然のアルビオンの警告に怪訝そうにするヴァーリだがアルビオンだけじゃなかった。

 

『相棒!お前も気をつけろ!』

 

「ドライグ!?どうしたんだ!?」

 

ドライグも突然の警告。すると、ドライグがアルビオンに言う。

 

『アルビオン、お前も気づいているだろう!?』

 

『ああ、気づいているさ。ヴァーリ!今すぐに撤退だ!』

 

「撤退?どういう意味だ、アルビオン。説明」

 

ヴァーリの言葉はそこで途切れるかのように黙る。まだ、状況が呑み込めていない一誠は何があったのかわからなかった。

 

「イッセー!マモンが!」

 

一誠はリアスの言葉を聞いてマモンを見ると先程まで学校上空を優雅に飛んでいたマモンは動きを止めていた。そして、マモンの背中に大きな亀裂が生まれていた。

 

『相棒!お前も今すぐ逃げたほうがいい!あの亀裂からとんでもない力が溢れている!』

 

「ちょっ!マジかよ!?・・・・ちょっと待てよ、それってレンなのか!?」

 

『わからん、だが、これは先程までの煉 ヴィクトルとは違うオーラを感じる』

 

「どいうことだよ、ドライグ!?俺にわかるように説明してくれ!」

 

一誠がドライグに説明を求めていると、何かが破裂するかのような音が学園に鳴り響く。その音源はマモンの背中から出てきた......煉だった。

 

「レン!無事だった・・・の・・・」

 

一誠が煉の無事に安堵していたが、煉の姿を見て、思わず息を詰まらせた。煉は首から足元まで黒で覆われたロングコートを着た煉の姿。だが、問題は煉の体から溢れ出ている威圧感。そして右手に握られている大剣。

 

「・・・・・・」

 

煉は無言のまま首を動かし辺りを眺め回す。そして、小さく息を吐く。

 

「・・・・全員、今すぐここから離れな。ヴァーリ!お前もだ!」

 

アザゼルが一誠たちにそう叫ぶ。だが、ヴァーリは

 

「何故だ?アザゼル。今の煉 ヴィクトルはさっきまでとは別人にような強さを感じる。俺は戦ってみたいのだが」

 

「いいから黙って言うことを聞け!いいか!?今のあいつは」

 

ザシュ!

 

「「「えっ?」」」

 

ヴァーリ、一誠、リアスは突然のことに何が起きたのかわからなかった。いつのまにかアザゼルの背後に現れた煉の右手に握られている黒い大剣にアザゼルの左腕を斬りおとしたという現実を一誠たちは遅れながらも理解できた。

 

「ちっ!」

 

アザゼルは舌打ちをして、光の槍で煉に攻撃しようとする。だが、煉は大剣で防ぐ。その時アザゼルは毒づくかのようにその大剣を見る。

 

「黒い大剣、そして、刀身の中央にある赤い意匠のように散りばった様な紋様。やはりそれは、終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)。伝承どおりの大剣か」

 

アザゼルがそう言うと煉は表情を変えずアザゼルに言う。

 

「何故、貴様がこの剣のことを知っている?」

 

ギロリと視線を鋭くする煉。

 

「もう煉 ヴィクトルという人格はいねえのか?」

 

煉の質問にアザゼルは質問で返すと煉の視線の鋭さがさらに強くなる。

 

「質問の意味がわからん。煉 ヴィクトルとは我のことか?」

 

煉は自分の名前も覚えていなかった。アザゼルは煉から距離を取り、リアスたちに言う。

 

「てめえら、今すぐにここから離れな!今のこいつは魔王クラスかそれ以上の力を持っているのは俺の腕が飛ばされたことで理解しているだろ!お前ら逃げるまで時間は稼いでやるから逃げな!」

 

「アザゼル!レンをどうするつもりなの!?」

 

「殺す、それ以外ない」

 

リアスの言葉にアザゼルは冷徹な言葉を放つ。それを聞いたリアスと一誠は目を見開く。

 

「煉 ヴィクトルが握っている大剣は初代魔王の一人グラシス・マモンが唯一使っていたという魔剣だ!伝承どおりならあの魔剣は生き物すべての欲を吸い、与え、そして持ち主の力にする。だが、その影響で持ち主は自分の欲を満たすために全て終わらせる。それでついた名前が終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)

 

「そうだ、貴様ら欲を吸いその欲を叶え、我が欲として貴様らを消すとしよう」

 

煉は終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)をかまえると同時に姿が消えた。

 

「ぐはっ!?」

 

「ぐっ!」

 

煉が姿を消すと同時、一誠とヴァーリの鎧が一瞬で粉砕された。

 

「イッセー!?」

 

リアスは鎧が砕かれた一誠を心配するかのように声を上げる。ヴァーリは鎧が砕けた状態でも煉に無限にも等しい魔力の弾を放つが

 

「無駄だ」

 

煉の大剣の一振りでそれは消滅した。

 

「レン!いったいどうしてそうなったんだよ!?いつものお前に戻れよ!」

 

一誠がそう叫ぶが煉は一誠一気に近づき大剣を振り下ろそうとするが、

 

「アスカロン!」

 

『Blade!』

 

一誠は籠手からアスカロンを取り出し煉の一撃を防ぐが、煉の一振りがあまりのも重いためそのまま地面に叩きつけたれた。

 

「ガハッ!」

 

『相棒、無事か?』

 

ドライグが一誠を心配そうに訊く。すると、一誠は起き上がる。

 

「ああ、なんとかな。でも、なんなんだ、レンのあの姿は。もしかしてマモンに喰われたせいなのか?」

 

『・・・俺もよくはわからん。だが、今のあいつの力は魔王クラス以上だ。これは俺の推測だが、おそらく、マモンに喰われたせいで奴はマモンと一体化したのだろう。だが、今はその力に飲まれていると見ていいだろう』

 

「じゃあ、どうすれば、レンを助けられるんだ!?」

 

一誠がドライグにそう言うとドライグは少し考えるかのように黙り、こう答えた。

 

『・・・・奴の精神を揺さぶる何かがあれば正気に戻るかもしれんが』

 

「レンの精神を揺さぶるもの?いったいなんなんだよ、それは・・・」

 

『俺よりも相棒のほうが知ってるだろう』

 

て、言われてもな・・・・。レンの精神を揺さぶるもの・・・。

 

一誠が考えていると煉はヴァーリと一誠を見る。

 

「貴様が戦闘欲に貴様が性欲。しかも、それ以外の欲望は小さい。随分と極端だな」

 

煉はそう呟くと終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)を地面に突き刺す。すると、大剣の刀身にある赤い紋様みたいなものが光始め一瞬の閃光を放つ。

 

「グッ」

 

一誠はあまりの眩しさに目を閉じる。そして、しばらくして目を開けると

 

「イッセーさん、やっと起きたのですね」

 

「アーシア?」

 

一誠の目の前に制服姿のアーシアがいた。

 

「アーシア!どうして、アーシアがここに!?俺は確かレンやヴァーリと戦っていたはずじゃあ、いや、それより、アーシアは今、停まっているはず・・・」

 

一誠は今起きている出来事と覚えている現実は違っていた。すると、アーシアは首を傾げる。

 

「どうしたのですか?イッセーさん。まだ、眠いのですか?でしたら」

 

アーシアは一誠の頭を持つと、膝枕をする。

 

うひょょおおおおおおおおおおっ!なんだかよくわからんがアーシアの太もも柔らけえ!

 

『相棒!目を覚ませ!』

 

ドライグが一誠に喝を入れ、一誠は正気に戻る。

 

『相棒、これは幻術だ。あの魔剣の力で今、相棒は奴に幻術を見せられているんだ』

 

「なに!?それじゃあこのアーシアは」

 

『幻だ。今のところ問題はなさそうだが、早く脱出したほうがいい』

 

「わ、わかった!」

 

一誠はドライグに言葉に応じるようにすぐに立ち上がる。

 

「あ、イッセーさん。どこに行くんですか?」

 

「えっと、ゴメン!アーシア!」

 

幻とはいえ、一誠は両手を合わせてアーシアに謝る。すると、

 

ぎゅ

 

アーシアは一誠の背中を強く抱きしめてきた。

 

「イッセーさん、どこにも行かないでください」

 

「ア、アーシア・・・」

 

一誠は後ろを見るとアーシアは涙目で一誠にしがみついていた。さらに、

 

「そうだぞ、イッセー。まだ、私たちとの子作りは終わってないぞ」

 

「ゼノヴィア!?」

 

アーシアの後ろにいつのまにかゼノヴィアがいた。

 

「私たちを置いてどこに行こうとしているんだ。これから、私とアーシアとの子作りをするっていったのはイッセーだぞ」

 

「マジかっ!?同時!?まさかの同時!?俺の初めては3P!?」

 

ゼノヴィアの言葉に驚愕する一誠。だが、ドライグが一誠を落ち着かせるように言う。

 

『相棒、落ち着け。これは幻だと言っただろ。そういう風にされているんだ』

 

一誠はドライグの言葉を聞いて頭を振るう。すると、ゼノヴィアが一誠に近づいて一誠の手を取り自分の胸へと誘導させる。

 

ゼノヴィアのおっぱい柔らけぇぇぇぇぇぇぇええええっ!これ、本当に幻かよ!?リアル感、ハンパねえぞ!

 

一誠はゼノヴィアの胸を触ると同時鼻血を噴き出す。

 

「ゼノヴィアさんばっかりずるいです!私も!」

 

アーシアがもう片方の一誠の手を取って自分の胸へと当てる。

 

「イッセーさん、私とゼノヴィアさんの・・・どちらが気持ちいいですか?お、大きさは負けますが、それ以外は負けません!」

 

アーシア、よくぞ、ここまで成長してくれたお兄さんは嬉しいぞ。じゃない!

 

一誠は心の中で自分にツッコミを入れる。

 

「アーシア、勝ち負けなんていいじゃないか。こうすればいいのだから」

 

ゼノヴィアがそう言うとアーシアと一緒に一誠を押し倒す。そして、

 

「さあ、イッセー」

 

「イ、イッセーさん」

 

アーシアとゼノヴィア。二人は声を揃えて言う。

 

「「私たちを抱いてください」」

 

一誠はこのまま二人と抱くか、なんとかして幻術を抜け出すかという選択に責められるのであった。

 

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