強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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グラシス・マモンの最後

「イッセー!どうしたの!?」

 

リアスは煉の持つ終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)の光を浴びて動かなくなり、リアスは一誠に触ろうとした瞬間

 

「触るな!」

 

アザゼルがリアスの手を引いてリアスを一誠から遠ざける。

 

「いいか!?今のこいつらは終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)の力で意識を幻想空間へと送られているんだ!今のそいつらに触れたらお前までその幻想空間に送られるぞ!」

 

「それじゃあ、どうすればいいのよ!?このまま指をくわえて見ているしかないって言うの!?」

 

リアスはアザゼルから距離を取り、アザゼルに苛立った口調で言うとアザゼルは終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)のことをリアスに話す。

 

「あの魔剣は相手の一番強い欲を使い手に教え、その欲を満たそうとする幻想空間に意識を飛ばされる。飛ばされた者を助けるには使い手がそれを止めさせるか、自力で何とかするしか方法はない。おまけに厄介なのは幻想空間に送られた者を助けようにも手を出したらこっちがやられる可能性がある。そして、その空間で欲を満たされたときそいつの命はあの魔剣の力となる」

 

「じゃあ、どうすることもできないじゃない!」

 

リアスがそう叫ぶ。

 

クソッ!まさか、こんなことになるとはな....。どうする。

 

アザゼルは頭を働かせ、どうすうか考えていると煉に異変を感じたアザゼルは視線を煉に向ける。

 

「カカカ・・・つまんねえな、つまらねえな」

 

煉は顔を俯かせながら笑うかのように喋り始めたと思ったら突然姿を消した。

 

「チッ!」

 

「きゃ!?」

 

アザゼルは舌打ちをし、リアスを突き飛ばして光の槍を出現させる。すると、激しい金属音みたいな音が鳴り響く。

 

「カカカ。堕天使か!?こいつはおもしれえ!俺と殺し合いをしようぜ!」

 

先程の無口だった煉が突然人が変わったかのように豹変した。煉は大剣でアザゼルに連撃をするが、アザゼルはそれを防ぎ距離を取り、十二の翼を展開する。

 

「カカカカ!そうだ、本気で来い!弱え奴だったらぶっ殺す!強え奴なら楽しんで殺す!」

 

「どっちも同じじゃねえか!」

 

アザゼルと煉は姿が消えたと思ったら空中で激しい金属音が鳴り響いていた。リアスに見えないほどアザゼルと煉は高速で動いていた。

 

「カカカ!あんた強えな!楽しくなってきた!」

 

「こっちは楽しくなんかねえよ!クソッ!」

 

アザゼルは懐から短剣を取り出すと、パーツがわかれて光が噴き出していく。

 

禁手化(バランス・ブレイク)・・・・ッ!」

 

一瞬の閃光が辺りを包み込み、光が止んだとき、アザゼルは金色の全身鎧を身に着けていた。そして、手には巨大な光の槍。それを見た煉は嬉しそうに叫ぶ。

 

「カカカカ!おもしろいパワーアップだ!まさか、堕天使が禁手になるなんてな!」

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』と他のドラゴン系神器を研究して作り出した俺の傑作人口神器だ。『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』の擬似的な禁手状態『堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン)の鎧(・アナザー・アーマー)』だ」

 

アザゼルは煉に手招きをする。

 

「来いよ」

 

「おもしれえ!行くぜ!」

 

煉は大剣を振り上げ、アザゼルに突っ込む。

 

ザンッ!

 

一瞬の出来事だった。煉が大剣を持ってアザゼルに突っ込むがアザゼルは槍で対応する。

 

「ガハッ!」

 

煉は血を吐き出し、そのまま地面に激突する。

 

「レン!」

 

リアスは涙を流しながら煉に駆け寄る。

 

「あークソ。煉 ヴィクトルの奴マジで今のは死ぬかと思ったぞ」

 

アザゼルは毒づくと金色の鎧の肩の部分が壊れた。

 

もし、俺の槍があと少し遅かったら死んでたな。

 

アザゼルは額に冷や汗をかきながらそう思った。すると、アザゼルは鎧が解除される。

 

「チッ。人口神器の限界か。まだ、改良の余地が多分あるな。・・・核の宝玉が無事なら、また作り直せる。もう少し俺に付き合ってもらうぜ、『黄金龍君(ギガンテイス・ドラゴン)』ファーブルニル」

 

アザゼルは宝玉に軽くキスし、煉のいるところに降りようとすると

 

「っ!?」

 

アザゼルは再び煉から異変を感じ、煉を凝視すると

 

「・・・レン?」

 

煉の近くいるリアスがアザゼルより先に煉の異変に気付いた。煉は両目から涙を流しながら立ち上がる。

 

「あー痛いな。ほんと誰がしたのか知らないけど、僕は弱いんだから暴力はやめてよね」

 

煉は泣きながらそう言うとリアスと目が合う。

 

「あーキミかい?僕をこんなに痛めつけたのは。だったら」

 

煉は大剣を振り上げリアスに向かって振り下ろす。

 

「僕がキミを痛めつけても文句はないよね」

 

ガキィィィン!

 

またも金属音が鳴り響く。アザゼルはリアスの前に立ち煉の攻撃を防いだ。

 

「早く離れろ!」

 

アザゼルがリアスに怒鳴るように言うがリアスは一歩も動けずにいた。それを見たアザゼルは小さく舌打ちをし、煉に蹴りを入れると煉は吹っ飛んだが

 

「痛いよ、何で僕をいじめるの?そっちからしたんだからされても文句はないでしょう?どうしてなの?」

 

煉は涙を流しながら平然と立ち上がる。先程までの煉と違い殺気とは違うなにか強烈なものをアザゼルとリアスは感じ、唾を飲み込む。

 

「いったいなんなんだ、こいつは。さっきから別人のように変わっているぞ!」

 

アザゼルが怪訝そうにそう叫ぶ。煉は変わらず大剣を拾いアザゼルたちに向かってかまえる。

 

「そっちがしたんだから、何をされても文句言わないでね?例え僕がキミたちの内臓を引きづりだそうが、指から少しずつ切断していこうが、そっちの女の人なら心が壊れるまで犯そうが文句は言わないでね」

 

「「・・・・・・・」」

 

煉の口から優しい口調で発せられた残酷な言葉にアザゼルとリアスは絶句する。

 

「それじゃ行くよ」

 

煉はかまえていた大剣を振り上げアザゼルに突っ込むが、先程とは違いそれほど速くなかった。アザゼルは大剣を弾き返そうと光の槍をかまえる。すると

 

「まずはこっちから」

 

「「っ!?」」

 

突然リアスの後ろから現れた煉。アザゼルはすぐに動こうとしたが、反応が遅れたせいですでに振り下ろされている大剣を防ぐことが出来ない。リアスも突然のことに対処できず避けられなかった。

 

あいつの神器『次元空間(ディメンション・スペース)』か!?あの状態でも神器が使えるのかよ!?クソッ!間に合わねえ!

 

アザゼルは最後の最後で油断していた。あの状態から一回も神器を使わなかったから、使えないと思っていたが使わなかっただけとようやく理解できた。

 

・・・レン!

 

リアスは涙を流しながら最後まで煉のことを考えていた。だが、振り下ろされている大剣にリアスは死を覚悟し、目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死んだ。リアスはそう思った。だが、

 

 

「・・・・・?」

 

いつまで経っても激痛が襲ってこないリアスは不思議に思い目をそっと開けると

 

「や・・・止めやがれ」

 

煉は左手で大剣を持っている右手を摑まえて止めていた。

 

「レン!レンなの!?」

 

リアスは煉に向かってそう叫ぶと煉はニヤと笑う。

 

「よぉ・・・リアス。悪いな・・・心配かけて。ちょっと抑えるこむ少し離れていてくれ」

 

「で、でも、大丈夫なの!?」

 

「た、頼む・・・マジで少しヤバいんだ。」

 

煉の言葉どおり煉の顔は真剣そのものだった。リアスは煉の言うとおり煉から距離を取る。

 

「ハァ・・・ハァ、てめえらもいい加減しやがれ!この〇〇〇野郎共!さっさと消えろ!」

 

煉がそう叫ぶとまた人が入れ替わったかのように喋る。

 

「ハア!?ふざけんなよ!もっとだ!もっと俺に血を!肉が斬れる音を!感触を!」

 

「そんなこと言われても僕はやられた分をやり返さないと気がすまないんだ」

 

「・・・・どうでもいい」

 

まるで多重人格のように一人言い続ける煉。すると、突然、煉は俯く。

 

「・・・・・・・」

 

煉は無言のまま俯き続けて数分が経つと煉は顔を上げる。

 

『・・・まったく、危なかっしいことをするな、煉は』

 

聞き覚えのある口調。それは、前にリアスたちの前に姿を現した。グラシス・マモンだった。

 

「マモンさまですか!?レンは、レンはどうしたのですか!?」

 

『大丈夫だ、煉は無事だ。今は一時的に私と人格を入れ替えているだけだ』

 

マモンの言葉を聞きリアスは喜びの涙を流す。

 

『さてと、まずは二天龍を元に戻すか』

 

マモンが終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)を一振りすると

 

「ハッ!あ、あれ?アーシアとゼノヴィアは?」

 

「・・・ん?アースガルズと戦っていたのだが、元に戻ったのか?」

 

一誠とヴァーリは正気に戻る。マモンはそれを確認したら次にリアスに話しかける。

 

『リアス・グレモリー・・・いや、リアス。悪いが煉に伝言を頼む。「お前と出会って私は欲しいものを手に入れられた。そして、思っていたより楽しかった。ありがとう」とな』

 

マモンはリアスに伝言を頼むと終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)に力を入れると、赤い紋様みたいなものが輝き出した。

 

『我が剣、終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)よ。我が命を持って我が欲を叶えろ』

 

その言葉に応じるかのように輝くはさらに強くなる。

 

カッ!

 

そして、赤い閃光がマモンを包み込む。そして、光が止み始めると、煉の体から離れたマモンの姿があった。煉は倒れそうになったが、リアスに抱きとめられた。そして、マモンの体は光の粒子となって来ていた。

 

「・・・・これは」

 

アザゼルが心当たりがあるかのように口に出すとマモンは言う。

 

「気づいたか、堕天使の総督。そうだ、終焉の強欲(フィーニス・クピドゥス)は欲を満たす幻想空間を作り、偽りの欲望を満たすが本来の力の使い方だが、一度だけ自分の命を代償にその欲望を現実で叶えることが出来る』

 

「・・・・死ぬのか?」

 

「心配してくれてるのか?安心しろ。私は長生きしすぎた。そろそろ休むとするよ。リアス』

 

リアスはマモンに呼ばれマモンを見るとマモンの顔はどこか寂しそうで満足そうな表情をしていた。

 

『すまないが、煉を頼む』

 

「・・・・・わかりました」

 

リアスが答えるとマモンは満足そうな表情をする。だが、

 

「ふざけんなよ、マモン。何満足そうな顔で死のうとしてんだよ」

 

煉が目を覚まし、リアスの肩を借りて何とか立ち上がる。

 

『目が覚めたか。安心しろ。他の奴らの人格は元に戻しといてやった。私の力もそのままだ。唯一、違うと言うのなら私がいないということだけだ』

 

「そういうことを言ってんじゃねえよ!何勝手に死のうとしてるか訊いてんだ!お前の全ては俺のもんだろうが!勝手に死ぬなんて許さねえぞ!」

 

『ハハハハハ!まさか、そんなことを言うようになったとはな。完全に私の強欲がうつったな!』

 

「笑いごとじゃねえ!俺は「ありがとうな、煉」」

 

マモンは煉の言葉を遮り、かまわず話す。

 

『嬉しいぞ。こんな私のためにそこまで言ってくれるなんてな。だが、私はもう満足したんだ。自分の満たされない欲はお前のおかげで満たすことが出来た』

 

マモンの体は半分は消えていたが、マモンは微笑みながら煉に別れを言った。

 

『お前らと出会い、お前らと一緒に旅をした時間は楽しかったぞ。さらばだ、煉』

 

煉はマモンが消えて行く姿を見て、涙を流しマモンに向かって手を伸ばした。無駄だとわかっていても、そんなの関係なかった。ただ、子供のように無我夢中で煉は手を伸ばし叫ぶ。

 

「死ぬな!死なないでくれよ!母さん!」

 

マモンはその言葉を聞いて嬉しそうに笑う。

 

『ありがとう。我が子、煉よ』

 

その言葉を残し、マモンは光の粒子となり消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、煉はすぐに気を失い倒れる。一誠はヴァーリを殴る為にヴァーリと戦いあと少しというところでヴァーリの仲間美猴が現れ、どこかに去っていった。そして、三大勢力は和平を結び協力体制へ。

 

この和平は学園の名を取って駒王協定となった。

 

和平が結ばれ、アザゼルが学校の教師兼オカルト研究部の顧問となった。

 

「・・・・・・」

 

ある日の夜、煉は旧校舎の屋根の上でずっと夜空を眺めていた。そこへ

 

「なにしているの?レン」

 

「・・・リアスか、どうした?こんなところで」

 

リアスは煉の隣に座り、一緒に夜空を眺めていると煉がリアスに話しかける。

 

「俺らしくないだろう?こんなところで黄昏れながら夜空を見るなんて」

 

「・・・・そうね。いつものあなたなら女性を口説きに行ったり、自分の欲しいものを奪いに行ったり、好きなことを好きなだけしていたものね」

 

リアスは煉の言葉を肯定する。

 

「ハハハ、確かにな。ほんと、らしくねえよ」

 

少し自虐気味に笑う煉。すると、リアスは煉を優しく抱きしめる。

 

「なんだ?リアス。まさか、ここで抱いてほしいのか?俺は別にかわまねえが」

 

煉はいつもの口調のように言うがリアスは優しい声音で煉に言う。

 

「皆はもう帰らせているわ。この近くにいるのは私たちだけ、つまり」

 

「つまり、喰べていいと」

 

「泣いていいのよ」

 

リアスはそう言うと煉は

 

「何言ってんだ?リアス。俺は別になんともねえよ」

 

「嘘をつかなくていいわ。今のあなたは誰が見てもおかしいと思うほど顔に出てるわよ」

 

「・・・・そんなにか?」

 

「ええ、そうよ。朱乃たちも気にしていたわ。それに、我慢しなくていいのよ。マモンさまが消えてからあなたはまだ思い切り泣いていないでしょう?親が死んで悲しくないわけないものね」

 

リアスが悟るかのように煉に言うと煉はリアスを抱きしめる。

 

「リアス、俺はな。弱い自分が嫌にって頑張って強くなろうとした。本当の両親が事故で死んで、マモンに拾われ、そのマモンも死んだ。だから、俺は・・・俺は・・・」

 

声を震わせながら喋ろうとする煉をリアスは強く抱きしめる。

 

「いいのよ、レン。思い切り泣いても。今まで溜めていた悲しみを全て私にぶつけてちょうだい」

 

その言葉を聞いた煉は緊張の糸が切れたかのように泣き出した。子供のようにただ、泣き叫んだ。

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