煉が眷属を探しに旅に出ている頃一誠たちも修行を開始していた。そんななかアザゼルは通信機を使ってサーゼクスにある話をしていた。
「と、いう訳だ。今のうちに調べられるだけ調べようと思うから今言った資料をこっちに送ってくれ」
『ああ、わかった。出来る限りの資料を送ろう。しかし、本当なのか?』
「ああ、実際に戦った俺だから言えるが、あれは下手すれば、サーゼクス、お前以上の力を秘めているかもしれん」
アザゼルの言葉を聞いたサーゼクスは難しそうな顔をする。
『彼に・・・いや、初代魔王とはいったい何者なんだ?』
「それを調べるために資料をくれって言ってんだろうが。今は平気そうだが、いつ、どうなるかわからん。そのときは」
『・・・・わかってる。でも、私は彼を、レンくんを信じる。なんせ、私の義弟なのだから』
「・・・だな。あいつに常識という言葉はなさそうだし。資料、頼むぜ」
アザゼルは笑みを浮かべながらサーゼクスに資料を頼み通信機を切った。
一方、そのころの煉は初めて出来た最初の眷属、天城香歩にメイド服を着せてあるところまで移動していた。
ヒュ
「到着」
「ここは・・・どこですか!?」
香歩は煉に瞬間移動で場所も訊けず煉に連れられていたからどんな場所かわからなかったが、あまりにも予想外すぎて声を上げてしまう。
周りを見渡すと自然に囲まれた森、空を見上げると空に浮かんでいる島、そして、冥界にいる魔獣とは何か違う生物。一言で言うならファンタジーな空間だった。煉は笑みを浮かべて香歩に言う。
「ようこそ、精霊界へ」
「精霊界!?聞いたこともありませんよ!?」
香歩は声を上げながら煉に言うが
「そりゃあ、そうだろう。ここは冥界、人間界、天界とは違う独自の世界だからな。ここに普通に来れるのは次元を使って移動することが出来る俺だけだ。それより、早く行くぞ。あいつに会うのは久しぶりだな」
「・・・あいつというのは、ご主人様の
香歩はさりげなく前の主をバカにしながら煉に訊くと
「ハハ、言うようになったな。デブ主って。確かにあいつはデブで顔も豚のような顔つきをしていやからな」
「そこまでは言っていませんよ、ご主人様。それよりどんな方なのですか?ご主人様の性格を考えると上級精霊か、もしかして、妖精ですか?」
「
「はい?」
香歩は煉の答える耳を疑うが、訊き間違いだと思いもう一度訊く。
「すみません、ご主人様。私、聞き間違ったと思うのでもう一度言ってくれませんか?」
「だから、
平然と言う煉に香歩は思わず
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっ!?」
木々が揺れるほど叫んでしまった。
「ほら、叫んでないでもう一度瞬間移動して近くまで飛ぶぞ」
煉は香歩の叫びを無視して、香歩の手を掴み瞬間移動をする。着いた先は大きな城が建っている城下町だった。
「到着、ほら、いつまでも驚いてないでここから城まで歩くぞ」
「驚きますよ!私、初めて悪魔に転生して冥界に行ったときでもこんなに驚いたことないんですよ!ハッキリと申しましてご主人様と一緒にしないでください!」
キレるように声を上げる香歩。煉は香歩を宥めながら城へと向かった。
「う・・・」
「どうしました?女王さま。どこか、体調でも『あやつじゃ』・・・はい?あやつ」
女王の体を心配して声をかける従者に女王は答える。
「煉 ヴィクトルじゃ。あやつがここまで来ておる。儂の勘がそう訴えとる」
頭を抱え、従者にそう言う女王。すると、一人の兵が女王の前に現れる。
「女王さま!報告があります。たったいま城門のところへ女王さまに会いたいと申し出る者が来ました!」
「・・・・ちなみに名は訊いたか?」
女王さまは兵にそう訊くと兵は敬礼したまま答える。
「ハッ!煉 ヴィクトルと申しておりました!いかかなさいましょう」
それを聞いた女王さまは頭を抱え落胆し、大きなため息を吐く。
「やはり・・・・あやつか。通して私のところに連れて来い」
「ハッ!」
兵はもう一度敬礼して、駆け足で煉のところまで向かおうとすると
「よっ!久しぶりだな。レスティナ。さっそくで悪いが俺の眷属になってくれ」
「きゃ!?」
突然、レスティナの目の前に現れた煉にレスティナは思わず悲鳴をあげる。
「あいかわらず、いい声で鳴くな。まあ、その方がやりがいがあるってもんだが」
「レン!その神出鬼没の現れ方は止めろと前に申したはずじゃ!」
突然現れた煉にレスティナは怒るが、煉は笑って気にしないふりをする。
「まあまあ、お前も相変わらずだな。元気にしてたか?」
「フン!お主がここに来るまでは元気にしておったわ。それより、いったい何の用じゃ?先程・・」
そっぽを向いて答えるレスティナだが、煉の気配に気づき、煉に訊く。
「お主、悪魔になったのか」
「ああ、つい先日な。今は眷属を集める旅に出ているんだ。あ、こいつが俺の『
「は、初めまして!わ、わ、わたくし、ごしゅ、いえ、煉 ヴィクトルさまの『
「どんだけ緊張してんだよ」
煉は緊張している香歩にそう言うが
「だ、だって、女王さまなんですよ!私、今まで貴族の人たちとは少し話したくらいで女王さまと話したことないんですよ!」
香歩は今まで悪魔のパーティにたまに参加する程度で、貴族の人たちとは少し話す程度いつも終わっている。
「香歩、お前以外に小心者なんだな。いや、それはそれで面白いからいいけど、安心しな。レスティナは別に何かだから差別をするような奴じゃねえよ。もっとフレンドリーに接しても問題ねえよ」
「ご主人様はフレンドリーすぎます!どうしてそう堂々としていられるのですか!?」
「・・・・俺だから?」
「・・・・その答えに納得してしまう自分はもうご主人様に犯され始めているのでしょうか?」
香歩は頭を抱え悩んでいるとレスティナはクスクスと笑う。
「面白い眷属じゃな、レン。天城香歩とやら、儂はレスティナ・シェルームと申す。仲良くしようじゃないか」
香歩に手を差し伸べるレスティナに香歩は驚きながらも手を握り握手しながらレスティナを見ると
変わった喋り方だな....。でも、すごく綺麗な人だ....。
腰ぐらいまである長い金髪に緑色の瞳。それに全体的に整った綺麗なボディに女王に相応しい緻密な意匠のドレスに身を包んでいるレスティナに香歩は見とれていた。
「それで、レン。さっきも申したが何の用じゃ?儂は忙しい身の上、早く仕事に取り掛かりたいのだが」
レスティナは香歩から煉のほうに視線をずらし、煉に訊く。
「ああ、始めに言ったが、俺は今、眷属になる奴を探してんだ。レスティナ、単刀直入に言う。俺の眷属にならねえか?」
煉は
「よっと」
だが、煉はあっさり避けると煉に向かって手を伸ばし、魔方陣を展開していて、額に青筋をたてていたレスティナがいた。
「レン・・・あなた、私にしたこと忘れたわけじゃないわよね?」
怒りを露わにするような声を出して煉に訊くと
「俺、お前に何かしたか?精々唇を奪ったぐらいだぜ」
「それもよ!あなた前にここに来たとき、無理矢理私の唇を奪って『俺の女になれ』ってプロポーズしておきながら他の女の子たちとイチャイチャしてたじゃない!」
レスティナは怒号するが、煉は笑いながら言う。
「ハハハ、何だ?嫉妬か?相変わらず可愛いな。お前は」
「ふざけないで!?もう許さない!いいわ!私に勝ったら眷属にでもなんにでもなってあげるわよ!」
「いいな、そのケンカ買った!もし、俺に勝てたらお前の言うことなんでも一つ聞いてやるよ!」
「言ったわね!表に出なさい、レン!私が勝ったらあなたはこの城の雑用として一生働いてもらうわ!」
「ああ、いいぜ!雑用でもなんでもしてやる!さあ、行くぞ!」
「ええ!ボロ雑巾のようにしてあげるわ!」
二人はそのまま城の外へ出ようとすると
「やめなさーーーーーーーーーーーーーーーーーいっっ!!」
香歩が魔力で具現化したハリセンで二人の頭を叩く。
「いったいどうなったらそんな決闘みたいなことになるんですか!?ご主人様も、レスティナさんも落ち着いてください!」
「「無理」」
「何でそこはそんなに息ピッタリなんですか!?」
「ムカつく奴だから」
「面白い奴だから」
「黙らっしゃい!」
再び煉とレスティナの頭をハリセンで叩く香歩。すると、一人の兵が慌てたように来る。
「女王さま!大変です!ワイバーンの大群がこっちに向かっています!」
「なんですって!?数は!?」
突然の襲来に驚くレスティナだが、すぐに頭を切り替えて状況を把握しようとする。
「ハッ!現在確認されている数はおよそ百!すでに我が国近くにまで迫って来ています!」
「うそ、数百の数がもうそこまで来ているの・・・儂もすぐに向かう!それまで絶対に国に入れるな!それと、念のため、民たちに避難命令を出しておけ!」
「ハッ!」
兵はすぐに命令に従い、行動を開始する。レスティナは煉の方に振り向き
「すまんが、勝負はお預けじゃ。眷属の件に関しては他を当たってくれ」
「俺も手伝ってやろうか?この国には少しは恩もあるし、可愛い女たちが傷つくのも嫌だしな」
「・・・・さっさと帰れ。儂は女たらしのお前なんか嫌いじゃ」
レスティナは煉に冷たくそう言い放って、煉に背中を向けて歩き出す。
「たく、素直じゃねえな。喋り方もまたああなってるし」
煉は嘆息しながらそう言うと香歩が煉に訊く。
「レスティナさんはどうしてああいう喋り方をしているのですか?さっきご主人様とケンカしているときと全然違いますよね」
「あー、実はな、あいつの両親は国を守るために戦死したんだ。それで、まだ子供だったレスティナが王座を継いだんだが、それを狙って自分が王になろうとする奴が結構いたんだよ」
レスティナの過去を聞いた香歩は驚愕の表情をするが煉は続けた。
「自分と国を守るために少しでも大人になろうとしたらああなってな。あいつも今まで大変だったんだよ。学力を上げたり、魔法を覚えたり、国に信頼を得るためにもな」
「・・・・・こう言ってはレスティナさんに申し訳ないんですけど、子供が王だったら信頼できない人が多いんですね。少しでも国の人に信頼できるように努力していたのですね」
「ああ、たく、そのせいで自分が自分でなくなっては意味ねえってんのに」
煉は頭を掻きながらぼやくとあることに気づいた。
「・・・なあ、香歩。お前、ワイバーンってどういう生物か知っているか?」
「え?確か前に書物で読んだとき、二本脚のドラゴンで凶暴すぎる為群れは作らず基本的に一匹で行動・・・・あっ!そういえばさっき兵の人が大群って」
「ああ、こりゃあ、何かあるぞ。俺たちも行くぞ!」
「はい!」
煉と香歩はすでに向かったレスティナを助ける為に行動を開始する。そこで煉が
「ここで好感度を上げて眷属にしてやる!」
と叫んだらまた香歩にハリセンで叩かれた。
「はぁ!」
「ぐぎゃ!」
レスティナは爆炎魔法で次々とワイバーンを倒していくが、
数が多すぎる。
前を向くとまだまだ、数十体のワイバーンが国に向かっている。兵や他の精霊魔法使いと連携を組んで何とかしのいでいるが、それも時間の問題だった。
やっぱりレンに・・・いいえ、自分で何とかしないと。お父様やお母様が命を賭して守った国なんですもの。私も守ってみせる。
自分に意気込みを入れ、もう一度爆炎魔法を発動させるが、突然の空からの白い炎にかき消された。
レスティナは空を見上げるとそこには今、レスティナの目の前にいるワイバーンより、大きく、黒い皮膚で覆われているはずのワイバーンなのだが、そのワイバーンの皮膚の色は逆の白だった。
「・・・・ワイバーンなの?」
レスティナは思わずそう口に出してしまうと白いワイバーンはレスティナを見る。
『貴殿がこの国の女王レスティナ・シェルームか?』
「ドラゴンが喋った!?」
喋るドラゴンに驚くレスティナ。精霊界にドラゴンは存在するが、人語を理解するほどの頭のいいドラゴンも存在する。だが、ワイバーンは知能が低いため、理解することは出来ない。
でも、目の前にいる。喋ることの出来る白いワイバーン。もしかして....。
レスティナは思い当たることを白いワイバーンに訊く。
「あなた、もしかして、ワイバーンの突然変異種?」
『いかにも』
やっぱり....。
レスティナは納得した。突然ワイバーンが大群で来たと報告を聞いてからどこか不思議に感じていたが白いワイバーンの答えにより納得した。
それにしてもまさか、突然変異種のドラゴンに会うとはね。最悪だわ。
突然変異種の生物はその生物であるが、どこか違う性質を持って生まれることを指す。体が以上に大きいや逆に小さいなど、体格の変化があるが、極稀にその生物とは思えない生物が生まれることがある。
しかも、それがドラゴンだなんて.....。
レスティナは心のなかで愚痴っていた。レスティナなら普通ワイバーンくらいなら余裕で国を守りながら戦えるが、目の前にいる白いワイバーンを見てわかった。このワイバーンは強いと、レスティナが本気を出さないと勝てないとレスティナは理解していたが
『質問に答えてもうおう、貴殿がこの国の女王レスティナ・シェルームか?』
「・・・・ええ、そうよ」
レスティナは警戒しながら答える。すると、白いワイバーンが消えた。
「なっ!?」
突然消えたレスティナは虚をつかれた。その隙を狙うかのように白いワイバーンはレスティナの背後に廻っていた。
『それでは我が野望の為に死んでもらう』
白いワイバーンは牙をむき出しにし、レスティナに噛みつこうとする。その時レスティナは走馬灯が見えた。
自分の父親と母親、その二人の死体、王になったときの事、国を守る為努力し続けたこと。
『お前は今日から俺の女だ』
煉に自分の初めてのキスを奪われ、告白されたこと。
『俺の眷属にならないか?』
先程の煉からの誘い。そして、後悔。
ちゃんと言っておけばよかった.....。私はレンのことが好きなことをレンに...。
言えなかった気持ち。口から出なかった言葉。全てを諦めるかのように目を閉じる。
・・・・・・・あれ?
何時になっても痛みが襲ってこなかった。それどころか、何か力強い腕に抱きしめられていた。レスティナは目を開けると
「何、弱気になってんだよ。いつものお前はどうした?」
聞き覚えのある声、レスティナは顔を上げるとっそこには不敵な笑みを浮かべていた煉がレスティナを抱きしめていた。
「レン・・・」
「ああ、助けに来たぞ」
煉はレスティナを離すと、レスティナは怪訝そうに言う。
「・・・どうしてあなたがここに?」
「ハッ!決まってんだろ!可愛い女の子を助けに来たんだよ」
当然のように言う煉。それを聞いたレスティナは顔を赤くする。
「わ、私は別に可愛くないわよ!どうせ、あなたのことだから国の女の子を助けるために来たんででしょう!?」
レスティナは不機嫌そうにそっぽを向くと煉はレスティナを掴まえてキスする。
「んっ!?・・・な、何すんのよバカ!?」
慌てて唇を離したレスティナだが、煉は言う。
「レスティナ、俺がキスをするのは気に入った奴だけだ。俺が他の女とキスしているところなんて見たことないだろ?それにな」
煉は白夜の禁手「
「俺がここにいるのはお前を助けるためだ!いいか!?俺は自分の女は絶対に守る主義だ!」
煉は白いワイバーンに向かって走りだす。その後ろ姿はある日の出来事を思い出させる。
前にレスティナは誘拐されたとき、もうダメかと思ったとき煉が助けてくれたこと、そして、不運にも煉とレスティナに襲ってくる魔獣を煉が守ってくれたことを、先程の走馬灯にも出てこなかった記憶が今鮮明に思い出す。そして、その時から煉のことが好きになっていたことを。
レン、私はこの気持ちをあなたに伝えたい。だから、生きて戻って来て...。
レスティナは煉が無事に戻って来ることを祈りながら煉を見ていた。
『余計なことをしてくれたな、小僧』
白いワイバーンは怒気を含んだ声で煉に言うと煉は笑う。
「ハハハ!そりゃ、悪かったな。それよりお前がワイバーンたちのボスか?」
『そうだ。我が野望を果たす為こいつらを力でねじ伏せて従えさせている』
「野望?」
煉がそう言うと白いワイバーンは言う。
『この国を統べてワイバーンが最強だということを証明させる。その為にはこの国を落とす必要がある』
なるほどな。こいつは自分の信念を貫く通す為にここにいるというわけか。だが、
「悪いが、俺には守るべき女がいるんでな。ここで倒させてもらうぜ」
煉が刀をかまえると白いワイバーンは笑みを浮かべて言う。
『なら尋常に勝負だ!小僧!』
すると、ワイバーンは白い炎を吐き出すが煉は
「さっそくだが、これで終わりだ!禁手!鬼神!」
煉は
『甘いわ!』
白いワイバーンは尻尾を巧みに使い煉を吹き飛ばす。煉は空中で一回転して、上手く着地する。
「痛てて、クソッ!そう簡単にいかんか」
『当たり前だ、この程度をなんとかせずどうやってこやつらを統べれる』
「・・・・確かにな。悪かった。ワイバーンはドラゴンのなかでも弱いほうだから油断してたわ。だが、もうしねえ」
煉は鬼神状態のまま拳をかまえる。
「お互い本気で戦おうぜ。そっちはワイバーンの強さを証明するため、俺は女を守るため、お互いの信念をかけた真剣勝負だ!」
『望むところだ、小僧!死んでも恨むなよ!』
「ハッ!それはこっちのセリフだ!」
煉の拳、白いワイバーンの頭突き。お互い本気でぶつかった衝撃の余波が周りのワイバーンや兵たちを襲う。煉も白いワイバーンも攻撃されては攻撃しての繰り返しだったが、二人は心底楽しそうに笑っていた。
「ご主人様があのワイバーンを抑えているうちに他のワイバーンを倒します!兵の皆さん!どうか協力を!」
香歩がそう言うと兵たちは正気を取り戻し、ワイバーンたちを攻撃していく。香歩はレスティナに近づく。
「ご主人様は大丈夫です。私たちは国を守るために他のワイバーンたちを倒しましょう」
「・・・・・わかったわ。兵たちよ!怯んでいる今がチャンスだ!一気に叩き潰せ!」
レスティナの声に反応し、兵たちは更に勢いが増し、次々にワイバーンを倒していく。
それから数時間が経ったとき
「ワイバーンたちが逃げていくぞ!」
「俺たちは国を護ったんだ!」
逃げていくワイバーンを見て歓喜の声を上げる兵たち。香歩とレスティナはワイバーンが逃げていくのを確認すると急いで煉のところへ行くと、そこだけは地形が変わったかのように変化していた。見ただけでどれだけ激しい戦いを繰り広げていたかレスティナと香歩はすぐにわかった。そして、倒れている煉と白いワイバーンの姿が目に入った。
「レン!?」
「ご主人様!?」
二人は煉に駆け寄って行くと煉は片手上げる。
「よお、何とか生きてるぜ」
煉は笑みを浮かべながら二人に無事だと伝えると二人は安堵すると白いワイバーンが喋る。
『小僧、我の負けだ。殺すがいい』
倒れたまま殺せと言う白いワイバーン。だが、煉は
「断る、そんなことよりお前はこれからどうするんだ?」
『さあな、怪我が治り次第もう一度この国を攻めると言いたいが、もうその気はない。これからはどうなるかはその時による」
「・・・・シュトルツでいいか?」
『何がだ?』
白いワイバーンはどういう意味か煉に訊くと煉は笑いながら答える。
「お前の名前。この先、することがないなら俺と一緒に来い。シュトルツ、ドイツ語で誇り。俺はお前と戦っていたときそう感じた」
煉は香歩の肩を借り立ち上がる。
「俺の使い魔にならねえか?いや、なれ。シュトルツ。お前が強者だと俺が認める。そして、ワイバーンは強い種族だということもな」
『・・・・・・・・いいだろう。これからは小僧、お前と共に行こう』
「ああ、よろしくな。シュトルツ。俺の名前は煉 ヴィクトルだ。今からお前の主だ」
そうして煉は白いワイバーン、シュトルツを使い魔にしたあと急いで城まで運ばれ精霊の治癒魔法で傷が完全に回復するまで城に数日泊まることになった。そして、傷が治り出発の時がやってきた。
「じゃ、元気でな。レスティナ。今度はキスだけじゃなく処女を貰いに来るから」
「ふざけたことを言わないで!誰があなたに大事な処女を・・・って何を言わせるのよっ!バカーッ!」
レスティナは煉を殴ろうとするが、煉はあっさりと避ける。煉はレスティナに再度眷属にしようと誘ったが断られた。理由は自分はこの国の女王。父や母のように民を守る役目がある。そう言ってレスティナは煉の眷属にならなかった。煉もそれを聞いて納得したかのように何も言わずいつもどおりにこの数日を過ごした。
「それじゃ、行くぞ。香歩、シュトルツ」
「はい」
「了解した」
香歩の隣には白い短髪に黒い目をした美少女、人間の女バージョンのシュトルツがいた。シュトルツの体から魔力の反応があり、精霊魔法で人間に化けれるようになっていた。
「それで、これからどうするのですか?他になんか当てでもあるのですか?」
「ん~、あるっちゃあるけど、一番はレスティナだったからな。断わられたときはショックを受けたよ」
「ほお、主でもショックを受けることもあるのだな。これはおもしろいことを聞いた」
「あのな、俺だって振られたらショックを受けるんだぞ。あーあ、どうすっかな~。まあ、とりあえずは元の世界に戻ってから考えるか」
煉は
「レスティナ!?何で!?おまえ・・・女王として残るんじゃ・・・・」
煉は唖然としながらレスティナに言うとレスティナは言う。
「あっちは兵たちが頑張って国を護ってくれるわ。だから」
レスティナは煉に顔を近づけ軽くキスをして、顔を真っ赤にしながら言う。
「私があなたの眷属になってあげるわよ!でも、勘違いしないでね!別にあなたのことが好きってわけじゃないんだからね!」
「「ツンデレ!」」
煉と香歩はハモッて言う。シュトルツはどう意味かわからず首を傾げる。
自分からキスしておいて好きじゃないってよく言えるな。まあ、いっか
煉はポケットから
「改めてよろしくな。レスティナ」
「ええ、よろしくしてあげるわよ。私の主、レン」
そっぽを向きながら言うレスティナに苦笑する煉。煉とレスティナを微笑ましく見ている。香歩とシュトルツ。
「よし!なんとかだが予定通り
煉は次のところへ歩き出そうとすると、レスティナが訊く。
「次?次ってどこに向かうの?」
煉は笑みを浮かべながら三人に言う。
「エルフの森。そこに俺を待っている。俺の『
おまけ
「ちょっとまちなさい!何で私が
「女王を女王にしてなんの面白みがある!そこは譲れん!」
「威張るように言うな!」