ビュッ!
「ぬうううううっ!」
空を切る音がしたときシャルバの悲鳴が聞こえ、木場たちは振り向くとそこにはシャルバの肩に食らいついている一誠がいた。
「おのれ!」
シャルバは右腕から光を作りだし、一誠に向かって放つとするが
「させるかよ!」
煉がアヴァール・クレアシアンでシャルバの右腕を斬りおとす。
「ぐおっ!」
激痛に苦悶するシャルバ。一誠はシャルバの肩の肉を食いちぎり両手両足で床に着地する。
「げごぎゅがぁぁ、ぎゅはごはぁッ!ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
もう一誠は人の言葉を発せず、全身に点在する宝玉から龍の腕や刃がはえてきた。
「木場!ここは俺がなんとかする!リアスたちを連れて逃げろ!」
「で、でもキミを放っておくわけにはいかないよ!」
煉が木場に向かって叫ぶが、木場は煉を心配して言うが、煉は叫ぶ。
「いいから行け!俺がお前らと一緒にいてどうやってイッセーを助ける!それにお前がリアスたちから離れて誰がリアスたちを助ける!お前はリアスの
「・・・・・・・わかった。部長!行きましょう!」
木場は煉の言葉通りにリアスに離れるように言うとリアスは煉に叫ぶ。
「レン!必ずイッセーと無事に戻って来てね!約束よ!」
「レン!頼みますわよ!」
「レン!イッセーを頼む!」
「・・・・イッセー先輩をお願いします。レン先輩」
「イッセー先輩を助けてあげてください!」
リアスに続いて朱乃、ゼノヴィア、小猫、ギャスパーが煉に言い、煉は笑う。
「ああ、まかせろ!」
それを聞いたリアスたちは頷き、神殿の外を目指して走りだす。
ビィィィィィィッ!
煉が視線を一誠たちに戻すと一誠のマスクから生み出されたレーザーが一直線に伸び、シャルバの左腕を吹き飛ばしていた。
「あんなことも出来るのかよ。いったいどんだけスペックが高いんだよ、イッセーは。チートか」
煉は愚痴るようにつぶやくと魔剣をかまえる。
「とりあえずはシャルバを何とかしねえといけねえか」
「ば、化け物め!こ、これが『
シャルバの瞳は怯え、顔は恐怖に包まれていた。すると、一誠は体勢を変え、両翼を大きく広げ、顔をシャルバにまっすぐと向けた。そして、鎧の胸元と腹部が開き、何かの発射口が姿を現す。
「くっ!私はこんなところで死ぬわけには!」
危険と感じたシャルバは残った足で転移用魔方陣を描こうとするが、足が石になっていた。
「無駄だ、シャルバ・ベルゼブブ。さっきお前を斬ったときに万が一のことも考え足を石に変えるようにしておいた。もう、お前は逃げられない」
煉が冷徹な目でシャルバに教える。すると
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』
『
神殿内に幾重にも鳴り響く、一誠の神器が発する音声。それを見た煉はシャルバに告げる。
「終わりだな。両腕もなく足も石となった今のお前にあれを躱すことも受け止められることで出来ないだろう」
「ま、待て!貴様!私を助けろ!同じ魔王の力を持った者同士ではないか!私を助けたら貴様を幹部として迎え入れよう!なんなら貴様が欲するものを全てやってもいい!ど、どうだ!?」
シャルバは煉に命乞いをするが、煉はシャルバに言う。
「命を奪っておきながら、奪われる覚悟がない奴を助けるつもりはない。それに貴様のように器の小さい奴に俺の強欲は満たされない。死にな」
煉はシャルバに冷たく言い放つ。そして、一誠の赤いオーラはシャルバ目掛けて発射された。
「バ、バカな・・・・ッ!真なる魔王の血筋である私が!ヴァーリに一泡も噴かせていないのだぞ!?ベルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!おのれ!ドラゴンごときが!赤い龍め!白い龍めぇぇぇぇっ!」
ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
放射された赤い閃光はシャルバを包み、神殿と共に消え去っていった。
神殿の崩壊が終わりると神殿は完全に崩れ去っていた。そして瓦礫と化した神殿の上に
「おおおおおおおおおおおん・・・」
一誠が天に向かって悲哀に包まれながら咆哮していた。煉はそんな一誠に近づく。
「イッセー。もう敵はいない。神器を解除しろ」
煉がそう言いながら一誠に近づくと一誠は煉に視線を向ける。すると
「ぐああああああああああああああっ!」
咆哮と共に煉に突っ込む。煉は魔剣をかまえて防御するが、一誠の突っ込んでくる勢いが強すぎる為押される。
なんて力だ....。それに今のイッセーにとっては周りの全てが敵としか見えていねえのか。クソ!
煉はどうするか考えていると宝玉から生えた刃が煉を襲うが、煉はそれを躱して一誠から距離を取る。
「おい!イッセー!俺だ!レンだ!聞こえてるんなら返事しろ!」
煉が一誠の意識があるかどうか確かめるためそう叫ぶが
「ぎあああああああああああああああっ!」
「あー!わかんねえんだな!クソッ!面倒くせ!」
煉は愚痴るとマモンの魔剣アヴァール・クレアシアンに煉の欲望を具現化させようとするが
「ぎゅおおおおおおおおおおおおっ!」
一誠が煉に攻撃をしてくるためすぐには具現化が出来なかった。それに
やっぱり、マモンのように強欲がねえと上手くできねえな。
煉は頬に冷や汗を流しながら考える。マモンの魔剣、アヴァール・クレアシアンは欲望を具現化を出来る魔剣だが、その欲望が深くないと発動できない。マモンは強欲ゆえ、すぐに発動することが出来る。煉もマモンと共に旅をし、マモンの業を宿っていて、マモンの力を使えるから何とか発動させることが出来る。
だが、所詮、俺は斬ったものに欲望を具現化させることで精一杯。どうにかしてイッセーの動きを止めねえと。
煉が思考を働かせているとまた一誠が突っ込んでくる。煉はとりあえずは一誠の動きを止めようとなんとか死なない程度にダメージを与えようと魔剣を一誠に向け、振り下ろそうとした瞬間。
「レン!」
突然の声に煉は視線を声のするほうに向けるとそこにはリアスたちとウラルたちがいた。だが、それが命取りだった。
ザシュッ!
「レン!?」
煉の左腕は一誠に斬りおとされてしまった。リアスの声に一瞬反応してしまった為、一誠の攻撃への反応が遅れてしまった。斬りおとされた左腕は煉の後ろに飛び、煉は声を上げる暇がなく急いで魔剣で一誠の攻撃を防ぐ。
「レン!?今、助けに『来るな!』ッ!?」
リアスは煉を助けようとするが、煉が叫んで止めウラルたちに言う。
「ウラル!封印魔法でイッセーの動きを止められるか!?」
「うん!でも、一瞬だけだよ!」
「それでいい!レスティナ!お前の精霊魔法の土系統でイッセーに攻撃しろ!香歩!全魔力を使って鎖を具現化してレスティナの攻撃の後、それでイッセーを縛れ!出来るか!?」
「誰に言ってんのよ!それぐらい出来るわよ!」
「任せて下さい!」
煉の言葉にレスティナと香歩は肯定する。それを聞いた煉は笑う。
「良し!作戦開始!」
「「「はい!」」」
ウラル、レスティナ、香歩は返事をして準備を始める。すると、リアスが
「レン!?どうして私たちにはなにも言わないの!?」
何も言われなかったことにリアスは煉に問うが、レスティナが答える。
「リアスさん、煉は言わないから私が代わりに答えるわ。あなたたちでは力不足なのよ。レンはイッセーくんを助けようと何かを考えているの。それを実行するためには今のイッセーくんに一瞬でも攻撃が通じる私たちでないとダメ」
「・・・・私たちでは一瞬の足止めにもならない。そういうことなの?」
リアスが悲観的になりながらもレスティナに訊くと
「ええ、今のあなたたちではね。それに今やることを実行させるにはレンがいるからこそよ。あなたたちが悪いというわけではないわ。だからそう悲観的にならないで」
リアスは悔しながらもレスティナが言っていることは正しいと思った。リアスたちの実力では確かに力不足。それにもし、無理矢理にでも何かしようとすれば自分のせいで仲間を傷つけてしまう。リアスは瞑目しながらレスティナたちに頼む込む。
「・・・お願い。あなたの言う通り今の私たちでは足手まとい。だから、お願い。レンと一緒にイッセーを助けて!」
リアスはレスティナたちに頭を下げて頼むと
「まかせなさい!ヴィクトル眷属の
レスティナは堂々と一誠を助けるとリアスたちに宣言するのを聞いたリアスたちは喜びの表情をする。そして、それを見たウラルと香歩が
「私たちも助けるんだけどね~。完全にレスティナちゃんが助ける空気になってるね~香歩ちゃん」
「そうですね~。私たちでは力不足なのですね。ここはレスティナさんだけにまかせてみませんか?ウラルさん」
今度は完全に空気にされたウラルと香歩が悲観的になっていた。それに気付いたレスティナは慌てて二人を説得しようとすると
「てめえら、早くしやがれ!俺を殺す気か!」
煉の喝により三人は急いで魔法の準備をする。すると最初にウラルが封印魔法を発動させる。
「行くよ!レンくん!」
ウラルの魔法により煉と戦っている一誠の動きが一瞬止まった。そこへ
「喰らいなさい!」
レスティナの土魔法が一誠の足元から複数の土の槍が一誠を襲うが
「うぎゅおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
一誠は土の槍を一瞬で壊した。そこへ香歩の全魔力が込められた白色の鎖が一誠の体に巻きつく。
「「「今(だよ)(よ)(です)ッ!!」」」
「おう!」
ウラル、レスティナ、香歩が同時に叫んだ。一誠の目の前には魔剣アヴァール・クレアシアンを振り上げていた煉。
「いいかげん目を覚ましやがれぇぇぇぇぇぇええええええええっ!イッセーェェェェェェエエエエエエエエエッッ!」
煉は魔剣を一誠目掛けて頭から振り下ろした。すると鎧が砕け一誠が姿を現す。
「あ、あれ?俺は確か、って、レン!?どうしたんだよ!?その左腕!?」
いつもの一誠に戻ったことに煉は笑う。
「たく、面倒がかかる親友だ・・・・ぜ」
煉は魔剣を解除させて元の姿に戻ると血を失いすぎで倒れた。
「レン!?おい!しっかりしろ!?おい!」
一誠が何度も煉を揺するが、煉は返事も出来ずそのまま気を失った。リアスやウラルたちも急いで煉のところに行く。リアスは煉を抱きしめ涙を流す。
「レン!お願い!目を開けて!レン!」
リアスが何度も呼びかけるが煉は反応しなかった。それを見た朱乃たちは涙を流す。すると
ぐぎゅるるるるるるるるるるる。
盛大に鳴り響く腹の音。
「は、腹減って死ぬ・・・誰か・・・飯を」
煉がうめき声をあげながらそう言うと、リアスたちは目を見開き、ウラルたちは笑っていた。リアスたちも驚きながらも微笑み、リアスは嬉し涙を流しながら煉を強く抱きしめる。
「まったく、あなたって人は・・・・」
それからはリアスたちが煉から離れた後、ヴァーリと会ってアーシアは無事だったことを一誠に伝えると一誠は気を失って倒れる。その後アザゼルとタンニーンと合流して煉はすぐに冥界の病院へと運ばれた。
「明日には退院出来るそうよ。異常なほどの回復力って医者も驚いていたわよ。レン」
煉が入院するようになって数日。冥界の病院に見舞いに来ているリアスが煉と話していた。
「そっか、じゃ、明日の体育祭には間に合うな。腕もアーシアのおかげで元に戻ったし、一件落着だな」
上半身だけを起こしながら煉はいつものように左腕を動かして異変がないか確認するが問題はなかった。するとリアスが暗い表情をしながら煉に謝る。
「・・・レン、あの時はごめんなさい。あの時、私は心配になってあなたのところに行ったせいであなたは」
「別にいいって。元通りになったんだし、それにな」
煉はリアスの腕を引っ張って抱きしめる。
「お前はいつもの強情なリアスが好きなんだから、悪いと思ってるなら俺の前ではいつも通りにいろ。わかったか?」
「・・・・そうね。ありがとう、レン」
リアスは煉から離れて顔を近づけてキスする。煉もリアスの唇を味わうように何度も何度もキスを続けていると
「おー、おー、熱いね」
突然の声にリアスはキスを止めて声のする方へ振り向くとそこにはアザゼルがいやらしい笑みを浮かべて扉の前で立っていた。
「アザゼル、せっかくいい雰囲気でリアスを喰えると思ったのに何邪魔してくれてんだよ。慰謝料請求すんぞ」
「悪いな、ちょっとお前と話があってな。リアス、悪いが煉と話をさせてくれ」
「・・・・・わかったわ」
リアスは邪魔されたのが、嫌だったのか不機嫌そうな表情で出て行く。
「で、話ってなんだよ。アザゼル。あと五分ぐらいしたら看護師の人とナースプレイする予定が入ってるから手短に頼む」
「お前、入院してでもナンパかよ。これ以上女を増やしたら体の方が持たねえぞ」
「上等!体が壊れるぐらい女を抱いて死ねるなら男としてサイコーじゃねえか!」
「まぁ、否定はしねえがな。これもらうぞ」
アザゼルは椅子に座り、リアスたちがお見舞いと持ってきたリンゴを食べながら煉に言う。
「お前、どうやってイッセーを元に戻したんだ?リアスたちからには魔剣で頭から斬ったって聞いたが」
「斬ったな。正直俺もあそこまで上手くいくとは思ってもみなかったが」
煉は頭を掻きながらアザゼルに説明する。
「マモンの魔剣、アヴァール・クレアシアンは欲望を具現化させる魔剣ってのは言ったよな。俺はあの時イッセーを元に戻れと願望をかけた。下手をすればあのままイッセーを真っ二つにしていたかもしれねえし、願望では効果がなかったかもしれねえ。今回は運が良かったんだろうな」
「危険な賭けではあったのか。ところでお前は初代魔王のことについてどこまで知ってる?」
「さあな、マモンは自分のことはそんなに話さなかったしな。詳しくは知らねえ。それがどうした?」
煉がアザゼルに訊くがアザゼルは立ち上がり「何でもねえ」とだけ言って出て行った。
「変なアザゼルだな。いや、いつも変か」
煉はあくびをするともう一度眠りについてしまった。しばらくして目が覚めると何故か下半身がスッキリしていた。
「クソォォオオッ!喰うほうの俺が逆に喰われるなんて!ちくしょう!」
寝ている内に看護師に喰われたことに無駄に怒り出す煉だった。