強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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朱乃の望み

「ガハッ・・・・ッ!。何故、フェンリルが我の後ろに・・・・?」

 

ロキの命令によってリアスを噛もうとしたフェンリルが突然消えてロキが気づいたときにはフェンリルに噛まれていた。

 

「ヒャハハハハハハハハハハッ!おいおい、どうした!?悪神さまよ!我が魔物だから心配ないって言っておきながら思い切り噛まれてるじゃねえか!ざまあねえな!」

 

煉がロキを指しながら大声で笑う。フェンリルはロキに噛みついていたことに気づきすぐにロキを解放する。ロキは体から血を出しながらも煉に訊く。

 

「貴殿の・・・・仕業か」

 

「ああ、見事なタイミングだったろ?フェンリルがリアスを噛もうとした瞬間に俺の神器、次元空間(ディメンション・スペース)の禁手、次空の境界(チェーロション・バウンド)。その能力でフェンリルをお前の後ろにそのまま転移させた。噛みつこうとした相手が自分の主だと気づかないほどにな。それにしても」

 

煉は口を押え、笑いをこぼしながらロキに言う。

 

「ククク、自分のペットに噛まれるとはな。まさに飼い犬が手を噛むだな。ククク、ハハハハハ八ハハハハ!ダメだ!笑いが止まらねえ!」

 

煉がロキを見ながら腹を抑えながら大声で笑い叫ぶ。それを見た一誠たちは

 

「・・・なんかレンのほうが悪人に見えるんですけど」

 

「・・・そうね、これ以上にないくらい似合ってるわね」

 

「エロ魔王にして正解だったな」

 

一誠、リアス、アザゼルがそう言っているなか、ロキは空間を歪ませる。

 

「・・・今日は一旦引かせてもらおう。傷を回復させなければな。だが、オーディン!次こそ我と我が子フェンリルが、主神の喉笛を噛み切ってみせよう!」

 

ロキは空間の歪みにフェンリルを入れると煉を睨む。

 

「魔王の、いや、煉 ヴィクトル!我に負わせたこの傷の借り次に返させてもらおう!」

 

「三流のセリフだな。まあいい、精々早く傷を治すことだな。まぬけな悪神さま」

 

ロキは煉の言葉を聞き、空間の歪みに入り姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、煉の家でグレモリー眷属+イリナ、アザゼル、バラキエル、シトリー眷属、煉、そして、先日に煉の家に訪れたヴァーリチーム。ヴァーリはロキと戦うために煉たちと組んでもいいと言って来たのでアザゼルが入れた。そのことにリアスは反対するが、アザゼルとサーゼクスの意見を聞いて渋々納得した。

 

「始める前に一つ、レン、お前の眷属たちは今、禍の団(カオス・ブリゲード)と戦うために動いているのか?」

 

「ああ、ウラルたちは禍の団(カオス・ブリゲード)を倒すための戦力として動いている。ウラルに指揮を頼んであるから俺が抜けても大丈夫だろう」

 

禍の団(カオス・ブリゲード)は今、冥界に攻撃を始めている。その迎撃としてウラルたちに戦力として向かわせて煉だけが残った。

 

「そうか、まあ、お前がいるだけでもこっちは助かるな。次にヴァーリ、俺たちと協力する理由は?」

 

ヴァーリは不敵な笑みと口を開く。

 

「ロキとフェンリルと戦ってみたいだけだ。美猴たちも了承済みだ。この理由では不服か?」

 

それを聞いたアザゼルが怪訝そうに眉根を寄せる。

 

「まあ、不服だな。だが、戦力として欲しいのは確かだ。いまは英雄派のテロの影響で各勢力ともこちらに戦力を割けない状況だ。レンの眷属たちも向かってることだしな」

 

それからリアスたちは不満そうな表情をしながらでもロキとフェンリルの対策を五大龍王の一匹『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』ミドガルズオルムに聞き、フェンリルの対策は出来て、ロキにはオーディンがミョルニルのレプリカを一誠に貸すことになったが

 

「ちょっと待ってくれ!何でレンじゃなくて俺なんだよ!?」

 

一誠より強いはずの煉じゃなくて自分に持たされたことにわからない一誠に煉が答える。

 

「イッセー。俺とヴァーリでロキの隙を作るために一番動きのわかりやすいお前に持たされてるんだよ。それにな、お前は赤龍帝だぞ。ロキに当たった瞬間、赤龍帝の力をその威力を上げることだって出来る。わかったか?」

 

「な、なるほど・・・」

 

煉の説明で納得する一誠。そして、ロキとフェンリルの対策会議が終わると煉がアザゼルを呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・俺が全部悪いのさ」

 

煉はアザゼルから朱乃とバラキエルのことについて訊くとアザゼルは作業をしながらも真剣な表情で語りだした。

 

「あの日、バラキエルを招集したのは俺だ。どうしても奴じゃないとこなせない仕事だった。だから、無理を言って呼び寄せたんだよ。そのわずかな間に・・・・。俺が朱乃とバラキエルから、母と妻を奪ったんだ」

 

「・・・・・なるほどな。アザゼルが妙に朱乃に気を使っていたのは、そのせいか」

 

煉は納得して部屋から出て行こうとすると最後にアザゼルに言う。

 

「安心しな、アザゼル。朱乃とバラキエルの悲しみも憎しみも俺が何とかしてみせる。お前はいつもどおりの神器を見て息を荒くしてな」

 

煉はそれだけを言い残して部屋を出る。

 

「・・・たく、人が真剣に離してるってのに、誰が神器を見て息を荒くしてるだ、そんなこと一度も・・・・・ねえぞ」

 

アザゼルは煉の言葉に愚痴るが、その表情は少しだけ笑みを浮かばせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煉は自分の部屋に戻ると、なかにはベットに座っている白装束姿の朱乃がいた。

 

「・・・どうした?朱乃」

 

煉がそう訊くと朱乃は煉に近づき、白装束を脱いで煉に抱き着く。そして、煉の耳元で朱乃はつぶやく。

 

「抱いて」

 

「断る」

 

煉は朱乃の頼むを速攻で断った。だが、朱乃は煉に顔を近づけてキスをしようとするが

 

「やめろ、朱乃」

 

朱乃のキスを煉は手で止める。

 

「朱乃、自暴自棄になるな。俺はそんなお前を抱くつもりはねえ」

 

煉が朱乃にそう言うと、朱乃は涙を流しながら自分の胸に手を当てる。

 

「それじゃあ・・・どうすればいいの?どうすればこの気持ちを消すことが出来るの?」

 

涙を流しながら煉に問う朱乃。そんな朱乃を煉は顎を持ち上げて軽いキスをして抱きしめる。

 

「前に言ったろ?朱乃。受け止めてやるって。お前が背負っているものを俺が全部受け止めてやる。その消したい気持ちも全部俺にぶつけろ。俺はそれをしっかりと受け止めてやる」

 

続けて煉は朱乃に言う。

 

「それが無理なら約束してやる。俺がお前の悲しみを消し去ってやる。だから、お前は笑え。そっちのほうが俺は好きだ」

 

煉はそう言いながら朱乃を優しく抱きしめ続ける。数分経つと朱乃が口を開く。

 

「・・・・・レン・・・。ありがとう」

 

涙を流しながら安堵の声を出して煉に礼を言う朱乃。煉はそのまま朱乃が落ち着くまで抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、決戦の時刻。煉たちはオーディンとの本の神が会談する、都内の高級ホテルの屋上にいる。今回ロキとフェンリルと戦うのはグレモリー眷属+イリナ、バラキエル、ヴァーリチーム、タンニーン、ロスヴァイセそして、煉。ヴァーリたちは少し離れたところで待機。リアスが腕時計を見ると

 

「時間ね」

 

時間が来た。

 

「小細工なしか。恐れ入る」

 

ヴァーリが苦笑すると、空間に歪みが生まれ、大きな穴が開き、そこからは悪神ロキと灰色の狼フェンリル。

 

「傷は治ったか?ロキ」

 

「ああ、さすがは我が開発した魔物だ。ここ数日傷を癒すのに専念してしまったよ」

 

煉の言葉にロキは笑みを浮かばせながら答える。

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルが小型通信機で全員にそう言うとホテル一帯を包み込む魔方陣が展開すると古い採石場跡地に転移する。

 

「逃げないのね」

 

リアスが皮肉げに言うとロキは笑う。

 

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末してその上であのホテルに戻ればいいだけだ。それに借りもあるのでな」

 

煉を見るロキ。煉は笑いながら言う。

 

「借りが返せるといいな、ロキ。マモン!」

 

煉はマモンを召喚して体に纏わせる。

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!』

 

一誠もヴァーリも禁手の鎧を身に着ける。そして、煉、一誠、ヴァーリは同時にロキの前に出る。

 

「これは素晴らしい!二天龍と魔王の力を継ぐ元人間がこのロキを倒すべく共同するというのか!こんな胸が高鳴ることはないぞッ!」

 

「どうでもいいな!そんなこと!」

 

煉は魔剣アヴァール・クレアシアンでかまえながらロキに近づく。ヴァーリは高速で光の軌道をジグザグさせながらロキに近づく。一誠は煉とヴァーリに併せて背中の魔力噴出口を全開にする。

 

「赤と白と魔王の競演ッ!こんな戦いができるのはおそらく我が初めてだろうッ!」

 

ロキは全身を覆うように広範囲の防御魔方陣を展開させると、その魔方陣から魔術の光が幾重もの帯となって、煉たちに放たれる。

 

その魔術は空中を飛び回るヴァーリを追尾する。一誠にも何十もの攻撃が放たれ、煉にも放たれるが煉は魔剣を前にかまえると。

 

「喰らえ!アヴァール・クレアシアン!」

 

煉の魔剣がロキの魔術を吸うように吸収する。そして、魔剣に吸収させながら煉はそのままロキを斬ろうとするが、ロキは煉に斬りかかれる直前に煉に魔術弾を放ち、煉と距離を取る。

 

「あぶないあぶない。さすがは魔王の力。油断は出来んな」

 

「今だ!イッセー!」

 

ロキの後ろに回り込んだ一誠がミョルニルを大きくさせて一気に振り下ろす。

 

ドオオオオオオンッ!

 

地面に大きなクレーターが生まれたが、肝心のロキは避けた。すると、ロキは笑う。

 

「ふははは、ミョルニルのレプリカか!?だが、残念だ。その槌は力強く、そして純粋な心の持ち主にしか扱えない。貴殿には邪な心があるのだろう。だから、雷が生まれないのだ。本来ならば、重さすらも無く、羽のように軽いと聞くぞ?」

 

「あ、じゃあイッセーには使えねえな。おっぱい大好き、おっぱいドラゴンだもんな」

 

煉がロキの言葉に納得しているとロキは指を鳴らす。すると、いままで様子を見ていたフェンリルが一歩前に進みだした。

 

「神を殺す牙。それを持つ我が僕フェンリル!この獣に勝てるというのならかかってくるがいいッ!」

 

ロキがフェンリルに指示を出すと、リアスが手を挙げる。

 

「にゃん」

 

ブゥゥゥゥイイイイイイイィィィィィンッ!

 

黒歌が笑むと同時に魔方陣が展開して地面から巨大な鎖が出現してフェンリルを拘束する。

 

「フェンリル、捕縛完了だ」

 

バラキエルが身動きできなくなったフェンリルを見てそう口にする。だが、ロキは不敵な笑みを浮かばせながら両腕を広げた。

 

「スペックは落ちるが、スコルッ!ハティッ!」

 

ロキの両サイドの空間の歪みから二匹の狼が現れた。それを見てヴァーリ以外全員が驚きの表情をする。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。親より多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、そして、貴殿らを葬れるだろう」

 

ロキはスコルとハティに指示を送る。

 

「さあ、スコルとハティよ!父を捕えたのはあの者たちだ!その牙と爪で食らい千切るがいいっ!」

 

風が切る音と共に二匹の狼はグレモリー眷属とヴァーリチームのほうへ向かって行った。

 

「イッセー!ヴァーリ!避けろよ!」

 

煉は一誠とヴァーリに忠告しながら魔剣にオーラを込めてロキ目掛けて放つ。

 

「喰らいな!魔術喰い(マギオ・イーター)ッ!」

 

煉の魔剣から放たれた黒いオーラがロキに向かっていくが、ロキは魔術を展開させて打ち落とそうと魔術弾を放つが、煉の放ったオーラに吸収されていき、黒いオーラは大きくなる。

 

「無駄だ、ロキ!そいつは魔術を吸い込めば吸い込むほど更に大きく、強くなる!」

 

「・・・なるほど、厄介極まりないな!これは!だが、避けてしまえばどうてこともない!」

 

ロキは避けようしたときヴァーリの手に北欧の魔術が展開されていた。

 

バァァァァァァアアアアアアアアッ!

 

そして挟み撃ちのようにロキに煉の攻撃とヴァーリの攻撃に挟まれながらヴァーリは魔術を掃射され、その魔術は魔術喰い(マギオ・イータ-)に吸収されていき、そのまま空まで飛ぶと散っていた。

 

「レン!ヴァーリ!倒したか!?」

 

一誠が煉たちのところに行きロキを倒したか訊くと煉とヴァーリは表情を変えず、煉が答える。

 

「いや、まだだ」

 

一誠は煉たちが向いているほうを見るとそこには体のあちこちから血は出ているが、ロキがいた。

 

「マジかよ・・・・」

 

「ああ、マジだ。ヴァーリの魔術の一部を相殺させてその隙にギリギリで避けられたんだろ」

 

煉が解説するかのように一誠に話すとロキは苦笑いしながら言う。

 

「そのとおりだ。煉 ヴィクトル。貴殿の攻撃に攻撃しても無駄だとわかり、白龍皇の魔術を相殺しようと試みたが、予想より白龍皇の魔術が強くてな。このような状態になってしまった」

 

「それでも腐っても悪神だな。本気で放った俺の攻撃と白龍皇の攻撃での挟み撃ちを喰らってその程度だなんてな。だが」

 

煉は魔剣をロキに向ける。

 

「その状態で俺たちに勝てるか?ロキ」

 

煉が不敵な笑みを浮かばせながらロキに言うと

 

「煉 ヴィクトル!」

 

突然、煉はヴァーリに押される。煉は何事だと思いヴァーリを見ると

 

バグンッ!

 

「ぐはっ!」

 

煉の視界に入ったのはフェンリルに噛まれたヴァーリの姿だった。

 

「ふははははっ!まずは白龍皇を噛み砕いたぞ!」

 

ロキは哄笑しながら続けて言う。

 

「本当は煉 ヴィクトルを噛み砕こうとしたのだが、まさか白龍皇が煉 ヴィクトルを助けるとはな」

 

「「ヴァーリッ!」」

 

意外そうに言うロキ。煉と一誠はヴァーリを救出しようと突貫する。

 

「この駄犬がッ!」

 

一誠はフェンリルの鼻面に力のこもったストレートを打ち込もうとするが、フェンリルの爪にやられる。だが、その隙に煉がフェンリルの下から魔剣でフェンリルを刺すと、痛みに耐えれずヴァーリを離す。煉はヴァーリを支えるように抱える。

 

「ヴァーリ!何で俺を庇った!?」

 

「・・・・ロキを倒すのには貴様の力が必要だと思っただけだ」

 

ヴァーリは噛まれたとこから血を溢れ出しながらも答える。煉はポケットからフェニックスの涙を取り出してヴァーリに飲ませようとするが、ヴァーリは視線をロキに向ける。煉もロキを見ると

 

「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」

 

ロキの足元の影が広がり、そこから細長いドラゴンが複数出現する。

 

「ミドガルズオルムも量産していたのかッ!」

 

タンニーンが憎々しげに叫ぶ。そして、そのミドガルズオルムたちを火炎で吹き飛ばしていく。煉はリアスたちに視線を送るとリアスたちは苦戦してはいるが、何とか有利に進み、ヴァーリチームは子フェンリル相手に圧倒していた。

 

「・・・・煉 ヴィクトル。ロキと、その他はキミたちと美猴たちに任せる」

 

「・・・お前はどうするつもりだ?」

 

煉はヴァーリの真意を聞くとヴァーリは

 

「あの親フェンリルは、俺が確実に殺そう」

 

それを耳にしたロキが笑う。

 

「ふははははははっ!どうやってだ!すでに瀕死ではないか!強がりは白龍皇の名を貶めてしまうのではないか?」

 

ヴァーリは煉から離れてロキに言う。

 

「天龍を、このヴァーリ・ルシファーを舐めるな」

 

神々しいオーラがヴァーリから発せられ、鎧の宝玉が七色に輝き出した。

 

『我、目覚めるわ』

 

〈消し飛ぶよっ!〉〈消し飛ぶねっ!〉

 

『覇の理に全てを奪われし、二天龍なり』

 

〈夢が終わるっ!〉〈幻が始まるッ!〉

 

『無限を妬み、夢幻を想う』

 

〈全部だっ!〉〈そう、すべてを捧げろっ!〉

 

『我、白き龍の覇道を極め』

 

「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おうッ!」」」」」」」

 

Juggernaut Drive(ジャガーノート・ドライブ)!!!!!!』

 

採石場跡地全域をまぶしく照らすほどの大出力の光。

 

「黒歌!俺とフェンリルを予定のポイントに転送しろッ!」

 

光り輝くヴァーリが黒歌にそう叫ぶと黒歌はにんまりと笑い、手をヴァーリに向け、指を動かす。そして、ヴァーリはフェンリルと共に魔力の帯らしきものが幾重にも包みだしてしだいに夜の風景にとけ込み、この場から消えていく。

 

「ヴァーリ!」

 

一誠が叫ぶが、やはり返事はなかった。

 

「朱乃!」

 

突然のリアスの悲鳴に煉と一誠は視線を向けると、子フェンリルに噛まれそうになっている朱乃の姿が

 

「クソッ!マモン解除!次元空間(ディメンション・スペース)(バランス)ガハッ!」

 

「ふははははっ!今度は先手を取らせてもらったぞ!煉 ヴィクトルよ!」

 

マモンを解除して煉は次元空間(ディメンション・スペース)の禁手になろうとしたが、ロキの魔術弾が煉の背中に直撃する。

 

そして、子フェンリルの牙が朱乃に襲いかかろうとした瞬間

 

ザシュッ!

 

肉が牙に突き刺さる音。だが、牙に身を貫かれたのはバラキエルだった。

 

「ごふっ!」

 

「・・・どうして?」

 

大量の血が口からこぼれ出る。傷口からも大量の血を流しながら、驚きの表情をしている朱乃に答える。

 

「・・・・おまえまで失くすわけにはいかない」

 

バラキエルの声に朱乃は何とも言えない表情となる。

 

「オラッ!」

 

ドゴン!

 

一誠が子フェンリルを横からぶん殴ってバラキエルを解放して、後退していく。

 

「アーシア!」

 

一誠はアーシアを呼んでバラキエルの治療を始める。

 

「・・・・私は・・・私はっ!」

 

「・・・・しっかりしろ、朱乃。まだ戦いは終わっていないのだぞ」

 

酷く狼狽する朱乃にバラキエルはそうつぶやく。一誠は朱乃の本当の気持ちを知るためにこっそりと乳語翻訳(パイリンガル)を発動すると

 

『私は姫島朱乃のおっぱいではありません。私はおっぱいの精霊です』

 

「・・・・・・・・・・・誰だ、おまえは!?」

 

一誠は朱乃の胸に指を突きつけて、驚愕の声を出す。

 

『落ち着いてください。私はこの娘のおっぱいを介してあなたに話しかけているのです』

 

「いや、誰だよ、おまえ!」

 

『私はおっぱいを司りし神、乳神さまに仕える精霊です。あなたの頑ななまでのおっぱいへの渇望が私を呼んだのです』

 

「お、おっさん!」

 

一誠はタンニーンを呼ぶ。

 

「なんだ!また何か起きたのか!また乳なのか!?」

 

「乳神さまって、どこの神話体系の神さまだ!?」

 

一誠の問いにタンニーンは開いた口がふさがらない状態になり、周りは敵味方関係なく間の抜けた顔をする。そして、一拍空けてタンニーンがリアスに叫ぶ。

 

「・・・・・・・ッ!リアス嬢ぉぉぉぉッ!あいつの頭に回復をかけてやってくれぇぇっ!致命傷だぁぁっ!」

 

「イッセー!しっかりして!幻聴よ!ああ、なんてこと!フェンリルの毒牙が赤龍帝の精神にまで!」

 

リアスも一誠の脳が損傷したと勘違いをする。アーシアは一誠の頭に回復をかける。でも、本当のことなので弁明するが今度はバラキエルが震える声を出しながらキレる。

 

『よく聞きなさい、乳龍帝よ。この巫女の本音を聞くことで乳神さまの力をここに降臨させるのです。おっぱいを求める者に乳神さまは慈悲深いご加護を与えます。きっと役に立つでしょう』

 

乳神の精霊に一誠は朱乃の本音を聞きたいと答えると

 

『いいでしょう。では、この娘の思いを聞きなさい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞こえてきたのは小さな女の子が唄う声。

 

『あんたがどこさ。ひごさ、ひごどこさ』

 

平屋建ての小さな家の庭で、まりつきをしている小さな女の子。

 

『朱乃、どこ?』

 

『母さま!』

 

朱乃は母さまと呼んでいる人に勢いよく抱きつく。

 

『母さま。父さまは今日のいつごろ帰ってくるの?』

 

『あら、朱乃。父さまとどこに行くの?』

 

朱乃の母親の問いに小さな朱乃は満面な笑みで答える。

 

『早く帰ってきたら、一緒にバスに乗って町へ買い物に行くの!』

 

〈寂しかった〉

 

場面が変わり、バラキエルと小さな朱乃が風呂に入っている。

 

『父さまの羽、嫌いじゃないよ。黒いけど、つやつやで朱乃の髪の毛と一緒だもの!』

 

『そうか、ありがとう。朱乃』

 

〈いつも父さまがいてくれたら、良かったのに〉

 

家の縁側で母親に髪をすいてもらっている小さな朱乃。

 

『ねえ、母さま。父さまは朱乃のこと好きかな?』

 

『ええ、もちろん』

 

母親は微笑みながら髪を優しくとかしていた。

 

〈たまにしか父さまに会えなかったから〉

 

そして、場面が急展開する。ボロボロの室内。タンスは倒され、畳が大きく抉れ、テーブルはひっくり返されて夕食が辺り一面に散らばっていた。

 

『その子を渡してもらおう。忌々しき邪悪な黒き天使の子なのだ』

 

術者らしき人物たちは朱乃と朱乃の母親を囲んでいた。

 

『この子は渡しません!この子は大切な私の娘です!そして、あの人の大切で大事な娘!絶対に!絶対に渡しません!』

 

朱乃をかばうようにして朱乃の母親は叫ぶ。

 

『・・・・貴様も黒き天使に心を穢されてしまったようだ。致し方あるまい』

 

術者が刀を抜き放ち、斬りかかった。

 

『母さまぁぁぁぁぁっ!』

 

 

 

そして、次に映しだされたのは血まみれのバラキエルだった。

 

『母さま!いやぁぁぁっ!母さまぁぁぁっ!』

 

朱乃は息絶えた自分の母親の体を揺らし、嗚咽を漏らしていた。

 

『・・・朱璃・・・・』

 

バラキエルは震える手で自分の妻に触れようとした瞬間。

 

『触らないでっ!』

 

朱乃は怒りをバラキエルにぶつける。

 

『どうして!どうして、母さまのところにいてくれなかったの!?ずっとずっと父さまを待っていたのに!今日だって、早く帰ってくるって言ったのに!ううん!今日は休みだって言っていたのに!父さまがいたら、母さまは死ななかったのに!』

 

『・・・・・・』

 

『あの人たちが言ってた!父さまが黒い天使だから、悪いんだって!黒い天使は悪い人だって!私にも黒い翼があるから悪い子なんだって!父さまと私に黒い翼がなかったら、母さまは死ななかったのに!嫌い!嫌い!こんな黒い翼大嫌い!あなたも嫌い!皆嫌い!大嫌いっ!』

 

〈父さまは悪くないことぐらいわかってた。けど、そう思わなければ、私の精神は保たなかった・・・・。私は・・・・弱いから・・・。寂しくて・・・ただ、三人で暮らしたくて・・・・〉

 

「それが、お前の望みか。朱乃」

 

一誠の意識が戻ったとき、煉が朱乃の隣に立っていた。煉は朱乃に軽くキスをして言う。

 

「朱乃。お前のその望み俺がなんとかしてやる」

 

煉はそれだけを言うと朱乃たちから離れて自分の神器『略奪喰い(ラバード・イーター)』を発動させる。

 

略奪喰い(ラバード・イーター)よ。俺の想い、いや、俺の欲望に応えろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおッッ!」

 

煉の叫びと同時、煉の体からとんでもない質量の黒白のオーラが溢れ出す。そして、略奪喰い(ラバード・イーター)の口からも大量のオーラが出てくる。

 

「な、何を始めるつもりなんだよ!?レン!」

 

煉のオーラに驚きながらも一誠は煉に問う。

 

「決まってんだろ!朱乃の母親を黄泉の世界から奪ってやるんだよ!」

 

煉の言葉に全員が驚く。そんななかロキが言う。

 

「いくら神器が宿主の想いに応えるとはいえ、そのような行為は神にも不可能だ!それに何故貴殿がそこまでする!?そのオーラあきらかに自分の寿命を減らしているではないか!?」

 

「不可能!?そんなもん関係ねえよ!俺は欲しいものは絶対に手に入れる!それを手に入れるためなら命をも懸ける!そして」

 

煉は一拍開けて叫ぶ。

 

「神にでも不可能なら俺は神を超えてでも手に入れる!!」

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