強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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助っ人

「金だっ!今度こそ金だぞ!」

 

前に銀閣寺で銀じゃないことにショックをうけていたゼノヴィアが金閣寺の金を見ては喜んでいた。

 

「喜んでいるな。ゼノヴィア」

 

「あ、レン。逃げれたんだな」

 

一誠の後ろから現れた煉に一誠はいつもどおりに言う。

 

「ああ、たく、酒を飲んでいたぐらいでいちいちうるせー奴らだ。途中から逃げるのが面倒くさくなって殴って気絶させてきた」

 

「・・・・一応言うが、それ犯罪だぞ」

 

「大丈夫、記憶操作しといた。事故で骨を折って気絶した、としか思わねえよ」

 

「折るな!つーか、お前が酒を飲んでいたのが悪いんだろうが!」

 

「俺は悪くない!悪いのは未成年が酒を飲んじゃいけないという法律だ!」

 

「法律の性にするな!」

 

煉の自分勝手さにツッコミを入れる一誠。そして、それが、いつもの日常のように見ている松田や元浜、アーシアたち。そして、見て回ったあと、お土産を買って、お茶屋で一休みをすることになった。

 

「どうぞ」

 

お茶屋の和服の女性が、抹茶と和菓子を持ってきて、全員で味わっていると、突然、松田、元浜、桐生が眠りこんでいた。そして、煉とゼノヴィアは女性店員を見ると頭部に獣耳に尻尾も生えていた。ゼノヴィアたちは戦闘態勢を取ろうとすると

 

「待ってください」

 

聞き覚えのある声に一誠たちはそちらに顔を向けると、そこにはロスヴァイセがいた。

 

「ロスヴァイセさん!どうしてここに?」

 

一誠の問いにロスヴァイセは息を吐きながら言う。

 

「ええ、あなたたちを迎えに行くようアザゼル先生に言われました」

 

「アザゼルが?」

 

「停戦です。というか、誤解が解けました。九尾のご息女があなたたちに謝りたいと言うのです」

 

ロスヴァイセの言葉に疑問を感じていると獣耳の女性が、前に出て深く頭を下げてくる。

 

「私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。先日は申し訳ございませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申しておりますので、どうか私たちについてきてくださいませ」

 

狐の女性は続けて言う。

 

「我らの妖怪が住む、裏の都です。魔王さまと堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、一誠たちが足を踏み込んだのは異界ともいえる場所だった。江戸時代の町並みのセットのように古い家屋が建ち並び、扉や窓から通り道から、妖怪たちが顔を覗かせていた。

 

「・・・人間か?」

 

「いんや、悪魔だってよ」

 

「悪魔か。珍しいなや」

 

「あのキレイな外国の娘っ子も悪魔か?」

 

「龍だ、龍の気配もあるぞ。それにあの男の気配は尋常じゃないな」

 

妖怪たちが一誠たちを珍しそうに見ながら話をしている。一誠たちは特に気にせず歩いて行くと

 

「お、来たか」

 

「やっほー、皆☆」

 

アザゼルとセラフォルーがいた。そして、その間に煉たちを襲った金髪の少女がいた。

 

「九重さま、皆さまをお連れ致しました」

 

狐の女性はそれだけを報告して、炎を出現させて消えた。九重は一誠たちのほうに一歩前に出て口を開く。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者、八坂の娘、九重と申す」

 

自己紹介のあと、深く頭を下げる。

 

「先日は申し訳なかった。お主たちを事情も知らずに襲ってしまった。どうか、許して欲しい」

 

「ま、いいんじゃないか。誤解が解けたのなら、私は別にいい。せっかくの京都を堪能できれば問題ないよ。もう二度と邪魔しないのならね」

 

ゼノヴィアがそう言うとイリナとアーシアも続けて言う。

 

「そうね、許す心も天使に必要だわ。私はお姫さまを恨みません」

 

「はい。平和が一番です」

 

「てな感じらしんで、俺も別にもういいって。それに実際に被害にあったのはレンだけだったし、レンも許してやれよ」

 

「やだ」

 

一誠の言葉を煉はすぐに否定するが、煉は九重の頭を掴んで顔を上げさせる。

 

「人の快眠を邪魔したんだ。それ相当の罰を与えんと俺の気が済まん」

 

「レン!そんな小さな子にまで罰とかする必要ねえだろ!?」

 

煉の言葉に一誠はそう言うと煉は視線を一誠に向けて言う。

 

「小さい子だろうが、誰だろうが、襲ったことには変わりない。悪いことをすればそれ相当の罰は必要だ。俺は一誠たちみたいに甘くはないからな」

 

「わ、わかった。なんでも申せ」

 

九重は決意に満ちた表情で煉に言うと煉は笑う。

 

「いい覚悟だ。それじゃあ、歯を食いしばれ」

 

煉は拳を握ると九重は拳骨だとわかり、目を閉じて歯を食いしばる。

 

「な~んてな」

 

「えっ」

 

煉は拳骨と見せかけて九重の頭を優しく撫でると、煉は九重に目線を合わせて言う。

 

「九重だっけ?確かにお前が俺を襲ったことには変わりねえし、罰も必要だ。だが、お前は悪いと思って俺たちに謝ったし、俺が罰をすると言っても俺を襲った責任から逃げなかった。その時点で俺はお前を許しているよ」

 

「し、しかし・・・」

 

まだ気にしている九重に煉は言う。

 

「しかしもねえ。本人が許すって言ってるんだ。それ以上気にするんならロリコン総督の本部に連れて行ってロリコン総督の毒牙にかけさせるぞ」

 

「おい、コラ!誰がロリコンだ!?それを言うなって何回言ったらわかる!?」

 

「ロリコンじゃないと思っている奴は皆そう言うんだ。それに前に雫を狙ってたじゃねえか」

 

「あの時はあの嬢ちゃんの神器が気になっただけだ!?俺は断じてロリコンじゃねえ!」

 

「言い訳はロリコンを治ってからにしてくれ。犯罪者」

 

「前から思っていたが、お前、俺のこと嫌いだろ!?」

 

「当たり前じゃん。神器マニアで変態でストーカーでロリコンを誰が好きなるか」

 

煉とアザゼルが言い争っていると九重は笑う。それを見た煉は言う。

 

「やっと、笑ったな。お前みたいな美少女は笑顔が一番いい」

 

煉がそう言うと九重は顔を真っ赤にしながらもじもじする。

 

「び、び、美少女じゃと!?私は別に・・・」

 

「ハハハハ!褒められるのは慣れていないのか?安心しろ。俺はハーレムに入ったらべた褒めしてやる。もちろんお前の母上も一緒にな!」

 

「おまえの方がロリコンじゃねえか!?」

 

「違う!俺は女好きなだけだ!」

 

アザゼルのツッコミに煉は真面目な顔で訂正させる。そんな煉を見ている一誠たちは笑いながら言う。

 

「罰とか言っていたが、レンも許していたんだな」

 

「そうね。小さい子まで口説くのはどうかとは思うけど」

 

「でも、それが、レンさんです」

 

ゼノヴィア、イリナ、アーシアは笑いながらそう言うと一誠も言う。

 

「結局は自分のハーレムを増やしたかっただけじゃねえか。レンの奴」

 

いつもどおり変わらない煉に全員が苦笑していると、九重が照れながら煉たちに言った。

 

「・・・咎がある身で悪いのじゃが・・・どうか、どうか!母上を助けるために力を貸して欲しい!」

 

それは少女の悲痛な叫びだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九重や老人の鴉天狗たちの話によると、須弥山の帝釈天との会談に行く最中に何者かに襲撃されて連れ去られたらしい。その後、アザゼルとセラフォルーが九重たちと交渉して、冥界側の関与はないことを告げ、手口から今回の首謀者が『禍の団(カオス・ブリゲード)』の可能性が高かった。そして、九尾の御大将八坂がまだ、京都にいるとアザゼルが言った。

 

「レン、お前の眷属は呼べそうか?万が一も考えて戦力を増やしても減るもんじゃないしな」

 

「あー、どうだろうな。さっきウラルから連絡があってな。どうやらグレモリー領の都市部で禍の団(カオス・ブリゲード)に関与していない旧魔王派が暴動を起こしてそれを止めに行っているらしい。一応連絡してみるが、期待すんなよ」

 

煉はそう言うと携帯を取り出して一誠たちから少し離れたところで連絡すると

 

「わかった。じゃ、あとでな」

 

「・・・で、どうだった?」

 

煉は携帯を切るとアザゼルが煉に訊いてみると

 

「くじで決めるから少し待ってくれだってよ」

 

「・・・・そんなんで決めんなよ」

 

一誠が呆れたようにため息を吐くと煉の携帯が鳴り、煉は携帯を取る。

 

「で、結果は?て、何泣いてんだよ、ウラル。あぁ、なるほどな。わかった。今から迎えに行く」

 

煉はそう言って携帯を切ると瞬間移動をする。すると、九重が一誠たちに訊く。

 

「だ、大丈夫なのか?正直くじ引きで来る奴が安心できんのじゃが・・・」

 

「だ、大丈夫だって。レンの眷属たちは強い奴ばっかだから。きっと女王(クイーン)のウラルさんや僧侶(ビショップ)のレスティナさんが来るはずだよ」

 

九重がこれから来る煉の眷属に不安を感じていると一誠が何とか説得しようとする。

 

「でも、イッセーくん。さっきのレンくんの話を聞くとウラルさんじゃないと思うよ」

 

「それじゃあ、僧侶(ビショップ)のレスティナさんでしょうか?」

 

「いや、向こうにもある程度戦力は残さなければいけないだろう。おそらく、騎士(ナイト)のサイト・クウラだろう」

 

イリナ、アーシア、ゼノヴィアがこれから来る煉の眷属を予測していると

 

「ただいま。今、戻ったぞ」

 

煉の声が聞こえ振り返ると煉の横にいたのは

 

 

 

 

 

「どうも、くじで当たってきました。海里雫です」

 

煉の兵士(ポーン)の雫だった。

 

「いや、ウラルが雫と離れたくないって泣きながら言うから困ったぜ。で、どうした?そんな以外そうな顔をして」

 

煉が怪訝そうに言うとアザゼルが代表で煉に訊く。

 

「あー、レン。お前の眷属だから大丈夫だとは思うが、一応訊くぞ。その嬢ちゃん、戦えるのか?」

 

「大丈夫だ。雫はアーシアの護衛や俺たちの援護をしてもらう。実際に戦ってるときもそうしてもらっているからな。ほら、雫、挨拶しな」

 

煉の言うとおり、雫は九重に近づいて挨拶する。

 

「初めまして、えーと、兵士(ポーン)の海里雫です」

 

「お、おお。私は九重と申す。歳は一緒じゃろうから、九重と呼んでくれ」

 

「うん、よろしくね。九重ちゃん」

 

お互い笑顔で挨拶する、九重と雫。そして、雫は一誠たちにも挨拶する。

 

「アーシアお姉ちゃん、イリナお姉ちゃん、ゼノヴィアお姉ちゃん、変態のお兄ちゃん、え~と、ロリコンのおじちゃんもよろしくお願いします」

 

ぺこりと頭を下げて挨拶する、雫。だが、一誠とアザゼルは煉に向かって叫ぶ。

 

「「何、言わせてんだ!?」」

 

「事実だろ?変態とロリコンであってんじゃん」

 

「「誰が変態(ロリコン)だっ!」」

 

一誠とアザゼルは見事にハモリながらも煉にツッコミを入れる。

 

「まーまー、それより、アザゼル。俺たちはどうすればいいんだ?」

 

煉はアザゼルにそう訊くとアザゼルは嘆息しながら煉たちに言う。

 

「おまえたちに動いてもらうことになるかもしれん。人手が足りなさすぎるからな。特におまえたちは強者との戦いに慣れているから、対英雄派の際に力を貸してもらうことになるだろう。悪いが最悪の事態を想定しておいてくれ。あと、ここにいない木場やシトリー眷属には俺から連絡しておく。それまでは旅行を満喫していいが、いざというときは頼むぞ」

 

『はい!』

 

アザゼルの言葉に一誠たちは応じた。

 

「・・・・どうかお願いじゃ。母上を・・・母上を助けるのに力を貸してくれ・・・。いや、貸してください。お願いします」

 

九重は手をつき、深く頭を下げる。両脇にいる狐の女性と天狗の老人も続いて頭を下げてくる。

 

「頭を上げな、九重。もちろん助けてやるよ。なあ、イッセー」

 

煉がそうい言うと一誠も頷いて答え、アーシアたちも頷いて答える。

 

さて、英雄派か。あいつも関わっているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日の朝。一誠たちは京都駅へと向かうため、ホテルへ一回集合することになった。煉と一誠と松田、元浜はすでに集まってアーシアたちを待っていると

 

「来たわよー。男子共」

 

桐生の声に煉たちはそちらに視線を向けると桐生に続いてアーシア、ゼノヴィア、イリナに続き雫が煉に抱き着いてきた。

 

「お兄ちゃん、おはよう」

 

「おう、雫。よく眠れたか?」

 

「うん」

 

煉の問いに雫は満面な笑顔で答える。すると、煉の横から松田と元浜が驚きながら訊いてくる。

 

「はー、かわいい女の子だな。それに蒼色の髪って珍しいな。レンの親戚かなにかか?」

 

「・・・・はぁ、はぁ、ちっこくてかわいいな・・・」

 

松田は驚きながらも平然と訊き、元浜は息を荒くしていた。

 

「ああ、俺の妹みたいなもんだ。たまたま、ホテルが一緒になってな。今日は俺たちと行動することにしたんだ。それから、元浜。あんまり、雫に近づくな。近づいたら蹴り飛ばすぞ」

 

真性のロリコンである元浜に煉は一応牽制させておく。だが、元浜はそれが聞こえていないかのように雫に近づく。

 

「雫ちゃんっていうの!?雫ちゃん!僕のことお兄ちゃんとグゲッ!?」

 

息を荒くしながら雫に近づく元浜を煉は容赦なく蹴り飛ばした。

 

「忠告はしたからな。次は手加減はしねえ」

 

「は・・・・はい・・・」

 

蹴り飛ばされた元浜は今度は煉の忠告をちゃんと聞いて雫と距離を取ることにしたが、それでも、数十秒に一回は雫を見ていた。そして、煉たちは天龍寺まで到着すると

 

「おおっ、お主たち、来たようじゃな。雫もよく来た」

 

「九重ちゃん!」

 

雫は煉から離れて九重のところに行く。そして、九重は一誠たちに言う。

 

「約束通り、嵐山方面を観光案内してやろうと思うてな」

 

今日の九重は狐耳と尻尾は隠している状態。松田と元浜が九重を見て驚いていた。

 

「雫ちゃんといい、こっちもかわいい女の子だな。なんだ、イッセー、おまえ現地でこんなちっこい子をナンパしていたのか?」

 

「・・・・こっちもちっこくてかわいいな・・・ハァハァ・・・」

 

再び息を荒くしていたが、その元浜をふっ飛ばして桐生が九重に抱き着いた。

 

「やーん!かわいい!何よ、兵藤、どこで出会ったのよ?」

 

「は、離せ!馴れ馴れしいぞ、小娘め!」

 

「お姫さま口調で嫌がるなんて、最高だわ!キャラも完璧じゃないの!」

 

嫌がる九重だが、桐生はいっそう喜びながら抱き着きて頬ずりする。

 

「なあ、アーシア。もしかして、お前の部屋に行ってた雫もああなったのか?」

 

「はい、桐生さん。凄く嬉しそうにしていました」

 

煉は隣にいるアーシアに桐生が雫を抱きしめていたことは九重を見てわかった。

 

まあ、普段のウラルのスキンシップに比べれば桐生はまだ可愛いほうか。

 

そんなこんながあり、一誠が九重について説明し、九重に案内されながら天龍寺を回った。

 

 

 

 

「いやー回った回った」

 

息を吐く松田。一誠たちは九重の薦めで、湯豆腐屋で昼食を取っている。

 

「ほら、ここの湯豆腐は絶品じゃろ」

 

「うん、凄くおいしい」

 

九重と雫は仲良く笑いながら話をしていた。

 

「和の味する。悪くない」

 

「はい、いつも食べているお豆腐とは違って風味が新鮮でおいしいです」

 

「お豆腐いいわよねぇ・・・」

 

ゼノヴィア、アーシア、イリナはご満悦していると

 

「あ、イッセーくん、レンくん」

 

「よお、木場」

 

「おおっ、木場か。そういや、今日はおまえのところも嵐山攻めるんだったな」

 

「うん、天龍寺行ってきたのかい?」

 

「ああ、見事な龍が天井にあったぜ」

 

「僕もこれから渡月橋を見てから午後は天龍寺に行こうとしていたところなんだ。楽しみだな」

 

「渡月橋か。俺たちもこれ食べたら行くぜ」

 

などと話していると「秋の嵐山、風流なもんだぜ」と聞き覚えのある声が聞こえ、そちらを見ると

 

「おう、おまえら、嵐山堪能しているか?」

 

日本酒を持ったアザゼルが現れた。

 

「おい、アザゼル。教師が昼から酒とか飲んでいいのかよ?」

 

「酒飲んでるのが警察にバレて逃げていたレンが言えることじゃねえだろ」

 

レンの言葉にツッコム一誠。すると、アザゼルの対面の席に座る女性、ロスヴァイセが「その通りです」と同意した。

 

「イッセーくんから聞きましたよ。レンくんはあとで説教です。それと、アザゼル先生。生徒の手前、そういう態度は見せてはならないと再三言ってはいるのですが・・・」

 

「だがな、ロスヴァイセ。ちったぁ、要領よくいかないとよ。そんなだから、男のひとりもできないんだぜ?」

 

バンッ!

 

アザゼルの一言で真っ赤になってテーブルを叩くロスヴァイセ。

 

「か、か、彼氏は関係ないでしょう!バカにしないでください!もう、あなたが飲むぐらいなら私が!」

 

ロスヴァイセはアザゼルの杯を奪って、一気に飲むと

 

「ぷはー。だいたいれすね、あなたはふだんからたいどがダメなんれすよ・・・」

 

「い、一杯で酔っぱらったのか?」

 

驚くアザゼル。すると、煉が

 

「よし、皆、行くぞ。アザゼル。ここは頼んだ。ついでに勘定も」

 

煉は一誠たちを連れて急いでアザゼルたちから離れて行くと後ろから号泣するロスヴァイセの声が聞こえた。

 

「ロスヴァイセちゃん、すごいことになってたな」

 

「ああ、あれは相当酒癖が悪いぞ」

 

「きっと、ロスヴァイセちゃんも若いながら苦労してんのよ。相手があのアザゼル先生じゃ、溜まったものをぶつけたくもなるわね」

 

松田も元浜も若干引いていたが、桐生は同情していた。そして、一誠たちは渡月橋に到着した。

 

「知ってる?渡月橋って渡りきるまで後ろを振り返っちゃいけないらしいわよ」

 

桐生がそう言うと、アーシアが聞き返す

 

「なんでですか?」

 

「それはね、アーシア。渡月橋を渡っているときに振り返ると授かった知恵がすべて返ってしまうらしいのよ。ヴィクトルくんはともかく、エロ三人組は振り返ったら終わりね。真の救いようのないバカになるわ」

 

「「「うるせえよ!」」」

 

一誠、松田、元浜が異口同音に桐生の言葉を返した。

 

「あと、もうひとつ。振り返ると、男女が別れるって言い伝えもあるそうね。まあ、こちらはジンクスに近いって話だけど」

 

「絶対に振り返りませんから!」

 

桐生の説明を遮って、アーシアが涙目で一誠の腕に掴まった。そして、渡っている最中、アーシアは頑として振り返らなかった。

 

「気にせんでいいと思うのじゃが・・・。男女の話は噂に過ぎんのじゃ」

 

「気にすんな、九重。アーシアは純粋なんだよ」

 

などと、言っていると、突然、ぬるりと生暖かい感触が煉たちを包み込んでいった。

 

 

 

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