強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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反逆の英雄

「あ~、暇だ~。俺も試験センターに行って誰かに紛れて実技受けてこよう」

 

「やめなさい」

 

無茶びりを言う煉にリアスは即座に止める。煉は椅子にだらけながら座る。

 

「まだイッセーたちが行って五分しか経っていないのよ。あなたはもう少し忍耐を覚えなさい」

 

「俺の辞書に忍耐も我慢もない。あるのは欲のままに進むという文字だけだ」

 

「はた迷惑な辞書だな」

 

リアスとアザゼルはため息を吐きながらアーシアたちと一緒にホテルで一誠たちの試験が終わるのを待っていた。すると、煉があることを思い出す。

 

「なあ、アザゼル。京都のとき雫の神器が暴走したとき、アキレウスがそれを覇獣(ブレイクダウン・ザ・ビースト)って言っていた。あれは何だ?覇龍(ジャガーノート・ドライブ)と同類系統か何かが?」

 

「確かに似てはいるが違う。覇獣(ブレイクダウン・ザ・ビースト)は魔物封印系神器。それも凶悪だが、まだ覇獣(ジャガーノート・ドライブ)のほうが協力だ。まあ、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)みたいに生命力を神器に吸われて、大暴れしたあげく死ぬだろう」

 

「・・・・なるほどな。そういや、俺はよく生きてるよな。覇龍と覇獣。二つとも戦ったんだから」

 

「そうだな。だが、気をつけろ。下手をすればお前はそれで二回は死んでいてもおかしくはなかったんだ」

 

「わかったよ」

 

真剣な表情で忠告するアザゼルの言葉を煉は胸にしまう。アザゼルの言葉は本当だ。煉はそれで二回は死んでいてもおかしくはなかった。今までは運が良かっただけでこれからはどうなるかわからないことを見越してアザゼルは煉に忠告すると

 

「そういや、レン。俺もお前に訊きたいことがある。何故、お前の女王(クイーン)のウラルは戦おうとも積極的に封印しようともしない。使えばお前、リアスたちとのゲームのとき圧勝していただろう」

 

その言葉は正しかった。もし、アザゼルの言うとおりウラルが一誠やリアス他の皆の力を封印していえば余裕で勝っていた。しかし、それをしなかったことに疑問を感じたアザゼルが煉に訊くと

 

「ウラルはあれでいいんだよ。あいつは封印の力で活躍したと同時に傷ついた。あいつの優しさを踏みにじってまで俺はウラルの力は使わない。戦わなくてもいい。相手を殺すための封印もしなくていい。ただ俺の傍にいろ。俺が昔、ウラルに言った言葉だ」

 

「なるほどな。お前の言葉を信じてウラルはそこまで積極的に力を振るわないということか。お前は本当に女には優しいな」

 

「当たり前だろ。それにウラルはそれを抜いたとしても観察力や洞察力、状況判断能力などが高い。ここだけでも充分な奴なんだよ」

 

煉は頭を指しながら自慢げにアザゼルの言うとホテルの従業員がワインを持って来てそれを受け取ったアザゼルは

 

「まあ、あいつらの前祝いで飲もうか。お前も付き合え」

 

「いいね。それじゃあ」

 

お互いのグラスにワインを注ぎ

 

「「乾杯」」

 

昼からワインを飲みながら煉とアザゼルは一誠たちが来るまで何本も飲み続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てなわけで、試験お疲れさん。二度目だが乾杯」

 

「あ、なくなった。そこの人。ワイン追加で」

 

今度は一誠たちも含めたオカ研メンバーで試験後の疲れを労っていた。煉は朱乃にワインを注いでもらいながら一誠に訊く。

 

「で、どうだったんだ?」

 

「手応えはあった。レンのおかげだが二度とあれはゴメンだ!」

 

「ハハハ!そうか、またやってやる」

 

煉の鬼畜勉強法を心底嫌がる一誠だが煉は嬉しそうに笑う。それから皆で楽しそうに食事をする煉たち。するとアザゼルが酔いながら一誠と木場に言う。

 

「イッセー、木場、おまえら二人はグレモリー眷属でも破格だな」

 

「破格・・・・ですか」

 

「とんでもない可能性を持った若手悪魔ってことだよ。イッセーは才能こそないものの、赤龍帝を宿す者。歴代所有者とは違う方向から力を高め、ついに『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』とは真逆の能力に目覚めた。木場は後付け得たものがあったとはいえ、それでも才能が抜きんでている。禁手も二つも目覚めさせるなんて信じられないほどの才だ。しかもイッセーも木場もいまだ発展途上中ときた。さらに言うならお互いにトレーニングして高め合っているなんてな。・・・おまえら、リアスがプロデビューする前に最上級悪魔になるんじゃないか?」

 

「僕は恵まれています。すぐ近くに天龍、赤龍帝のイッセーくんや僕より才能もあるレンくんがいます。それに・・・・レンくん、彼を見ると自分にそこまでの才はないように感じますが」

 

木場、禁手二つ。煉、禁手四つ+魔神の力、しかも木場より剣術も強いうえにすでに上級悪魔。

 

「もっと褒めていいぞ。木場」

 

苦笑しながら言う木場に煉は調子よく笑うとアザゼルが励ますように木場たちに言う。

 

「まあ、気にすんな、木場。こいつの才能が異常なだけだ。こいつとお前たちを比べるな」

 

「お前らが最上級悪魔の頃には俺は魔王だな」

 

こいつが魔王になったら何をするかわからねえな・・・・。

 

アザゼルは煉が魔王になったときの未来に不安を抱き始めた。それからはこれからのことを話していると突然、全身をぬるりとした感覚に包まれたと思ったら場が一瞬で変化したとき、先程まで一緒にいた一誠たちがいなくなり煉が一人になっていた。

 

「はぁ~。絶霧(ディメンション・ロスト)か・・・。テロリストはこんな時までも仕掛けてくるなよな。せっかく楽しく盛り上がっていたのによ」

 

嘆息しながらぼやく煉はとりあえず動き出した。

 

「俺だけを離したみたいだが多分イッセーたちも同じ結界内にいるだろうな。ということはこちらは時間稼ぎ、英雄派の本命はイッセーたちか。しかし、いったい何が目的なんだ?まあ、敵にあったら拷問して吐き出せばいいか」

 

考えながら廊下に出た瞬間、いきなり魔力弾で攻撃されそうになったが煉は身を捻ららせてそれを躱し攻撃してきた方を見るとそこには二メートルはある巨躯の大男と金髪で聖剣をかまえている女性にその二人の後ろに大勢の集団がいた。

 

「確か、英雄派の幹部、ヘラクレスとジャンヌだっけ?これはまた随分と盛大な時間稼ぎだな」

 

「誰が時間稼ぎだって!俺はてめえをぶっ倒すつもりで来たつもりだぜ!」

 

「そうそう。この前のレーティングゲーム見させてもらったわ。確かに相手の力を奪うあなたの力は恐ろしいわ。でも、そこまで脅威ではないわ。奪えたとしても私たちの力より弱い」

 

煉の強奪魔神は相手の力を奪うことが出来るがそれはまだ未完成。奪える力は本来より劣るレプリカ程度の力しか発揮されない。ヘラクレスやジャンヌの言うとおり完全でない煉ならまだ倒せる見込みはあるかもしれないと思い二人は煉の前に現れた。

 

「まぁ、お前らの言うとおり俺はまだ魔神の力は完全には扱えてねえ。というかたかが元人間が神の力をそう簡単に扱えるかよ。でもな」

 

煉は唇を吊り上げながら禁手、強奪の魔神装(アヴァレンダー・サディオス)になる。それを見たヘラクレスとジャンヌも禁手になる。

 

「魔神の力を使わなくてもあるとあらゆるものを奪い喰うこの魔剣の力は使える。お前らの力をこれで奪える。だが、お前たちには運が悪い。魔剣の力と僅かだが魔神の力を組み合わせた俺の新技。いや、元の俺たちの力で死ぬのだから」

 

意味深のことを言う煉の言葉にヘラクレスとジャンヌだけじゃなく後ろにいる英雄派の集団も怪訝そうにしていると煉は魔剣を床に刺す。それを見たヘラクレスは嘲笑しながら煉に突っ込んだ。

 

「ハッハッハーッ!どうせゲームの時に見せた魔兵だろう!?そんなもんいくらだそうが俺の爆破で吹き飛ばしてやるよ!」

 

「・・・魔兵か。残念だがそんな優しいものじゃない。俺より凶暴で残忍で恐ろしい奴らだよ」

 

煉を殴ろうとするヘラクレスの前に煉の魔剣により生まれた・・・・出てきた人物にヘラクレスは攻撃を受け止められた。ヘラクレスは自分の攻撃を受け止めた奴を見た瞬間。

 

ドゴン!

 

「・・・・がはっ」

 

腹に強力な一撃をもらったヘラクレスはその場で倒れ、気を失う。そして、更に現れる二人を見たジャンヌが後ろにいる集団に指示を出す。

 

「い、一斉にかかりなさい!あれは、あれは異常よ!」

 

見ただけで三人の異常性に気づいたジャンヌは聖龍と英雄派の兵たちと共に一誠に襲いかかるがそれを見た煉は

 

「久しぶりと言いたいが、その前に終わらせようぜ」

 

その言葉に一人は凶悪な笑みを、一人は不気味な笑みを、一人は無表情のまま。そして、その三人は数十分間ジャンヌたちで遊んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィンッ!

 

突如、金属音がロビー内に響き渡る。木場が曹操に聖魔剣で斬りこんでいたが曹操も聖槍で難なく受け止める。

 

「あなたは強すぎる!しかし、一太刀ぐらい入れたいのが剣士としての心情だっ!」

 

「いい剣だ、木場祐斗。ジークフリートに届きうる才能か。正直言うと、俺との相性で一番無難に戦えるのはキミだ。強大なパワーは無いが、どんな状況でも臨機応変に振る舞える聖魔剣は特性を突き詰めれば非常に厄介になる。だが、成長途中のいまのキミなら難なく倒せるさ」

 

曹操は横薙ぎに聖槍を振るうが木場は後退に飛び退き、聖魔剣から聖剣に変えて龍騎士団を出現させて曹操に向かわせる。

 

「新しい禁手か!ぜひ見せてくれ!いいデーターとなる!」

 

狂喜する曹操は球体を自在に操りながら龍騎士団を破壊していく。

 

・・・・わりぃな、親友。まともに動ける強者がおまえだけになっちまった。

 

リアスも朱乃も動きを止められ、ゼノヴィアは深手を負い、アザゼルもヴァーリもやられた。すると、曹操が聖槍を木場に振るう

 

ギィィィンッ!

 

「ほら、こうすれば!」

 

バキッ!

 

曹操が木場の聖剣を難なく破壊する。そして木場に振り下ろす。

 

・・・・木場ッ!!

 

ヴィィィィンッ!

 

曹操の聖槍が木場に振り下ろされる瞬間。木場と曹操の間を縫うように斬撃が飛んでいた。その斬撃を飛ばしてきた方を見るとそこには絶霧(ディメンション・ロスト)で創られたはずの結界に一筋の切れ目ができていた。そして、その切れ目から指が出て来てそこを無理矢理こじ開ける一人の人物。

 

「まったく、面倒なことをするなよな」

 

「レン!」

 

切れ目の先から現れたのは禁手になっていた煉だった。曹操は視線を木場から煉に変える。

 

「これは強奪神。思っていたより早い登場だな。ヘラクレスとジャンヌはキミの時間稼ぎにもならなかったかい?」

 

「いや、どうやら遅い登場だったみたいだな。一応近道してきてよかったぜ」

 

煉は周囲を見ながらそう答え、曹操に大剣を向ける。

 

「一応、キミがいたところの結界はかなり丈夫にしていたのだが、まさかそんな風に斬って現れるなんてな。相変わらず驚かせる」

 

「たいしたことじゃねえよ。ただ次元刀で次元をずらして次元の裂け目を飛ばしただけだ。名前は・・・・そうだな。破月次元斬とでも名づけるか?まあ、それはいい。さっさと終わらせてもらうぜ!」

 

ギィィィィンッ!

 

煉の魔剣と曹操の聖槍がぶつかあり合いお互い連撃を繰り返すなか曹操は聖槍で上手く煉の大剣を受け流して攻撃するものの煉もそれを読んでいたかのように避ける。

 

「テクニックを極限まで極めたお前にはやっぱりカウンターが一番読みやすいな。その手は俺には通用しねえぞ」

 

「そうみたいだな。だが!」

 

曹操は上手く煉の攻撃を躱して後退するとゲオルクに訊く。

 

「どれだけ取れた?」

 

「・・・四分の三強ほどだろうな。大半と言える。これ以上はサマエルを現世に繋ぎ止められないな」

 

「上出来だ。十分だよ」

 

指を鳴らす曹操。途端にオーフィスを包んでいた黒い塊が四散し、役割が終えたかのようにサマエルは魔方陣のなかへ沈んでいった。

 

「我の力、奪われた。これが曹操の目的?」

 

「ああ、そうだ。オーフィス。俺たちはあなたを支配下に置き、その力を利用したかった。だが、あなたを俺たちの思い通りにするのは至難だ。そこで俺たちは考えた。あなたの力をいただき、新しい『ウロボロス』を創りだす」

 

曹操は聖槍の切っ先を天に向けながらそう言うとアザゼルが血を吐きながらも言う。

 

「-ッ!・・・・そうか!サマエルを使ってオーフィスの力をそぎ落とし、手に入れた分を使って生み出す。・・・新たなオーフィスを」

 

「その通りですよ、総督。我々は自分たちに都合の良いウロボロスを欲したわけだ。グレートレッドは正直、俺たちにとってもそこまで重要な存在でもなくてね。それを餌にご機嫌取りをするのにもうんざりしたのがこの計画の発端です。そして、『無限の存在は倒し得るのか?』という英雄派の超常の存在に挑むも試すことができた」

 

「・・・見事だよ、無限の存在をこういう形で消し去るとはな」

 

「いえ、総督。これは消し去るのとはまた違う。やはり、力を集めるためにの象徴は必要だ。オーフィスはその点ではすぐれていた。あれだけの集団を作り上げるほどに力を呼び込むプロパガンダになったわけだからね。だが、考え方の読めない異質な龍神は傀儡にするには不向きだ」

 

「人間らしいな、実に人間らしいいやらしい考え方だ」

 

「お褒めいただき光栄の至りです、堕天使の総督殿。人間ですよ、俺は」

 

曹操はアザゼルの言葉に笑みを見せると禁手を解いて踵を返す。

 

「逃げるつもりか?曹操」

 

「ああ、キミと戦ったら間違いなくこの空間は崩壊してしまうしね。それに聖槍の禁手はまだ調整が大きく必要なんだよ」

 

「・・・・・・・」

 

煉は瞑目すると禁手を解く。今、この空間で曹操と戦ったら間違いなくリアスたちにも被害が及ぶ。それを見た曹操は警戒を解き、自分に親指をさし示す。

 

「赤龍帝の兵藤一誠。何年かかってもいい。俺と戦える位置まで来てくれ。将来的に俺と神器の究極戦ができるのはキミとヴァーリ、そして、煉 ヴィクトルを含めて数人もいないだろう。いつだって英雄が決戦に挑むのは魔王か伝説のドラゴンだ」

 

ーっ!・・・・上等だ。いまはどんなに離れていようとも、いずれ必ずおまえに追いついてやる!

 

「曹操。俺から一つ予言しよう。近いうちにイッセーはお前を倒す。これは確定事項だ」

 

不敵な笑みを浮かばせながら曹操を指して言う煉に曹操も不敵な笑みを浮かばせながら煉たちから去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・駐車場に死神が出現していました。相当な数です」

 

様子を見に行っていた木場が待機しているホテルの一室に戻ってきた。

 

「・・・・ハーデスの野郎、本格的に動き出したってわけか!」

 

アザゼルも憎々しげに吐く。曹操の戦いのあと、ホテルの三十階まで移動し、ルフェイの強靭な結界を幾重にも覆って陣地にしていた。そして、怪我人はアーシアの治療を待っていたがサマエルの毒を喰らったヴァーリは今も別室で激痛に耐えていた。そして、ルフェイからの最新の情報によるとヴァーリがオーフィスを騙していたがオーフィスは無事救出ということにして本物のオーフィスと一緒にヴァーリを葬ろうとしていた。

 

「それにしてもまさか、こんな日まで来るとわな。テロ組織は随分と暇なんだな」

 

「レン。愚痴を言っていないであなたも作戦に参加なさい。ここから脱出するにはあなたの力も必要不可欠なのだから」

 

転がりながらぼやく煉にリアスは注意しながら作戦を考えていた。

 

「わかってるよ。だが、今は休ませてくれ。ここに来るまで予想以上に力を消費したんだ」

 

「リアス。今は休ませてやれ。レンの言うとおりそいつは俺たちのところに来るまで英雄派の幹部二人も倒して来てんだ。力も消費しているはずだ」

 

「安心しな。ちゃんと作戦通りに動いてやるから。それじゃ、お休み」

 

煉は少しでも体力などを回復させるために睡眠を取るためベットへ寝転び数秒で意識を手放した。

 

「ZZZZ・・・・・・いただきます・・・」

 

そして、煉が寝ている間に脱出作戦が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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