強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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二人を失った日

「レン、起きなさい。作戦を始めるわ」

 

リアスに起こされ煉は起床して作戦を聞くと方法は三つ。一つは術者であるゲオルクが自ら空間を解除すること。二つ、強制的に出入りする。三つ、ゲオルクを倒すか、結界を支えている中心点を破壊という単純明快。そして、ルフェイが言う。

 

「駐車場にひとつ、ホテルの屋上にひとつ、ホテルの内部の二階ホール会場にもひとつ、計三つの結界装置が確認できました。それらは蛇・・・・いえ、尾を口にくわえたウロボロスの形の像です」

 

すべての結界装置にはすでに死神が配置されており、駐車場には一番多く死神がいることが判明。さらにそこには曹操に代わってジークフリートと結界を作ったゲオルクもいる。

 

「なんか、面倒くせえな。さっさとその死神とゲオルクたちを倒しに行かねえか?」

 

「やめろ。下手に暴れたら何が起こるかわからん。今はゲオルクたちがいない所の装置の破壊だ」

 

「チッ。で、どうするんだ?二手に別れるのか?」

 

あくびをしながら訊くと朱乃が耳打ちする。それを聞いた煉は笑みを浮かばせた。

 

「さすがは俺の女だ。面白い作戦じゃねえか!」

 

煉は嬉々としながら、そして一誠たちも作戦を実行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル内、煉と一誠と小猫は廊下の一角に立っていた。そして小猫は天井の一角と床に一角の一点を指し示す。

 

「・・・先輩、そことそこです」

 

「了解だ」

 

「OK」

 

一誠と煉は禁手になって一誠は鎧を身に着け、煉は魔神になる。それを確認した小猫は部屋に入ろうとしたとき、一誠が手を引いた。

 

「小猫ちゃん、黒歌は悪い奴だと俺は思う。仙術に魅入られて力を求めているのもわかる。テロリストに身を置いているあいつが善良なわけない。けどね」

 

黒歌に視線を向ける一誠。

 

「やっぱり、小猫ちゃんのお姉さんだと思うよ。野良猫でイタズラ好きで悪い女だけどさ、小猫ちゃんの肉親なんだ」

 

「・・・・姉さまのせいで私は辛い目に遭いました。・・・・姉さまを恨んでいます。・・・・嫌いです。でも、私をさっき助けてくれました」

 

小猫は強い眼差しで一誠に言った。

 

「いまだけは信じようと思います。少なくともここを抜け出るまでは」

 

「それで十分だ。もし、これからも黒歌から何か変なことされそうになったら俺に言ってくれ。こらしめてやるからさ」

 

「へぇ、言うようになったじゃねえか。イッセー」

 

一誠の言葉に感心したかのように言う煉。すると煉は小猫にも言う。

 

「小猫。俺は別にとやかく言うつもりはねえがな、やっぱりお前ら姉妹だわ。性格が逆なだけだけどな」

 

「・・・・逆ですか?」

 

「ああ、普段から表に性格を出すように見えて本当のことは隠す黒歌。普段から表に出さず本当のことを言う小猫。うん。似てるな。そして、共通点がどっちも不器用だってことだ」

 

「・・・?」

 

煉の言っていることがよくわからなかったのか小猫は首を傾げていると煉は笑みを浮かばせながら言う。

 

「まあ、今はわからんでいい。今は好きな奴にでも甘えな」

 

煉は小猫の手を引っ張って一誠に抱き着かせる。小猫も腕を回し一誠を抱きしめる。

 

「・・・・大好きです、先輩・・・。アーシア先輩が先にいても、ゼノヴィア先輩やイリナ先輩が先にいても必ず追いつきます・・・。だから」

 

小猫は真っ直ぐに一誠を見上げて言った。

 

「おっきくなったら、お嫁さんにしてください」

 

「「「「えっ!?そこで逆プロポーズしちゃうの!?」」」」

 

小猫の言葉に一誠が驚く前に仰天しているアーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイヴェル。そんななか煉だけは楽しそうに口笛を吹いていたが急に首を傾げた。

 

「・・・イッセー。もしかしてお前、まだ告ってなかったのか?このへタレ」

 

「うるせえな!言おうと思ってもなかなか言えねえだろ!?こういうの!」

 

「リアス!朱乃!愛してるぞ!帰ったら結婚するからなー!浮気はするけど!」

 

煉はリアスたちのほうに向いて愛の咆哮を叫ぶとリアスは「もう」と言いながら頬を赤く染め、朱乃はいつもの笑みで頷く。

 

「ほら見ろ。言えるだろうが。それより返事しろ」

 

「お前から言ってきたんだろうが!?・・・・と、ええっと」

 

一誠は脳みそをフル回転させ出てきた言葉は

 

「背と、おっぱいを大きくしてくれると・・・・俺は嬉しい!」

 

ただのセクハラだった。

 

「うん、イッセーらしい返事だな」

 

うんうんと納得するかのように頷く煉。すると小猫は強く頷いていた。

 

「・・・・わかりました。牛乳をたくさん飲みます。待っててくださいね、先輩。先輩のお嫁さんにんるため、姉さまに負けないお乳になってみせます」

 

「術式、組み終わりました」

 

そうこうしているうちにルフェイの転移魔方陣が完成。それにより作戦が始まると一誠は内で駒をプロモーションする。

 

「『龍牙の僧侶(ウェルス・ブラスタービッショプ)』にプロモーション!」

 

『Change Fang Blast!!!』

 

一誠は両肩にある砲撃を上に向け、煉は次元刀をかまえる。向けた位置は先程小猫が指した場所。

 

「行きます!」

 

「さあ、死神もろとも壊してやろうぜ!イッセー!」

 

「応ッ!」

 

砲身に強大なオーラを溜める一誠と次元刀に揺らぎを発生させる煉。二人は同時に攻撃した。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇっええええええっ!ドラゴンブラスターァァァァァァァァァッ!」

 

「死神もろともぶった斬れ!破月次元斬ッ!」

 

膨大な赤いオーラを発射する一誠と次元の裂け目を飛ばす煉たちの攻撃はホテルを大きく揺らした。

 

「屋上とホールに設定されていた結界装置が破壊されました!周囲にいた死神の方々ごとです!これで残るは駐車場のひとつだけ!転移の準備も完全に整いました!」

 

刹那、転移の魔方陣も輝きを増して、ルフェイたちを光が包み込んだ。

 

「ゼノヴィア!イリナ!頼むぞ!」

 

「イッセー!死ぬなよ!」

 

「必ずこのことを展開と魔王さまに伝えてくるから!」

 

それだけを言い残して、二人は疑似空間から消えた。

 

「よっしゃ!あとは暴れまくるぜ!行くぜ、てめえら!ヒャハー!」

 

『よし!お前はまず落ち着け!』

 

煉以外全員が同時に煉にツッコンだ。そして、死神たちのいる駐車場ではすでに鎌をかまえ空を飛んでいる死神たちとの激突が始まった。

 

前衛はアザゼル、リアス、木場、朱乃、煉、一誠。そして、後衛に黒歌、ヴァーリ、アーシア、小猫、レイヴェル。後衛である黒歌は魔力で堅牢な防御魔方陣を生み出し、怪我人がいる後衛メンバーを守る。小猫とレイヴェルはそれをサポート。ヴァーリは禁手が使えなくても巨大な魔力の弾で死神たちを数体ずつ葬っていく。オーフィスも参戦しようとしたが力を奪われたせいか加減ができなくなっていたため戦線には参戦しない。

 

侵略する強奪(インヴァード・ピヤージュ)ッ!」

 

煉は次元刀から通常状態の大剣へと戻し、死神たちを斬っていくと斬られた死神たちは粒子になり煉の魔剣に吸い込まれていく。すると、大剣が新たな形へと変化する。

 

「いでよ!デスサイズ!」

 

大剣は大きな鎌へと変貌する。それを回して手に馴染ませた煉は死神たちに言う。

 

「さぁ、このデスサイズのサビになりたい奴はかかってきな」

 

挑発するかのよう手招きすると死神たちも煉に向かって次々襲ってくるが煉は身を逸らすとその後ろにはオーラのチャージを終えていた一誠が死神たちに向けて砲身をかまえていた。

 

「やれ!イッセー!」

 

「まかせろ!ドラゴンブラスターァァァァァッ!」

 

ドガァァァァァァンッ!

 

放たれた極大な赤いオーラで一気に死神たちを倒す一誠。そして、再び死神たちをデスサイズで斬り裂く煉や神速の動きで斬り伏せる木場、雷光や滅びの弾で死神の群れを消滅させるリアスと朱乃。一誠は一旦中衛となってリアスや朱乃たち前衛で戦っている人へ力を譲渡する。

 

「やあ、久しいね。赤龍帝、強奪神」

 

前方から一誠と煉に話しかけてきたのは数多くの魔剣を帯剣しているジークフリート。

 

「よー、英雄さん。ジークフリートだっけ?おまえが俺の相手か?」

 

「いや、俺の相手をしろ。ジークフリート。俺が勝ったらその魔剣全てをいただく」

 

一誠と煉がそう言うとジークフリートは肩をすくめる。

 

「それは楽しいね。強奪神はともかくいまのキミなら僕と良い勝負ができるだろう。けど、先にこちらの方々を相手して欲しいな」

 

音もなく現れる死神の群れ。先程まで相手していた死神たちよりかはワンランク上。そんな相手に煉は前へ出るとデスサイズを変え次元刀に変えると次元刀揺らぎを発生させると

 

「めんどくせ!破月次元斬ッ!」

 

ズバァァァァァァァァンッ!

 

一振りでジークフリートの周りにいた死神たちを斬り倒す。それを見たジークフリートは驚愕していた。

 

「強奪神が相手していたのは中級クラスの死神なのに!それを一振りで倒すとは!相変わらずの化け物だね!」

 

「破月次元斬は防御不可能の攻撃だ。まぁ、大振りで隙もデカいから強敵には使えねえがな」

 

「サイラオーグや曹操と戦ってりゃ、このぐらいの死神じゃ束になってもおまえらの相手にはならないだろうよ。ま、俺にとっても同じだ」

 

自信満々に言いながら一誠と煉のところに降りてくるアザゼル。その時、突如この駐車場に響き渡る謎の声。

 

《死神を舐めてもらっては困ります》

 

空間に歪みが生じ、そこから現れたのは装飾がされたローブに身を包み、道化師のような仮面を被っていた死神。その死神を見たアザゼルは驚いていた。

 

「貴様は・・・・」

 

《初めまして、堕天使の総督殿。私はハーデス様に仕える死神の一人、プルートと申します》

 

「・・・ッ!最上級死神のプルートか・・・ッ!伝説にも残る死神も寄越すなんてハーデスの骸骨オヤジもやってくれるもんだな!」

 

《あなた方テロリストの首領オーフィスと結託して、同盟勢力との連携を陰から崩そうとしました。それは万死に値します。同盟を訴えたあなたがこのようなことをするとは》

 

「・・・・なるほどな。そういう理由をつけて正当化したってことか。で、証拠が残らないように俺たちを消しに来たって訳だ。そうだろ?プルプル」

 

《プルートです。今回は貴方の言うとおり理由を立てさせていただいただけです》

 

煉の言葉を肯定するプルート。だが、それを聞いた煉は笑みを浮かばせていた。

 

《何がおかしいのです?》

 

笑みを浮かばせていた煉にプルートは怪訝そうに訊くと

 

「確かにここで俺たちを消せば理由なんてあとでいくらでも作れる。でもな、お前は二つ間違えている。ひとつ、大前提に俺たちを倒せるかどうかだ。たかが死神風情が俺たちを倒せるかよ」

 

《なめられたものですね。私は悪魔や堕天使に後れを取るほど、弱くはないですよ》

 

「あっそ、それから二つ目は俺たちを消せば証拠が消すことは出来るが。逆に俺たちはお前たちを消せばそんな理由はつけられねえよな!」

 

その言葉と同時、煉とプルートが消え去り、空中で金属音が鳴り響くが

 

「遅いんだよ!」

 

《ぐっ!》

 

煉はプルートの動きを見切り、煉の魔剣がプルートに当たる。

 

「悪いが俺はアキレウスとの戦いでその程度の速さには慣れてんだよ。あいつの動きはまさに神速。その程度の速さなら充分対応できる」

 

笑みを浮かばせながら魔剣をかまえる煉。プルートもまた自分の鎌をかまえる。その時、いつの間にか木場と戦っていたジークフリートが言う。

 

「・・・・・そうだね。それも考えよう。けれど、まずはこれらを退けてからだよ」

 

ジークフリートの周囲に霧が発生するとそこから死神の大群が姿を現した。その数は数百から数千にも及ぶ。

 

「うまく鎌を避けきったキミたちだが、さすがにこの物量をぶつければ鎌も当たるよね」

 

「チッ。アザゼル!あとはまかせた!」

 

愉快そうに笑むジークフリート。煉はプルートをアザゼルにまかせて一誠と木場の隣へと降りる。

 

「全員、下がってな!破月次元斬ッ!」

 

煉は死神の大群に向かって防御不能の破月次元斬を放つがそれでも全て倒すことが出来なかった。

 

さすがに多いな。たった一発じゃ当たるのは前にいる奴だけ。さて、どうするか・・・・。

 

煉は思考を働かせるとあることに思いついた。

 

「よし、イッセー!俺に力を譲渡しろ!」

 

「わ、わかった!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

『Transfer!!』

 

一誠は煉の言うとおりに力を溜めて煉に譲渡すると

 

「イッセーの譲渡の力を喰え!侵略する強奪(インヴァード・ピヤージュ)ッ!」

 

すると、煉の魔剣の刀身に口のようなものが出来、一誠の譲渡を吸い込むように食べた。

 

「ゲームのとき赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使ってみて分かった。譲渡された力はされた奴でも好きなように扱えるってことを。なら、俺はこの一発で終わらせてやる!全員、下がって防御結界を作れ!」

 

煉はリアスたちに忠告すると魔剣を次元刀にへと変える。そして、次元刀をかまえると次元刀に揺らぎを発生させると

 

「喰らえ!」

 

振り払うよう次元刀を横薙ぎする煉。

 

『・・・・・・・・・』

 

だが、喰らったはずの死神たちは一人たりとも倒れてはいなかった。それに誰もが怪訝するなか、ジークフリートが煉に言う。

 

「何がどうなったかはわからないけど。死神たちが無事ということはどうやら不発みたいだね。それで、いったいどこに譲渡の力を使ったんだい?」

 

愉快そうに煉に訊くジークフリート。だが、煉は笑いながら答える。

 

「おいおい、どこを見てんだよ。死神たちをよく見てみな」

 

その言葉に視線を死神たちに向けるジークフリート。すると、死神たちが一体、また一体へと斬られていき、数千までいた死神たちはこの場にいるプルートを除いて全滅した。

 

「そ、そんな・・・いったいどうやって・・・・ッ!?」

 

驚愕するジークフリートに煉は答える。

 

「俺がイッセーの譲渡の力を使ったのは威力や切れ味でもない。全て速さにへと力を使った。いくら圧倒的威力や切れ味を持とうが今の大群を全滅させる前にこっちが力を使い果たしてしまう。だから、俺は破月次元斬の速度を何十倍にも速めて死神たち斬っただけ。いくら大群でいようが見えない速度で放たれた破月次元斬の敵ではなかったな」

 

「「・・・・・・ッ!」」

 

 

驚愕のあまり声も出せなかったジークフリートにゲオルク。

 

「しかし、少しやりすぎたな。この結界の限界は近いだろう。悪いが終わらせてもらう」

 

結界の空間の歪みを見て結界の限界が近いことを悟った煉は魔剣をジークフリートとゲオルクの向ける。そのときだった。

 

バチッ!バジッ!

 

空間に快音が鳴り響く。見上げればこの空間に再び歪みが生じ、穴が空きつつあった。一誠たちは新手だと思ったがジークフリートたちの訝しげな表情を見ると新手じゃないことに気づいた。そして、次元の穴を空けて侵入してきたのは軽鎧にマントという出で立ちの男。その姿イッセーたちには見覚えがあった。

 

「久しいな、赤龍帝、強奪神。それとヴァーリ」

 

「シャルバ・・・・ベルゼブブ。旧魔王派のトップか」

 

ディオドラのとき一誠たちのもとに現れた旧魔王シャルバ・ベルゼブブ。

 

「・・・・シャルバ、報告は受けていたけど、まさか、本当に独断で動いていたとはね」

 

「やあ、ジークフリート。貴公らには世話になった。礼を言おう。おかげで傷は癒えた。・・・・オーフィスの『蛇』を失い、多少パワーダウンしてしまったがね。それと、独断で動いているのは私だけではない」

 

「僕もいるんだよ」

 

「アキレウスッ!」

 

シャルバの背後から現れたのはアキレウスだった。

 

「アキレウス。キミまでどうして?」

 

「悪いね、ジーク。僕はそろそろ決着をつけたくなってね。少しシャルバに協力したんだ」

 

アキレウスは煉に視線を向けると煉も睨むようにアキレウスを見る。

 

「それで、ここに来た理由は?」

 

「なーに、宣戦布告をと思ってね」

 

大胆不敵にそう言うシャルバは醜悪な笑みを浮かべマントを翻すとそこ二は瞳が陰り、あきらかに操られている魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)を持つ少年、レオナルドだった。

 

「・・・レオナルド!」

 

「シャルバ、その子をなぜここに連れてきている?いや、なぜ貴様と一緒にいるのだ!?レオナルドは別作戦に当たっていたはずだ!連れ出してきたのか!?」

 

「少しばかり協力してもらおうと思ったのだよ。こんな風にね!」

 

ブゥゥゥンッ!

 

シャルバの手元に小型魔方陣を展開するとレオナルドが叫んだ。

 

「うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああっ!」

 

絶叫を張り上げて苦悶な表情をする。それと同時、レオナルドの影が広がっていく。

 

「ふはははははははっ!『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』とはとても素晴らしく、理想的な能力だ!しかも彼はアンチモンスターを作るのに特化していると言うではないか!アキレウスの協力で英雄派の行動を聞き彼を拉致してきたのだよ!それでは作ってもらおうか!現悪魔どもを滅ぼせるだけの怪物をッ!」

 

レオナルドの影から生み出される巨大なモンスター。規格外の頭部、大きすぎる動体、太すぎる腕、それらを支える圧倒的な脚。

 

『ゴガァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!』

 

鼓膜が破けそうなほどの咆哮を上げる超巨大モンスター。すると、そのモンスターの足元に巨大な魔方陣が出現。シャルバは哄笑しながら叫ぶ。

 

「フハハハハハハッ!いまからこの魔獣たちを冥界に転移させて、暴れてもらう予定なのだよ!これだけのアンチモンスターだ、さぞかし冥界の悪魔を滅ぼしてくれるだろう!」

 

魔方陣が輝き、超巨大モンスターたちが転移の光に包まれていく。

 

「とめろォォォォッ!」

 

アザゼルの指示で、煉や一誠たちは巨大モンスターたちに攻撃するがビクともしなかった。

 

「クソッ!破月次元斬!」

 

煉は次元の裂け目を飛ばしてモンスターを斬るがモンスターはすぐに回復した。そして、全ての巨大モンスターたちが転移すると

 

グオォォォォォオン・・・・。

 

不穏な音を立てながら空間が崩壊し始めていた。ゲオルクもジークフリートもレオナルドを連れて霧と共に消えた。

 

ドォォォンッ!ドォォォンッ!

 

ホテルのほうから爆音が聞こえ振り返るとそこにはヴァーリに攻撃しているシャルバの姿がいた。

 

「どうしたどうした!ヴァーリィィィィィィィィィッ!ご自慢の魔力と!白龍皇の力は!どうしたというのだァァァァァァッ!フハハハハハハッ!所詮、人と混じった雑種ふぜいが、真の魔王に勝てる道理がないッ!」

 

「・・・他者の力を借りてまで魔王を語るおまえには言われたくない」

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハッ!最後に勝てばいいのだよ!さて、私が欲しいものはまだあるのだ!」

 

オーフィスのほうへ手を突きだすシャルバ。すると、オーフィスの体に悪魔文字を表現した螺旋状に魔力が浮かび、縄のように絡みついた。

 

「ほう!情報どおりだ!いまのオーフィスは力が不安定であり、いまの私でも捕えやすいと!このオーフィスは真なる魔王の協力者への土産だ!パワーダウンした私に再び『蛇』を与えてもらおうか!いただいていくぞ!」

 

「「させるかよッ!」」

 

『JET!』

 

煉と一誠はオーフィスを助けるべき動き出すが煉の目の前にアキレウスが阻まる。

 

「悪いけど、行かせないよ。一応、協力者なのでね」

 

煉の目の前で阻まるアキレウスのせいで下手の動けない煉の代わりの一誠が詰め寄るとシャルバは醜悪な笑みを浮かべ言い放つ。

 

「呪いだ!これは呪いなのだ!私自身が毒となって、冥界を覆い尽くしてやる・・・・ッ!私を拒絶した悪魔なぞ!冥界なぞ、もはや用なしだっ!もうどうでもいいのだよッ!そう、冥界の覇権も支配もすでにどうでもいい!フハハハハッ!このシャルバ・ベルゼブブ、最後の力を持って、魔獣たちと共にこの冥界を滅ばす!」

 

狂喜に包まれたシャルバは一誠と煉に指を突きつける。

 

「・・・・そうだな、貴殿らが大切している冥界の子供も我が呪いで、魔獣どもによって全滅だよ、赤龍帝!強奪神!フハハハハハッ!我が呪いを浴びて苦しめ!もがけ!血反吐を吐きながら、のたうちまわって絶息しろッ!上級悪魔のエリートの子息子女まで平等に悶死していく!ほら!これがおまえたちの宣う『差別ない冥界』なのだろう!フハハハハハハハッ!」

 

そうこうしているうちにフィールドが崩壊していくとき黒歌が叫ぶ。

 

「もう、このフィールドは限界にゃん!いまなら転移も可能だろうから、魔方陣を展開するわ!それで皆でここからおさばらするよ!」

 

魔方陣を展開する黒歌の元に集まるリアスたちだが

 

「なんだ?行かないのか?イッセー」

 

「そう言うレンも行かないのかよ?」

 

「俺にはやることがあるからな。お前は?」

 

「俺もそうだよ」

 

お互い笑みを浮かばせて言う煉と一誠にリアスが告げる。

 

「レン!イッセー!転移するわ!早くこちらにいらっしゃい!」

 

「悪いな、リアス。俺は自分自身の決着をつけてくる」

 

「俺は、オーフィスを救います。ついでにシャルバもぶっ倒します」

 

煉と一誠の言葉に全員ド肝を抜かれたかのように驚く。

 

「僕も戦うよ!」

 

「二人だけ格好つけても仕方ないのよ!?」

 

木場と朱乃の言葉に煉と一誠は首を横に振る。

 

「悪いな、朱乃。これは俺自身が決着をつけなければいけないことなんだ。俺はここで過去との因果を断ち切る」

 

「皆はあの魔獣どもの脅威を冥界に伝えてくれよ。どちらにしてもフィールドはもう保たないだろう?俺ならこの鎧を着こんでいればフィールドが壊れても少しの間、次元の狭間で活動できるはずだ。ヴァーリもそうやって次元の狭間で活動していた頃があるんだろうから・・・・。いま、シャルバを見逃すことも、オーフィスを何者かの手に渡すこともできません」

 

「もう限界にゃん!いま飛ばないと転移できなくなるわ!」

 

「イッセー!レン!あとで龍門を開き、お前らとオーフィスを召喚するつもりだ!それでいいんだな?」

 

アザゼルの提案を頷いて答える煉と一誠は行こうとした瞬間。

 

「レン!」

 

振り返ればリアスがいた。

 

「必ず私のところに戻ってきなさい!」

 

「誰に言ってんだよ。俺は死なねえよ!約束する。俺は必ずリアスや朱乃。皆のところに帰ってくる!」

 

煉がそう言うと転移の光がいっそう膨らんで弾けていった。

 

「死ぬなよ。イッセー」

 

「おまえもな。レン」

 

二人は拳を軽くぶつけ合うとするべきことをしに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・別れの挨拶は済んだかい?」

 

すでに聖剣フラガラッハを抜いているアキレウス。

 

「ああ、お前を倒して俺は無事生還するってな」

 

アキレウスの問いに煉は不敵な笑みを浮かばせたまま言い返す。だが、アキレウスは態度を変えず言う。

 

「これで三度目。訊いても無駄だろうけど一応訊いておこうか。マモンの力を捨てる気はあるかい?」

 

「ないな」

 

煉は即答で返すはアキレウスは瞑目し、一呼吸すると

 

「だったらこれで最後だ。キミを殺して僕は復讐を終わらせる。マモンが僕の妹を殺した仇をキミで討たせてもらう」

 

氷のように冷たい表情で殺気を放つアキレウスは白銀の鎧を身に着ける禁手、神速の勇者(デューヴェロチタ・へーロース)になる。

 

「・・・・忘れてねえよ。お前とお前の妹は二人とも同じギリシア神話の英雄アキレウスの魂を引き継いだイレギュラーな存在。本来一つしかない魂を二人で持っていることにマモンは興味を示し、お前の妹をバラバラになるまで調べたことを俺は忘れたことはねえ」

 

マモンは欲しいものは殺してでも手に入れる。知りたいことはどんなことをしても知る。一切の遠慮も躊躇いもなく自分の欲を満たす為ならどんなことでもする奴だった。煉はそれを知っているし、実際に見ていた。

 

「俺は心のどこかでお前に罪悪感を感じていたかもしれねえ。理不尽に奪ったお前の妹の命を償うために今まで本気を出せなかったと思う。でもな・・・・・俺は死ぬわけにはいかねえ。俺には愛するべき女たちがいるからな。悪いがお前を倒させてもらうぜ」

 

「・・・・・・自分の都合のため僕をも殺すか。今のキミはマモンと名乗ってもいいよ。その強欲さ、グラシス・マモンにそっくりだ」

 

「生憎、マモンの力を宿しているからな。そっくりなのは当然だ。と、そろそろ、フィールドも限界だ。始めようぜ。悲劇を知った勇者と強欲の魔神との戦いを!俺はここで俺たちの決着をつける!」

 

「そうだね。殺してあげるよ」

 

お互い武器をかまえ全身からオーラが噴き出るなか、煉は魔剣を地面へと刺した。そして、そこから生まれてくる魔兵たち。それを見たアキレウスは嘲笑する。

 

「そんな動きの遅い魔兵で僕を倒せるわけないだろう!」

 

アキレウスは神速の動きで魔兵たちをかいくぐり一気に煉のところまで来るが煉は不敵な笑みを浮かばせながら言う。

 

「おいおい、言ったろ?俺たちの決着をつけるって」

 

ガキィィィィン!

 

「なっ!?」

 

アキレウスの聖剣を受け止めたのは煉の魔剣ではない。刀身が夜空のように黒く、そして、星空のように明るい刀を持つ黒髪の長身の無表情の男。そして

 

「カカカカ!死にな!」

 

ドガァァァァン!

 

アキレウスの背後から現れた金髪で逆立った髪をした筋骨隆々の大男はアキレウスを殴ろうとしたがアキレウスは神速の動きでそれを躱したと思ったら

 

「残念。伏兵がいました」

 

「ぐっ!」

 

アキレウスの背後からナイフでアキレウスの腕を刺す。白髪の中学生くらいの男。その三人を見たアキレウスは懐かしそうに言う。

 

「いったい、何年ぶりだろうね。キミ達が揃ったのを見るのは。マモンに拾われ、マモンに育てられた異常の子供たち。マモン・チャイルドズ」

 

略奪喰い(ラバード・イーター)の時に喰わせたこいつらを魔神の力で一時的に外に出すことに成功した。感謝しろよ、アキレウス。ここまで来るのに師匠に土下座してまで鍛えてもらったんだぜ。とりあえず、知っているとは思うが自己紹介しようか」

 

「カカカ!戦闘鬼、ガララ・ワーディ!さっそくだが死んでもらうぜ!」

 

金髪の逆立った髪をした筋骨隆々の大男、ガララ・ワーディ。

 

「残虐快楽者の不知 不知火。あの時僕を殺したのだから殺されても文句言わないでね。例えそれがどういう過程で殺されたとしても」

 

白髪の中学生くらいの男。不知 不知火。

 

「・・・・・無効力者、鞍地 集」

 

黒髪の長身の無表情な男。

 

「最後に俺の子供の時の二つ名は戦術魔術師、煉 ヴィクトル。これが俺たちマモン・チャイルドズのメンバーだ」

 

それぞれが名乗るとガララは拳をかまえ、不知火はナイフを持ち、集は刀をアキレウスにむけ、煉は手元に魔方陣を出現させる。

 

「もう一度言うぜ、アキレウス。俺たちの決着をつけようぜ」

 

「・・・・・そうだね。キミ達を倒して完全に終わらせる!」

 

アキレウスは聖剣フラガラッハに聖なるオーラを放ち、それで一気に魔兵たちを倒すと同時、煉の背後に現れる。

 

「キミの魔神の力で出したのならキミを倒せば彼らも消える!」

 

アキレウスはフラガラッハを横薙ぎするように煉を斬ろうとするがその煉が消えた。

 

「残念でした」

 

「っ!?」

 

突如、後ろから現れた不知火に今度は右足を斬られた。アキレウスは後ろにいる不知火を斬ろうとするがそこには不知火はいなかった。

 

「残念だったね。煉くんが使っていた神器、次元空間(ディメンション・スペース)は元々、僕の物なんだ。だから、煉くんを別のところに瞬間移動させ僕が背後に現れることぐらい出来るんだよ」

 

「カカカ!今度は俺の番だ!」

 

アキレウスに突っ込むガララに対してアキレウスはフラガラッハで斬ろうとするが

 

「禁手ゥゥゥゥゥゥッ!」

 

ガララは突っ込みながら禁手となって鬼の姿になる。それに一瞬驚くアキレウスだが、そのままガララを斬ったがその傷は瞬時に回復してしまう。ガララは斬られたことを気にもせずそのまま殴ったがアキレウスは神速でそれを躱し、今度は背後から聖剣のオーラを凝縮させてガララを斬ろうと振り下ろすが

 

「・・・・・甘い」

 

ガララとアキレウスの間に集が入り込み、フラガラッハの聖なるオーラを無にした。

 

「・・・・いかなるものも無に帰そう」

 

集はそのまま刀を振るがアキレウスは距離を取って躱す。

 

強い!一人一人がお互いをカバーし合ってる。これじゃあ隙をつくない・・・・ッ!

 

アキレウスは内心煉たちの強さに驚いていたがそれ以上にある疑問がある。

 

何故、僕の動きに対応できるんだ?不知火の力で攻撃される前に瞬間移動したのはわかる。だが、タイミングが良すぎる。・・・・・いったいどうやって?

 

どうやってアキレウスの動きに対応出来ているのか疑問に思ったアキレウスだがその答えもすぐにわかった。

 

「ヴィクトルくんが僕の動きを先読みしたのか!?」

 

「その通りだ!」

 

アキレウスの答えを肯定しながら魔方陣から火炎球を出す煉。アキレスはその火炎球を真っ二つにする。

 

「俺が二度もお前と戦ってそれを観察してない訳ねえだろ。もうお前の動きは手に取るようにわかる」

 

アキレウスはフェイントと今度は残像を入れながら煉を攻撃しようとするが再び、瞬間移動で躱される。そして、もう一度、不知火に今度は左足を斬る。

 

「両足を斬られた今のお前に神速の動きは出来ねえだろ。俺が相手を分析して動きを先読みし、不知火で相手の動きを封じる。集は相手の力を無にしてガララでトドメをさす。これが俺たちの戦い方だ。さてと、このまま戦えば俺たちが勝つが、お前にチャンスをやるよ」

 

煉は地面に刺していた魔剣を抜くとガララたちは消え、全ての力は煉に戻る。

 

「お前は俺に生かすチャンスを寄越した。なら、俺もここからは魔剣のみで相手をする。神速の動きが出来ない今のお前にはいいハンデだ」

 

「・・・・・・傲慢だね。それがキミの命取りになるよ」

 

「俺は強欲なんでな。傲慢も欲しいのさ。それに俺にチャンスをくれたお前も充分傲慢だ。お互い様だよ」

 

それを聞いたアキレウスはフッと笑いながら聖剣をかまえる。煉もそれに合わせて魔剣をかまえる。お互い、崩れゆくフィールドのなか、じっと動かずかまえていると二人の間にフィールドの破片が落ちたのを合図に二人は動き出した。

 

「はぁあああああああああああああっ」

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおっ」

 

互いが発した気合が重なり合った次の瞬間。

 

ガキィィィィィィィィィンッ!

 

煉の魔剣とアキレウスの聖剣がぶつかり合い、激しい金属音を打ち鳴らされる。お互いが斬り合うなか、どっちも致命傷になる怪我は避け、かすり傷程度は無視して攻撃する。

 

「聖剣、フラガラッハに斬られたらその傷は二度と治らない!かすり傷とはいえ、永遠に残ってしまうよ!」

 

「それがどうしたよ!ここでお前を倒せるなら安いもんだぜ!」

 

魔剣を横薙ぎする煉に対してアキレウスはフラガラッハで防ぎ、今度はアキレウスが仕返しかのように横薙ぎで攻撃するが煉は地面を蹴ってそれを回避。そして、幾重にもぶつかり合うなか、煉がアキレウスの聖剣を煉の後ろにへと弾き飛ばした。

 

「これで・・・・俺の勝ちだ!」

 

聖剣フラガラッハを飛ばした煉は魔剣を振り下ろす。そこでアキレウスは一つの動きを見せると魔剣を振り下ろしていたはずの煉の動きが止まった。

 

「だから、言っただろ?それがキミの命取りになるよって」

 

聖剣、フラガラッハが煉の背後から煉の心臓を貫いていた。

 

「聖剣、フラガラッハには二つの能力がある。一つは斬られた傷は二度と治らない。もう一つは持ち主の手元に返ってくる。僕はワザとキミの後ろに聖剣を飛ばさせたことに気づかなかった。その強欲から生まれた傲慢さがキミの敗北理由だよ。僕の勝ちだ」

 

そう言って煉の背後からフラガラッハを引き抜くと煉は魔剣を持ったままその場で倒れる。それを確認したアキレウスは踵を返すと

 

「フハハハハハハハハッ!どうせ貴殿もサマエルの毒で死ぬのだッ!赤龍帝ェェェッ!」

 

絶叫しながら紅いオーラに包まれて消えたシャルバとサマエルの毒を喰らってすでに瀕死の状態の一誠がいたがアキレウスはそれを無視して煉に告げる。

 

「さようなら。僕の復讐の相手。そして、僕の好敵手(ライバル)

 

それだけを言い残してアキレスは姿を消した。

 

・・・・・・・くそ、油断・・・しちまったな・・・・・。

 

聖剣の力により煉の体が少しずつ消えていくなか煉は走馬灯のように今までのことを思い出していた。そして、煉の肉体は完全に消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中級悪魔昇格センターにある転移用魔方陣フロアにリアスたちが集まり、元龍王タンニーンの協力のもと、召喚用の儀式が執り行っていた。龍門を介して強制召喚を執り行う為タンニーンやサマエルの毒に耐えながらもヴァーリは魔方陣の隅で待機していた。そして、その様子をリアスたちは心配そうにただ見守っていた。

 

あのあと、あの空間から生み出された『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の規格外のモンスターたちはすでに悪魔と堕天使の同盟により迎撃部隊が派遣されたがモンスターたちの堅牢さに手を焼いていただけでなく旧魔王派の残党が合流して、巨大モンスターたちの進行方向にある村や町を襲撃し始めていた。

 

・・・・キミ達の力が必要だ、イッセーくん、レンくん。赤龍帝と強奪神の力をいまこそ冥界のために使わないといけない。首都ではキミ達の登場を心待ちしている子供たちが多いんだよっ!

 

だからこそ、帰ってきてくれ!

 

「よし、繋がった!」

 

アザゼルがそう叫び、巨大な魔方陣に光が走る。アザゼルが持つファーブルにの宝玉が金色に、ヴァーリが白く、タンニーンの体が紫色に輝いた。それに呼応するように魔方陣の輝きがいっそうに広がっていくと力強く光り輝く魔方陣はついに弾けて何かを出現させようとした。そして、閃光がフロア全体を包み込んでいく。そして、光が止み、木場たちの視線が魔方陣の中央に向けると、魔方陣の中央、そこに出現したのは紅い八つの『兵士(ポーン)』の駒と煉が持っていた魔剣『侵略する強奪(インヴァード・ピヤージュ)』だった。

 

・・・・・・・・。

 

え・・・・・・?ど、どういうことだ・・・・?

 

木場はその現象をまるで理解できなかった。すると、アザゼルが力なくその場でひざをついて、フロアの床を叩いた。

 

「・・・・バカ野郎・・・・ッ!」

 

アザゼルのしぼりだした声を聞いて徐々に理解し始める。朱乃はその場でへたりと力が抜けるように座り込み、リアスは呆然としたままその場に立ち尽くしていた。

 

「・・・・・イッセーさんは?レンさんは?・・・・・え?」

 

怪訝そうにうかがうアーシア。反応を示さない小猫にレイヴェルはが抱き着き「いやぁ・・・」と信じられないように首を横に振って嗚咽を漏らし始める・・・・・。

 

・・・・・卑怯だよ、イッセーくん、レンくん。駒と剣だけを帰すなんて・・・・。ちゃんと戻るって言ったじゃないか・・・・。

 

木場の頬に伝う涙はしばらく止まらなかった。そして、その日、木場たちは一誠と煉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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