「ここが・・・・グバイハナ・・・・もう荒れ地にしか見えねえ」
煉とウラルの師匠であるエキノ・アフルレイトが重症というユーグリットの真偽を確かめる為煉、ウラル、アーシアはグバイハナに到着するとそこはもう荒れ地のようになっていた。家は全壊、町全体が破壊の限りを尽くされていた。
・・・・今は師匠の容体だ・・・。
煉は頭を振り意識を切り替え近くにいた町人の男性に話を伺う。
「申し訳ない。ここにエキノ・アフルレイトがいると聞いて来たのですが」
「失礼ですが、あなた方は?」
「エキノ・アフルレイトの関係者です。今、どちらにいらっしゃるのでしょうか?」
煉がそう問うと町人の男性は苦しい表情をしながら煉たちに案内すると町はずれのあるところに連れてこらされる。
「ここは町の資材置き場です。運よくここは免れました」
「いったい何があったんです?」
煉がそう尋ねると男性は体を震わせながら冷や汗を流しながらも答える。
「・・・・ドラゴンです。大量のドラゴンがこの町を襲ったんです」
その答えに驚愕する煉たちだが男性は続けて言う。
「アフルレイトさんのおかげで死者は出ませんでしたが・・・・今はこのように」
資材置き場を少し改良し住めるようにしたスペースの一角に全身に包帯を巻かれベットに寝かされていたエキノ・アフルレイトの姿があった。
「お姉ちゃん!」
ウラルがエキノの姿を見て真っ先にベットに駆け付けるが意識がなかった。
「今治します!」
アーシアもすぐに治療を始める。ウラルもエキノの手を握り無事を願う。
「・・・・・ドラゴンって言ったよな。どんなドラゴンだった?」
「・・・邪悪な気配を漏らしたドラゴンでした。それも一体や二体ではありません。大量に」
邪龍か・・・・。ならテロリストだな。いったい何が目的でここを襲った?
テロリストの目的に思考を働かせると隣にいる男性の目から涙が溢れでていた。
「私は・・・・私は自分が情けない・・・・・。女性一人を置いて私は逃げてしまった。そんな自分が恥ずかしく思えます・・・・・ッ!」
「あんたがいれば師匠の足手纏いだ。逃げて正解なんだよ。もし、あんたが戦場の足を踏み入れて師匠を死なせていたら・・・・・・俺があんたを殺してたぞ」
殺気を放つ煉に怯む男性。すると
「・・・・・レン。お止めなさい。その方は何も悪くはありません」
「・・・・師匠」
包帯を巻かれた状態で上半身を起き上がらせるエキノに煉も安堵の声で名前を呼ぶ。
「お姉ちゃん!」
「よしよし、貴女にも心配かけましたね。アーシアさん、ありがとうございます。おかげで助かりました」
抱きつくウラルの頭を撫でながらアーシアに礼を言うエキノにアーシアは首を横に振る。
「そんな、私はこれぐらいしか出来ませんので・・・」
「謙遜する必要はありません。貴女の治癒の力はとても素晴らしいものなのですから」
「師匠、いったい何があった?」
問いかける煉にエキノも難しい顔をしながら言う。
「・・・・ウラル。アーシアさんたちとここから出ていてください。少し煉と話さなければならないことがあります」
「・・・はい。行こうか、アーシアちゃん」
ウラルはアーシアを連れて部屋から出る。煉とエキノが二人きっりになるのを確認するとエキノは口を開く。
「レン。前と随分見た目が変わりましたね。気配も何もかも別人のようですよ」
「肉体が滅んで魔神の肉体を使っていますから。それより、いったい何があったのですか?師匠がそこまで重症を負わせる程の相手とはいったい誰なのですか?」
「・・・・・・邪龍。そして、それを率いていた六人の人間です」
「っ!?貴女が人間にやられたんですか!?いくら邪龍を率いていたとしてもやられるはずがないでしょう!?」
煉の言葉にエキノは苦笑しながら言う。
「・・・・酷い言われようですね。私はこれでも人間ですよ」
「貴女は人外でしょうが!万が一人間で貴女に傷を負わせれるとすれば神滅具所有者。それぐらいしか思いつきません」
「いいえ、彼らは神器は持っていましたが神滅具は持っていません。レン、私からも一ついいでしょうか?」
「何でしょう?」
「・・・・初代七大魔王である魔神たちは本当に死んだのですか?」
その問いに煉は口を閉ざした。初代七大魔王は死んだと煉はマモンから聞いた。だが、神隠しの町タウビリアで出会った少女の言葉を思い出した。
『初代七大魔王の一人にして色欲の魔神、シルティ・アスモデウス。よろしくね』
間違いなくそう言った。アガレスには口封じを頼んでいるためそのことを知っているのは煉とアガレスだけ。
「・・・・・・マモンはグラシス・マモンはそう言っていました。ですが、今では疑問に感じています」
煉は自分に手を当て続ける。
「俺が魔神になって気づきましたが魔神の寿命は永遠に近いほどあります。少なくとも寿命で死ぬということはほぼないでしょう」
「・・・・やはり、そうですか」
まるで煉の答えを予想していたかのようにつぶやくエキノ。
「レン。私が相手をした六人の人間も自分たちのことを魔神と呼んでいました。そして、貴方を探していました。この町を襲ったのも私に傷を負わせ自分たちのことを貴方に教えるためでしょう」
「人間・・・・なんですよね?俺以外にも
「肉体も気配も人間そのものでしたが力はあきらかに人という枠を超えていました」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
謎が一気に深まるなか煉とエキノは思考をしばらく働かせるが一向に答えが見えてこなかった。すると、エキノがふぅと息を吐く。
「今は考えても情報不足ですね。レン、着替えるのを手伝ってください。貴方は女性の扱いに長けているのでしょう」
「え・・いや・・その」
「何をもたついているのですか?私はしばらく寝ていたのでまだ体が本調子ではないのです。お願いしますよ」
「りょ、了解」
煉はエキノの体に巻かれている包帯を取り外し始めるとエキノの白い綺麗な肌が少しずつ見えてくるにつれ煉は全身から冷や汗が流れる。
いったいどういうつもりなんだ?師匠は・・・・。
煉はエキノの鉄壁さを知っている。今回みたいに重症を負っていれば話は違うだろうが基本的に着替える時や風呂などに入るときでも決して人に肌を見せない。例えそれが同性あってもそれは変わらなかった。それが今、異性である煉に着替えるのを手伝わせているエキノに煉は疑問を感じながら包帯を取り外す。そして、体中に巻かれていた包帯が殆ど取れエキノの裸体が丸見え状態になっていた。リアスたちと殆ど変らないスタイルに煉も今すぐにでも襲いたかったが相手が相手なのでそれが出来なかった。
「どうしました?服を持って来てください」
エキノの指示通り煉はエキノの服と下着を持って行く。
「はい、さすがに着替えるのは出来ますでしょう?俺は外で待っていますから」
服と下着を部屋から出て行こうとした煉。
「え?」
だが、突然の浮遊感が煉を襲った。そして、気が付けば煉はベットの上で寝転がっていた。さらに
「・・・・何故です?」
「し、師匠?」
煉を押し倒している状態でエキノが覆いかぶさっていた。
「こんなにも頑張っているのにどうして襲わないのですか?貴方は」
そして、その瞳には今にも泣きそうなぐらい涙を溜め込んでいた。その理由は煉にはわからなかった。初めてエキノに会った時の煉は速攻でエキノに襲いかかったが返り討ちにあいその後も師匠として姉として接して来てくれたエキノの今の反応に煉は戸惑っていた。
「レン。私は貴方とウラルに出会うまでとある戦士育成機関にいましたがそこから抜け出し私は一人で生きていたところを貴方とウラルに出会って姉として接して来ました。家族なんて知らないのにおかしな話ですよね」
自嘲気味に話し始めるエキノの話に煉は黙って聞いていた。
「それからあなた方が私の元から離れ私は一人で旅を続け前にウラルから貴方が重症という話を聞いた時は心臓が止まったかと思ったんですよ?」
雫の神器が暴走したときか・・・・・・。
「その時までは私は貴方とウラルのことを弟と妹として見ていました。ですが、貴方がリアスさま、ウラル、その他大勢の女性たちと囲まれているのを見て私の中の何とも言えない感情が出てきました。そして、すぐにわかりました。私はいつのまにか貴方に惹かれているということが」
エキノは自分の胸に煉の手を当てて言う。
「レン。私と本当の家族になってはいただけませんか?もし、なってくれるのであれば身も心も貴方の好きにして構いません。私は喜んでそれを受け入れます・・・・ですから、私だけを見てください」
「・・・・・・・・」
煉はエキノの目を見て本気だとわかった。もしここで煉が首を縦に振ればエキノは一生煉のことを慕い続けるだろうと。煉はエキノが苦手だが嫌いではない。もしろ好きなぐらいだ。唯一煉が敬意を払い尊敬している人物と言ってもおかしくない。告白されたのならもちろんOKするが
「悪い、
それが煉にとっての答え。自分は誰か特定の人物のものにはならないが自分のものになるなら誰でも受け入れる。
「・・・・・それは私もウラルたちのように貴方のハーレムに加われということですか?」
「まあ、そうなるな。安心してくれよ。ちゃんとエキノのことも愛してやるよ。姉として、師匠としてじゃなく一人の女としてな」
笑みを見せながらそう言う煉。だが
「嫌です。ウラルにもリアスさま方には悪いとは感じています。ですが、私は貴方を独り占めしたい。私一人だけを愛して欲しい。私のこの想いを受け止めてはくださいませんか?」
涙を流しながら煉に抱き着くエキノ。その姿は姉としてでもなく師匠としてでもなく一人の恋する乙女のようにか弱く切なかった。煉はそんなエキノに
「んっ」
キスをした。舌を入れるほどの濃密なキスだがエキノもそれを受け入れるようにキスを続けるなか数十秒。
「たく、意外に独占力が強いんだな、エキノは。なら勝負といこうぜ」
「勝負・・・ですか?」
「ああ、エキノが勝てば俺はお前のもんだ。だが、俺が勝てばお前は俺のもんだ。今の俺ならエキノと互角に戦える。弟子が師を超える時が来たんだ。勝負しようぜ。エキノ・アフルレイト」
煉の言葉にエキノは服を着て一度瞑目し、開く。
「いいでしょう。勝って貴方を私のものにします。勝負です」
そうして、師と弟子の対決が始まろうとしていた。