「全てを薙ぎ払い飲み込む!魔神の嵐に飲まれ存在そのものごと吹き飛ぶがいい!」
香歩、あずみ、雫の三人は初代七大魔王の一人、グルー・ベルフェゴールと戦いが始まった。しかし、グルーは自分の力を見破った香歩たちに敬意を払い
これで終わった・・・・・。
自身の最大の攻撃が決まったグルーはそう思いながらあることを思い出していた。それは戦いが始める前にリオンに言われたことを。
『グルー。強奪神の
『ふぁ~、
『確かにそうだ。しかし、あのリヴァイアサンだ。その一撃は海を割り、山を貫く。そして、その鱗はあらゆる武器を跳ね返す。持ち主がまだ子供で幸いか、いや、もしくは子供だからこそ真っ先に殺すべき存在か。最低でも
その時、グルーはリオンの言っていた意味がよくわからなかった。確かに神器は強力だが所詮は一つの武器。使い手が子供なら相手するまでもない。そうグルーは思っていた。
今ならリオンが言っていた意味が分かった気がするよ。
神器は想いに応える。もし、あのまま雫の想いの力がそのまま
まあ、でも、もう関係ないか・・・・・。
偶然とはいえリオンの忠告通りに雫を倒したグルーは残り二人も倒そうと視線を前へと向けた。
「なっ・・・・・・!?」
しかし、その先には倒れている香歩とあずみ。そして、先程、グルーが放った攻撃の先には黄色いドラゴンが雫を庇うかのように囲まっていた。
「東の青竜!南の朱雀!西の白虎!北の玄武!天の四方の方角の言葉を聞け!黄竜!」
あずみは四本の刀を地面に刺し、雫が攻撃を喰らう直前で黄龍を呼び出し雫を守っていた。
まだ、幼子である雫が立ち、拙者だけが倒れているわけにはいかぬな・・・・。
あずみの足には自分の武器である小太刀が足に刺さっていた。あずみは痛みで体に纏わりついていた恐怖を打ち払ったがそれだけじゃなかった。
主殿の命令は絶対に死ぬな。死んでしまったら本当に主殿の忍失格だ・・・・。
命令を、そして、仲間を守る為にあずみは恐怖を打ち払うことが出来た。
「黄龍!代償として私の左腕をくれてやる!だからお主の力を貸してくれ!」
あずみの言葉に応えるかのように黄龍はあずみの左腕を食いちぎった。
「香歩殿!いつまで寝ておられる!」
あずみは今だに恐怖が纏わりついている香歩に喝を入れた。
「貴女は主殿に言っておられたではありませんか!弱い者にも意地はある!助けに行きたいという想いはある!自分の主が危険な道を共に行きたいという気持ち!貴女がおっしゃっていたあの言葉は嘘であったのか!?」
「・・・・・っ!?」
そうでした・・・・・。私はあの人に・・・レンさんに救われた。いつも私をからかって、苛めて、セクハラして、いつも私にツッコませる。でも、寛大で、頼りになって、優しくしてくれる。私はそんなレンさんが私は好きになったんだ。
ゆっくりと体に喝を入れながら起き上がる香歩。そして、その瞳は決意に満ちていた。
私は大好きな人と仲間と同じ道を歩き続ける。例えそれがどんな道でもあの人と一緒なら・・・・!
その瞬間、香歩が身に着けている人口神器、
「
一瞬の閃光が辺りを包み込み、光が止んだあと、香歩がいつも来ているメイド服の上に白いマントを羽織り。眼鏡は三重に重なった片眼鏡の香歩がいた。そして・・・・。
「
黄龍に守られていた辺りから蒼い光が爆発するかのように弾けとんだ。その中心には蒼い砲塔。砲塔全体に覆われている蒼い鱗。獣のような口からは発射口が姿を現していた。そして、その砲塔の上には蒼い鱗ような
「
驚愕するグルーに香歩と雫は高らかに叫んだ。
「
「
高らかに叫んだ香歩と雫。だが、グルーは二人の
「なっ・・・・・!?」
驚愕するグルーだが、もう一つ雫へと放った嵐の方を見るが雫にぶつかると同時、弾ける。
僕の攻撃を霧散させたのも理解できないがこっちは攻撃そのものが効いていないのか!?・・・・・いや、これがあの二人、強奪神の
驚きながらも冷静に思考を働かせるグルーに対して香歩が口を開いた。
「貴方は敵である私たちに自身の能力を教えていただきました。そのお礼として私の
香歩はかけている片眼鏡を触れながら能力をグルーに教えた。
「私の
右腕を上空へとかざすと香歩の右手に強大な魔力が集まり始めた。
「調和し、霧散された魔力を操作すること。これが私の新しい力です!」
香歩は右手に集めた魔力を巨大な剣へと形に変え、それをグルー目掛けて振り下ろすがグルーはそれを容易く避ける。
「黄龍!」
しかし、避けた先にはあずみが召喚した黄龍が待ち構え、黄龍は口を大きく開け、鋭い牙をむき出しグルーに襲いかかる。
「くっ!」
それでもグルーは風の力を使い、自身の体の軌道を変え、黄龍の牙から逃れる。
「雫ちゃん!」
「うん!」
香歩の声に促されるように返事をする雫は砲身の照準をグルーに定める。
ドゥゥゥゥゥゥ・・・・・。
静かな鳴動のあと、蒼色のオーラが発射口に集まり、圧縮されていく。
あれは・・・・ヤバい!
本能的にそれを察知したグルーはすぐさま回避体勢に入るがそれと同時、オーラの圧縮が終えた雫はグルー目掛けて叫んだ。
「ヴォールテクス!!」
蒼いオーラは渦を巻くかのように回転しながらグルーに向かって発射された。
速いッ!だけど、これならまだ・・・・・・!
雫の攻撃を回避しようとするグルーに黄龍がグルーの体に巻きつきグルーの動きを封じた。
「しま――――」
ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!
放射された蒼いオーラはグルーを飲み込んだ。
「任務・・・・完了・・・」
その言葉と同時、あずみはその場で倒れ気絶するかのように倒れる。それと同時、雫も
強大な力を上にその力の消費も激しいのか・・・・。しかし、これで・・・・・・。
倒れながらも視線をグルーがいた場所へと向けるあずみ。
「な・・・・・・ッ!?」
目を見開き、驚愕するあずみの視線の先には・・・・・。
「やって・・・・・くれたね・・・・・」
左腕を失い、全身血まみれになりながらでもまだ立ち上がっているグルーの姿がそこにあった。
「正直・・・・今のは本当に死んだと思ったよ・・・・。流石はリヴァイアサンだ。でも、使い手が子供で助かった・・・・あと、三年、いや、一年その力に慣れていたら今の攻撃で僕は確実に死んでいた」
グルーは残った右腕で円盤を動かし、その照準を気絶している雫へと向ける。
「この人間の肉体は限界だが、今ここで彼女だけは確実に葬らせてもらう」
狙いを雫へと定めるグルーにあずみは必死に体を動かそうとするが指一本動かすことが出来なかった。
まずい・・・このままでは雫が・・・・・!
ただ雫がやられる光景を見ることしか出来ないあずみ。そして、円盤に風が出現し始める。
「終わりだよ」
「いいえ、終わるのは貴方だけです」
ドス!
いつの間にかグルーの背後に回っていた香歩が魔力で具現化させた刀をグル―の心臓に突き刺していた。
「ごふ」
口から血を吹きだし、
「あ~あ、やられたな・・・・・・。魔神失格だ・・・・・」
愚痴るかのようにぼやくグルーに香歩は訊いた。
「教えて下さい。どうしてウラルさんを攫ったのですか?」
「別に・・・・たいした理由はないよ。リオンに言われただけだからね」
「なら、貴方方の目的は何なのですか?そこまでして世界に絶望を与えたいのですか?」
香歩は煉からある程度の話とリオンから聞いた目的のことをグルーに訊くがグルーの表情は唖然としていた。
「何それ?世界に絶望?キミたちこそ何を言ってるの?少なくとも僕がリオンから聞いた話は肉体を取り戻すだけとしか聞いていないよ」
「はい?」
噛み合わない話に香歩は呆然とするがグルーはそんな香歩を無視して訊いた。
「ゴホ!ガハ!・・・・・どうやらもう死ぬみたいだね・・・・・最後に僕からも一ついいかな?」
「どうぞ」
「キミは・・・キミたちは本当に強奪神である煉 ヴィクトルが信じられるのかい?彼には僕たちを裏切って殺そうとしたあのグラシス・マモンの力を受け継いでいる。その強欲は底がない。いずれ彼はグラシス・マモンと同じように自分以外全てを欲望の糧にならないと断言できるかい?」
「・・・・・確かにレンさんは強欲です。ですが私はその強欲なレンさんに救われました。いいえ、強欲だけじゃない、それ以上にレンさんは優しい方です。決してそのようなことはならないと私が断言できます」
即答するかのように断言する香歩。それを聞いたグルーは薄く笑みを浮かばせていた。
「・・・・・キミの名前をもう一度訊いてもいいかな?」
「はい。私は強奪神、ヴィクトル眷属の
「・・・・そっか。じゃあ、僕はもう休むよ・・・・」
その言葉を最後にグルーは逝った。香歩はそっと目を開いていたグルーの目を閉じる。
「ありがとうございます。貴方のおかげで私は強くなれました」
その言葉を言い残して香歩は倒れているあずみと雫の介抱へと向かった。だが、その時、香歩は気づかなかった。グルーの体から飛びだした小さな金属片が自身の体に入っていたことを・・・・。
香歩、あずみ、雫は何とか初代七大魔王の一人、怠惰の魔神、グルー・ベルフェゴールを打倒した。
「・・・・・・・・・」
そして、別の空間にはヴォクトル眷属の
「・・・・・・・・・」
目の前に敵がいる。徹にとって姉的存在であり、家族であるウラルを攫われた。倒すべき存在が目の前にいるにも関わらず徹は攻撃するどころか呆然としていた。何故なら・・・・。
「うっぐ・・・ひっぐ・・・ずず・・・うぅ・・・くっ・・・・」
鼻水を流し、大号泣しているシルティがいたから。