強欲を司る略奪者   作:ユキシア

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色欲の魔神

煉と煉の眷属たちは初代七大魔王に囚われたウラルを取り返す為に初代七大魔王のアジトに乗り込んだ。しかし、煉たちは色欲の魔神、シルティ・アスモデウスによってバラバラに別れられてしまった。別れた空間の中、香歩、あずみ、雫は初代七大魔王の一人、怠惰の魔神、グルー・ベルフェゴール相手に何とか勝利を収めることが出来た。そして、別の空間の中、煉の戦車(ルーク)である徹の前には色欲の魔神、シルティ・アスモデウスがいるにも関わらず徹は攻撃するどころか呆然としていた。

 

「うっぐ・・・・ひっぐ・・・・ずず・・・・うぅ・・・くっ・・・」

 

何故ならシルティは鼻水と涙を流し、大号泣していたからだ。

 

なんで、こうなったん、だ?

 

突然、自分の周りから皆がいなくなった。そして、徹の目の前にはシルティがいたがシルティは徹を見るとすぐにその場で膝をつき泣き始めた。

 

「ええっと・・・大丈、夫?」

 

敵にも関わらず徹は思わずシルティを慰めようとするが、シルティは一向に泣き止まなかった。

 

「うう・・・私のバカ・・・・何が、色欲の魔神だよ・・・あんなにも・・・・あんなにもいいおっぱいやお尻、腰に太もものおいしそうな女の子たちを他の奴らに送るなんて・・・・私のバカ・・・アホ・・・うう、うわあああああああああああああああんっ!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

大声を上げて泣き出すシルティに徹はもうどうしたらいいのかわからなくなっていた。

 

「あのメイドさんも女王さまのもクールな子も皆、全身をペロペロしたいよ!パクリとかぶりつきたいよ!屈辱まみれの表情で体を快楽に満たせたいよ!お兄さんのハーレムに囲まれたいよ!男の娘じゃなくて女の子がよかったよおおおおおおおおおおおお!!」

 

泣き叫ぶシルティに徹は自分は男の子だと言おうとしたが止めた。自分の主である煉や周りからもすでに男の娘扱いになっているため何を言っても変わることのできないことを徹は学んだからだ。

 

どうしよ、う・・・。

 

徹は悩んだ。このまま容赦なく攻撃しようか、泣き止むまで待っていようかの二択に。

 

「ハッ!そうだ!」

 

泣き叫んでいたシルティが突然、何かを思いついたのか泣き叫ぶのを止めた。

 

「確かこの男の娘はキマイラだから触手プレイが、エロプレイの幅を広げることが出来る!何で気づかなかったんだろう!」

 

クルリと先程まで泣き叫んでいたとは真逆な満面な笑みで徹を見て、ビシッ!と指を指した。

 

「私の玩具になって!」

 

シルティの瞳はまるで新しい玩具を見つけた子供のようにキラキラと輝いていた。その瞳を見て徹は悟った。

 

絶対に僕が倒さないいけな、い。と

 

「モード人狼(ウェアウルフ)

 

体を変貌させ、人狼になった徹は俊足の速さでシルティを囲むように走り出す。

 

相手はレンさんと同じ魔神の一、人。確実に倒、す。

 

徹は煉からシルティの力の事はすでに聞いていた。相手の記憶を弄る神器と空間を移動、もしくは閉じ込める能力。戦闘系ではないとはいえ油断は出来ない。だからこそ徹は少しずつでも確実にダメージを与えようと最大限の警戒をしながらシルティの隙を窺っている。

 

「んー、やっぱり駄目かな?ねーお願い。きっとキミも気持ちいからさ」

 

だが、シルティは平然と先程の玩具になって?の件のことを言ってくる。

 

「・・・・・・・」

 

しかし、徹は無言のままシルティの隙を窺う。

 

「んー、それじゃあ今、私の性奴隷の半分をキミにあげるから!」

 

今だ諦めないシルティに徹は口を開いた。

 

「・・・・・ふざける、な」

 

その徹の言葉には怒りが込められていた。

 

「僕の恩人、を。僕の恩人の大切な人、を。こんな化け物の僕にも優しく受け止めてくれた人を攫っておい、て。ふざける、な!」

 

徹は怒りに身を任せて爪を突き立てシルティの背後から襲うが攻撃が当たる瞬間、シルティの姿が消えた。

 

「残念。なら仕方ないか」

 

先程からいた場所より少し離れたところに何食わぬ顔でシルティいるシルティは左手に黒い炎、呪炎を、右手にはルービックキューブを持って徹に言った。

 

「知っていると思うけど挨拶するね。この体の子の名前はセーラ。私は初代七大魔王にて色欲の魔神、シルティ・アスモデウス。以後お見知りおきを。私の玩具として、ね」

 

「この体の、子?」

 

シルティの紹介に徹は疑問を抱いたがシルティは笑みを浮かべたままそれに答えた。

 

「私達、魔神は昔グラシス姉さんに体を奪われて魂だけの存在だったんだけど、人間には稀に私達魔神にも適応できる器を持って生まれてくる子がいるんだよ。そういう子に私達は憑依し、肉体を乗っ取って生き長らえてこれたの。特にこの子は私との相性がいいから凄く動きやすい。それじゃあ、お話はこれぐらいで」

 

表情は笑みを浮かばせながら視線を鋭く、殺気を放つシルティに徹はシルティの殺気が放たれた瞬間、背筋が一瞬凍るような寒さを感じたが徹は怯むことなくシルティに突っ込んだ。

 

本気を出せれる前、に・・・。

 

俊足の速さで再びシルティの背後を取った徹だが、シルティは全身から黒炎を放出すると徹はすぐに距離を取り、別の姿へと変貌する。

 

「モード、九尾」

 

九つの尾を生やし狐の姿になった徹は大火球をシルティ目掛けて放つがシルティは避けようともせず手元にあるルービックキューブを動かすと突然、徹が放った大火球が消えた。

 

「ガッ!?」

 

消えた。と思っていた大火球が徹の背後から現れ徹に直撃。それを見たシルティは面白そうに笑っていた。

 

「どう?これが私の魔神の力。今のように空間と空間を入れ替えたり、また閉じ込めたりすることが出来るの。お気に入りの女の子を好きな時に好きなだけ食べられるようにするにとっても便利なんだよ」

 

その言葉に徹は一つの確信を得た。ここに閉じ込められているのはシルティの力ならシルティを倒せばここから解放され他の皆と会うことが出来る、と。

 

僕が・・・倒さない、と・・・。

 

この空間にいるのはシルティと徹だけ。なら徹自身がシルティを倒さない限り永遠にここから出られないどころか他の仲間も出ることが出来なくなってしまう。そう思った徹は気を引き締めてシルティを睨みつける。

 

「いやーん。そんな怖い目で見ないでよ。これから私はキミの玩具になるんだから仲良くやろうよ」

 

怖がる様子もなくふざけた口調で話すシルティ。だが、徹はそれを気にせず打開策を考えていた。

 

もう一度、火球を放ってそれを入れ替えられた瞬間、一瞬の隙は生まれるはずその隙に近づいて最大の力で倒、す。

 

徹は此処に来る前に煉からシルティが持っている神器の能力のことについて聞いていた。そして、先程の魔神の力も攻撃力はもっていない。更に、シルティの肉体は人間とたいして変わらない。多少ダメージ覚悟でも平気だと徹は判断した。

 

これな、ら・・・・。

 

行ける。そう思った徹はすぐにそれを実行しようとした瞬間、突然視界が真っ暗になった。

 

「っ!?」

 

突然のことに驚く徹だがすぐに冷静なり、状況を把握しようとした瞬間、徹の頭からある映像が流れ始めてきた。

 

『NO、1325。実験開始』

 

それは、徹にとって最悪とも言える過去。生物兵器として様々な人体実験を繰り返されていたときの記憶。

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』

 

痛み、苦しみ、恐怖、体中の神経を直接弄られているかのような苦痛。あまりの痛さに失神して再びその痛みで意識を取り戻され、また失神しては意識を取り戻されるの連続。

 

「あ・・・ああ・・・・・」

 

思い出したくもない。忘れたい。見たくもないその記憶のなか徹は目を逸らすことも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、油断大敵ってね」

 

シルティは笑みを浮かばせながら一つの黒い箱を見つめる。

 

「せっかく私の力を教えてあげたのに油断するからだよ。空間から空間を閉じ込めることぐらいわけないのに。ま、最後まで油断と準備を外さなかった私の勝ちだね」

 

シルティは撫でるかのように徹を閉じ込めている黒い箱に触れる。

 

「これが私の禁手(バランス・ブレイカー)記憶の悪夢(メモリー・オブ・ナイトメア)。生き物が必ず抱えているトラウマを永遠に見せ続ける。逃げられないようにもしたし、あとは勝手に心が壊れるのを待っていれば・・・・ウヒヒ」

 

興奮しているのか、はぁはぁと息を荒くし笑みを浮かばせながらシルティは

 

「心が壊れた生き物を調教するのは簡単。ウヒヒ、速く壊れないかな~、私の新しい玩具ちゃん」

 

徹の心が壊れるのを待っていた。

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