月日が経つのは早いものでわたしがこの世界に転生してから早十数年。正直時間の概念がない神の国ですから正確に今何年なのかなどわたしには分かりません。ただ大体この位かなー程度しかわからず唯一の目安としては下界に住む人間達が行う年に一度の祭りを目安にする程度…。
十数年も経てば意外と変わるもので人間達も大分文化的?な生活を始めていますしわたしも境界を操る程度の能力の使い方にある程度慣れ今では身体こそ通れないもののスキマの出せる数を最大四つ同時に展開できるようになり大きさもそこそこのサイズになりました。
それにセレシア姉様から教育されまして今ではほぼ女性らしい話し方?に教育されましたわ。ええ、転生して最初のうちはなるべく意識して丁寧な話し方をしていたのですが、段々とボロが出るようになってしまいまして前世の感覚で話してしまうことがあってからセレシア姉様に教育されましたわ。
最もまだ偶に昔の話し方に戻ってしまいますけど、それは仕方ないことですね。
そして、わたしは創造神であるグラン父様に下界へと遊びに行く許可を取りに来ている。セレシア姉様には内緒にして。バレたら怒られること間違いなしだから。実はこの間セレシア姉様がグラン父様と一緒にいる時に許可を取りに来たら猛反対されたからだ。あまりの剣幕にグラン父様も完全に空気と化していた。それでいいのですか創造神。
「グラン父様失礼致します…」
「入れ」
「グラン父様実は…」
「あぁ、言わなくともわかる。下界に行きたいのだろう?」
「はい!ですからセレシア姉様に見つかる前に!」
「むぅ…しかしだなセレシアの言ってることは間違いではないのだぞ?危険な場所でもあるしあまり神の国のものが下界に関わるべきではないのだから」
やっぱりダメなのですか…。そうです!!いいことを思いつきました。これがダメだったら…うんそんなことは考えないようにしましょう。
「でしたら、わたしに危険がなくて下界に神の国の者が直接的にかかわらなければいいんですね?」
「話してみろ」
「わたしの権能を使いわたしの変わりに下界に行く者を創ります。イメージとしてはわたしの精神とその変わりの者…仮名として『式神』とでも呼びましょうか。式神とわたしの精神を繋げてあたかもわたしが下界にいるようにすればわたしへの危険は無いといえるかと思います」
「…お前の権能はそのようなこともできるのか?」
権能とは神に類する者達のみが持つと言われる能力でわたしの場合は境界を操る程度の能力ですから境界を操る程度の権能になりますね。もちろんグラン父様も創造神というだけあって創造を司る程度の権能を持ってますし、セレシア姉様もなんらかの権能を持ってるそうです。グラン父様にはわたしの権能はスキマを創り出せる程度だと認識されてるのでそこら辺の説明もしないといけませんね。
「可能か不可能かと言えば恐らく可能かと。しかしわたしの権能は無から有を生み出すことはできないので下界に住む動物を一体連れてくる必要があるかと思いますわ。わたしの権能は境界を操る程度の権能ですから研究をすれば恐らく可能かと思いますの。」
「ふむぅ…お前の話はわかった。要は下界の生物を器としてお前が下界に行くつもりなのだな?」
「はい、それならば神の国の者が持つオーラが下界に影響を与えることなくわたしへの危険も少なく済む案ですわ」
「ならばその研究が終わり問題が見られなければ下界へ降りることを許可しようではないか。それでいいなセレシアよ。」
え?セレシア姉様?グラン父様がそう言うと同時にセレシア姉様がグラン父様の後ろから現れた。馬鹿なわたしは事前にスキマでセレシア姉様の居場所を把握してから来たというのに!
「レティシアの考えることくらい簡単に見抜けます。あまり
「…はい。」
こうしてわたしはどうにかグラン父様とセレシア姉様の許可を取り下界へと行く為に権能の研究を始めるのだった。
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さて、グラン父様とセレシア姉様にああ言ったものの今のわたしの境界を操る程度の能力に対する習熟度はまだまだ低い。下手したら百年以上かかるかもしれない。何せスキマの数を四つにするのに十数年かかっているのだ。ちょっとかかりすぎだと思うのです。
スキマはあくまでも空間と空間の境界にスキマをつくっているのでこれでもそこそこに力を使う。まずは式神制作をするよりもわたし自身が能力に対する理解を深めなくてはいけない気がする。
理解…理解と言ってもどうすればいいんだろう。座禅?座禅とかしたらいいのかしら。向こうの知識をあてにしようにも十数年も経てば向こうの記憶も少し薄れてくるものでこの能力の本来の使い手であるスキマの妖怪の事も割と忘れてしまいました。そうねぇ、わたしは適当な時にちょっと人間達に関われればそれでいいのだから普段は器である動物に主導権を預けるとして。憑依が一番楽よねぇ。ただそれを動物が良しとするか…。とりあえず器探しをしましょう、やっぱり狐がいるなら狐がいいわよねぇ…。
そんなこんなでとりあえず器になりそうな動物を探すことを始めて早一年。え?時間経ちすぎ?そんなことを言われてもただひたすらスキマを使って下界を覗き回るだけなのよ?お目当てでもある狐が見つかるまで特に何もないのよ?兎も角わたしはお目当てである狐を見つけることに成功したの!少し様子を見てから接触するつもりよ。
と言っても明確に狐なのかはわからないのよね。ここが地球とは違う世界なのだからイメージとしては狐にた動物ってのが妥当な表現かしら。にしても可愛いわねぇホントに。
狐は暫く移動をし続け少しした所で突然立ち止まった。そして狐は周囲を探るようにキョロキョロと周囲を見渡す。あら、バレたのかしら…それなら仕方ないわね。
スキマを狐の近くに開きわたしはそこから顔を出す。狐は驚いたのか警戒をするも神の子であるわたしとの核の差を感じ取ったようで襲いかかってくる気配は感じない。
「こんにちは、ちょっと宜しいかしら」
「……」
「あぁ、そういえば動物は言葉を発しないのだったわね」
わたしは言語の境界をなくして狐の言葉を交わせるようにした。これでよし。さぁここからが本番よわたし。
(これでどうかしら?)
(天上界の者がなんの用ですか?)
(あら、わたしが何処の者か分かるのね。ますます気に入ったわ)
(ある程度の力のあるものならわかります。)
(それなら単刀直入に言いましょうか。わたしはね、下界に興味があるのよ。ただ創造神様とわたしの姉様に反対されててね。だから、わたしは権能を応用してわたしの代わりに目となり耳となりうる存在の器を探していたの。そしてアナタに目をつけた。)
(なるほど…)
(勿論、器になってくれたらそれ相応の待遇を保証するわ。後わたしが叶えられる範囲でならある程度融通も効かせるわ)
(…それは、本当にですか?)
(ええ、勿論。あくまでもこっちはお願いする立場ですから、そこら辺は配慮するわ)
(でしたら…ワタシがその器になりましょう…。しかし、ワタシはこれでもこの辺りの同族達の長です。そこでお願いがございます。我が同胞達に加護をどうか授け下さい。)
(加護?別にそのくらい構わないけど、いいの?)
(ええ、ワタシは貴女様の器になった後が不安なのです…。もちろん次を託せる者たちもいますし、信頼もしています。ですがこうして長になって思うようになったのです。できることことならできるだけ後に続く者たちを幸せにしてあげたいのです。)
(そう…。ならこの森に人間や敵意のある生物が近づかないように結界を張るわ。)
結界は能力を使って意識と無意識の境界をいじって意識してここには来れないようにした。狐は群れの者たちと別れを告げわたしとともに天上界へと帰ってきた。別れの際狐に別れを告げに来た群れの中にいた子ぎつねたちがとてもかわいくてモフモフしたくなったのは狐には内緒だ。それはそれとしてやっぱり、狐なら名前はあの名前がいいわよね!わたしは新たに狐を入れたこれからの生活にわくわくした。
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