第七話 覚醒と魔神相剋者
セラフォルー SIDE
咲君がやられた....
咲君は神器持ちだった。
空間を切り裂く神器
あんな神器は見たことがなかった。
でも、勝てなかった。
咲君は、膨大な魔力の直撃を受け、海に吹き飛ばされた。
クラウティ・レヴィアタン
旧魔王の一人オーシャン・レヴィアタン様の長女。
でも、こんな力は持っていなかったはずだ。
「すばらしいでしょう。私のこの魔力。」
「何なんですか!その魔力、あなたはそんなに魔力を持ってはいなかったはずです。」
「これは、オーフィスの力よ。
無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)と呼ばれる彼女の力よ。
なんてすばらしいのかしら。」
オーフィス!?そんな大物が彼女の味方になっていたの!?
「そんな力を使ってどうするつもり?」
「決まっているだろう。
復讐するのさ、私を認めなかった悪魔に!そして、母上を殺した天使、堕天使に!」
あたりは、すっかり夜になり、彼女の声はいっそうよく響いた。
「そんなことはさせない。
現魔王として、そんな横暴許さないあなたみたいな勝手な人にこれ以上好き勝手させてたまるもんですか!!」
「では、どうするのだ?
この私に勝てるとでも思っているのか、オーフィスの力を得たこの私に?」
たしかにそうだ。
オーフィスの力を得たということは、無限の魔力を得たということ。
でも...
「負けません!!ぜったい、あなたには!」
私は魔力で氷の龍を作り出した。
『氷の聖龍(スノウ・ドラグーン)!!』
私の魔力の大半を使い創り出した氷聖龍。
大きさは10メートルを軽く超えている。
「いけえぇぇぇぇぇぇぇ!!」
私の氷聖龍は、砂浜を白く染めながら、クラウティ・レヴィアタンに飛んでいった。
そして、クラウティ・レヴィアタンごと凍らせ、大きな氷の塊になった。
「やった!?」
バキ、バキバキ、バキバキバキ
「嘘でしょ!?」
氷の塊のいたる所にひびができた。
そして、
バキイィィィィィィィィィン
完全に氷は砕け散った。
「効かぬ、効かぬわあぁぁぁぁぁぁぁ。
その程度で魔王を名乗るなど片腹痛いわ。」
氷から出てきたクラウティ・レヴィアタンの顔は怒り狂っていた。
「私が真の力を見せてやろう。」
そう言うと、彼女の目の前に膨大な魔力が集まり、氷の龍を創り出した。
『氷の邪龍(ブリザード・ドラゴン)』
私が創り出したものより大きく、何より禍々しかった。
月も雲に隠れ、彼女の『氷邪龍』は真っ黒に染まっているようにも見えた。
「ゆけ、偽りの魔王を砕け。」
龍は私に向かい一直線で飛んできた。
私は残った魔力を使い魔力障壁を創り、すこしだけ龍の軌道をずらした。
「きゃあ!?」
しかし、それでも余波で私は吹き飛ばされた。
「やはり、すばらしい。
偽りの魔王、セラフォルー・レヴィアタンよ。
いま、この私の力をもって、消滅させてやろう。」
私には、もう魔力どころか、立つ気力すら残っていない。
(私、こんなところで死んじゃうの?)
この絶望的状況に私の頭はそんなことを考える。
(いや、死にたくない。助けて、ソーナちゃん。)
(助けて、咲君。)
ポチャン...
私の涙が凍りついた地面に落ちた。
そのとき、
「グオオォォォォォォォウ!?」
クラウティ・レヴィアタンが黒い塊に海まで吹き飛ばされた。
それをした張本人は私の目の前に立っていた。
雲に隠れていた月の光は彼を明るく照らした。
「いい月夜だ。なのに、女の泣く声が聞こえる。
俺以外の誰かが女を泣かしている。
覚悟はできてるよな、オバサンいやクラウティ・レヴィアタン!!」
そこに立っていたのは私の待ち焦がれた人
初めてわたしが恋をした人だった。
「咲君...。」
SIDE END
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咲兎 SIDE
「咲君...。」
俺に後ろを振り向く。
セラが今にも泣きそうな顔をしている。
「待たせたな、セラ。
もう大丈夫だ、俺に任せろ。」
俺はクラウティ・レヴィアタンを吹き飛ばしたほうを見た。
海は盛り上がり、そこから現れたのは、
「クラーケン!?」
セラが驚きの声を上げている。
そう、クラーケンとなったクラウティ・レヴィアタンだった。
『小僧が!!よくもこの私に、真なる魔王の私に傷をつけたな!!』
「もう、人型ですらねえじゃねえか。
でも、相手が化け物ならこっちも全力でいくぜ。フェイト!!」
『もう、おそいよ。随分前から準備できてたんだから。』
俺のすぐ後ろからフェイトは現れた。
現れたフェイトは前とは違った。
しっかりと色があり、周りの人にも鮮明に見えている。
「悪かったから、機嫌直してくれよ。」
『いいよ。でも、次はないよ。』
「ああ、フェイト!!」
『闇より深き融炉より出でし』
フェイトは消え、俺の影が伸び、形を作り出した。
『其は、科学の鎚が鍛えし玉鋼』
現れたのは最強の機巧魔神『鋼』
西洋の騎士のような魔神
『何だ!?コイツは!?』
クラウティ・レヴィアタンも驚きを隠せないようだ。
「いけ、『鋼』!!」
『鋼』は空間切り裂き、クラウティ・レヴィアタンの前に現れる。
そして、高重力エネルギー纏ったパンチを叩き込んだ。
再びクラウティ・レヴィアタンは吹き飛ぶ。
しかし、クラウティ・レヴィアタンの足がしっかりと『鋼』四肢をつかんでいた。
海に落ちるクラウティ・レヴィアタンと『鋼』
「まずい、いくら『鋼』でも海の中では海の魔物には敵わないぞ!」
俺は、かなり焦っていた。
実際、海に落ちた後は、形勢が逆転したようにクラウティ・レヴィアタンが『鋼』を一方的に殴っていた。
「フェイト!!」
落ち着け、落ち着くんだ、咲兎。
何か手はあるはずだ。幸い奴の力では『鋼』の魔力装甲はやぶれない。
だが、それも魔力がある限りだ。
いつまでも続くわけではない。
もって、十分。もしかしたらもっと短いかもしれない。
どうする、機巧魔神を召喚している間は俺は能力を使えないし、
セラは魔力切れだし...
ん?セラ...?
俺は昔アザゼルから聞いた話を思い出した。
『雌型の悪魔には特殊な能力がある。
それは、娘を産めるということだ。』
『それは人間でもそうじゃないか、アザゼル。』
『そういうことじゃないぞ、咲兎。
雌型の悪魔と真の契約した雄型の人間を『契約者(コントラクタ)』といい、
その二人から生まれる娘『使い魔(ドウター)』という。
そいつには、雌型悪魔の力と雄型の人間の魂が受け継がれるんだ。』
『魂?どういうことだ?』
『簡単に言えば、『使い魔(ドウター)』は必ずその人間を守るようになるんだ。
命を懸けてもな。つまり、絶対服従ってことかな。』
.......思い出した。
『使い魔(ドウター)』とそして、悪魔と完全な契約を交わした人間『契約者(コントラクタ)』
セラと契約すれば、この状況を逃れることはできる。
でも、セラをそんな物のように扱いたくない。
俺は、きっと彼女に恋愛感情を持ってしまったのだろう。
しかし、よくわからない。
神器『演操者(ハンドラー)』
所持者の感情とともに覚醒し徐々に感情を奪っていく神器
『演操者(ハンドラー)』をはじめて使ったときに俺が差し出したもの
それは、『恋愛に関する全ての感情』
そんな俺にセラと契約することなんて....
「咲君、私と契約して。」
「えっ!?」
俺は虚を突かれた。
たった、今考えてたことだったから。
「私は咲君が好き。
たぶん、これまで感じたことがないくらい、
これからも絶対に感じることがないくらい愛してる。
だから、私は咲君、ううん、花ヶ崎 咲兎君、
私と契約してくれる?」
彼女の目は本気だった。
俺は堕天使の幹部、彼女は魔王、きっと許されるわけではないだろう。
でも、こんなに俺のために本気になってくれる彼女のためなら、
全てを捨てる覚悟ぐらいおれにだってあるさ。
「セラ、いや、魔王セラフォルー・レヴィアタン
俺はあなた一生愛することを此処に誓おう。」
「あは♪やっぱりばれちゃってたか」
そして、俺とセラの唇が重なる。
そして、俺たちを中心に魔方陣が形成される。
そこから現れたのは、
「海王龍(リヴァイアサン)、私と咲君の娘(ドウター)
名前はもう決めてあるんだよ。
『ブリューナク』氷をすべる氷龍の王」
「『ブリューナク』...いい名前だ、
ありがとうセラ。行くぞ、『ブリューナク』」
「ギュルロロロロオオォォォォォォォォォォ!!」
俺はセラとともに『ブリューナク』の背にまたがり、『鋼』の元に向かう。
『海王龍(リヴァイアサン)だと!?
ばかな、なぜだ、それは母上と同じ。
まさか、母上!?あなたはこの偽りの存在をレヴィアタンと認めると言うことですか!?』
クラウティ・レヴィアタンは驚愕している。
それはそうだろう。
『リヴァイアサン』は代々レヴィアタンが使役する使い魔だからだ。
かつての魔王オーシャン・レヴィアタンが使役したともされる伝説級の龍。
それが、偽りと呼び続けていた存在が召喚したのだ。
驚かないほうがおかしいだろう。
「『ブリューナク』!頼む。『鋼』を助けてくれ!」
俺が『ブリューナク』に呼びかけると、口にとてつもないほどの冷気をためた。
そして...
「グウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
クラウティ・レヴィアタンに向け一気に吐き出した。
そのブレスは空気中の大気をも凍りつかせた。
「絶対零度(アブソリュート・ゼロ)」
セラが小さな声で言った。
そのとおりだった、障壁で守った鋼も本体こそは無事だったが、障壁は完全に凍り付いていた。
クラウティ・レヴィアタンは完全に凍りつき、もう動くこともできないようだ。
しかし、クラウティ・レヴィアタンの体に魔方陣が浮かび上がった。
「自滅爆破魔方陣!?」
自滅爆破魔方陣だと!?
自分の命と引き換えに、このあたりごと吹き飛ばすつもりか!?
そうはさせない!
「『鋼』!!」
『鋼』はすぐに刀にエネルギーを溜め
『闇より深き融炉より出でし』
クラウティ・レヴィアタンに向かって斬り付ける。
氷の塊となっていたクラウティ・レヴィアタンが魔方陣ごと砕け散った。
『其は、科学の鎚が鍛えし玉鋼』
そして、虹色の軌跡とともに発生したが虚無空間がクラウティ・レヴィアタンを飲み込んだ。
これが、旧魔王の亡霊に取り付かれたクラウティ・レヴィアタンの最期だった。
ドウターきたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
どうでしたか?
こんな感じの第七話です。
ちなみに、旧魔王クラウティはカトレアさんの姉という設定です。
では、また次回お会いしましょう