魔法少女はるか☆ウィング   作:青川トーン

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錬金術師で、君の友達

 

 夜の闇を切り裂くのは錬金術反応の光。

 

「魔法……使い……」

 

 若葉を背に、向かい合うは仮面と刃と獣足の異形の女怪人。

 

「魔法使いと言ったか……オマエ……なら生かして帰す訳にはイカナイナ!」

 

 フードの頭部から二つの角のような突起、伸びる両手の刃、赤く光る目。

 怪人はその姿を変えて再び飛び掛かってくる。

 

 選択肢はただ一つ、迎え撃つ。

 

 周囲から「エネルギー」を「錬成」して右手に力を込めて、伸ばされた刃へと拳を叩き付ける。

 

 パワーアシストによって強化された拳は容易く五本の刃を破壊し、その根元である怪人の右手首を粉砕する。

 

「ナアアッ!!何だその力はァ!?」

 

「魔法だ」

 

 続けて左手、手刀の形にエネルギーを纏わせ、その胸に突き出す。

 

「ナメルンジャない!」

 

 がそれは、怪人が飛び上がった事で回避された。

 

 そして怪人の周囲に見たことのない不可思議な火の粉が舞い始めた、もしやこれは魔術なのか?

 

「焼けシネ!」

 

 すると火の粉は球形に形を変え、火の矢となって降り注ぐ。

 

 私はそれを回避、できない。

 

 後ろには若葉がいる。

 

 だから背部のウィングを広げ、その身全体で炎の雨を受け止める。

 

「緋泉さんっ!!」

 

 ミスリルの糸で編まれたジャケット、身体に這わせる様に纏うエネルギーのシールドに超常の業火が侵食してくる。

 

 錬金術で分解は――出来ない、「物質」無しで燃えているのか?ならばと私が錬成するのは「空間」だ。

 

 「炎の燃える空間」そのものを「エネルギー」へ錬成する。

 

「呪炎をケシタ!?何をしたオマエ!?」

 

「消しただけだ!」

 

 反撃として選ぶのは二つの金属粉末の錬成、私が知る限り一番「アブナイ」炎。

 

 手をかざし、外殻を錬成して包み込んだのは「アルミニウム」と「酸化鉄」と「点火剤」。

 

「若葉、目を閉じてろ!」

 

 それを投げつけると直ぐ様、若葉を抱えて私はエネルギーシールドの斥力を応用した飛行能力で飛び上がる。

 

 次の瞬間、地に灼熱の花火が咲いた。

 

 鮮やかな閃光を放つ炎の「雫」が付着すれば最後、燃え尽きるまで火は止まらない。

 

「オオオォォオオン!!」

 怪人の狼の様な叫びと炎の爆ぜる音が響いた。

 

 若葉と共に空高くから燃える路地を見下ろす。

 

「ね……ねえ緋泉さん……あの炎……何?」

 

 非常に激しい光に直ぐに若葉は目を反らしたが、私は視界を保護して奴が「消える」のを見届けた。

 

「テルミットだ」

 

「テルミット……って何?」

 

「簡単に言えば焼夷弾だ」

 

 私は錬金術師としてはまだ未熟、一部を除けばあくまで化学反応の延長上に有るような攻撃手段しか持たない。

 

 テルミットはそういった化学反応的な攻撃手段の一つだ。

 

「加減しなよ!?魔法って何!?そんなに過激なの!?」

 

「すまん、だが若葉を守りたいとあまりに、少しばかり力が入りすぎた」

 

「……ごめん、ありがとう緋泉さん……さっきだって炎から守ってくれたし……でも焼夷弾はやりすぎ……」

 

 消防車のサイレンが聞こえてくる中、ゆっくりと私達は降りていく。

 

 

 光を屈折させたステルス能力で誰にも気づかれないまま、私はアパート前に降り立つと若葉を離し、ヘブンスハートを解除する。

 

 非常事態とは言え、錬金術を使い、襲ってきた異形とはいえ、相手を消し炭にした。

 

 私は少し若葉の方を向くのが怖かった。

 

 せっかく仲良くなれたのに拒絶されるのが堪らなく怖かった。

 

「凄いね、緋泉さんの魔法」

 

 だが、若葉は私の前に回り込んで、その手でうつ向く私の顔を上げさせた。

 

「大丈夫、私は緋泉さんを怖いだなんて思わないよ」

 

 その顔は今日一日見てきた中でも一番の笑顔で。

 

「背が高くて、白衣で銀髪で魔法使いでも、私を助けてくれた恩人で、友達なんだから」

 

「友……達……」

 

「そう、友達!今日の魔法は二人の内緒!あ、でもまた機会があったら見せてほしいな!他の魔法も!」

 

 錬金術師で、少しばかり子供には見えない私の、初めての友達。

 

「ああ、必ずだ、他のもまた見せてやる」

 

 ただ、少し恥ずかしくて最後まで言い出せなかったのは、私の使うそれは魔法じゃなくて錬金術だという事だった。

 

 

◆◆◆◆

 

 地下深くに作り出した城塞には光は届かない。

 

「あはは、ルプス無能!ルプス無能!」

 

「言ってやるな、今日のルプスは戦闘を想定してなかったんだ、お前だって戦闘呪装じゃなきゃ戦えないだろ」

 

「でもルプスを半焼けにするってこれまた凄い炎だねえ、それに最低火力とはいえ「消えない呪炎」を消すって事はそれなりに格のある使い手って事ねえ」

 

 私の四体の使い魔のうち、一体が半壊にされて帰ってきた。

 

 相手は私と同じ「魔法使い」らしいが、「贄狩り」の為の「呪装」とはいえルプスを打ち破る程の魔法使いがまだこの地に居たとは。

 

 随分と退屈していたが、これなら少しは楽しめるかもしれないな。

 

「で、アルカディア様ー?贄狩りの代役はわたしがやればいいのー?」

 

「レッドは贄狩りに向かない……アマリリス、お前が行け」

 

「あたしですか、わかりました」

 

 赤い兎(レッド)、狼の仮面(ルプス)、彼岸の悪魔(アマリリス)、喋り鴉(クロウ)

 

 四体の使い魔を従える私は理想郷の魔女(アルカディア)。

 

「さて、黄金郷まで、後何マイルかな」

 

 




◆キャラ紹介

「アルカディア」
理想郷の魔女
金髪でボインな以外不明。
「ルプス」
焼けたかな

「レッド」
煽る兎、ルプス無能!

「クロウ」
冷静にルプスを擁護

「アマリリス」
更に冷静に敵を分析
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