比企谷八幡の素性が雪ノ下雪乃にバレた翌日。
「なあ、雪ノ下」
「何かしら比企谷君」
互いが本のページを捲りながら言う。
「依頼は来ないようだがこれからもこんな感じなのか?」
「そうね、依頼が来ないようでは何も出来ないもの」
「そうか」
「ええ」
そして沈黙。
だが嫌な沈黙ではなく互いが言葉を発しないだけで本のページを捲る音、外から聞こえる運動部の掛け声、それらがBGMとなり心地よい。
それから数分
ピクッ
二人して本から顔を上げ扉を見つめる。
すると
コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
と、雪ノ下が答える。
するとゆっくり扉を開け可愛らしい女子生徒が入ってくる
「し、しつれーしまーす。え、えっと平塚先生に相談したらここへ行けって言われたんですけど・・・」
と、少し不安げな様子で入ってくるその人物は・・・
「由比ヶ浜かよ・・・」
と、小声で言うと聞こえたようで
「あっ、ヒッキー!!やっはろー!・・・てっ!由比ヶ浜かよって何だし!!」
「いや、だってお前大概うるさいし・・・」
「え、あ、ごめん・・・じゃなくて!ヒッキーとあたし知り合いだしそんなふうに言わなくてもいいじゃん!!それとも・・・その・・・」
だんだんとテンションが下がっていきしまいには泣きそうな顔で
「ヒッキーあたしのこと・・・嫌い?」
「いや、その、嫌いじゃねえけど・・・その、何かすまん」
「そ、そっか嫌われてないんだ・・・良かった」
由比ヶ浜は心底安心したように笑顔が戻る。
すると
「コホン、それで依頼は何かしら?由比ヶ浜さん」
先程から空気になっていた雪ノ下が由比ヶ浜に問う。
「あっ、そうだった忘れてた」
「忘れるなよ」
「うるさいし」
と、そこで一旦由比ヶ浜が息を整え
「クッキーの作り方を教えて欲しいの」
と、真剣な顔で言う。
「クッキーの作り方?」
「う、うん」
「そんなもんネットか本で調べりゃいいじゃねえか」
「それはしたんだけどその、実際に目の前で作ってるの見せて貰えるとわかりやすいかなって。あたし、本とかに書いてる分量とかは分かるよ?でもその過程の作業が上手くいかなくて、お母さんも家事とかで忙しいし、友達もこういうの経験ないって言われちゃったんだ・・・だから」
彼女自身も彼女なりに頑張ったが上手くいかずここまで来たのだ。
それを聞いた雪ノ下は
「分かったわ由比ヶ浜さん、あなたの依頼を受けます・・・と言ってももう時間も時間なのだし今日は解散。明日の放課後調理室に集合。使用の許可は部の方で取った方がやりやすいはずだからこちらでやっておくわ」
依頼を承認した。
感想お待ちしておりまーす。
なお筆者は豆腐のメンタルとミジンコの心臓を有するため叩かられると再起不能になりやすいのであまり叩かないでね!ハアト