平日、図書室には様々な人がいる。本を借りる人、返す人。勉強する人、本を読む人。はたまた別の作業をする人。ちなみに、紅葉ちゃんは今日もここで小説を書いてる。デート後、彼女は図書室で小説を書く頻度が高くなった。私が側にいる方が意欲が増すらしい。そういえば最近、かおりちゃんを見かけないなぁ。きちんと美術部に参加しているのかな?
「高等部の赤石燐先輩ですか?」
貸し出しカウンターのわりと近いテーブルに、小柄な女の子が二人。一人は座っていて、その彼女に立っている女の子が声をかけてスルーされている。ちょっと気になる。座っているのは、同級生の赤石さん。声をかけているのが誰かは分からないんだけど……。あ、諦めた……。どんな関係なんだろ?
「気になりますか、お姉様?」
「く、紅葉ちゃん!?」
「あれはきっと、恋ですね」
「ま、まさかぁ。それより、原稿はどう?」
「いい感じです。それでは」
図書室を出る紅葉ちゃん。さっきの会話で、私がまさかぁと言った時に紅葉ちゃんの表情が曇った気がしたんだけど……気のせいかなぁ。
「あのぉ」
「あ、すみません。貸し出しですね」
お仕事しなきゃ。
その日の放課後、わたしの所属しているイラスト部がお休みということもあって、のんびりと帰り支度をしていると、クラスメイトで親友の西恵玲奈が声をかけてきた。
「なんだか最近、叶美が中等部の制服を着た女の子、しかも二人と仲良くしてるって聞いたけど本当なの?」
「耳が早いね、恵玲奈は。流石は新聞部」
「いやいや、そういうことじゃなくてさ。その一人の、北川さんだっけ? ふわふわっとした娘はさ、うちの星玲奈と同じクラスなんだけど、かなみちゃんがぁって時折話すんだってよ?」
恵玲奈の妹で星花の中等部に通う星玲奈ちゃん、そっか二人とも二年生だっけね。なんだかあちこちで話題にあがると恥ずかしいかも。
「別にね、叶美がどんな交友関係を持とうと私には関係ないんだけどさ……どういう知り合いなのかってちょっと気になるんだよねぇ」
「新聞部兼放送部として?」
「一個人として。まったく、まぁ……あんまり深く付き合ってロリコンだなんて言われないようにね?」
あはは、ロリコンって小さな女の子が好きな人のことだよね……。うん、かおりちゃんと恵玲奈の背格好があんまり変わらないことは言わないでおこうっと。まぁ、紅葉ちゃんはともすればわたしより大人っぽいから、ロリからは遠いんだけど。
「あはは」
「もう、笑いごとじゃないのに……」
どうして恵玲奈が寂しそうな顔をするのかは、その時のわたしには分からなかった。
後半はなろう版にはなかった完全書き下ろしです。
登場する西恵玲奈ちゃんは次回作にて主人公として登場しますので、覚えていてあげてください。なお、本作のエピローグにも出ますよ。