「みんな、揃ってるかー?」
「なんでラテが仕切ってんの?」
「いいだろ別に。この中で俺が1番年長なんだし、俺が仕切ったってなんの問題もないはずだ」
「1つ歳上なだけじゃん」
「うるさいっ!」
夏休み。俺とモカを含めた幼馴染5人は駅前に集合していた。理由はわかるだろう。前に約束していた海に行くためである。
「まぁ、蘭の憎まれ口はともかく、巴。みんな揃ってるか?」
「さっきひまりがコンビニで限定スイーツ売ってるー!って走ってったぞ」
「また太るぞコラァ!!」
「ラテ君落ち着いて。大丈夫!モカちゃんも一緒だからっ!」
「……それ、大丈夫なのか?」
ひまりちゃんとモカが一緒ってことは甘いものがいっぱいになるんじゃないのか?
「はぁ……まぁみんないるなら大丈夫だな。今更だけどこのメンツ引っ張って行くのって結構大変そう……」
「あはは……私もなるべくラテ君のサポートできるように頑張るねっ!」
「つぐちゃん……うん、今日は頼りにしてる!」
つぐちゃんがいれば100人力だ。頼りにさせてもらおう。
「暑い……ラテ、水買ってきて」
「言うな。俺も思ってるんだよ。だいたい俺は暑いの苦手なんだよ」
「ならなんで海行きたがってたんだよ」
巴が当然のツッコミを入れてくる。
「決まってるだろ」
「「「モカ(ちゃん)の水着姿が見たいから」」」
「3人ともなんでわかったんだ!?」
「最近ラテの考えてる事がわかってきたよな?」
「あたしは分かりたくもないけど」
「あはは……」
蘭、巴、つぐちゃんの3人が寸分狂わず俺が言おうとしていた台詞を言われてしまった。
「まぁいい。ていうかモカとひまりちゃん遅くない?もうすぐバス来ると思うんだけど」
「お待たせー!!」
「ただいま〜」
「遅い!2人とも何してたんだよっ!」
噂をすればひまりちゃんとモカが駆け足戻ってきた。
「ひーちゃんの付き添いだよ〜。ひーちゃん、お菓子いっぱい買うから〜」
「モカだってパンとか買ってたでしょー」
「そうだっけー?」
「そうだよー。モカが自分で持ってる袋見たらわかるでしょー」
「そういえばそうだったね〜」
「呑気だな2人とも。まぁ、みんな揃ったことだし、バス乗り場に向かうとするか!」
「あ、ラテ君ちょっと待って!」
「ん?」
荷物を持ってバス乗り場に向かうとしたら今度はつぐちゃんに止められた。
「どうしたの、つぐちゃん?」
「えっと……モカちゃんと入れ替わるようにして今度は蘭ちゃんがコンビニに向かっちゃって……飲み物買ってくるって」
「…………前途多難じゃねえか」
こんな自由人軍団引き連れて本当に海楽しめることなんてできるんだろうか。少し不安になってきた。
「うっみだーーー!!!」
「ひ、ひまりちゃん!いきなり走ったら危ないよっ!」
バスに揺られる事1時間。無事に海水浴場に到着した俺たちは、手続きをした後に急いで水着に着替えて海水浴場へと乗り込んだ。
俺がパラソルを立てようとする間にひまりちゃんは早速に海に飛び込もうとしていたが、つぐちゃんがとめられていた。
「あっつ………ラテ、パラソル早く立てて」
「ちょっと待ってろ…………よし、いいぞ」
パラソルを立てた後シートを敷いて、その上に俺の荷物やらクーラボックスやらを置いて飛ばないように固定した。
「ありがと」
「モカちゃんもきゅーけい〜」
はぁ、とため息をつきながら自分の荷物を置いた後、蘭とモカがシートに上に寝転んだ。
「って遊びに行かないのかよ」
「暑いからいい」
「あたしも〜」
インドアすぎるだろ。たまにはアウトドアになってもいいと思うんだけど。いや、それにしても……
「じーっ………」
「なに。視線が気持ち悪い」
「いや。服の上からじゃわからなかったけど、蘭ってシュッとしてるなぁと思って」
「なっ!?」
ひまりちゃんのようなダイナマイトボディを持ってるわけじゃないけど、蘭には蘭の良さがある。
「蘭ー、顔真っ赤〜」
「う、うるさい!これはその……日差しのせいだからっ!」
「おいおい、ラテ。海に来て早々ナンパしてるのか?」
「なんでだよ!相手蘭だしそんな事ない!」
「いや、今のは完全にナンパの台詞だろ。なぁ、ひまり?」
「そーですよー!ラテさん、私達はどうですか?」
「いや、アタシは別にそういう風に言いたかったわけじゃないんだけど」
いつの間にか戻ってきていたひまりちゃんが自分の水着姿を見せつけてする。一緒に戻って来たつぐちゃんは物凄く恥ずかしそうにしてるけど。
「……うん。みんな水着似合ってて可愛いな。俺には勿体無いくらい可愛いよ」
「「「………………」」」
その言葉に蘭とモカ以外の3人はポカーンと口を開けて呆けてしまっていた。
「ん?どうした?」
「いや、そこまで言われるとその……照れるっていうか」
「………………」
「ラテさん!」
「はい?」
「これからラテさんのアダ名は天然タラシに決定です!」
「はぁ?」
ひまりちゃんが顔を赤くしながら俺を指差して不名誉な事を言ってくる。
「なんで!?」
「当たり前です!ねぇ、巴?」
「ま、まぁ、そうだな。無自覚だから余計に腹立つのもあるしな」
理不尽だ。俺はモカを愛しているだけであって他の4人は好きだけど愛してはいないというのに。
「って、つぐちゃん?ずっと顔真っ赤になってるけど大丈夫?」
「へっ!?あ、うん、大丈夫だよ」
「いや、あんまり大丈夫なように見えないんだけど」
俺が可愛いと褒めてからずっと俯いて顔真っ赤にしているつぐちゃんが心配なって来た。
「ほら、こっち来て休んだら?今日暑いし、最初からその調子だと身体もたないよ?」
「
「ん?なんか言った?」
「な、なんでもないっ!行こ、ひまりちゃん!」
「あ、つぐ!ちょっと待ってよぉ〜」
顔を赤いつぐちゃんはひまりちゃんの腕を引いてそのまま海へと走って行った。
「…………なぁ、蘭。俺今なんか悪いことした?」
「自分で考えれば」
「なんだよ……じゃあ、モカ。俺今つぐちゃんに悪いことしたっけ?
「しらなーい。それよりお兄ちゃん、日焼け止め塗って〜」
「えっ?」
蘭と一緒にパラソルの下でうつ伏せに寝転んだモカが日焼け止めを俺に渡してきた。
「………俺が塗るのか?」
「そーだよ〜。早くしないとモカちゃんの白い肌が焦げちゃうから〜」
「いや……でも……」
いいのか?妹とはいえモカの素肌に直接触れていいんだろうか?しかも日焼け止めという事はモカの色んなところを触るわけで……いや、別に嫌なわけじゃないんだけど。
「蘭、モカに日焼け止め塗ってやってくれないか?」
「嫌。ラテが頼まれたんだから、ラテがすればいいでしょ」
「いや、でもさ………あ、そうだ。巴、お前モカに日焼け止め塗ってやってくれないか?」
「悪い。アタシ先行った2人の事心配だからそっちの様子みてくる。蘭とモカの事は頼んだぞ!」
「あ、おいっ!」
申し訳なさそうな顔をした巴はつぐちゃんとひまりちゃんを追いかけて海の方へ。え、なに?本当にこれ俺がやらないといけないの。
「お兄ちゃん、早く〜」
「いや、そうは言ってもさ」
「ラテ、今更日焼け止め塗ることに緊張する必要ある?」
「いや。いつもモカを抱きしめたり、くっついたりするのは服があるからあまり緊張しないけど、今はほぼ素肌だし」
「めんどくさ……」
「なんだと?」
「なんでも。あのさ、日焼け止め塗らなくてこんがり焼けて真っ黒になるモカと、日焼け止め塗って今のままのモカ。どっちがいいか想像してみたら?」
蘭に言われた通りに想像してみる。黒人のように真っ黒になるモカと今のモカ。どっちがいいか。
「いや、考えるまでもねぇな。今のままに決まってる」
「ならやる事は1つだよ」
「………わかった」
いつもの蘭なら絶対こんな事俺に頼まないはずなのに……こいつなんか俺に恨みでもあるのか?
「よ、よし………やるぞ?」
「よろしくね〜」
モカから受け取った日焼け止めを手のひらにたっぷり垂らして、ゴクリと一息飲んだ後モカの背中に塗っていく。
「んー……つめたい〜」
「が、我慢してくれ」
……やばい。なにがやばいって?主に俺の理性。女の子特有のすべすべの肌に俺の手に伝わる感触。これがもし蘭やひまりちゃんなら100%襲える自信がある。モカという妹であるというただそれだけの事が俺の理性を繋いでくれている。
「お兄ちゃん〜、もうちょっと優しく〜」
「こ、こんな感じか?」
「そーそー。そんな感じ〜」
はぁ〜、と息を漏らしつつ幸せそうな表情をするモカ。本当に可愛いな俺の妹は。
「なぁ、モカ。今日の昼は何食いたい?」
「えーと……パンがいいな〜」
「海の家に流石にパンはないだろう」
「えー。そんな〜」
「いや、当たり前だろ。てかモカに聞いたの間違いだったか。蘭は何食いたい?」
「別になんでも。しいていうなら、かき氷?」
「昼飯じゃねえよそれ……」
かき氷は昼飯じゃなくて今食いたいものだろ。
「まぁいいわ。他の3人に聞いてから決めるわ」
「はーい」
「ん」
「………よし、塗り終わった。前は自分でできるな?」
「えぇ。お兄ちゃん塗ってくれないのー?」
「頼むから前は自分でやれ。ていうかいつも言ってるだろ」
「お兄ちゃんのけちー」
不満そうな表情を浮かべるモカ。こんな人の多い所で前も日焼け止め塗ったりしたらただの変態になる。それだけは避けないとならない。
「ケチじゃない!俺は先行った3人探しにいくついでに遊んでくるけど、留守番できるな」
「だいじょーぶ〜。モカちゃんは蘭と一緒にゆーっくりしてるよ〜」
「あたしも大丈夫」
「じゃあ留守番頼むな」
「いってらっしゃーい」
「ひまりちゃん達どこいったんだろ。遠くに行ってなければいいけど」
「あ!ラテさんラテさん!」
人が少ないところに来ると、ピョンピョン跳ねて手を振るひまりちゃんの姿が。その暴力的な胸が周囲の目を集めているのは今はスルーしておこう。
「ひまりちゃん?それにつぐちゃんと巴も。何してるんだ?」
「ビーチバレーだよ。といってもボール落としたら負けって簡単なゲームだけどな」
「負けたら罰ゲームでラムネ奢りですよ!」
「へぇ、面白そうじゃん。ちなみに今1番負けてるのは?」
「わ、私……」
涙目になりながらおずおずと手を挙げるつぐちゃん。確かにつぐちゃんはこういうのあまり強くなさそう。
「俺が入ったら今のポイントはリセットされるんだよな?」
「まぁ、そうだな。今はダントツでつぐが負けてるけど、それもリセットだな」
「なら入ろうかな。このままだとつぐちゃんがかわいそうだし。まぁ、負けるつもりもないけど」
「あ、ありがとうラテ君!」
つぐちゃんは俺の手を握りながらお礼を言った。いつも思うけど、つぐちゃんがそういうことをするのは反則だ。自分が可愛いっていうのを自覚してほしいものだ。
「あ…………ご、ごめんね」
「い、いや、全然いいよ。それじゃあ始めよっか」
「じゃあいくよー。そりゃあ!」
「ナイスひまり。つぐ!」
「わっ!と、ラテ君!」
「ほい。じゃあ、巴!」
「おっと……そういえば、ラテ?」
「んー?」
「お前的に今日のアタシ達の水着、誰が1番似合ってると思ったんだ?」
「ぶふっ!」
ちょうど俺の番にボールが回って来たときに巴が変な事をいうせいでボールを落としてしまった。
「ラテさん減点ですー!」
「ちょ、今のずるいだろ!」
「ずるくないぞ。アタシは気になった事を聞いただけだ」
「確かに。ラテさん誰が好みです、か!」
俺が減点された所でまたひまりちゃんから始まる。
「ラテ君、私も気になるかな?」
「いや、聞くのはいいけど、聞く意味ないだろ」
「えっ!誰ですか!?」
「モカ」
「言うと思いましたっ!わわっ!」
俺にツッコミを入れているうちにひまりちゃんはトスを忘れてボールを落としてしまいひまりちゃんも減点。
「ひまり減点だな」
「むぅ……次いくよっ!ラテさん!今度はモカ抜きです。モカ以外の4人で選んで下、さい!」
「うーん……そう言われてもな………って」
ひまりちゃん。なんだそれは。ボールをトスするたびにその揺れる胸は。誰が1番似合ってるとか考えるよりも、その動く胸が気になって仕方ない。
「ひまり。ラテの目線がひまりに集中してるぞ」
「えっ!?」
「い、いや違う!これは違うぞっ!」
「違うって何が違うの………あっ」
「つぐも減点だな。で、何が違うんだラテ」
「いや、えと………その……そ、そう!ひまりちゃんの水着がとてもよく似合ってるなって思って!!」
「ほ、本当ですかっ!?」
「も、もちろん。いやー、ひまりちゃん、体型いいから、可愛いな〜、って」
「い、いやー、そんなに言われたら照れちゃいます。えへへ……えいっ!」
顔を赤くしながらボールをトスするひまりちゃん。
「むぅ……ラテ君、私、は?」
「つぐちゃん?」
ボールをトスしながらもつぐちゃんの水着を見てみる。以前来たときと水着が変わってるから新しく買ったんだろうな。
「もちろんつぐちゃんもよく似合ってるよ。水着も新調したんでしょ?つぐちゃんらしさが出てて可愛いな」
「そ、そうかな……えへへ……」
「おい、つぐ。ボール!」
「へっ?うわっ!!」
巴のつぐちゃんへ放ったトスが、ぼーっとしてしまったつぐちゃんの顔へ直撃してしまった。
「つ、つぐちゃん!?」
「つぐ、大丈夫か?」
「だ、だいじょーぶだよ」
「ならいいけど。気をつけないとダメだよ?」
「ちなみにつぐ。今のも減点な」
「あはは……」
巴がつぐちゃんを起こして、少し休憩を挟んでまた再開した。しばらくし続けた結果、再開は俺が参加する前の同じく、つぐちゃんという事で終わってしまった。
「さてと、そろそろ戻るか。そろそろモカが心配になって来たし」
「ラテ君。蘭ちゃんは?」
「…………そろそろモカと蘭が心配になって来たし」
「言い直した」
「でもそうだな。そろそろ戻って昼飯の事も考えないといけないしな」
「そーゆーこと。て事で、戻ろっか」
罰ゲームのラムネは戻ってから俺とつぐちゃんで買いに行けばいいだろう。万が一つぐちゃんがナンパでもされたら大変だし。
後半に続く!!
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