のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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すっごいどうでもいい疑問なんですけど、
6番目のAftergrowの時、みんな靴どうしてたんでしょう?www
本当に物凄くどうでもいい事を思ったブリザードです。


第22話 脅かすラテと呑気なモカ

「体育館に行くにはこの階段を上るのが近そうだな」

 

つぐちゃんに先導されるまま俺たちは学校内を進んで行く。

 

「なぁ、モカ?」

 

「なーにー?」

 

「この階段って何段?」

 

「そんなのわかんないよ〜。でも、どうしてそんなこと聞くのー?」

 

「決まってるだろ。七不思議が本当かどうか確かめるんだよ」

 

羽丘女子学園の七不思議の1つ。増える階段。それを確かめるには絶好の機会だ。

 

「ちょ、ラテ。なんで今それ言うの。あたし今急に思い出しちゃったじゃん」

 

「いや、せっかくこうしてみんなで夜の学校にいるわけだし、楽しくいきたいじゃん」

 

「この状況を楽しんでるのはラテさんだけです!」

 

「そんなことないよ〜。あたしもお兄ちゃんと一緒だと楽しいし〜」

 

「モカの言う楽しいはこの状況の楽しいとは全然違うだろ」

 

ギューっと抱きついてくるモカがそう言う。やっぱりモカはいつでも俺の味方をしてくれる。

 

「で、誰か階段の段数知らない?」

 

「知るわけないでしょ。階段の段数をいちいち数えるやつなんて普通いないし」

 

「だ、だよねー。よし、この七不思議は検証できずに終わりっ!」

 

「階段の段数、確か12段だったと思うよ?私よく生徒会の仕事で校内の清掃をしてるんだけど、掃除してるうちに階段の段数覚えちゃって」

 

階段を登ろうとするひまりちゃんと蘭の動きがピキッと止まった。空気を読まないつぐちゃんの発言だったが、俺からすればそれはとても嬉しいことだった。

 

「つぐ、その情報は今知りたくなかったよ……」

 

「階段の数、知ってしまった」

 

「はっ!ご、ごめん」

 

「ううん、つぐちゃんありがとう。おかげで七不思議を検証することが出来るよ。いやー、良かった良かった」

 

「ちっともよくない」

 

蘭がすかさず突っ込んでくる。

 

「でもさ、よく考えてみろよ。俺が階段の数を数えながら登ったとする。で、もし階段の数が違ったとしよう。それでお前らの身に何が起きるって言うんだ?」

 

「………確かに」

 

「だろ?て事でここはひとつ、みんなで階段の数を数えながら登るとしよう」

 

「そ、そうだね!もしかしたらこの七不思議は嘘って事を証明できるかもしれないし」

 

「ほら、つぐちゃんも賛同してくれてるし、いいだろ?」

 

「モカちゃんもさんせー」

 

「はぁ……まぁいっか」

 

「ラテさんすっごくウキウキしてるね」

 

「やっぱアタシ達とは違うんだな」

 

「ほら、ひまりちゃんと巴も」

 

「私達数えるって言ってないのに」

 

「諦めろ。こうなったらもう止められない」

 

モカと蘭も賛同してくれて半分くらい以上が賛成になった今止めるものは誰もいない。みんなで階段の段数を数えながら登ることに。

 

「いくよー、1…2…3」

 

「4…5……」

 

みんなの階段を上るタイミングを合わせながら1段1段ゆっくり登っていく。

 

「10……11…」

 

「12!なんだ、階段が増えるなんてやっぱりうそ」

 

『13!』

 

そして階段を登り切り、ひまりちゃんが安堵の息を吐いた瞬間、巴の声が俺たちに響いた。

 

「もう巴、冗談言わないでよ」

 

「え、アタシは何も言ってないぞ」

 

「いま、13って言ったよね?」

 

「いやいや、そんなこと言ってないって」

 

あれ?おかしい。確かに巴の声だった気がするのに。

 

「モカも聞いたよな?巴の声」

 

「うん。あたしもトモちんの声聞こえたよ〜」

 

「私にも聞こえたよ」

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

巴じゃないとしたら、今の声の主は一体誰だったんだ?考えられるのは俺たち6人ではない第三者の人間。

 

「……早く次進もう」

 

「そ、そうだね。あはは。進もう進もう〜。レッツゴー!ゴーゴー!!」

 

「ひーちゃんが壊れてしまった……」

 

「いやー、肝試しっぽくなってきたなぁ。次の七不思議が楽しみだぜ」

 

あれだけ先に行くのを怖がっていた蘭とひまりちゃんが先を歩き、俺はこの先も1人楽しみにしながら2人の後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つぐ〜、体育館まで後どれくらい?」

 

「もうちょっとかかると思う」

 

「方向はこっちであってるのか?」

 

「あってると思うよー。ほら聞こえない〜?『こっちこっち〜』って声が」

 

「あーあーあーわーわーわー!!聞こえない!アタシには聞こえないぞー!!」

 

「そういうこと言われると本当に聞こえてくる気がしちゃうじゃん」

 

「いや〜、ほんとに聞こえるんだけどなー」

 

『こっちだよ〜。こっちこっち〜』

 

「ほらー」

 

「え、嘘でしょ……」

 

「おい、冗談だろ。誰だよ、そんなこと言ってるやつ!」

 

『こっちだよ〜。ほらー、声が聞こえる方においで〜』

 

「ふ、ふざけるなよ。こんな声聞こえてたまるか!」

 

「聞こえない聞こえない。あたしには何も聞こえない」

 

「もうやだー!誰なの、この声ー!!」

 

「俺でーす」

 

「えっ?」

 

「はっ?」

 

「…………」

 

ドッキリ大成功!

 

「いやー、せっかく肝試しっぽくなってるから、折角だしその気分に合わせようかと思って」

 

「ちなみにあたしは気づいてたよ〜。ほんのモカちゃんジョークでした〜」

 

「そうそう。ほんのラテさんジョークでした〜。いやー、声変えてたけど、俺だって見破れないのはお前らまだまだ俺の事を分かってないな〜」

 

「ごめんね。私は気づいてたんだけど、なんだか言いだしにくくって」

 

あはは〜、と笑いながらモカとハイタッチをする俺。つぐちゃんもちゃんと空気を読んでくれるし、3人の反応が予想以上に良くて楽しいな〜。

 

「「「モカ、それにラテ(さん)?」」」

 

「……ごめんなさい」

 

「……もうしません」

 

蘭と巴とひまりちゃんが物凄い形相で俺たちを睨みつけてきた。少しやりすぎたのかもしれない。自重しよう。

 

「そうだ!ねぇ、みんなで歌でも歌ったら少しは怖さがまぎれるんじゃないかな?」

 

「確かに。歌にまぎれて他の音が聞こえなくなりそう!」

 

「やってみるか!!」

 

どうやらみんなで歌を歌うことにしたみたい。つぐちゃんから歌い始めたが俺はこの曲を知らないので参加できない。おそらくAftergrowで作った曲なんだろう。これでみんなの怖さがまぎれるなら簡単なもんだ…………あれ?なんか変な音が聞こえてきた。

 

「……っ!」

 

「ん?どうした、ひまり?」

 

「ねぇ、何か聞こえない」

 

ひまりちゃんも気づいたみたいでみんなが歌うのを中断する。聞こえてきたのはピアノの音だ。ゆったりと、でも何かこの雰囲気に合う暗いフレーズがピアノの音として聞こえてくる。

 

「おい、嘘だろ?」

 

「……っ!この曲……」

 

「あたし達の曲……」

 

どうやら蘭達が作った曲で間違いなかったみたいだ。それを自覚した途端、蘭と巴とひまりちゃんが叫び声をあげた。

 

「もう無理!無理無理無理!!!あたしもう帰る!!!」

 

「え、あたし達帰ろうとしてここまできたんじゃないの?」

 

「モカ、もう蘭はビビりすぎてそれどころじゃないんだよ。察してやれ」

 

「もうやだぁ!このピアノの音、いつまで続くの!!」

 

「知らないよっ!あぁもう!おいピアノの音とまれぇ!!!」

 

「……それで止まるの?」

 

「モカ、もう巴はビビりすぎてそれどころじゃないんだよ。察してやれ」

 

モカのツッコミは最もなんだが、もう怖がり3人組はそれどころじゃないみたいだ。

 

「この音、もう聞いてたくない!怖い!音が聞こえない方まで逃げよう!」

 

「賛成!あっちか?あっちにいけばいいのか!?」

 

「私もいくーっ!!!」

 

「あ、3人とも!」

 

「おい、お前らだけじゃ危ないぞ!」

 

「……行っちゃった」

 

もう耐えられなくなったのか。蘭を筆頭にして3人がピアノの音から逃げるように走り出していった。

 

「どうしよう。懐中電灯も持ってないのに」

 

「とりあえずあの3人追いかけるしかないよね。つぐ、お兄ちゃん、ダーッシュ」

 

走って行った3人を追いかけるように俺たちも廊下を走る。しばらく走ってみたけど、3人の姿は見当たらなかった。

 

「蘭ちゃーん!巴ちゃーん!ひまりちゃーん!!いないか。ラテ君モカちゃん。今度はあっちの方探してみよ」

 

「……あれ?」

 

「ん?どうかしたのか、モカ?」

 

「つぐ。ちょっとここに立って」

 

「この鏡の前?」

 

「そうそう、そこ〜」

 

鏡に何か変なものでも映ったのか、モカはつぐちゃんを鏡の前に立たせた。

 

「んー、ちゃんとつぐが映ってるなぁ」

 

「なんだ、モカ!変なものでも映ったのか!?」

 

「ラテ君、なんで楽しそうなの……」

 

決まっている。こういうお化け類のものが面白いからだ。

 

「さっきつぐがこの前を通り過ぎた時、明らかにつぐじゃない人が映った気がするんだけどな〜」

 

「えっ………モカちゃん、それ冗談だよね?」

 

「あっ!また映った!」

 

「あ、ホントだっ!」

 

「……っ!」

 

今度は俺にもハッキリと見えた。

 

「つぐがこっち振り向いた瞬間……また……」

 

「いやあああーーーーー!!!!!」

 

「あっ、つぐちゃん!!」

 

つぐちゃんも怖さに限界がきてしまったのか。つぐちゃんまで涙目になりながら廊下を走って行った。残ったのは俺たち仲良し兄妹。

 

「モカー」

 

「なーに〜?」

 

「2人っきりになっちゃったな」

 

「そーだね〜」

 

「モカは怖くないのか?」

 

「全然だいじょーぶだよ〜。お兄ちゃんはずっと手を離さないでくれてるし〜」

 

「当然だ。こんな暗い中で手離して逸れたりでもしたら大変だろ?それにモカもずっと手を握っててくれてるしな」

 

「ふへへ〜」

 

にこーっと笑うモカの頭をよしよしと優しく撫でてあげる。こんな時でも可愛い妹がいるなんて俺幸せ者だなー。

 

「少しはゆっくりしたいんだけど、そうもいかないよなー」

 

「みんなを探しにいかないとー。蘭とか寂しくて泣いてるかもしれないよ〜?」

 

「それは……ありそうだな」

 

巴とひまりちゃんがいるから大丈夫だとは思うんだけど。それにたった1人で走って行ったつぐちゃんも心配だ。

 

「それじゃあ行くか。……とその前に」

 

「んー?」

 

さっきつぐちゃんが立った鏡の前に俺も立ち、モカの方を向く。

 

「モカ、俺はこの鏡に立ってどういう姿に見える?」

 

「いつもと変わらない、かっこよくて優しいあたしの大好きなお兄ちゃんだよ〜」

 

「そっかー。なら安心。モカもするか?」

 

「いいよー」

 

モカと場所を入れ替わり、今度はモカが鏡の前に立つ。

 

「お兄ちゃん、あたしは〜?」

 

「いつもと変わらない、のんびりしていて可愛い俺の大好きな妹だよ」

 

「えへへ〜。それじゃあお兄ちゃん、レッツゴー」

 

「おー」

 

再びモカと手を繋いで、俺たちは先を走って行ったつぐちゃんたちを追いかけ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、走って行った4人は無事に見つかり、モカの軽い説教を受けた後にまたみんなで行動をし始めて、無事に体育館へとたどり着いた。

 

「やっとついた〜」

 

「これで外に出られる……んだよね?」

 

「そのはず。いつも開いてる非常口は……」

 

巴が周りを見渡そうとした瞬間、体育館を照らしていた懐中電灯の明かりがパッと消えてしまい辺りが真っ暗になった。

 

「嘘でしょ……なんでこのタイミングで」

 

「これじゃあ非常口の場所もわからないぞ」

 

確かに周りが何も見えない。分かるのは俺が今手を繋いでるモカの姿だけ。………このままモカを抱きしめてもバレないんじゃないのか?

 

「お兄ちゃーん?今変な事考えたでしょ〜?」

 

「何も考えていません。でも、モカ、絶対手放すなよ」

 

「はーい」

 

こんな真っ暗闇の中でも俺が今考えたことがわかったモカは恐ろしいがそれどころではない。

 

「……うぅ、私もう無理かも……泣きそう……」

 

「ひーちゃん泣かないでー。大丈夫だよー、よしよし〜」

 

「ちょモカ。これあたしだから」

 

「あれー?ごめんー」

 

これだけ暗ければ誰が誰なんて分かることなんてない。………これだけ暗いのなら、適当に手とか動かしたら、誰かの胸にフッと当たるんじゃ。

 

「お兄ちゃん、また変なこと考えてる〜?」

 

「め、滅相もございません!!」

 

なぜわかる!?うちの妹天才なのでは?

 

「うぅ……みんなごめんね。あたしのせいで」

 

「ちょ、いきなり何言い出すんだ?」

 

「まるでこれが最後みたいな言い方するのやめてよ」

 

「た、だってぇ」

 

ひまりちゃんが諦めモードに入ろうとした瞬間、ヒュー、と風の音が聞こえてきた。

 

「風の音……て事はどこかに開いている窓かドアがあるって事じゃない?行ってみよう」

 

「蘭、天才かよ」

 

「風が吹いてきたのってあっちの方だよね。行こう!」

 

「あ、あっちってどっち?」

 

「こっち!みんな、私につかまってついてきて!」

 

こんな時でも頼りになるつぐちゃん。暗闇の中手探りでつぐちゃんを探し出して服を掴む。つぐちゃんはそのまま歩き出した。

 

「風が吹いてきたのはこっちの方だったと思うんだけど」

 

『こっちこっち〜。こっちだよー』

 

「……?こっち?」

 

「わぁっ、つぐ。急に動かないでよ〜」

 

再びつぐちゃんの後をついて行く。ていうか、今の声誰だ?

 

「……あれ、明かりが」

 

「急になおったね。接触が悪かったのかな?」

 

明かりが戻り周りが明るくなった。非常口の方向はどうやらあっていたらしく、俺たちの立っているすぐ近くにその扉はあった。

 

「よし。こんな所からさっさと出よう……ってあれ?」

 

「もしかして……鍵?」

 

「外側からかけられてるな。こっちからじゃどうにも」

 

「詰んだ〜〜今度こそもうダメだ〜〜」

 

「いや、詰んでない詰んでない。諦めるの早いぞモカ」

 

例えば、窓ガラスを割るとか。扉に体当たりするとか。他にも試せる事はある……はず。多分。

 

「すいませーん!誰かいませんか〜!!開けてくださーい!!」

 

「誰かー!助けてくれー!!!」

 

つぐちゃんと巴が外に誰かいないか呼びかける。その声に応じてくれたのか、扉の外からガチャという音が聞こえ扉が開いた。

 

「助かったぁ……」

 

「すいません。開けていただいて、ありがとうございます!」

 

「外……誰もいないよ?」

 

「えっ?」

 

つぐちゃんが外を開けた人にお礼を言ったが、外には誰も立っていなかった。

 

「じゃあっ、誰が開けてくれたの?」

 

「ホントにもう……勘弁してよ」

 

「………思い出した。七不思議の7つ目」

 

「モカ?」

 

なぜ今このタイミングで思い出したのか。

 

「夜な夜な、生徒の幽霊がウロついてるんだって。遊び相手を探して、いろんないたずらをしてくるっていう」

 

「きゃっ、風が……」

 

「今、誰かが通り過ぎたような感じがしなかった?」

 

「「「「「「………………」」」」」」

 

え、じゃあ何。もしかして生徒の幽霊はずっと俺たちについてきたって事なのか?でもそう考えると階段にしても、ピアノにしても、鏡にしても納得がいくような。

 

「「「「うわああぁぁぁぁ!!」」」」

 

「あ、おい、みんな!」

 

「行っちゃった〜」

 

「………俺たちも帰るか」

 

「そーだね〜」

 

一応体育館の非常口の方に一礼してから俺とモカも先を走った4人を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なぁ、モカ」

 

「ねぇ、お兄ちゃん〜」

 

「「今日一緒に寝るか(寝よ〜)」」

 

ないとは思うが、万が一幽霊に取り憑かれてるか心配になり、その日から3日間モカと一緒に夜を過ごしたのはまた別の話。




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