のんびり口調の可愛い妹   作:ブリザード

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前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいましたがようやく投稿です。
投稿できなかった理由は色々あるのですが、これからも少しずつ投稿できるよう頑張りたいと思います。
では、どうぞ〜


第31話 女装をしたくないラテと準備のいいモカ

「じーっ………」

 

「そういえばこの前……………って、ひまりちゃん?どうかしたの?」

 

つぐちゃん家のカフェでお茶している俺たち幼馴染6人。普通にお喋りして楽しんでるところだったが、何故か対面にいたひまりちゃんはじーっと俺の顔を見つめていた。

 

「ひーちゃん。お兄ちゃんの顔見つめてどうしたの〜?」

 

「いやー、ふと思ったんだけど……」

 

「思ったんだけど?」

 

「ラテさんって女装したら、似合いそうじゃない?」

 

「…………はい?」

 

いきなり何を言っているんだこの子は。女装?誰が?似合う?

 

「ははは。そんな変なこと口走るのはこの口か?この口なのかな?」

 

「いふぁいいふぁい!いふぁいでふ、らてふぁん」

 

悪意のあるような言葉に俺はひまりちゃんの頬っぺたをぎゅーと引っ張った。あ、お餅見たい。柔らかくてプニプニしてる。

 

「お兄ちゃん。今変なこと考えてたでしょー?」

 

「滅相もございません」

 

モカの言葉で冷静になった俺はひまりちゃんの頬っぺたから手を離した。

 

「もぅ!酷いですよ!」

 

「いや酷いのはひまりちゃんでしょ。人の顔じーっと見つめて女装が似合いそうとか何言ってるの?」

 

「ほら、ラテさんの顔ってどっちかって言ったらあんまり男の人!って感じじゃないですか」

 

「ひでぇ。本気で傷つく」

 

「確かに。ラテってラテのお母さん似っぽいよね」

 

「でしょでしょ!それにラテさんって色白だし、細身だし。ちょっと身長高めだけど、いけると思うんだよね」

 

「言われてみれば……そうだな」

 

「うん。いけるかも」

 

ひまりちゃんの指摘に頷く蘭と巴。どうしよう、ものすごく嫌な予感がする。

 

「なので、ラテさん」

 

「言いたいことはわかるけど、とりあえず言ってみて?」

 

「女装して『断る!』もー!最後まで言ってないですよ!」

 

「絶対嫌だぞ。こればっかりは譲らん」

 

何が楽しくて女装なんてしないといけないんだ。断固断る。

 

「大丈夫ですよ!私がラテさんを可愛くしてみせます!」

 

「なおさら断る」

 

「うぅ……酷い」

 

「あーあ。ラテがひまり泣かした」

 

「本当だ。ひまり可哀想」

 

「蘭、巴。そうやってひまりちゃんの味方しても無駄だぞ。今回ばかりは絶対譲らないから」

 

「「「ちっ」」」

 

「おい今ちっ、って言ったな」

 

こういう時三人が協力して俺を追いやろうとしてくるのはわかっていた。その手には引っかからないぞ。

 

「とにかくしないったらしないからな」

 

コーヒーも全部飲み干して、そのまま荷物を持って帰ろうとすると両隣に座るつぐちゃんとモカに服を掴まれた。

 

「えっ?」

 

「えーっと。私もラテ君が女の子の格好してるの見てみたいなー、なんて」

 

「つぐの意見にさんせーい。お兄ちゃん、一回女装してみてはいかがでしょう?」

 

「嘘……だよな?モカとつぐちゃんは俺の味方だと思ってたのに、嘘だよな!?」

 

2人は絶対ダメだっていうと思ってたのにまさかの裏切り。これは俺も予想できなかった。

 

「何事も挑戦だよ〜」

 

「こんな機会ないだろうし、せっかくみんな揃ってるし、ね、ダメかな?」

 

「やだ。絶対やだ。死んでもしたくない」

 

「だ、だよね」

 

あはは、と苦笑いしながら頷くつぐちゃん。だがどうしたものか。つぐちゃんはともかく他の4人は諦めるかと言ったら微妙なところだ。何か手を打たないと、モカが俺をお姉ちゃんと呼ぶことになる。そんなのは絶対に嫌だ!なにか、何か手を……………そうだ!

 

「ひまりちゃん、女装やってあげてもいい」

 

「え、本当『ただし!!』?」

 

「みんなが男装するなら、してやる」

 

「みんなって」

 

「あたしたち全員が?」

 

もかをのぞく4人全員で顔を見合わせた。モカだけ幸せそうにケーキを食べている。てか、もう俺の女装のことはどうでもよくなったのか?

 

「あたし達全員に男装させようとするなんて、ラテやっぱり最低だね」

 

「親友の兄貴に女装させようとする鬼畜蘭に言われたくねえな」

 

「…………バカ」

 

「理不尽だなおい」

 

なぜ罵倒された。悪いのは女装させようとしてくるこいつらのはずなのに。

 

「とにかく。俺を女装させたいならみんながこの条件を飲むこと。それが出来ないなら俺女装なんてしない」

 

「んー、別にいいよ〜?」

 

「ほら、別にいいって言ったろ。だからこの話はもう…………………………えっ?」

 

「モカちゃんは別に男装してもいいよ〜。楽しそうだし〜」

 

ケーキを食べ終えたモカが口の周りを拭きながらそう言った。え、待って。なんでモカは男装すること許可してんの?

 

「まぁ、アタシも別にいいかな。アタシ達が男装するのは恥ずかしい事じゃないし」

 

「うん、あたしも。それよりもっと面白いものが見られるんだし」

 

モカに続いて蘭と巴も了承した。え、ちょっと待って。これやばくない?

 

「わ、私が男装……?絶対に合わないような……」

 

「似合うか似合わないかじゃないよつぐ。私たちが男装すればラテさんは女装してくれるんだよ!」

 

「た、たしかに。私だけじゃないならやってみてもいいかも」

 

「だよね!そして私もオッケーです!」

 

「お、じゃあ全員男装する事に賛成だな」

 

3人に続きつぐちゃんとひまりちゃんも了承。つまり、幼馴染5人全員が男装する事をオッケーしたという事。どういうことか。俺に逃げ場がなくなるということ」

 

「さぁ、ラテさん。覚悟ですよ!」

 

「確か、アタシ達が男装するならラテも女装するんだよな?」

 

「男に二言はないよね?」

 

「お兄ちゃん、覚悟〜」

 

「ご、ごめんねラテ君」

 

5人がジリジリとにじり寄ってくる。ひまりちゃんなんか凄い悪い笑みを浮かべて近づいてくるもんだから正直怖い。

 

「…………さらば!」

 

「あ、逃げた!!」

 

店の扉を開ければ俺の勝ちだ!そして幸い俺は店のドアに近いところにいた。これならば俺が先に出れるのは確実。この勝負俺の勝ち

 

「こんにちは〜。モカに用があって来たんですけど…………って、ラテ。何してんの?」

 

なんて事はなかった。なんて事だ。逃げ切れるはずだったのに、突然現れたリサに行く手を阻まれてしまった。さながらボスをもう少しで倒せそうなのに、取り巻きのザコモンスターがボスのHPを回復する絶望感……

 

「リサさんグッドタイミング!」

 

「でも、どうしたんですか?モカに用があるとはいえタイミングが良すぎる気がするんですけど」

 

「え、あ、うん。さっきモカから『とーっても面白い事があるので、今からつぐの家にしゅーごー』って電話が来たんだけど」

 

「モカーーーーーーーー!!!!」

 

下手すれば隣の家にも聞こえるんじゃないかと言う声で叫んでしまった。今お客さん誰もいなくてよかった。ていうか、いたらこんな風に騒ぐこともできない。

 

「モカはリサさんを呼んだのか。じゃあアタシもあこを呼ぼうかな」

 

「じゃ、じゃあ私は花音さんを」

 

「じゃああたしも日菜さんを」

 

「3人ともほんとやめて!なんで今日はみんなでそんなにいじめるの!!」

 

巴もつぐちゃんも蘭もモカも。なんでそんな俺の事をいじめてくるんだよ。泣きそう。

 

「モカ。ラテがもうこれ以上にないくらいに落ち込んでるけど、何したの?」

 

「えっとですね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな事がありまして〜」

 

モカの提案により、お店の中では邪魔になると、一度俺の家に移り先ほどの話の続きを。モカはいつもののんびりとした口調でリサに事情を説明していた。

 

「なるほど、そういう事が。ダメだよひまり。男の子の気持ちをもっと考えないと。ラテだってかっこよくいたいって思ってるはずなんだから」

 

「り、リサ…………」

 

「たしかに、ラテを女装させてみるのは面白そうだけど」

 

「リサーーーーー!!!!」

 

味方だと思ったのに突然の裏切り。いやよく考えたら元から敵だったか。俺もうキレていいのか?それ以前に帰っていいか?もう帰ってもいいよな。

 

「………あ、ごめん電話がきた。一回出てくるからちょっと待ってて」

 

携帯をポケットから取り出しながら立ち上がり、部屋から出ようとすると巴とひまりちゃんに俺の手を片方ずつ掴まれた。

 

「……どうしたんだ2人とも。今バイト先から電話かかってきてるんだ。もしかしたら人が足りないという話かもしれないし、手を離してくれないとか困るんだけど?」

 

「そうやって逃げようとするのは男としてどうなんだ?」

 

「……女の子に手を握られるのはとても嬉しい事だけど今はその時じゃないし、早く離して欲しいんだけど?」

 

「ラテさん、観念して女の子になりましょう?」

 

俺の言葉を無視してさらに手を握る力を強める2人。ダメだ。これ絶対逃げられない。

 

「…………あ、そうだ!服はどうするんだよ!」

 

「服?」

 

「そう!モカの服なんて俺絶対着れないぞ。サイズ違うし。という事は服がない。それはつまり、女装をする事はできないという事!」

 

「……ラテさんの言うことは一理ある」

 

「てか、どんだけ女装したくないんだよ」

 

巴がボソッと突っ込んでくる。当たり前だ。誰が好き好んで女装なんてするもんか。するのはそういう事をするのが好きな一部な人間だけ。俺は違う!

 

「よし。これで俺の女装する計画は無理になったな。じゃあみんな解散だな。いやー、よかったよかった」

 

「お兄ちゃーん」

 

「どうしたモカ?今なら俺山吹ベーカリーのパンを買って…………あげる………けど?」

 

俺を呼ぶモカの声に振り返りモカの方を向くと、何故かモカは女物の服とスカートを俺に広げてみせた。明らかにモカのサイズとは違う大きいサイズのそれを。

 

「…………えーーっと、モカさん?それは一体」

 

「ふっふっふー。こんな事もあろうかとモカちゃんは一回り大きいサイズの服とスカートを買っていたのだよ〜」

 

「嘘、だろ?」

 

「…………あ、その服。モカちゃんと服を買いに行った時に、モカちゃんがサイズ間違えて一回り大きいのを買っちゃった時のやつだよね?」

 

「もー、つぐー。バラさないでよ〜」

 

「まぁ、モカらしいといえばモカらしいよね」

 

「あははー、それほどでも〜」

 

「いや褒めてないから。……もしかしてこの事を予測してモカの家に場所を変更したの?」

 

「さぁー。それはどうでしょう〜?」

 

…………やっとわかった。今回のことに関してはモカは完全なる敵である。もう味方だと期待してはいけない。つまりこれは俺とモカの兄妹の仲を考え直さないといけなくなるかもしれない。

 

「モカ、後で覚えとけよー。俺絶対モカに仕返ししてやるからな」

 

「そんなー………モカちゃんはお兄ちゃんのためだと思ってしただけなのにー……」

 

「いやもう許さない。俺を怒らせたらどうなるか後でその身に味合わせてやる」

 

「つぐー、お兄ちゃんが怖いよ〜」

 

「ら、ラテ君。モカちゃんも悪気があってやったわけじゃないと思うし」

 

「いや、悪気しかないでしょ」

 

「つぐの家からモカの家に場所を移す事を提案したのもモカだし」

 

「………モカ、俺はモカを許さない。もう今日はお前と喋らないからな」

 

「あーあ。ラテが怒った」

 

「モカ、どうするのー?ラテが怒ったみたいだけど」

 

「だいじょーぶですよリサさん。モカちゃんはお任せあれ〜」

 

トコトコ、とこっちに歩み寄ってくるモカ。

 

「ねぇねぇー、お兄ちゃん?」

 

「………………」

 

「無視されたー。悲しいよー………」

 

ぐっ……。モカから話しかけてくれたのに無視するのは少し辛い。だが俺は今日モカとは話さないと今さっき決めたのだ。これは突き通す。

 

「もし、お兄ちゃんが女装してくれて、さらに、モカちゃんの事を許してくれるなら〜」

 

……わかったぞ。この後言葉が。おそらく俺に何かをしてあげるから〜、的な事を言うつもりだろう。俺はそんな言葉に惑わされないぞ。俺の精神が強くて硬い事を今ここで証明してやろう。

 

「許してくれるなら〜」

 

「……………………」

 

「お兄ちゃんと3ヶ月、一緒に寝てあげるね」

 

「おいみんな!服よこせ!!今すぐ着るから!!」

 

「「「「「チョロい!!!!」」」」」

 

俺とモカ以外の4人の想いが通じた瞬間だった。まさかつぐちゃんまでチョロい、なんて言うとは…………おそるべしモカ。

 

「モカ、約束だからな!」

 

「もちろーん。モカちゃんは約束を破らないよ〜」

 

「よし、じゃあ、かかってこいだ!」

 

「ラテ……ホントにチョロいな」

 

「うん。というかよくモカも3ヶ月一緒に寝るって提案したよね。アタシなら絶対無理」

 

「というか初めからモカにお願いしてもらえればよかったんじゃ?」

 

「確かに。ラテ君、モカちゃんのいう事なら基本何でも聞くからね…」

 

「何はともあれ!ラテさんの女装計画開始です!!」

 

「お兄ちゃん、頑張って〜」

 

「任せとけー!」

 

なにを頑張ればいいかわからないがとりあえずモカから受け取った服とスカートを着ることにしよう。そうすれば俺はこれから3ヶ月、夜寝るときもモカと一緒に幸せに過ごすことができるのだから。




次回!ラテ、女装する!!
ってこれ誰得なんでしょうか?

感想と訂正があればお待ちしております。
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