「どこに行ったんだ?」
ガイは残された最後のカードを使って、オーブオリジンに変身した。逃げ出した敵を探すため、宇宙を飛び回っている。
彼の眼前に三体の怪獣が見られた。ブルトン、ベムスター、キングジョーだ。
これらの怪獣はいずれもガラのしもべである。
キングジョーがブルトンの中に入った。キングジョーはそのままどこかへと去ってしまった。
「別空間に逃げたか……いやわかったぞ。奴の逃げ場所を!」
ブルトンは物体を別空間に転送する能力を有する。これを使って逃げ延びたと考えたオーブが、突入を試みた。
しかしそれは、割って入ってきたベムスターによって妨げれる。
オーブカリバーが右斜め上から、敵に打ち付ける。ベムスターが斬撃を、両翼の先の爪で受け止める。
次にオーブは、ベムスターの腹にキック。だが攻撃が当たる一瞬前に、腹部の口が開いた。彼の右足はその中に飲み込まれてしまう。
「離せ!」
足を抜こうとするオーブだが、裏腹にどんどん吸われていく。ベムスターのくちばし連打の攻撃は、彼の頭や胸を傷つける。
一打一打は大した威力ではない。けれども徐々に体力を消耗していく。
「なにをてこずっている? ガイ?」
オーブにとって聞き馴染みのある声が聞こえた。どうやら声の主は、ベムスターの後ろにいるようだ。
その男は蛇心剣を、左から横に素早く斬り払った。ベムスターの首が切り落とされる。視界の開けたオーブはようやく、ジャグラスジャグラーの姿を視認した。
「どうしてお前がここに?」
「知ってるかい? ガイ。別世界にあると言われるライダーガシャットを」
「ガシャット……仮面ライダーがいた世界のか」
「知ってたか。俺はその世界に行くためにブルトンの力を利用したが無理だった。どうやら強く頭に思い浮かべないと駄目らしい。それで俺は異世界に迷い混んだ」
この場合、ガシャットを強くイメージしなければならない。しかしジャグラーはまったくの無知、実在を疑っている節まである。だから行けなかったのだろう。
「どうやって帰ったんだ?」
「お前を強く想像した。だから俺は今ここにいる。それでおま……」
「そうか、ありがとう」
思いがけないヒントをもらったオーブ。彼は先程まで対峙していたガラを強く浮かべながら、ブルトンに飛び込んだ。
「あっおい待て! お前には聞きたいことがあったんだよ! あとライダーガシャットについて教えろよ!」
──────────
オーブはブルトンを通り、青空の中の雲へワープした。そこが目当ての場所かは不明。しかし、時空移動することは出来たようだ。
「ここは……別世界の地球なのか? 風景が似ている」
突然、彼の右横から巨体が突っ込んでくる。オーブは慌てて高度を上げる。そのお陰でなんとか、紙一重で避けることができた。
「キングジョー! やはりここが奴の逃げ場所か」
キングジョーとオーブオリジンの、激しい空中戦の火蓋が切って落とされる。
「オーブウィンドカリバー!」
オーブがカリバーから、緑色の風を飛ばす。キングジョーには効かない。平然と、オーブに近づいてくる。
彼は剣を左斜め上から、振り下ろした。右手で掴むキングジョー。それからキングジョーは左拳で、彼の顔を何発も殴る。
彼は剣から手を離すと、一度距離を取る。さらに上空に移動した。
勢いをつけたキックを繰り出す。
その攻撃がキングジョーの右腕に当たった。力が緩んだ隙に、オーブは剣を取り戻す。
彼は至近距離からの、オーブフレイムカリバーをお見舞いした。熱く燃える刀身が、キングジョーに斬りかかられる。
それでもまだ、傷をつけることさえ出来ない。だけど彼にとって、それは想定の範囲内である。キングジョーを高温に晒すことが出来れば、それで充分だった。
キングジョーの右ストレートが炸裂した。腕をクロスさせて防ぐオーブだが、衝撃から彼は吹っ飛ばされる。
キングジョーが高速で突っ込む。頭突きを狙っているようだ。
「オーブウォーターカリバー!」
彼も猛スピードで直進を始める。すれ違い様に、キングジョーを切り裂いた。キングジョーは一瞬の内に、温度を急激に下げられた。それによって、各部位がひび割れていく。
「オーブスプリームカリバー!」
零距離から放たれた光線は、脆くなったキングジョーを粉々に打ち砕いた。
「大分時間をロスしてしまった。奴はどこだ?」
オーブは地上に降り立つと、ガイの姿に戻る。彼がたどり着いたのはアメリカのニューヨークだった。
彼は縦横無尽に走りまくって、見失ったガラを探す。敵は少年以外の人間の姿にも化けているかもしれない。それでも彼は、見つけられる自信があった。
一週間後、彼は分厚く白い布製の袋を、肩にかけた少年を見つける。どう見てもガラに違いない。隠そうという気がまるで見られない。
「重そうだな。手伝ってやろうか?」
「Who are you?」
言葉が通じない。ガイは地球の特性─一つの星内で違う言語がいくつも使われていること─を思い出した。
「I am Gai. May I help you?」
「しつこいね君も。とっくにご存じなんだろ? 僕がガラだと」
「あぁ。俺の目は誤魔化せないからな。その袋はなんだ?」
「君から奪ったウルトラフュージョンカード。この中に入っているのは、それをもとに改造したガシャットだ」
ガイのガシャットに関しての知識はごくわずか。
仮面ライダーが変身に使うこと。別の宇宙にも噂が流れていること。この二つだけだ。
「それを渡せ。どうせそれをよからぬことに使う気だろ?」
「僕に勝ったらいいよ。残り一枚でなおも立ち上がる気があるならね」
少年が異形の姿に変貌する。それに対して、ガイもオーブリングにカードを読み込ませた。
カクセイセヨ! オーブオリジン!
ニューヨークの市街地を舞台に、二人の巨人の戦いが始まる。
「何度繰り返そうとも、結果は変わらない」
「変えてみせる。それがウルトラマンだ!」
ガラは腕を突っ張りのように動かし、光弾を連発する。オーブが刃で受けた。剣を大きく振り上げて高く跳ぶ。
彼は敵の頭上目掛けて、いっきに振り下ろした。
一歩引くことで、ガラはかわす。けれども、そうなることはオーブの想定内だ。彼は正面に、剣を突き刺した。
「なに!? それに前回よりも、格段に威力が上がっている!」
オーブカリバーはガラの光弾を受けて、破壊力を増していたのだ。わずか一太刀ではあるが、その一撃は戦況をひっくり返す。
オーブは剣を引っこ抜く。それから、トライデントスラッシュのような、素早い滅多斬りを繰り出した。
だが、突如としてガラが消える。彼は子どもの姿に再度化けたようだ。そう考えたオーブも、ガイに戻る。
「降参……ってことだな」
「悔しいが僕の負けだ……これは君に渡すよ」
ガイが袋を受けとる。しっかりと、中にはガシャットが詰められてある。
ガイはその場から立ち去る。彼の次なる行き場所は仮面ライダーのいる所。ガシャットについて、彼らより詳しい者などいないと、彼は考えたからだ。
一月後。彼は日本に辿り着き、仮面ライダーの居場所を探し、ようやく聖都大学附属病院を突き止めた。
「絶対に許さんぞ、ウルトラマンオーブ。それから財団Xを潰した仮面ライダー! どっちも仕留めてやる……」