無限と身勝手 作:戦闘狂(書く方)
身勝手の極意かっこいい。
それだけで書いた。
自分にできることは、だいたいなんでもできた。
それは無意識だった。体が勝手に動いた。
生まれた時から『気が付いたら終わってる』なんて事が多かった。自分で何をしたのかわからない時もあった。
ものごころ付いた時には当たり前だった。
運動も、勉強も、家事も、可能な事ならなんでもできた。どんな危機も難なく突破できた。
いつしか俺は、他人を必要としなくなった。いつしか俺は、対等な者が欲しくなった。
俺は、それを“身勝手”と呼んだ。
黒焱が爆ぜる。
大地を砕き大気を焼き人影が馳せる。
全身から蒼のオーラが滲みでて、大きくはねた特徴的な髪の少年が神速の速さで相手へ向かい駆ける。
相手は黒焱の放ち手、漆黒の少女。前面を色々とさらけ出したゴスロリ服の幼子。艶のある黒の長髪を揺らして手から焔の矢を連射する。
黒火矢の雨を常人どころか超人域の達人すら視認できない速さで払い除けて近付く。
漆黒の少女は連射をやめて一瞬力を溜める。そして放たれた雷雲のような巨大な黒炎塊。
それを両方の腕を胸前でクロスして力一杯振り抜き打ち払う。
爆散する火炎塊、少女はわかりきっていた、当然の事だと思っていたのか平然として少年に拳を撃つ。そして少年も同時に拳を放っていた。
17程と思われる少年と10と少し程度の小さな少女の拳がぶつかる、比べる事すら馬鹿げていると思える光景で、押し勝ったのはまさかの少女。
強烈な衝撃を起こして吹っ飛び100メートル近く離れた所で留まる。
少年を追った少女、瞬間移動じみた超スピードで迫り少年を押し退けた拳。破壊の大砲が発射され、視界に収める時間も無いそれが当たる寸前で少女を飛び越えて躱された。振り返った少年は少女に向かって疾る。音速を超えて光速すら越えた超速移動。そんな少年の速さを少女は完全に捉えて迎えうった。
少年の拳蹴の流星群を両腕で全てガードする。
「えい」
可愛らしい声とは裏腹に地を割る大力の拳が放たれる。
そして繰り広げられる大気粉砕の超近距離空中格闘戦。
互いに格闘技や武道に関しては拙い。誰かに教わったものじゃないからだ。だが、どのような達人だろうと追いつかない高みに二人は在る。
彼らは武人ではないが強者なのだ。
応酬する闘い。コンマ1秒で加速する闘争。
研ぎ澄まされ鋭利になる打撃。神々すら逃げだす災害を惹きおこす。
人の越え、超常を越え、概念を越えた超絶者の世界。次元が歪み天地冥の境界を裂く衝撃がふり撒かれる。
バッ、と突如両者が離れ力を溜める。
二つの力がぶつかり爆ぜて広がり全てを消し去った。
「──」
「……」
向かい会う少年少女。
服は
「──終わりだ」
「…ん、わかった」
蒼のオーラを消し瞳の色を黒へ変えた少年の言葉に少女が従う。
すると先まで遠くで傍観者に徹していた100メートル越えの巨大な赤龍が姿を現わす。
小さく唸るだけで言葉は放たない。喋れないのか喋らないのか、だが目が語っていた、「どうにか、ならんのか?」と。
「すまない」
「ん?何故謝る??」
直接何かされる訳じゃないが近くでドンチャカドンチャカと騒音たてて暴れられたらそりゃ迷惑だ。
精神的には見た目相応の幼い少女。首を傾げて少年が謝る理由かわからない。赤い巨龍はぶわぁと溜息のようなブレスを吐いて背を向けまた次元の狭間を泳ぎだす。
「………」
「???」
巨龍の後ろ姿に心の中で謝罪の念を送り、その隣で首を傾げている少女に視線を向ける。
「帰るか」
「??……ん?ん」
少年の言葉に少女が頷き片手を伸ばす。少年は無言でその手を掴み、二人手を繋いで歩きだす。
「イクサ。我、今日はハンバーグが食べたい」
「わかった。買ってこよう」
「手作りがいい」
「……時間がかかるが、いいか?」
「かまわない」
「そうか、なら少し急ごう。オーフィス」