無限と身勝手 作:戦闘狂(書く方)
無限大の領域へ
大気が爆ぜる
縦横無尽に翔び廻る二影、飛び交う飛拳、
次元の狭間中を満たす程の闘争の熱気が充満。純黒が熱気を祓い飛ばし、蒼青が熱気を噴出する。
───そして、二つの影が重なり、離れた。
そのまま振り返る二人。
核爆弾でも爆発したかのような衝撃が迸り空中で静止する二人。
イクサの右蹴りを左腕で防ぐオーフィス。イクサの蹴りはオーフィスの腕を破壊、続けて左蹴りを放とうとするが───それを見逃すほどオーフィスはバカではない。漆黒の龍のオーラを腕に集束、神を10回殺す威力のパンチ。
イクサは即座に蹴技を
遅れてイクサが吹っ飛んだ。ダメージは無い。衝撃は全て先ので逃した。
浮遊する大陸のような岩場に墜落、弩煙を撒き全体に深い罅を刻みこんだ。
左腕を服共々直しイクサの墜落点を見るオーフィス。
すると、煙を内側から破り三条の大閃光が奔る、
オーフィスが身構えて───気付いた。
三条ともどれもオーフィスに当たらないのだ。
「???」
一条目はオーフィスの頭上を過ぎ。
二条目はオーフィスの右側に位置し。
そして、三条目。オーフィスの左斜め下、すぐ目前で
「!?!?」
二条の大閃光はオーフィスの付近を大球体となり留まり、最後の三条目の到着と同時に内包された大力が解き放たれた。
終末的な神の権能に匹敵する極限の
───大陸が爆ぜた。
無数の浮き岩へと変貌した大陸破片を足場に跳んで飛んで翔んだ。視界を埋め尽くすほどの蒼の軌跡を空間中に刻み込み駆ける。
足場を蹴る度スピードを増し、とびきり大きな足場を砕きオーフィスへ一直線に翔ぶ。
オーフィスは先の砲撃の爆発に魔力を瀑布のように放出して抵抗している。
イクサの拳が砲撃を貫き魔力を裂いてその小さな躯の中心を捉えた。
続く二撃三撃───数千撃。
百種の技を一撃に束ね突きを撃つ。それが数瞬で10万に届き超えていく。
そしてオーフィスは、───ただただ一方的に打ちのめされていた。
ちょっと、勝てない。
───イクサが我を超えた。
何十か何百か、数えるのが面倒な程我らは競った。
初めては勝った。それからも勝ち続けた。
初めて負けたのは、20と数回。
イクサは対策を練った。我との交戦を積み重ね戦い方を学んだ。
そしてその先端が今のイクサ。我の攻撃は完全に防ぎ流される。今も我に反撃させないように連打を叩き込んでくる。
魔力を解放して吹き飛ばしてもすぐさま背後を取られ蹴り飛ばさせる。
やっぱり勝てない。
我は吹っ飛びながらイクサを見る。
銀閃の瞳、黒の髪、蒼いオーラ。
その瞳や顔からは感情を読み取れない。
もしかしたら───“つまらない”と思っているのかもしれない。
イクサは、我の友に成ってくれた。
我に繋がりを教えてくれた。我に食べる事を教えてくれた。我に楽しむ事を教えてくれた。
イクサの鼓動が好き。
寝ているイクサの上に乗りその胸に耳を当てる。とくんとくん、と聴こえる音がイクサが生きてる、動いていると教えてくれる。眠るイクサに不安を覚えた我にイクサが「鼓動が聞こえたら生きてる」と教えてくれた。
最初は生存確認だけの為だったコレも今では最も安らぐ行為。
我はイクサに沢山ナニカを貰った、全部全部大切で愛おしいソレ。
今度は我の番、強い『力』を得て生まれたが為に孤独だった我ら。だから我らは共感出来た、互いに理解者に成れた。
絶対に離したりしない、我がイクサを一人にしない。我の為にもイクサの為にも。
イクサが強くなるのなら、
吹っ飛ぶオーフィスがくるりと回転。浮島の一つに着地する。
イクサもすぐにやってくる。オーフィスとイクサが向かい合う。
「………」
「………」
「「………」」
音が消える。
ピクリとも動かない二人、不動の圧が二つ揺れる揺れる。
「イクサ」
突如、オーフィスが口を開いた。
「強くなった。イクサ、とても強くなった」
「………」
「イクサ。我らは互いに唯一の理解者。我ら二人は、少なくとも我は“共にあろう”と誓った」
オーフィスの言葉は続く。静かに、けど必死に心の内側をさらけ出そうとしている。
「イクサを
「──……」
オーフィスの心が通じたのかイクサがじりじりと足を広げ、重心を下げ、いつでも飛び出せるようにする。
「だから、見て欲しい。感じて欲しい。
これが、我が進化!無限を超えた無限大の領域!!」
瞬間、オーフィスが目を見開く。黒曜石のような瞳が閃いた。そして足元から噴き出した爆炎のような黒のオーラがオーフィスを呑み込みその姿を隠した。
そして鳴り響く怒濤の打撃音。初動どころか終わりすら見えぬ超攻撃。
イクサが吹っ飛ぶ。1秒足らずの内に何十、或いは百にも在るように見えた腕が猛攻は防いだが衝撃は逃せなかった。
空中でタイヤのように回転、地に両足と片手を突き立てブレーキをかける。
顔を上げた。イクサの目がソレをしっかり捉えた。
「───」
ソレはオーフィスの姿ととても類似していた。
胸面を晒した純黒のドレスとバッテンマークのシール、艶のある濡羽色の長髪。感情を感じさせない表情。漆黒の瞳───だがその瞳には強い光が宿っている。燦爛と輝き己が意思を示さんとしている。まるで黒い太陽のようだ。
───そして、何より、
オーフィスの肉体が
身長はイクサよりも10センチ程高く、顔立ちからも幼さが抜け、四肢はすらりと伸び、曝け出している胸はメロンのように豊かに実っている。頭に黒いヴェールを被る絶世の黒き美女。
そこには、大人の体へ変わったオーフィスが存在していた。
「……はは、」
イクサが笑った。なんだそれ、と。
オーフィスは片手を口元へ運んでいた。親指と人差し指を何かを摘む様にして口に含んでいた。
ちゅ、と口に含んでいた二指を引き抜く。指先には口と唾液の橋で繋がっている。
こくん、と喉が動いた。ナニカを飲み込んだ時の動きだ。
それでイクサは気付いた。
「………蛇か」
「ん。……正解」
オーフィスの“蛇”。
それはオーフィスの力の一部を切り離したもの。
「我は考えた。我の蛇は使用者に力を与える。これを我に使うとどうなる?」
我は無限、決して消耗しない存在。器には常に満杯になるようになっている。
「なら我の分身たる蛇で我の“器”を増築すればいい。我が産み落としたモノ。相性は言わずもがな」
「……」
「そして中を満たす力は我の特性が埋めてくれる。
これが我の、『無限』を越えた『無限大』の姿」
「……なるほど。凄いじゃないか」
「えっへん。と言ってもこれを行使するのは今回が初めて。だからまだまだ不安定」
「ぅ…そ、そうか」
胸を張るオーフィス。その怒張の双山がぷるん!と揺れた。
それを見て少し気まずそうに視線を逸らすイクサ。オーフィスもイクサの行動に気付く。
「………」
「……ぅ」
「…イクサ」
「な…なんだ?」
「我、大きくなった」
「…?…見ての通りだな」
見てわかる事改めて言うオーフィスにイクサも読み取れない。
すると、オーフィスは───豊かな胸の下に手を運びぐいっと押し上げ主張した。
「見て、重く大きい。イクサの好みになった?」
「──…」
イクサの上半身がガクッとうな垂れた。“身勝手”のオーラも弱くなった。
頭を上げ後頭部を左手で掻き、「なんだかなぁ」と内心で呟く。
オーフィスはムフーと満足気にしている。
「いっつ、あ、ジョーク」
「……」
ジト目を向けるが気付かない。溜息一つ吐いて、目付きを鋭く変えた。
「…おふざけも終わりだ。見せてもらうぞ、無限大の力」
「ん、いつでも問題ない。不安定だからって負ける気がしない、叩き潰す」
「…上等。やってみろ」
煌煌と神秘的でより力強く蒼のオーラを放出。“身勝手”の出力を上げる。
まばたき。瞼を閉じ、開ける。
その一瞬、まばたきの間にイクサは飛び出し距離を詰め拳を握り振りかぶる。
オーフィスもイクサに迎え撃つように腕を振りかぶる。
イクサ/オーフィスが右拳を突き、激突させる。
閃光、爆裂、衝撃、第二爆発の順で起きた一連、“1秒”の何倍も短い一瞬。たったの一撃で起きた災害級の
爆発を背景に拳蹴を打ち合う二人。過去に見せた攻防をより激化させた超・激・戦!!
人間だろうと、怪物だろうと、神々だろうと本能的に魅入ってしまう、視線が意識が彼らに向いてしまう、圧倒的なチカラ。
生物は、より強い者を崇め、敬い、畏怖し、憧憬して、執着する。その恩恵を受けたいと、己もそのようになりたいと。
一閃全壊。一発のパンチが浮島に生まれた緑の自然、大地や岩石の凹凸をまるごと吹き飛ばし平らな荒野へと変えた。
「……ふんっ!!」
反撃回避。パンチを躱され打たれるカウンターをそよ風のように避ける。静かで自然な決して掴めぬ世界の流れ。
転回一蹴。次元の壁を切り裂きそうな回し蹴りが巨大な断絶の圧となり蹴りの射程内にある宙に浮く物の悉くを消し去った。
「はぁ!」
二対の龍翼を展開、大きく広げる。
オーフィスの“龍の部分”を表に出す、それに伴いより力が解放され龍の波動を放出、厖大な拳打と共に放つ。
ガードするも吹き飛ばされるイクサ、否。パワーを利用し己から背後に飛んで脱したのだ。
片翼だけで自身の身長に届きうる大翼を羽ばたかせ漆黒の軌跡を描き飛翔するオーフィス。
一瞬でイクサに落ち着き対面、互いに不動。にも関わらず彼彼女の周りには残像のような九十九の腕が幻想的な火花を散らす。
「──ッッッ!」
途端、イクサの顔に焦燥が現れその直後に顔を左側に傾けた。
オーフィスの攻めがイクサの防御を掻い潜りイクサの顔面に一発撃ち込んだのだ。
“身勝手”による意識を超えた反射行動で躱したが、オーフィスがイクサの反応を超えつつあることに気付き焦りが生まれ、それが無我の境地と言える“身勝手”の本来の
「……ギィ」
どのような音だろうと逃さんとするオーフィスの耳に歯軋りが聴こえた。『焦り』、『考え』、『思考』、『判断』の不純物が“身勝手”を妨げ彼を窮地に追い込んでゆく。このままだとよりピンチになる一方だ。イクサは咄嗟に地面を踏み抜いた。
岩石がシーソーのように盛り上がりオーフィスにぶつかる。思わぬ衝撃にバランスが崩れ刹那の隙が生まれる。
超絶者にして均等した実力の持ち主同士にとってその隙は千載一遇のチャンスに匹敵する。
もう片方の足で地面を蹴り抜き離脱。大地を砕き瓦礫にオーフィスの歩行の妨害も行う。
仕切り直すに十分な距離を取り「これならどうだッ!」と策を練る。
「───どぉ……!」
両掌を右腰に上下向かい合うように配置、両の手の狭間に闘気や覇気、生命力などのオーラを集中集束する。
苦肉の索だと自覚はしている。が、それしか思い当たらない。相手が格下なら“身勝手”を弱体させてでも思考に意識を割く事が出来るが相手はオーフィスは同等以上と言える大怪物。
「らぁぁ……!」
溜める溜める溜める。ただひたすらにエネルギーを両の手の間に溜めることだけに集中する。余計な考えを生まぬ分その方が“身勝手”がより正確な回避を行った。
「ごぉ…ん!」
次の足場へ、また次の足場へ、その次の足場へ。攻撃に対し事前に察知し足場が壊される前に動きだす。
過去に一度、初めてオーフィスに勝利した戦法。およそ200戦近くぶりに使う戦法。これに己の全てを賭けるッ!!
「波ぁぁアアア!!!!」
“ドラゴン波”。
オーフィス、そしてイクサの幼馴染も好きな大人気国民的バトルマンガ『ドラグ・ソボール』の主人公“空孫 悟”の必殺技。
全国の男子小学生が絶対に一度はマネする程に人気のあるドラグ・ソボールの代表的な技。
蒼い巨大波動砲。先に放った三条の気功波とは根本的に威力の違う大技。
生物を産み落とした星の力すら簡単に打破る力の大海嘯。世界、概念、万物を灰塵──無に還す超絶者こそ許された幻想大成。例え、無限の体現者であるオーフィスであろうと完全に消し去る事の出来る技。いくら進化したと言ってもこれを受ければ流石に───。
「───な、に…?」
無傷。まったくの無傷。
掲げ向けられている左手の掌には黒い極光球が浮かんでいた。光輝く神秘の黒!万物呑み込む闇の極限。
イクサのドラゴン波の中をまるで刳り貫いたかのように打消し完全なる無干渉の場所を作り出していた。
「───」
イクサは今度こそ完全に言葉を失った。思考が放棄される程のショックがイクサの全霊を巡り巡っていた。
「すぅ……っはあ!!!!」
とうとう、その手に灯る絶望の黒焔や放った。
「───」
瞬間。蒼の波動は搔き消え、代わりに黒い津波、歴史に残る津波の災害を束ねたような怒濤のオーラに染まった。
飲まれ呑まれノマレ───世界を染め上げ塗りつぶす圧倒的『黒』が其処にはあった。
無限大形態のオーフィスは戦闘中のオーフィスの胸について。
作者の頭ん中では不思議な力(笑)であまり揺れていない。あんなドラゴンボールムーブでバトったら胸、千切れ飛ぶしょ。