無限と身勝手   作:戦闘狂(書く方)

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遅れて真にすみませぬ。
次回から誠奈sideだと言ったな?
……あれは嘘になった。なったのだ。



堕翼の復讐鬼──Fallenwing Vendetta──
身勝手の後日『再会』


 

 

 

 

 

 

 

 

───忘れるものか。

 

ジブンをみおろスふたつのギン、

 

───忘れてたまるものか。

 

あおのかゲろうにおおワレたスガタ、

 

───絶対に忘れれん…!

 

ブザマにたおレふすオのレ、

 

───この三翼の貸り…、

 

このハイぼくのくつじョク…、

 

 

 

必ズ返すッッ

 

 

準備を整った。地獄のような鍛錬で鍛え直した、教会から三振りの破片を奪い取り操れる術者を用意した、何百もの魔獣の魂を喰らった、このチカラで今度はキサマの全てを犯し、蹂躙し尽くしてやる。

 

飛び立つ禍翔、血塗れの黒い翼が悪意を剥いた。

復讐の羽根が天を舞い堕ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

“真・身勝手”に覚醒した日より数日。“真・身勝手”の次の日は真昼に目覚め、目覚めてもろくに動けなかったが、それもほぼ完全に治っていた。

イクサは自室のベッドの上で自分の両腕を後頭部で組んでくつろいでいた。ぼーっと天井を眺めながら“身勝手”について思考を寄せる。

 

───“真・身勝手”

無限大へと進化したオーフィスに感化されたかのように覚醒した姿。研ぎ澄まされた本能、極限まで高まった“身勝手”の状態に一途に激化した感情の爆発が引き鉄となり変身する。

今まで出来なかった感情の単一、意識して鎮めようとすると返ってその思考が妨げとなるから諦めていた───少なくとも「今は無理」だと。そんな「無理」だと思っていた領域、届かなかった高みは───そうそう簡単には完全修得はさせてもらえないようだ。

 

あれ以来、たったの一度も変身出来ていない。何度か試したが伸ばした手が空を切るように煙を掴もうとするように何の手応えも得られなかった。アレは偶然“真なる領域”に伸ばした手の指先が触れただけだったようだ。

だが良い事もあった。“真・身勝手”に覚醒して以降“身勝手”の出力は向上したのだ。“真・身勝手”に覚醒前と覚醒後だと、同じ5パーセントでも以前では出来なかった事が可能になり調整もかなり上手くなった。決して残念な事ばかりではなかった。

 

「…ふぅ」

 

上半身だけ折って起き上がりそして隣を見る。

視線の先には───

 

「ぅー!ぅぅー…」

 

縄でぐるぐる巻きになったオーフィスがいる。

両手両足を揃えて背後で括り合わされその外から更にロープを巻き付け念入りに固結びされ、長い手拭いの先を後頭部で括り口を塞がれている。

事の原因は一時間弱前、イクサが学園から帰宅するとリビングが散らかっていた。そしてリビングのテレビでゲームをしている。……別にこの光景は大体いつもこうなのでゲームソフトが16個。カチンと固まりスマホから通販アプリの購入履歴を確認、購入されていた。()()()()()()。そもそもオーフィスは金を持っていない。全てイクサの、或いはイクサの家族のお金である。

二階からオーフィスが降りてくる、そしてイクサと目が合った。イクサの手元にはゲームソフトが姿を見せているダンボール。───オーフィスの行動は早かった。全力撤退である。それからのイクサの行動はとても早かった。逃げるオーフィスを秒で捕まえ、オーフィスから分離した時間が長く個としての感情が芽生えていた蛇を使いオーフィスを縛り上げた。

そう、今オーフィスを縛るロープはオーフィスの蛇なのである。産みの親(オーフィス)の言う事はまったく聞かないどころか威嚇して返すというに飼い主(イクサ)の指示は忠犬の如くなんでも聞く蛇。

かくして無事捕まり縛られたオーフィスは罰として床に転がされている。

 

「さ、てと」

「む、むぬー?」

 

ベッドから降りて部屋の片隅にある積まれたゲーム。クリア済みの物や未クリアのゲーム、まだ触ってすらいない積みゲー。それを袋に詰めてドアに手を掛ける。そんなイクサにオーフィスは「そ、それはどうするのか?」と問いかけるように声を出す。

 

「ん??ああ、ちょっとこれを処理してくる」

「───」

 

振り返るソレはとてもイイ笑顔で、そしてその口から出る言葉は残酷で。フリーズしたオーフィスも閉まりゆくドアに我に帰り喚き暴れるが知っちゃこったないとイクサは部屋を出て行った。

無情にも静まり返る部屋で全身を縛られ身動きできないオーフィスは力無く項垂れ、ほろりとその両の瞳から涙を流した。

完全に親にゲームを砕かれた駄目人間(ニート)の図である。

 

 

 

───まあ、オーフィスが本当に気に入ってる作品は残していたりするのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今は、オーフィスの大罪(ゲーム)売却(しょり)し終わり帰宅する途中ふと見覚えのあるもの光景を見た。公園で遊ぶ子供達だ。

俺と、セーナ、そしてイリナ。いつも三人、時には家族を含め遊んでいた。

俺とセーナの二人はいつもイリナが「今日は何をしよう」、「今日はどこへ行こう」、「今日はあそこを探検しよう」、とリーダーみたいにいつも引っ張り連れ出されたものだ。

 

立ち尽くし唯々懐かしさに浸っていたら───不審者を見た。

 

「ーーー!?」

「………」

 

ローブ姿の二人組。片方は背中に縦長の布でぐるぐる巻きにされた物体を背負っている。

何も背負っていない方が何か探しているように騒ぎ、包みを背負った方がその相方に呆れたように嘆息している。

 

「……あぁ」

 

回れ右して帰宅しよう。そうだ俺は何も見なかった。いいね?(言い聞かせ)

 

「ああーーー!!!」

 

背後から大声。嫌な予感がする。よし逃げよう!

即断即決即行動、“身勝手”が超人の反射速度を発揮して走る。

 

「ちょっ、なんで逃げるの!?」

()()()、君の言葉通りなら彼は君の友人だろう!?」

 

───きっと人違いさ。先程思い浮かべた幼馴染の一人の名前が聞こえたがきっと同名の人違いさ。そう思い込んで全力疾走した。

 

 

 

 

 

 

「久しぶりイクサくん!」

「ウン、ソウダナイリナ」

 

ご 本 人 で し た。

家まで付いてこられ諦めて現実を受け入れた。そして二人を部屋に上らせた。

久しぶりに再会した少女。セーナの茶髪よりも明るい栗色の髪をツインテールに結び揺らすこの少女が俺とセーナの幼馴染、紫藤イリナだ。 幼馴染三人の中で一番ヤンチャで男顔負け……だけど意外と泣き虫だった。良くも悪くも子供だった少女。

 

「紹介するね。彼女はゼノヴィア」

 

───そしてもう一人。

青い髪に一筋の緑のメッシュの入った彼女。イリナの同伴者の彼女、ゼノヴィア。縦長の包みを胸に抱いた彼女はこちらをただ黙って観ている。

 

「……、ふーん。まあ、来るなら来るって事前に連絡して欲しかったが。それで、どうして駒王町に?帰ってきたって訳じゃなさそうだが」

「あぁー、うん。その…ね?」

「ね?…でわかるとでも?」

 

目が泳ぎ始めるイリナ。なんだ?何や良からぬ事でも?

すると突然顔の前で両手を合わせ頭を下げて、

 

「しばらくの間ここに泊めてください!」

「───は?」

「なに?」

 

あまりにも唐突な頼み事につい聞き返してしまった。イリナの隣に座るゼノヴィアも「どういう事だ」と問い出している。

 

「しょうがないでしょゼノヴィア。こんな時間じゃ宿泊施設に泊まろうにもどこも空いてないし、教会は何故かボロボロで天井にデカイ穴があるのよ。もう頼れるところがイクサくん家しかないのよ」

「ぐぬぬ…。こいつは、信用できるのか?」

「当たり前でしょ!わ・た・しの幼馴染なのよ!」

「君の幼馴染だから心配なんだ」

「何ですって!?」

 

…なに?この失礼な奴ら。

イリナ、昔からちょっと抜けてる所があるとは思っていたが改善されるどころか悪化してないか?そしてゼノヴィア、気持ちはわかるがこいつ(イリナ)と同類だと思われるのは少なからず不満があるぞ。

そしてなんだ、この計画性の無い二人は。宿泊先くらい事前に確保しておけよ。

……だがまあ、だからといってこんな女の子二人外で野宿させる訳にもいかない。しょうがないか。

 

「わかった」

「え?いいの!」

「ああ。じゃあ俺は二人の部屋用意して来るからその辺で寛いでてでもしててくれ。二人の部屋は母さん達の寝室でいいか?」

「え?それじゃあご両親はどうするの?」

「??…あぁ、言ってなかったな」

「???」

「イリナが引っ越してからすぐに俺達と引っ越したんだ」

「……え」

 

イリナに言った通り、俺はイリナ、つまり紫藤家が引っ張して二ヶ月後に引っ越している。国外に引っ張こした紫藤家と違って俺達は国内だが。

引っ張した先でオーフィスに出会い理解者を得られたがオーフィスの容姿が幼姿な為共にいられず高校生になって俺だけこの町に戻りオーフィスと共に暮らす事となった。因みにこの家は引っ越す前の家と同じ。この町に戻って来るにあたってマンション辺りを検討してたが母さんがスマホ片手で、父さんがサムズアップしながら「任せて」と言った結果同じ家に帰ってこれた。両親には戦闘力とは別の意味で敵わない。

 

「そう、だったんだ」

「まあ、そういう訳だ。じゃあ俺は部屋整えてくるから」

「……あ。じゃあ、私達セーナの所にも挨拶してくるから」

「む、なら帰りに買い物に行ってきてくれないか。メモ渡すから」

「わかったわ。じゃあ行きましょうゼノヴィア」

「ああ」

 

イリナはゼノヴィアを連れて椅子から立ち上がりリビングを出てそのまま玄関に向かっていった。俺は二階にある両親の寝室だった部屋に向かう為階段に足を掛けて気付き振り返って呟く。

 

「あの格好でか?」

 

あの二人、白ローブだった。それに加えゼノヴィアの方は長い包みを背負っている。

 

「───きっと大丈夫だろう」

 

俺は考えるのをやめて階段を上がった。

 

そして、

 

「ぅー、ぅぅー……」

「あ」

 

ぐるぐる巻きのオーフィスを見た。

 

 

 

 

 




あっ、あっ、あっ。
最近好きなユーザーBANにその影響で小説ロックが複数あって辛い。
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