アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト。
世界でも犯罪都市としてしられ、個性の超常が発現されてからはより一層人口の減少が加速する。しかし、それは公式の記録で住民票を届けられない人物など多くはびこっている。危険を伴うため、役所の人間が正式な調査など行える筈もなく、警察でさえも下手に手を出せない。
そんなデトロイトのゴーストタウンの一つにデパートが建てられている。デパートは既に廃墟と化し、天井は壊れどこかに繋がっているであろうパイプがむき出しになっている。
そんな崩壊を待つだけの廃墟に怒号が外からでも聞こえる。
「オラぁッ!」
タンクトップにニット帽をかぶった男が、鉄パイプを年端もいかない子供にスイングをするように振り抜いた。
反射的に身を屈め、そのまま空色の籠手で男の顎を砕く。
「っぶね」
白いYシャツと黒のズボンを来た飴二郎は額から流れる汗を袖で拭い、周囲を確認する。
「<日本に帰る準備しなくちゃいけねえってのに仕事かよ。酷くね?>」
英語で独り言を呟く。
日本の雄英高校の入試が迫る中で、プロヒーローの仕事をさせられる飴二郎は文句を近くにいる同年代の少年にこぼす。
「<ボスに直接言え。殺される覚悟あるならな>」
冷淡に話す少年は飴二郎と同じ服装をしている。
セナロウ・ハンゲリー。
飴二郎同様に黒髪で垂れ流している。
セナロウの後ろには意識のない大人達が転がっている。全員、例外なく犯罪者で、違法薬物を売買するグループを捕らえに来た。2人はいくつかある突入経路の一つを任され、指定された場所へ向かっている途中である。
「<120%殺されるからボスに言わないんだよ>」
動けなくなった集団は後からくる警官隊に任せることにして、先に進む飴二郎とセナロウ。
「<向こうでは派手に暴れられないんだろう?だったら、暴れられるう内に暴れておけ。>」
「<まあ、派手なのは嫌いじゃねえけど>」
何気ない会話をしながら進んでいると、目の前の通路から息を切らした男が走ってきた。脇にパンパンのボストンバックを抱えていた。
2人は足を止め、セナロウは腰の頑丈さが売りの通信機で連絡をする。
「<こちら、セナロウ。違法薬物密売グループのリーダー、アーニー・レントン発見。セナロウ及び飴二郎、戦闘を開始する>」
用件だけをいうと向こうからは、了解の一言に加えて殺せとも言われるが、多くの情報を持つアーニーを殺すわけにもいかない。
「<邪魔すんじゃねえええ!ケルベロスのガキどもがア!>」
焦りを隠さないアーニーはボストンバックを放り捨て、両手を自由にする。
「<奴の個性頭に入れてあるだろうな?>」
「<あたぼうよ>」
セナロウはどこからともなく、両手にスタンバトンを握る。ペン廻しの要領で回して、体勢を低くして構える。
飴二郎は籠手を装着したまま、アーニー・レントンへ突撃していく。
ケルベロス事務所、シニアインタホーン戦闘ランキング。
セナロウ・ハンゲリー序列3位。
源 飴二郎序列5位。
飴二郎、中学生最後の仕事は大物獲りであった。