ご主人!ご主人!Playmakerって安直過ぎません?   作:エネミー

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3日 ウイルス

 

 

『ブルーエンジェルとデュエルして?それで、彼女はLINK VRAINSで昏睡状態ですか?うわ、どう見てもご主人の所為に見えますねー。ご愁傷様です!』

「黙れ」

『ひぇ……』

 

激おこプンプン丸じゃないですか、やだー!

怖すぎて300pxlぐらいになってしまった。元々のサイズの半分である。ご主人の怖さがわかるだろう。

何故、黙れと言われるだけで分かるかというと、煩いが付かないのと、声色がとても低かったからだ。伊達に長く付いてはいない。

少々涙目になりながら、草薙さんのところへ逃げる。

 

『草薙さん〜、ご主人がすっごく怖いんですけど……』

「そっとしておけ。責任を感じてるんだろう。ここまで感情を出すのは珍しいが、触らぬ神に祟りなしだ」

『草薙さんはご主人を厄災か何かだとお思いで?』

「まさか」

 

苦笑した草薙さんだが、心の奥底から思ってるわけではなさそうだ。まぁ自らを復讐者と称し、騒ぎの中心へ向かって行き、そして騒ぎが向かってくるご主人は厄災と言っても良いだろう。草薙さんも、己も好きでここに居るけれども。

とにかく、重要なのはブルーエンジェルが昏睡状態なのはハノイの騎士のカードの所為だという。記録を見ても、確かにハノイのカードを使って居る。なんだろうか、同じ電脳だから感じ取れる違和感。小さな物だが、嫌な感じが彼女が使ったカードから感じ取れた。

このデュエルを生で見れたなら良かったのだが、丁度一週間に一度の睡眠時間だったんだよな。惜しい事をした。

 

『ご主人の所為ってのは言い過ぎでしたけど、このデュエルを機にブルーエンジェルの人気が暴落してますね。たった一度盛大に負けただけでこれとは……怖いですねー、人間は』

 

自分も人間だけど。

 

『いくつもの成功よりも、一度の失敗。完璧ってのはねぇけど、完璧を求めるからだろうな。いやー、怖いねー。なぁ?プレイメーカー様?』

 

目玉だけで器用に笑いながらAiは言った。

むー。後から来たのに偉そうだな。AIなのに、すごく偉そうだ。

というより、言っていることが同じだ。自分が言った言葉と同じような事を言っている。何だろうか、台詞を取られている感が凄い。

じっとAiを見つめ、こちらを向いたところで口を開いた。

 

『何なのですか、目玉野郎。私の台詞を取ったりして……そんなにご主人の気を引きたいのです?恋する少女、いえ乙女ですか!』

『乙女って何だよ!AIだけどー!?』

『後から出て来たAIに、ご主人のAIの座は渡しませんよ!私は、先輩ですから!』

『つってもお前表に出て来てないから、世間に認知されてねぇじゃねぇか。それを言うならオレの方じゃね?』

『…………はっ!そんな馬鹿な!』

『今ちょっと認めたな?』

『みーとーめーてーまーせーん!!』

「はいはい、二人とも黙ろうな。とにかく、Aiが言った電脳ウイルスってのを解除する方法を探そう。正直、可能性は低いがな」

 

パンパンと手を叩き、草薙さんがそう言って来た。仕方ない草薙さんが言う事だ。渋々引き下がる。

仕事に戻ろう。元のサイズに戻り、今は付いていない画面の電源をつけて、ネットを漁っていく。ブルーエンジェルについての情報を集めているのだ。

出てくるデュエルの画像や、SNSのブルーエンジェルファン辞める宣言を流し読みする。別にある特定の所をハッキングするだけでなく、こうしたSNSの呟きにも意味はある。たまに、本当にたまにだが重要な事を言っている奴もいる。其奴を洗い出せば、何かわかるかもしれない事があるから、馬鹿にはできない。

社畜並みに仕事をこなしていると、急に草薙さんの驚いたような声と目玉の面白そうな声が聞こえた。なんだなんだ?と振り返ると、彼らは驚いたような顔でとある画面を見つめている。その位置は、斜め下か。自分の手元にもその画面に映っているものと同じものを出す。

 

「見ているんでしょう?Playmaker!もう一度デュエルよ!」

 

………………。

 

『……何故、ブルーエンジェルが動いてるんです?幻?』

『死んだみたいに言うなよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

××××××××××

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あわわわ!なんか凄い仕掛けが出てきて、回線切れましたけど!?草薙さん!』

「わかってる!SOLテクノロジー社の緊急回線ならっ!---繋がった!」

 

砂嵐だった画面が生き返る。そこにはご主人が捕まっている姿と、妖艶に笑うブルーエンジェルの姿があった。

昏睡状態の本体である財前葵が病院にいる限り、彼女が偽物だとわかるのだが、あんな大掛かりな仕掛けを作ってまでご主人を捕えるとは、相当なプログラマーである。ただ、LINK VRAINSで許可なくフィールドを変更するのは犯罪なので彼女もハッカーという事がわかる。

 

「ごめんなさいね。私の雇い主が貴方に用があるっていうの。私はゴーストガール。情報屋で、雇われ美女ってところかしら?」

 

ブルーエンジェルの姿が、一人の女性へと変わった。ゴーストガールと名乗ったその女性は、大きな目を細めると楽しそうに笑う。

成る程、情報屋か。このネット社会で情報屋をやるには、相当の腕前を持たなければならない。それこそ、ご主人や草薙さん程のハッカーでなければ。先程のプログラムもある事からも、油断できない相手だ。

 

「ゴーストガールか。聞いたことある名だな」

『自信ありげなところを見ますと、それなりに有名なのかも知れませんねー』

 

ピピッとエネちゃんレコードに登録とうろく。後で調べておこう。

 

「それで、俺に用があるのは」

「私だ」

 

何処からか出てきたスーツに身を包んだ青年。その見た目からアバターを介していないとわかる。いや、Go鬼塚の事もあるので一概にそうとは言えないが、彼の場合は顔を元から知っているので一目でわかった。

普段は誠実そうで、よくて言えば真面目、悪く言えば頑固そうである彼は、その整った顔を怒りに歪めていた。

そう、彼は頑固者である。

 

「初めまして、Playmaker。私は財前晃。このブルーエンジェルの兄だ」

 

自分から正体バラしていくパターン!?

個人情報である名前を言うとは、これではブルーエンジェルの苗字が財前だとわかってしまう。そして、ご主人の学校には財前の名を持つ財前葵がいる。大丈夫かこの人。この情報社会の真っ只中、LINK VRAINSでそれを言うとは。

まぁ、彼は雇い主だ。ゴーストガールがテレビ局を追い出したのは知っているのだろう。ここを見ているのは、SOLテクノロジー社と自分達だけである。

ブルーエンジェルが倒れてからの話をし始める財前晃。その内容は大まかだか、大体はご主人達が知っている情報と一緒である。

 

「Playmaker。君を捕まえたのは他でもない、妹を起こしてもらうためだ。早く妹を暗闇から解放して欲しい」

「それはできない」

 

恨むべき相手だというのに、懇願するように言ってきた財前晃の言葉をバッサリ捨てるご主人。そういうはっきりとしたところ好きですけど、相手は選んだ方が良いですよ?

 

「……私はお願いをしているわけではない。脅しているんだよ、Playmaker」

「知っている。だが、無理なものは無理だ。ブルーエンジェルを昏睡状態にしたのは俺ではない」

「そんな嘘が通じるとでも思っているのか!!」

「話を聞け。ブルーエンジェルはハノイの騎士によって電脳ウイルスを仕込まれた。彼女を起こすにはハノイが持つ除去プログラムが必要だ。だから俺ではなく、ハノイに---」

「嘘を吐くなッ!!!」

「ぐぁあああああっ!!」

 

ご主人を拘束している不気味な手みたいなのが、ぎゅっとご主人を握り始めた。

 

「遊作っ!」

 

どうやらあの手は財前晃の手と連動しており、彼が怒りのままに握りしめている限りはご主人が苦しみから逃れる手はない。

ログアウトしようにも、ゴーストガールが作ったプログラム内にいる限りはできないので、草薙さんも為すすべがなく、何もできない自分を悔しがっているのか握り拳を作っていた。

 

『あっ!これ痛い!オレの方も痛いって何よ!いたたたたたっ!ミシッてる!ミシミシ言ってる!!』

 

シャカシャカと目玉が忙しく動かして慌てている。その音が鳴っているのは目玉自身ではなくデュエルディスクだと思うのだが。本体はこちらだし、LINK VRAINSにあるのはコピーと言って良い。Aiは知らないけれど。しかし、多分あれは演技だろうなぁと他人のように考える。

そんな事より、ご主人だ。怒りのままに行動を起こしている財前晃を説得する事は難しそうであるし、証人であるハノイの騎士がいるわけでもない。このままではジリ貧だ。

じわじわと焦りが込み上がってくる。

 

『草薙さん!このままじゃずっとご主人が捕まったままですよ!』

「わかってる!わかってるが……ゴーストガール、厄介なプログラムを……」

 

台詞と表情から本当の本当に草薙さんには為すすべがないようだ。

画面を見ると文字と数字の羅列から干渉できないという事がわかる。凄腕のプログラマーなのはわかったが、これなら自分なら何とかできるかもしれない。

このプログラムはあくまで外の干渉を防ぐというもの。LINK VRAINS自体はそうでもなく、現にLINK VRAINSを作った会社の回線は生きている。ならば、内側から干渉すれば良い。

 

『草薙さん、私なら何とかできますけどどうします?行きますか?』

「何?本当か?」

『えぇ!けど、保証はできませんよ?』

「それでも良い!よろしく頼む!」

 

よしきた!

すぐに全身に跡が残らないようにするプログラムを纏い、このコンピュータからLINK VRAINSにログインする。まぁ、この姿で登録してないので不法侵入ではあるのだが。

今の己はいるようでいない存在。視認はできるが、プログラムとして認識しようとしてもできないようになっている。

 

『よし!待っててくださいね!ご主人!この電脳ガールエネちゃんにかかれば!霊なんていう不明瞭な奴が作ったものなんて、ちょちょいのちょい!なんですから!』

 

なんて、気合いを入れてきていたのに、見たのは前に聞かされていたハノイのリーダーであるリボルバーと、それを追いかけるご主人、そしてご主人達を追いかけるゴーストガールと、置き去りにされた財前晃と眠っているブルーエンジェルの姿だった。

慌てて見つからないように影に身を隠しながら、首を傾げる。

 

『どーなってんですか、コレ……』

 

その後繋がった草薙さんからの説明では、何故かリボルバーが登場し、ご主人にデュエルを申し込んだの事と。ベットは電脳ウイルスの除去プログラム。

大まかだが、要はこういう事であった。

 

うーむ…………急過ぎ。

 

『急展開過ぎませんか!!草薙さん!!』

「俺に聞くなって……」

 

 




原作と同じ事をやると内容が薄く見える件について。先に描写がわかっているから、伝えようとしないんだよなぁ。

因みにデュエル構成は大変なので主人公がするの以外は省くつもりです。思いの外作者の頭が弱いせい……すまない、本当にすまない。
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