魔王少女の恋物語 作:アザ☆ゼル
これは私の恋の物語である。
魔法少女のすごいところはキラキラした魔法でも可愛い服でもない。特別な力を受け入れてもらえることだと私は思う。
魔法の力を何一つ持たない女の子を魅了して、仲良くなって、仲間になる。
現実じゃそんなことありえない。力を持つ者は何時だって距離を置かれる。何時だって上っ面だけの関係になる。
『セラフォルー!良くも、絶対に許しませんよ!』
そういって、私が継ぐことになった名を持つ少女は敵意を向けながらそれ以上の恐怖を向けてきたのを覚えている。
私はその日から魔王になった。昔から付き合いのある2人も、そこそこ話す1人も同じように魔王になった。この内二人は気が楽だ。
2人は私より強いから恐れてくることなんてない。
でもそれはつまり、私は彼等の力を恐れているということだ。勝てないと思っている。自分なんて何時でも殺されると思っている。
それは私を遠巻きにしている奴らと同じだ。
何時からか私はテレビの魔法少女達のまねをするようになった。それは果たして憧れか、嫉妬か、ひょっとしたらこれで人が寄ってきてくれるなんて思っていたのかもしれない。でも何より、周りから距離をとってもらえた。
何もしてないのに恐れられるより、何かして距離を取られる方が、自分に責があるからと考える方がよっぽど楽だった。
「おうセラ、また会ったな」
「……………うん」
そんな私に好きな人が出来た。
魔法少女の同人誌を買いに、一度だけ言ったイベントで知り合った男の子。悪魔の私からしたら赤子のような年齢の男の子。
出会いは単純で、道を教えてもらっただけ。でもイベント会場に来る前から魔法少女の格好をして、人が避けていた私に声をかけてきて案内してくれた。
多分彼じゃなくてもいずれ通るイベントの参加者が道を教えてくれたと思う。私じゃなくても彼は道を教えたと思う。
でも彼が私に道を教えてくれたのは、今更変わるはずもない事実だ。
それから、彼と会うために人間界に訪れてしまった。
彼の住む町で、彼に出会い、声をかけた。覚えていてくれた。「そりゃ会場つく前からコスプレしてる勇者だし、今もコスプレしてるしな」とは彼の言葉だ。
「セラはこの辺に住んでんのか?」
「あ~いや、妹が住んでて、会いに行ってるの」
「その格好でか?その妹も変わってるな」
ハハハと笑う彼。しかしそれは無表情で言う言葉ではないと思う。
「やっぱり変かな、この格好?」
「日常でするには変な格好だな。可愛いけど」
「………………」
「どうした?」
「用事思い出したから帰るね。じゃ、またね☆」
彼と別れ距離を取り人気のない場所で座り込んだ私は頬に手を当てる。熱い。きっと赤くなってる。
──可愛いけど──
「~~~~ッ!」
あの言葉が頭から離れてくれない。バクバクと心臓が速くなる。
もっと言われたくて、もっと聞きたくて、頭の中にしっかり記憶してしまった。
「はぁ……また、名前聞けなかった」
もう一度言おう、これは、私の恋の物語である。