魔王少女の恋物語   作:アザ☆ゼル

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妹の不安

 最近姉が訪ねてくる回数がヤケに増えた。

 私の眷属達は姉が重度のシスコン故にだと思っているが、そうではないだろう。

 姉は誰も好きなんかじゃない。姉は強かったから。1人だったから。そう生んだ両親も、姉妹なのにそう生まれなかった私とも壁を造っていた。

 そもそも姉が私をかわいがる理由だって、同じ魔王であり昔なじみであり、姉と同じく、しかし姉より遙かに強いサーゼクス様の真似をしているだけだ。

 まあそれでも、シスコンの演技は傍目から見ても上手いと思う。

 昔のことだ。まだ私が甘えたがりの頃、私はお姉様と別れた後直ぐにお姉様の部屋に向かって、部屋の中で隠れていた。

 笑っていなかった。つまらなそうな顔をしていた。疲れたような顔をしていた。

 私の気配に気づくと自然に笑みを浮かべていたが、私は気づいてしまった。目が変わっていないことに。

 多分姉は誰かを好きになることなんてないだろう。あるとすればそれは姉の力を目の前に打算も恐怖もなく接することのできる誰かだ。

 そう思っていた。思っていたのだが………。

 

「………ソーナちゃん、好きな人に名前を尋ねるのって、どうしたらいい?」

「頭でもうちました?」

「ソーナちゃん!?」

 

 ある日そんな言葉を姉から聞かされた。脊髄反射のレベルで帰してしまった私はきっと悪くないと思う。それほどまでに姉から放たれた言葉はあり得ないものだったからだ。

 

「……その人はどこの家の者ですか?」

「あ、ううん。貴族じゃないの」

「では一般悪魔?」

 

 だとしたら随分怖いもの知らずな悪魔だ。お姉様には悪いが自殺志願者の可能性を考えてしまう。

 

「………その、えっとね………人間、何だけど」

「………あきらめてください」

「ええ!?」

 

 

 

 

 藤堂アキラ。お姉様の意中の相手。まさか同じ駒王の生徒だったとは。

 お姉様にも名前は伝えはしたが彼から名乗られるまで呼ばないように言っておいた。

 イベント出会ったと言うからオタクかと思っていたが、少し調べてみた結果そうではないようだ。

 どうやら姉の手伝いのようだ。家族構成は母と姉と妹の四人家族。七年前に引き取られたため直接的な血の繋がりはない。

 まるで小説の登場人物ですね。それも主人公枠か準主人公枠の。

 中学の頃は相当ヤンチャしていた様子。喧嘩相手の腕を折ったこともあるようだ。親同士で話し合いになった結果相手の親に何を言ったのか翌日には逃げるように転勤したみたいですが、何をしたのでしょう?

 まあしかし、こういう言い方はアレだが所詮人間だ。

 悪魔に比べれば短命で、脆い。姉より遙か先に死ぬだろう。一緒にいたいのなら彼を悪魔に変えるしかない。

 しかしそのためには姉が自分が悪魔であることを教える必要があり、魔王であることを明かさなくてはならない。

 そしてきっと姉が彼を気に入っているのは彼が何も知らないからこそ普通に接しくれるからだろう。悪魔と知り、仮に悪魔になったとして、魔王と知り今まで通りに接することができるだろうか?

 それを判断するには彼を知らなすぎる。できれば、お姉様に傷ついてほしくはない。

 

「というわけで木場君、彼と同じクラスのアナタに彼がどういう人間か調べてほしいのですが」

「解りました。任せてください」

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